ディリータ・ハイラル

登録日:2025/09/30 Tue 11:15:45
更新日:2025/10/19 Sun 17:21:27
所要時間:約 14 分で読めます




ディリータ・ハイラルとはイヴァリースの将軍にして政治家。
獅子戦争での活躍とその後王になったことから「英雄王」の名で知られている。


経歴

生まれ

素性ははっきりとは分かっていないが平民出身と言われている。
当時の北天騎士団天騎士「バルバネス・ベオルブ」に見出され士官学校に通ったと言われており、当時としては異例の選出だったと言えるだろう。
とはいえ身分制度の厳しい時代であり、かなり苦労したことは想像に難くない。
創作でよくライバル扱いになる「ラムザ・ベオルブ」とはこの頃からの付き合いであり、意外にも不仲であることを示唆する資料はない。
ベオルブ家の本拠地であるイグーロス城にも出入りしていたようである。

北天騎士団時代

この頃から各種公式記録に正式に名前が出るようになる。
ラムザ共に北天騎士団で小隊を率いていたが、平民出身の彼が隊長とは考えにくいため、実際はラムザの副官扱いだったと思われる。
メスドラーマ・エルムドア救出や骸旅団討滅戦にて戦果を出したことが報告されており、戦術クラスとはいえ当時から非凡な才能だったことがうかがえる。

何故か骸旅団壊滅後はしばらく公式記録から登場しなくなる。
少なくとも、北天騎士団を辞めたことは間違いない話であり、「身分差によるイジメに耐えられなくなり脱走」、「討滅戦の際に何らかの失敗をして辞任(ラムザの代わりに責任を負ったという説も)」、「スパイの任を受けた」などあるが、どれも決め手にかけている。

黒羊騎士団時代

ディリータが歴史の表舞台に再び登場するのは翌年からとなる。
民衆による一揆とその首謀団体「亮目団」の鎮圧に当たっていた「黒羊騎士団」の副官として団長であるグリムス男爵の補佐をしていた⋯らしい。
というのも当時のゼルテニアに黒羊騎士団が存在していたのは事実であるが、それらの記録にディリータの名前がさっぱり出てこないため。
北天騎士団から黒羊騎士団に移籍した経緯も不明。
現在では戦後の混乱のための資料消失とされているが、捏造説も囁かれている。

ともあれ、密命を受けライオネルにて誘拐されそうになった王女オヴェリアを保護したディリータは同時期に黒羊騎士団が全滅したため急ぎ帰参する。
王女誘拐を目論んだグワンヌ大臣を告発し、その功績により新たに黒羊騎士団団長となる。
また、同時のゼルテニアの領主ダクスマルダ・ゴルターナは上記の事件もあり上洛を決意。獅子戦争の発端となった(ただし、情勢を考えるとディリータがいなくとも遅かれ早かれ獅子戦争は勃発した可能性が高い)。

この頃から後の伴侶オヴェリアとの関係性ができており、仲は良かったと言われている。

南天騎士団時代

その後は華々しい戦果を上げ続け、ゴルターナの信頼を得たディリータは謀反の容疑により解任されたシドルファス・オルランドゥの跡をつぎ南天騎士団団長の聖騎士になる。
ベスラ要塞攻防戦の後にオルランドゥによりゴルターナが暗殺されたことで、ゴルターナの意思を継ぎ黒獅子陣営を取り仕切ることとなった。

一方北天騎士団側は領主のベストラルダ・ラーグの戦死やベオルブ家がお家騒動で滅ぶなど混乱が多々あり、彼らの擁していたオリナス王子もロマンダに亡命したことで獅子戦争は終結した。

国王ディリータ

戦後、オヴェリアと結婚し王となり、イヴァリースを治めていくこととなった。 
しかし、オヴェリアはその後早逝し、孤独に治世を行っていたと伝えられている。

南天騎士団の軍師としてディリータに仕えたとされるオーラム・デュライはディリータの華々しい経歴の影にグレバドス教会の関与があったと訴えたが、教会はこれを異端として処刑。
獅子戦争時代は当の教会もまた異端者による教皇暗殺などの混乱にあり、真偽の程は今なお不明とされる。

創作におけるディリータ

上記のように意外とはっきりしない点も多く、怪しい面もある人物なのだが、「平民出身が」、「貴族達を打ち倒し」、「戦を終わらせ」、「王になった」という民衆の好みどストライクの経緯は誰に言われずとも民草のヒーローとして語りつがれることとなった。
現在でも様々な創作があり、一番好きな歴史偉人ランキングの上位常連である。

子供の頃に「ディリータ立志伝」のマンガや小説を読んだ人も多いだろう。ただ、それらは

  • 天騎士バルバネスともに50年戦争末期を駆ける
  • 猪武者かつ血統主義の権化のラムザを窘める(ラムザが平民は家畜とまで言い放つパターンも)
  • 北天騎士団の血統主義を欺瞞に思い、脱走し世直しの旅へ
  • オヴェリアと共に差別のない世界を作ることを誓う
  • 悪魔(ルカヴィ)に憑依されていたゴルターナをオルランドゥともに打ち倒す。

といった史実から見ると荒唐無稽な脚色をされていることも多い。

「鉄巨人退治」や「テンプルナイトとホーリードラゴン」などディリータ王が登場するお話も多いが、当然ながら創作と見られている。
ディリータ人気にあやかり、寓話・民話の登場人物をディリータに置き換えたと考えられている。

近年アラズラム・J・D著作の『ブレイブストーリー』にて、従来のディリータ像と異なるディリータを描き一大センセーションを起こしたことは記憶に新しい。
しかし、作者本人も注意しているようにブレイブストーリーはあくまで上述のオーラムの著書『デュライ白書』を元にした創作であるという点は留意したい。


追記・編集は、平民から王に成り上がってからお願いします。


























皆…ひとつの大きな流れの中にいることに気付いていない…

オレはその流れに逆らおうとしているだけ

それだけさ……

ディリータ・ハイラルとはPSゲームFINAL FANTASY TACTICS」登場人物にしてもう一人の主役とも言うべき人物。


プロフィール


年齢:17歳(第2章開始時)
性別:男性
誕生日:人馬の月3日(現実日時だと11月25日生まれ)
守護星座:人馬宮《サジタリウス》
固有ジョブ:見習い戦士(第1章)→ホーリーナイト(第2章以降)
CV:内山昂輝(イヴァリースクロニクルズ以降)


概要

主人公ラムザ・ベオルブの親友。
作中の世界「イヴァリース」の歴史ではおおむね上記のように名が残った偉人であるが、ゲーム中では等身大の人間として描かれる。
主人公であるラムザはどちらかと言えば、次々と現れる悪に抗う…悪く言えば受動的に動くことが多いのだが、彼とは対照的に物語を積極的に動かしていく狂言回し的立場。

作中では多くの者を利用し策謀をほぼ成功させたピカレスクなキャラであるが、非情になろうとするもなり切れない人間臭さから賛否の激しいキャラである。


人物像

濃い目の茶髪にオールバックが特徴。
序盤では心優しい青年という印象が強いが、唯一の家族である妹ティータのことになるとやや視野が狭くなる。
ラムザとは気が置けない友人であったが、chapter1後半の境遇や妹の死を機に自分が「持たざる者、利用される者」であることを強く自覚するようになる。

以降のディリータは人が変わり、全てを己のために利用し、有権者に取り入り出世していくようになる。
そのために多くの人間を死に追いやり、親友ラムザに対しても言葉が刺々しく「必要があればお前を殺す」とまで言っている。

…とはいうが、実のところ完全に甘さを捨てきれてはいない人物。
ラムザに対してはある程度腹の内を明かしたようなことを言っていたり、生かしておいてもそこまで得のない人間を情愛から殺さないなど情を捨てきれていない。
特に周囲に利用されるオヴェリアに対しては自分だけでなく妹の姿も重ねていた節があり*1、次第に彼女のための国を作ることを本気で考えるようになっていく。
また、ラムザを利用していることにも罪悪感はあったようで、そのことを指摘された際には珍しく激昂している。
他にも上記の「お前を殺す」発言の後にラムザに同行を頼まれた際には申し訳なさそうに断っている*2
ただし、行動に打算がないこともほとんどないため、その心情は極めて複雑。

能力的には有能である描写は割と多い。
プレイヤーに説明するためというメタな事情はあるが、イヴァリースの情勢を詳しく説明することも多い。
明らかに予想外のことにもすぐさま対応しており、ラムザが動くがわかったらそのこともすぐに計算に入れるなど機転も効くタイプ。
甘さを捨てきれていないとは言うがそれによって策謀を失敗させるような事はなく、そういった態度も相手を信用させるためにそうしていた節があり、そういった点でも恐ろしい男である。

しかし、最終的には全てを己のために利用する行動から、偽らざる愛にすべてをかけていたはずのオヴェリアの信頼を失っていき……

ゲーム的な性能

chapter1ではゲストキャラとして参入。
ジョブはラムザと同じ特別な「見習い戦士」であり、アビリティも「ガッツ」。
おまじないに助けられたラムザも多いだろう。
ちなみに公式チートデータ「チョコボの不思議なデータディスク」の全ジョブマスターデータでは彼も全てのジョブをマスターしている。
アルガスとは星座相性でもストーリー上でも関係は悪いが、実際の戦闘では勝手に行動してJP稼ぎの邪魔になるためプレイヤーから気絶させられ戦場では仲良く昼寝…気絶コンビになることが多い。

chapter2以降ではホーリーナイト。
2章前半の『ゼイレキレの滝』と4章前半の『町外れの教会』の2回ストーリー上でゲスト参戦する。
ゲスト時には不動無明剣や無双稲妻突きでガンガン敵を蹴散らしてくれる。
場合によってはザルモゥを一瞬でやっつけてしまって即戦闘終了になってしまうことも。
そしてバーサーカーの如く敵を勝手に倒していくだけなので、オヴェリアを死守する必要がある『ゼイレキレの滝』はともかく、『町はずれの教会』ではJP稼ぎをするプレイヤーや会話を楽しみたいプレイヤーからは邪魔に思われ不憫にも気絶させられてしまう。

なお、この時点でもおまじないは覚えている。

chapter4のランベリー城攻略以降(ディリータが聖騎士になって以降)は内部的にはアークナイトになっている。
しかし、設定はされているが戦闘の機会がないので実質没データ。しかも、アビリティはなぜかディバインナイトと同じ「剛剣」*3

作中での活躍

プロローグにて王女を誘拐しているディリータを見たラムザが過去を回想することから物語は始まる。

chapter1「持たざる者」

ラムザの親友として登場。
バルバネスの推薦で士官学校への入学が決まった際には学長に目を丸くされたらしいが、士官学校内でイジメられた…というのは意外にも描写がなかったりする。
妹のティータはかなり苦労していたそうなので彼にも同じことがあったと思うのは自然ではあるが、だとするとラムザが全く気付いていなかった事になってしまうので…。普通に有り得そうとか言っちゃダメだぞ
まぁ、「農夫をやっとります」と言い出す汎用キャラが士官学校にいる場合もあるので、ガリランドの士官学校は貴族しか入れない*4ように見えて案外実力主義なのかもしれない。
農夫とかがいるのはシステム上の話なので深く気にしちゃダメというのはその通り
ラムザとはどちらが偉いということもなく、失敗はお互いに庇い合うツーカーの仲。
とはいえ、自分がラムザとは違うとは昔から感じていたようで、平民であったが故に国家に捨てられた骸旅団の実情を知ったことや剣士アルガスの横暴から次第にその思いがどんどん強くなっていく。

ダイスターグから「ティータが人質にいる以上は攻撃はしない」と明言されていたにもかかわらず、ジークデン砦の決戦にて人質にされたティータがザルバッグの命令でアルガスにあっけなく殺されたことから、感情が爆発しアルガスたちを襲ってしまう*5
その戦闘ではアルガス以外狙わないという徹底ぶり。

アルガス撃破後にティータの亡骸と共に砦の爆発に巻き込まれ行方不明になる。

chapter2「利用する者される者」

その後、経緯は不明だが、ディリータは教会のエージェントになっていた。
教会からすれば、北天騎士団の内情を知りある程度教育を受け何時でも切り捨てられるディリータは工作員としてうってつけだったのだろう。
黒羊騎士団副官というのも経歴に箔をつけるための教会による捏造。

爆発で生き残ったことは「ティータが守ってくれた」とのことだが、こちらも詳細不明。

教会を命を受けて王女オヴェリアを誘拐するディリータだったが、実のところこれは彼女の命を守るため*6
ゼイレキレの滝にて北天騎士団にもラムザにも追いつかれてしまい、ラムザたちに一旦王女を返す*7
chapter1ラストではラムザも敵視していたが流石に冷静になって考えも改めたようで、ラムザ側も当時の状況とディリータのことは理解しているので再会時も特に問題視していない*8
この時点ではラムザを利用する意図はあまりなく、とにかく関わらないよう忠告している。
貿易都市ウォージリスでも同様のことを言っている。
ただ、それはそれとして裏事情を大体知っているので、状況に流されているラムザに対してマウントを取っているようにしか見えない発言もしている。

その後、ディリータはドラクロワ枢機卿の下で「オヴェリア本人ではなく、その影武者」という真実を告げられたオヴェリアを連れ、ゼルテニアに向かう。
そこでディリータがゴルターナ公を甘言で惑わし上洛を進言したことで獅子戦争が勃発することとなった。

chapter3「偽らざる者」

ここではディリータは大きな動きは見せていない。
おそらく戦争が勃発したことや本人も黒羊騎士団の団長となったため、戦争に参加しつつエージェントとしての仕事をこなしていたと思われる。

しかし、中盤で自身の境遇を嘆くオヴェリアに


オレは利用されない。利用する側にまわってやる!
オレを利用してきたヤツらにそれ相応の償いをさせてやる!
おまえに相応しい王国を用意してやる!オレがつくってやる!
おまえの人生が光輝くものになるようオレが導いてやろう!

だから…そんな風に泣くのはよせ。

と自らの心情を語りつつ、彼女の信頼を得るよう語りかけている。
この時点ではどのくらい本心からの発言だったのかは不明だが、「信じてもいいの?」というオヴェリアの言葉に「死んだ妹、ティータに誓おう」と言っており、
ディリータがオヴェリアの信用を得るためだとしてもティータをダシにするとは考えられないので、オヴェリアを利用するためだけに言ったわけではないと思われる。
何より彼が他人に対して己の野心を明かしたのはここだけ

chapter4「愛にすべてを」

ゼルテニアに現れたラムザを迎え、彼に教会の目的を語りつつ、ラムザを利用することでオルランドゥを歴史の表舞台から追放することを計画する*9
他にも上記のラムザへの歪んだ信頼やオヴェリアへの偽りのない愛を語る印象深いイベント。

彼女のためならこの命…、失っても惜しくない…。

その後、教皇の手紙を使うことでオルランドゥに謀反の意があることをでっち上げ*10、ゴルターナから南天騎士団の聖騎士を任命され、ラムザが両軍の被害を少しでも減らそうとベスラ要塞の水門を壊し全軍が混乱した隙を付き、ゴルターナ公をオルランドゥによる暗殺だと罪を被せつつ暗殺。
更に(恐らく教会が用意した)オルランドゥに似せた影武者を犠牲にする二重のマッチポンプを仕掛け世間を騙し切った。
そうして名実ともに黒獅子陣営の頂点となった。

実のところ(ディリータの行動が逸脱していたらバルマウフラ経由で消されかねないという逆説論と併せて考えると)教会が大半の筋書きを考えて手厚く準備していたと思われるため、ここらの立ち回りは良くも悪くも教会の思惑とは切り離せない。
しかしディリータの凄いところは描かれていない場面で出自の怪しい状態ながらその教会に重要な駒の一人として取り立ててもらい、オヴェリアとゴルターナ公にヌルっと取り入り*11、教会からすれば殺害すべきオルランドゥもラムザを利用して生存させたり、適切な暗躍タイミングを逃さない*12など、決定的には逸脱しない範疇で有効手を打ちまくれたことだろう。

当然オルランドゥの息子オーランからは父の名誉のためにもディリータ暗殺も狙われるほど恨まれることになったが、
裏で戦争を誘導して暗躍する者達(一部の貴族や教会)がいることやラムザを利用してオルランドゥを救出したこともあって、悪感情を持たれつつも説得できた。
更に教会の監視役バルマウフラも手なづけることで盤石の基盤を作り出し、ここで教会からの離反を明確にした。

…だが、オーラン説得の際に

オレのやろうとしていることは圧倒的に正しい。
平民出の騎士見習いが騎士団を動かすようになり乱世を平定する…。
わかりやすいじゃないか…。民が求めてる“英雄”なんて所詮、そんなものだ。

そのために、おまえはすべてを利用する…?

いけないのか?


と露悪的な態度をとってしまい、それをオヴェリアにも聞かれてしまう*13
またバルマウフラに情を抱かせるように仕向けた上で殺害したように見せかけたシーン(悲鳴が聞こえるので実際に斬り付けた可能性もある)では、
その直前にオヴェリアが逃げ出していたので真相を知らず、なおさら余りにも冷血過ぎると判断したと思われる。
オーランは後に自分やバルマウフラへの対応からディリータの本質は善人かもしれないとは思ってはいたようだ。

しかし、オーランからは本質を悟られてはいたが最愛の女性からはもはや不信感を抱かれ……。

エンディング以降

終戦後、イヴァリースはオヴェリアの下に統一され、ディリータはオヴェリアと結婚し新王となった(肩書きも畏国王ディリータになっている)。
ある日、かつて2人で愛を誓ったゼルテニア教会跡にてディリータはオヴェリアに歩み寄る。

やっぱりここにいたんだな。みんな探していたぞ。
ほら、今日はおまえの誕生日だろ?この花束を…

その時、オヴェリアは隠し持っていた短剣でディリータを刺した。

…そうやって、みんなを利用して!…ラムザのように、いつか私も見殺しにするのね……!

オヴェリアにとって親友ラムザすら利用し見捨てたディリータはヴォルマルフやゴルターナ公と同様自分を利用した者たちと何一つ変わらなかったのだ。
また、オヴェリアはラムザとはわずかながら共に過ごし、そしてよくしてもらった経緯があり、さらに『獅子戦争』では自身の護衛役のアグリアスが共にいる事も知っているため、
信頼していた2人を見捨てたディリータにはなおさら思うところがあっただろう*14

そして致命傷は免れていたディリータはオヴェリアの短剣を奪い、彼女を刺す*15
倒れたオヴェリアを前に空を見上げた彼は思わずひとり呟いた。

…ラムザ おまえは何を手に入れた?
オレは……


一見全てを手に入れた男は本当に守りたいものは全て失い、空虚な権力の座だけ残ったあまりに虚しいラストシーン。
一見全てを失ったが自らの信念を通し、守りたいものをきちんと守ったラムザとは対照的なエンディングであった。

エンディング後どうなったかは不明であり、オヴェリア共々死亡説も囁かれていたが、FFT生みの親の一人の松野氏により「エンディング時点ではオヴェリアもディリータも生きていたが、オヴェリアはその後早逝しディリータは孤独になった」ことが明かされている*16
歴史上では偉大な王扱いであり、EDの時点では王の治世よりまだ騎士としての活躍やオヴェリアなどの影響の方が大きそうなため、生存の方が自然だろう。

また、『LOV』にてラムザたちがゲスト出演した際にはオヴェリア死後*17にゼラモニア紛争解決のため出兵を計画していたらしい。
これにはアグリアスは呆れ、ラムザはそうならないことを願いつつもディリータとの対決も視野に入れていたが、ディリータがラムザ達と対峙する事になったかは語られていない。

余談

Fateシリーズのギルガメッシュの元ネタ説がある。
オールバックや鎧、英雄王など似ている部分は多い。

各種チャプターの題名はディリータの心情を指しているというのは有名な考察。

上記のとおり、チャプター2の時点ではオヴェリア誘拐等の裏事情を知っているのでラムザにマウントを取ってしまっていたディリータだが、
実は獅子戦争の裏で蠢くルカヴィについてはディリータは最初から最後まで知る機会がない
彼の目線では教会や北天騎士団、そしてラムザは「なんか都合のいいことに、それぞれのトップが内輪もめで全滅して、何故かラムザまで行方不明になった」ということにしかならず(北天の方はルカヴィ抜きでもだいたいそうだが)、ある意味最終的には真相を知っているという点でラムザと立場が逆転してしまっている。
極端な話、ラムザが聖天使アルテマを打倒しなければ、ディリータの治世はルカヴィによって理不尽に呆気なく終わっていた可能性もなくもないのだ。きっと、たぶん、おそらく、めいびー
なのにディリータはそんな状況に一切気づいていなかった(と思われる)という……
なお、ラムザもチャプター4開始時点では「ディリータはヴォルマルフの正体を知っているのか?」とディリータもルカヴィと関わりがあるのではないかと疑っていた。
このため、ゼルテニアでディリータと再会した際に「きみだって僕の持つ聖石が狙ってるんじゃないのか?」とカマをかけている。
が、ディリータが自分は教会の犬ではないと言った上で聖石には特に興味を示さなかったため、この時点でラムザはディリータがルカヴィの存在を知らないと判断したと思われる。
さらにディリータに同行を誘っても断られたので、特にディリータにルカヴィの事を教える必要もないとディリータを蚊帳の外に置いてしまった。かつてマウント取った相手に本当の裏を知らないと見切られて大人の対応されてしまった図
まぁ、ラムザもディリータの暗躍を全て知っているわけではないのでお互い様かもしれないが…

ゲーム企画段階では本当に主人公の予定だった。
歴史の表舞台で戦うディリータと裏で奔走するラムザのどちらかの視点をプレイヤーに選択させる予定だったのだが、諸事情でラムザ編メインでディリータ編はイベントのみで描かれることになったらしい。
恐らくアークナイトディリータやバルマウフラのジョブなどの内部データはその名残。

エンディングでバルマウフラが一言も喋らなかったことから長年「バルマウフラを生かす代わりに声帯を潰した」という内容で語られていたが、作中ではそういう描写はない
この真相は「バルマウフラが教会の刺客からディリータを庇って声が奪われてしまうイベントがあったが諸事情で没になったが、エピローグを先に作ったことで彼女が喋らないようになっていた」ためである*18


追記・修正させていいの?

あいつが項目を追記・修正するのも計算のうちだ。

親友ですら利用するのね、あなたは。

うるさいッ!!
…おまえに何がわかるッ!!

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最終更新:2025年10月19日 17:21

*1 PSP版追加イベントではもっとわかりやすい。

*2 ちなみに本編後の時系列であるロードオブヴァーミリオン3ではラムザも「たとえ敵がディリータであっても大切なものを守るためなら何でもする」と語っており、実のところ「(必要なら)お前を殺す」というのはお互い意見が一致している。

*3 ただし、ヘルプメッセージはディバインナイトの流用ではなくちゃんと書き直してある。

*4 ちゃんと「貴族しか入れない」という設定はあるし、骸旅団からも士官候補生達が貴族のお坊ちゃま連中と見られている。

*5 ただ、たとえ人質がアルマだったとしても同じ展開になっただろうというのが多くのプレイヤーの見解。ディリータにとって慰めにはならないだろうが……

*6 プロローグの敵はゴルターナ公失脚を狙った南天騎士団に扮した北天騎士団。

*7 ラムザたちが自分とつながりのあるドラクロワ枢機卿を頼るしかないとわかっていたため。

*8 とはいえchapter3でアルマにディリータと再会した事を明かした際に「最初は僕達への復讐を考えているのではないかと思った」と言っており、ディリータに憎まれても仕方ないとも思っていた。

*9 本来はラムザはオルランドゥに教会の悪事を立証するよう頼みに行く予定だった。

*10 事実上第二位の権力者とも言える正義感の強いオルランドゥからすれば愚かでしかない戦争だった上に泥沼化によって民衆が苦しんでいたため、謀反の意思は全くなかったが事実上第一位権力者のゴルターナ公とは急速に仲が悪化していたことを利用した。

*11 騎士としての出世はオルランドゥ失脚も含めた教会の暗躍も影響しているが、それでもすんなり聖騎士任命まで重用されたのはディリータ自身の才覚も色々な意味であったからこそと思われる。

*12 例えばゴルターナ公暗殺のタイミングも水門開放によって一時停戦する混乱はラムザがその場で発案して単独でやったことで教会とは無関係の動き。ただし同時期に教会が両陣営暗殺のために毒の散布をやらかしていて元よりこのタイミングで教会も狙っていた(余談だがダイスダーグの命も狙っていた模様)。

*13 一応、この少し前にオーランに「オヴェリアの国を作るため」と明言しているのだが、この時オヴェリアはゴルターナ公殺害などでディリータの暗躍を悟って不信感を抱いており、直前にも彼を問い詰めていた。オーランへの尋問や自分の酷い姿を見られたくないためかオヴェリアに部屋から出るように頼んでいたが、ディリータを信じきれなかった彼女は出たフリをしてこの会話を聞いてしまう

*14 ちなみにゲーム中で描写される範囲でオヴェリアはラムザが友人アルマの兄である事を知る場面はない。さすがにその程度はディリータが教えていた可能性はあるが。

*15 『獅子戦争』ではアグリアスが今生の別れとなる前にオヴェリアに護身用の短剣として贈り、ディリータにオヴェリアを託すイベントが追加されており、話の流れからディリータを突き刺し、そしてオヴェリアをも突き刺した短剣はこの時のものと思われるという皮肉すぎるストーリーが追加されている。アグリアスにはとても聞かせられない話である。

*16 よく見ると2人とも血が出ておらず、ディリータもオヴェリアも軽傷で済んだのだろう。

*17 アグリアスのフレーバーテキストの内容から、この時点でオヴェリアは死亡してそれなりの期間が過ぎている模様。

*18 松野泰己氏のインタビューより