アルガス・サダルファス

登録日:2012/02/19(日) 18:02:34
更新日:2024/02/26 Mon 20:37:05
所要時間:約 4 分で読めます




家畜に神はいないッ!!


アルガス・サダルファスは、日本のゲームFINAL FANTASY TACTICS】登場する架空の人物。

年齢は17歳。
ジョブは見習い戦士(専用)→ナイト。

チャプター1で盗賊団に殺されかけた所をラムザ一行に助けられ、行動を共にすることになる、大貴族エルムドア侯爵の部隊に所属する平隊員。

ラムザ一行に、骸旅団に攫われたエルムドア侯爵の救助を依頼する。
仲間としてはNPCであり、ラムザ、ディリータとはまた異なる一部ナイトの技を使用できる特別仕様の見習い戦士。


この作品の重要なテーマである『貴族と平民の格差』を強烈に体現しているキャラクター。

元々は貴族の家系だったが、祖父が五十年戦争で味方を売った(という疑惑を掛けられ死亡した)ため没落してしまった一族の出身。
家の再興を望んでおり、そのためか『身分』や『貴族らしさ』というものに人一倍強いこだわりを見せる。


序盤こそやや血気盛んな青年だったが、骸旅団との戦いの中で彼の内面が徐々に露見していく。

骸旅団員にエルムドア侯爵の居場所を吐かそうとする際のあまりに行き過ぎた暴力行為(ラムザとディリータが止めさせなければ殺しかねない勢いだった)。


そして平民出身の者を人間扱いしない暴言の数々。
特に骸旅団のリーダー・ウィーグラフの妹ミルウーダと戦った際に放った上記のセリフ

「家畜に神はいないッ!!」

はあまりにも有名。

ちなみにこのセリフは、貴族の圧政により平民が置かれている貧困生活を『神の意志だ』などと抜かしたアルガスに対し、ミルウーダが『神は全ての人民を救済する存在だ』という至極真っ当な反論をした際に浴びせた暴言である。

貴族思想にどっぷり浸かったあまりに差別的なこの発言に、ミルウーダも返す言葉がなく、カーソルには

「!」


と表示されたのみ。
文字通り絶句である。

ラムザやディリータも流石にドン引きし、敵であるミルウーダに同情する始末。


極めつけは、平民出身のディリータの妹・ティータが攫われた際にディリータの目の前で嫌みったらしく
「平民出身の娘など助ける価値もない」
と言ってしまう。

当然これはディリータの逆鱗に触れ、彼に殴られ、温厚なラムザにすら「失せろ!二度と自分の前に現れるな!」と言われて2人と袂を分かつことになる。


そして、舞台はチャプター1の最終地点・ジークデン砦へ


骸旅団に捕らえられたティータを旅団のひとりが盾にした際、アルガスは



ティータごとその旅団員を射殺した。

それも

ディリータの目の前で。


これにより、彼はラムザと怒り狂ったディリータに殺害されることになる。

最期の言葉は「く…くそッ……おまえたち……な、軟弱どもに………やられ……」
彼は最期まで反省することなく、その生涯を閉じた。


とまぁ現代の日本人視点だとひたすら嫌なやつ(というかただのゲス)であるものの、舞台背景を考えると「民衆を守るべき騎士」としては失格でも、一般的な貴族に近いのはラムザよりも彼の方である点は見逃せない。
悲しいがどこの国にもこういう「昔の貴族」が複数いたのが現実である。

また、アルガスは骸旅団に仲間が全滅させられたという事も忘れてはならない。そもそも困窮に追い詰められた事も原因とはいえ、骸旅団は思想的テロリストである。
にもかかわらずその骸旅団の幹部を庇うわ、その思想に寄り添おうとするわ、挙げ句に「彼女は本当に僕らの敵なのか……?」とか言い出すラムザやディリータの方にも、実は大いに問題がある。
プレイヤーは主役であるラムザに感情移入してしまうが、実の所チャプター1のラムザはいわゆる現実の見えていない甘ちゃんでしかない。
もちろん、アルガスの言動は過激であり、差別と偏見に満ちた誤った言葉も多い。
実際仮に人質が誰だろうとザルバッグは撃つように命令しただろうという事をしっかりラムザに説いていれば、ディリータは無理でも少なくともラムザとの戦いは避けられた可能性はあった。しかしアルガスは「平民だから見捨てられた」としか取れない言動でディリータを挑発し続け、骸旅団そっちのけで部下まで使って私闘に走っている。
だが、少なくとも彼がラムザに告げた「武家の棟梁としての名門貴族ベオルブ家の責任を果たせ」と言う言葉は、(どのように果たすかは別として)間違いなく正しいのだ。

結局、ラムザは貴族の都合に翻弄され、ティータを助ける事が出来なかった。
そしてその射殺を命じたのが兄ザルバッグだったという事実と合わせて、ラムザにベオルブ家から逃げ出すという選択を取る。*1
後にガフガリオンの元で傭兵として経験を積み、甘ちゃんから一廉の英雄として成長していく……が、同時にその活躍は、歴史の裏に埋もれていくのである。

嫌われキャラであることは間違いないが、FFTの世界観を表す重要なキャラであり、物語を大きく動かしたキャラの一人であることもまた事実である。









PS版ではこれでおしまいだが、PSP版ではエルムドア侯爵との戦闘前にゾンビ化してラムザと戦う事に。

ちなみにこのときの彼の肩書きはただの

アルガス

(初登場時は【剣士アルガス】だった)
ついでにいかにデスナイトになって暗黒剣が使えるようになったからって、今更ラムザに敵うわけもなく、フルボッコされる運命にある。
しかも、何故か装備品以外でのステータス異常への耐性がない。
蛙にするなり鶏にするなり好きにいじめてあげよう。
…設定ミスだと思うが、何分アルガスなので、制作側もわかってて放置していたと受け取ってもいい気がしなくもない。

倒すと母親に助けを求めながら死ぬ。
この時点のラムザはシスコンである為、アルマしか眼中になく、今更アルガス等どうでもよく、ラムザからは特にそれについて反応してもらえない、見事に惨めな最期を遂げた。


さらに共同戦線では10体のアルガスを討伐するミッションまで。
最強の暗黒剣「ヴァルハラ」はこのミッションでしか手に入らないため、大量のアルガスたちが虐殺されることとなった。
スタッフ狙ってやってるだろ…

もはやただのモブである。

アルガスの明日はどっちだ!?



追記・修正は軟弱者にお願いします。

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最終更新:2024年02月26日 20:37

*1 ザルバッグの立場からすればテロリストの要求を呑むわけにはいかない為仕方ない。また妹を事実上殺害した事には罪悪感を感じていたのかラムザに謝罪。これにて和解することとなった。