ギル・ベイダー(ゾイド)

登録日:2012/03/08 Thu 01:29:43
更新日:2025/02/10 Mon 10:37:55
所要時間:約 5 分で読めます




ギル・ベイダーとは、タカラトミーの玩具シリーズ『ZOIDSシリーズ』に登場する、金属生命体・ゾイドの一種である。
なお名前はギル・ベイダーと「・」があったが、平成以降では単に「ギルベイダー」と表記されることが一般的である*1
これはヘルディガンナーやデッドボーダーなど他のゾイドとも共通。



【機体データ】

番号:DBOZ-17(旧)/GRZ-02(RCZ)
所属:ガイロス帝国
分類:ワイバーン型
全高:16.5m
全長:43.2m
全幅:36.7m
重量:333.0t
最高速度:
空中-マッハ4
地上-80km/h
乗員人数:1名

武装:
ビームスマッシャー×4
プラズマ粒子砲×4
ニードルガン×10
重力砲(G-カノン)×4
ツインメーザー
レーダーシールド
磁気振動システム
フェルタンク
後部切断翼×2
チタンクロー×4
ウイングバリアー×2


【機体解説】

ヘリック共和国とガイロス帝国間での第一次大陸戦争が激化する中、決戦兵器として導入された超巨大空陸両用ゾイド。
なお、ワイバーン型という分類だが、ワイバーンは二足無腕の有翼竜のこと。
四足の有翼竜じゃ普通にドラゴンじゃん……

頭部のデザインはクリアキャノピーとその奥に眼のような意匠が施されたもので、ヘルディガンナーやデッドボーダーといった初期の暗黒軍ゾイドと類似している。またデスザウラーの面影も残した秀逸なデザイン。
全体的なスタイルも、どう見てもワイバーンではなくドラゴン型という問題こそあるものの、既存のドラゴン型ゾイド・レドラーのシルエットを残していて、ゼネバス帝国とガイロス帝国の繋がりを残しつつも、暗黒軍らしいシルエットを持つ。
(ちなみにギルベイダーの遠景モデル*2にはレドラーを改造したものもある)
砲門数は多いものの、目立ちすぎるほど大きいものはなく、各所のディテールも細かく彫り込まれている。


ガイロス帝国の切り札的ゾイドだっただけあって、機体の性能が化け物じみており、単独で大気圏離脱・突入することが可能な速度と上昇距離に加え、
570tあるマッドサンダーを持ち上げ、飛行継続可能なキチガイじみた推進力を持つ。
また、ディバイソンコブラの中性子ミサイルを防げるくらいには本体も頑丈。羽根にはウイングバリアーと呼ばれる電子バリアーも持っている。

武装面でも、稲妻攻撃と呼ばれた敵を内部からドロドロに溶かす「ツインメーザー」、重力波を叩きつける「重力砲」、1万度の高熱粒子を発射する「プラズマ粒子砲」等々、強力な代物が大量に装備されている。
その中でも、やはりギル・ベイダーを象徴する武器は「ビームスマッシャー」であろう。

これは試作型ビームスマッシャーを装備したアイアンコングの改修機「ブラックコング」のデータを元に開発された新装備。
翼部のビームインテークから吸入した荷電粒子の束を丸鋸状に収束形成し、発射する。
その威力はかのキングゴジュラスに搭載されたグラビティモーメントバリアー以外には防がれたことのない武器である。
なお、ビームスマッシャーを「マッドサンダーの反荷電粒子シールドを真正面から切り裂ける」と解説しているサイトもあるが、実際にはビームスマッシャーを反荷電粒子シールドに当てている描写はない。
だがその点を保留にしたとしても、飛行能力という最大のアドバンテージを失った状態で、さらにマッドサンダーの本領たる格闘戦での真っ向勝負でも、回転ノコギリを直接当ててマグネーザーを根本から叩き折り、そのパワーで海に突き落としてツインメーザーでゾイドコアを重装甲諸本一撃で撃ち抜いて撃破するという完勝を飾っており、あらゆる能力でマッドサンダーを上回るまさに「天敵」である。


ただし、これほどのゾイドを建造し量産するのはさすがのガイロス帝国にも難しかったようで、オルディオスによる被撃墜と、そのオルディオスが大量配備されたという情報を受けたガイロス皇帝は、それが実際には虚報であったにもかかわらず、一時的にギルベイダーの出撃を見合わせたこともある。


【バトルストーリー】

ヘリック共和国とガイロス帝国の戦闘が激化する最中にその姿を現した。
初めての戦いは共和国軍の基地襲撃戦で、なぜか隕石のなかに包まれながら共和国軍の旗艦・タートルシップに直撃。その後、隕石のなかから姿を現わし、すでに基地を遠巻きに包囲していたジーク・ドーベルやガル・タイガーなどとともに共和国軍を殲滅した。

程なくして海を超えて共和国首都の直接空爆に参加。この時はレドラーも多数随伴している。
共和国軍の主力部隊はすでに暗黒大陸に上陸していたため、首都は手薄であった。
サラマンダーF2やガンブラスターと言った共和国軍の新型ゾイドも迎撃に現れるが、ギルベイダーはそれらをことごとく退け、全ての爆弾を投下。八万人もの死者を出した。

一度は発進基地を暴かれ、補給中のところを共和国軍の工作部隊に爆破されることもあったが、無傷で再起すると敵を粉砕。キングライガーやサラマンダーF2を撃墜。
さらに共和国軍が本国から送り込んだ、マッドサンダー35機を(暗号解読と囮作戦により)殲滅するなど、猛威を振るった。

「ゾイドバトルストーリー」以外の学年誌などでは、上述通りマッドサンダーとの激突も描かれた。
切り札のマグネーザーを突き立てるマッドサンダーに対して、ギルベイダーもビームスマッシャーを射出せずに翼ごと叩きつけ、見事にマグネーザーを叩き割る。
最強の矛を失ったマッドサンダーは劣勢となり、ついに崖から転落、腹をさらけ出す。ギルベイダーは角からのツインメーザーでとどめを刺した。

当時の共和国軍の最強ゾイドはマッドサンダーであり、それらを全方面で凌駕する存在であった。
もっとも、マグネーザーが直撃すればただでは済まないという描写もそれなりにあり、またマッドサンダーのフリルや装甲はギルベイダーでもそうそう打ち抜けないという描写もあった。
しかし空爆で与えた損害など与えた印象は大きく、『超空の悪魔』なる某日本人のトラウマじみたあだ名をつけられたり、キングゴジュラス建造の遠因になったりしたほど。


だがZAC2054年6月には、共和国軍の新型ゾイド・オルディオスにより一機のギルベイダーが撃墜される。
この報告はガイロス皇帝にも大きなショックを与え、共和国首都爆撃に向かっていたギルベイダー十数機を即座に引き返させた。

小学館スペシャルからの「ゾイドバトルストーリー」はこの場面で終わっているが、その後現れた共和国の最終最強ゾイド・キングゴジュラスには、ビームススマッシャーを以てしても有効打を与えることは難しいなど、押され気味となった。
さらにオルディオスには相性の問題か、性能差以上の撃墜を出してしまった模様。

このオルディオスの迎撃には、ガンギャラドが充てられた。


【アニメ】

◇『ゾイドジェネシス

バリエーションであるギルドラゴンの他、記録映像の中にギル・ベイダーもわずかに登場する。



【キット】

ゾイド史上屈指の大型キットで、置き場探しに一苦労するほどにデカい。
キットは電動で四足歩行し、コックピットは手動で開く。
連動ギミックとしてはまず、目と口内部、さらに左右と背部のビームスマッシャーが発光点滅し回転。
さらに翼の羽ばたき、口の開閉、尻尾の上下動を有する。

末期の旧ゾイドに漏れず玩具が再販されず、オークションなどではプレミアが付いていたが、ゾイドリバースセンチュリーで待望の復刻。
この際名前に「・」が外され「ギルベイダー」名義となり、キットも電池蓋が平成ゾイドお約束のねじ止め式に変更された。

ギルドラゴンもキット化されている。



【各種バリエーション機】

◇ギガンティス

ビームスマッシャーの破壊力を増強し、さらなる攻撃力強化を目論んだ改造機。
翼の大半がビームスマッシャーで占められている。
しかしこの手の火力強化改造ではありがちだがオリジナルより機動性が低下しており、
そこを突かれてオルディオスに敗れる

◇ギルカノン

頭部がスライドして巨大な砲塔が現れる改造ギル・ベイダー。
この砲塔からは4万℃にも達するプラズマ砲が発射され、並みの大型ゾイドなら掠っただけで装甲がドロドロに溶けて戦闘不能になるという。
改造マッドサンダーのマッドジェットの奇襲を受けて翼を破壊されるが、向かってきた所に至近距離からプラズマ砲を浴びせて返り討ちにした。


◇デスベイダー

ギルザウラーと同様にギル・ベイダーとデスザウラーを融合させた改造ゾイド。
デスザウラーがベースとなっているギルザウラーとは逆に、ギル・ベイダーのボディーにデスザウラーの手足が付いている。
ヘリック大統領が乗ったレイノスを襲うが、バトルクーガーに阻止された。


◇水中型

外見的差異や固有の名称はない。
捕虜となったゼネバスが暗号を解読したことで海戦用に改造されたマッドサンダー「サンダーパイレーツ」の大艦隊が暗黒大陸に向かっていることを突き止めた暗黒軍が派遣したもので、翼をパージすることで海中で活動出来る。
わざと無防備に艦隊のど真ん中に突っ込んでいき、攻撃を受けて墜落したと見せかけて翼を捨て海中へ潜航、魚雷一発でサンダーパイレーツの一機を撃沈した。
対潜装備を持たないサンダーパイレーツの艦隊は水中型一体によって散り散りになり、更に襲撃してきたギル・ベイダーの部隊の攻撃によって全滅してしまった。


◇シルバーベイダー

共和国軍がギル・ベイダーを解析して制作したコピーゾイド。コピーキャラの多い東宝ロボット怪獣よろしく銀色なのはご愛嬌。
翼の一部はサラマンダーを使用。背部にゴジュラスのバスターキャノンを装備している。
本物のギル・ベイダーと激突したが、偽物は本物に勝てないというお約束で撃破された。


◇デスバーン

ギル・ベイダーの改造機の1つ。全身が赤く、腹部にバスターキャノンを装備。
他にもガンブラスターやジークドーベル、ガルタイガー、ウルトラザウルス等の火器を装備している。
ゲーム『ZOIDS黙示録』にも暗黒軍最強ユニットとして登場したことがある。
言うまでもないが同名のポケモンは無関係。つーかこっちの方が先だ

実は元々は1990年に模型誌に掲載された一般投稿者による名もなき改造機。つまり非公式の存在だった。
それが多数のファンに知れ渡り、さらには公式媒体への採用に至るほど評価されたのは作者冥利に尽きるものだっただろう。


◇ギルドラゴン

『ジェネシス』に登場したバリエーション機。とうとうドラゴンって言っちゃったか…
シルエットはギル・ベイダーと大差ないが、装甲はメタルZiコーティングが為され白い。
サイズも初代のウルトラザウルスよろしく超巨大化しており、「山より大きい」と評される。
かつての惑星地殻変動の折に地上の人間とゾイドを逃がすために活躍したもので、現存する機体をルージたちが使用した。
武装(特にビームスマッシャー)が使えたらディガルド軍はおろかバイオティラノをも瞬殺できただろうに。

【余談】

初出は第1期(1983年〜1991年)シリーズだが、第2期(1999~2006年)シリーズで展開されていたゾイドバトルカードにも参戦(当時復刻されていないゾイドもカード化されることが多かった)。
ガイロス帝国軍では唯一のLL型ゾイドで、LL型に恥じない攻撃力と射程に加え、空適正ゾイドらしく高い機動力を持ち、
さらにはコストこそ大きいがHP1500を払って相手3機に1000ものダメージを与える(S型機ならほぼ一撃)「プラズマ粒子砲」。何故かビームスマッシャーはカスタム(=装備)カードとして別枠に…
そして飛行ゾイド以外からの攻撃の命中率を下げる(飛行ゾイドからの攻撃の命中率は上がるが、そこまで大きい問題じゃない)「雷撃戦」と、強力な特殊能力を2つも持つまさに無敵のゾイドである。
極めつけは専用パイロット「マリエス・バレンシア」で、驚くべきことになんと可愛らしい幼女である。
ギル・ベイダーが平成バトルストーリーに登場しなかったため彼女がいつ、どんな経緯でギルのパイロットになったかは不明。


ギル・ベイダーは追記・修正を求め吠えた

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年02月10日 10:37

*1 公式ファンブック一巻やゾイドバトルカードゲームの登場時など。

*2 遠近法で遠くに小さく映ったように見せるため、別の小型ゾイドを改造したもの。遠くに小さく映るウルトラザウルスが実はザットンの改造だったり、アイアンコングに見えてハンマーロックの改造だったりするもの。