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金沢カレー

登録日:2026/05/05 Tue 13:58:00
更新日:2026/05/09 Sat 12:44:11
所要時間:約 10 分で読めます





金沢カレーとは、石川県金沢市発祥のカレーライスである。




【概要】

色が黒く濃厚なルー、ソースをかけたロースカツ、付け合わせの千切りキャベツなど独特の特徴を持つ。
一度食べたらクセになる味わいから、石川県民のソウルフードとして長く愛され続けているB級グルメのひとつである。
現在では本場石川県内はもちろん、全国各地でも金沢カレー専門店がチェーン展開されている。


【特徴】

金沢カレーと呼ばれる料理について、金沢カレー協会は、以下の特徴を「5大ポイント」と呼称し、「金沢カレーの定義」と位置付けている。

■船形・ステンレス製の食器
店舗によっては一般的な食器で提供されることもあるが、金沢カレーの食器といえば基本的にコレ。
スプーンやフォークと擦れた時の音が人によっては不快感を催すのがネックか。

金沢カレーは、いわばファストフードに類するスピーディーな提供が売りとされており、ピーク時は非常に慌ただしい。陶器皿だとウェイターが運ぶ際に破損してしまうデメリットがあったため、丈夫で割れにくいステンレス皿が採用されるようになったという経緯がある。

■濃厚でドロッとした黒めのカレールー
金沢カレーの最大の特徴は、一般的なカレーより見た目が色黒で味が濃くとろみが強いルーが、ライスが見えなくなるよう全面にかかっていること。味も独特で、ソースのような甘味や酸味がある。
この色の正体はカラメルだが、これが作用するのは色味だけで、風味やとろみには影響しない。

■カレーの上にソースをかけたカツ
メニューによっては異なるトッピングを提供したり何も乗せなかったりという場合もあるが、通常「金沢カレー」と言えばロースカツを乗せたものを指す。ただし基本はロースカツだが、ヒレカツ、チキンカツ、エビフライ、クリームコロッケなど他の揚げ物タイプもある。
また、一般のカツカレーはカツの上からルーをかけるのがほとんどだが、金沢カレーの場合は順序が逆となる。カツにはさらにソースで味付けされる。
ルーと絡めて食べるもよし、カツのみで食べるもよし。サクサクジューシーのカツと一緒にボリューム満点のカレーを味わおう。

■千切りキャベツを添えて
カレーのサイドメニューとしてキャベツメインのサラダを合わせること自体は珍しくもないが、金沢カレーの場合カレーの器に千切りのキャベツを添えるのがスタンダード。

これは昔、金沢カレーの原点にあたる「洋食タナカ」(詳しくは後述)が、元々独立したメニューだった「豚カツ定食」で出される豚カツとキャベツをそのままカレーの上に乗せた「とんかつカレーライス」(あくまでも『カツカレー』ではない)というメニューがそのまま定着したことで生まれたスタイルである。

■先割れスプーンまたはフォークで食べる

普通スプーンだよ!?

やだなーししょー カレーはフォークに決まってるじゃないですかー
そうかー 決まっちゃってるのかー

カツカレーを食べるのに適した食べ方と言えるが、これが採用されているのにもルーツがある。
かつてチャンピオンカレーが提供していたカツカレーに使われていた豚肉は欧州産で硬い肉質だったため、食べやすさを追究した結果、フォークが採用されたそうだ。
普通のスプーンでも切れる柔らかい豚肉が使用されている現在も、当時の名残でフォークや先割れスプーンが提供されている。


【主な金沢カレーの店】

ここに挙げるほとんどの店舗は金沢カレー史の根幹に直結するため、他店との関係性についても記載する。
なお、ここでの各店舗のルーツに関わる内容は、原則「カレーのチャンピオン」公式サイトに掲載されている歴史および系図に、その他の補足情報は「金沢カレー協会」などのサイトに基づいて記述するものとする。
は金沢カレー協会正会員。


◆ターバンカレー/カレーハウス・ターバン

金沢カレー発祥の店。1971年創業。
それまで金沢市でカレーライスを中心とする洋食店『洋食タナカ』→『カレーライスのタナカ』を経営していた田中吉和氏*1が、常連客の岡田隆氏からの誘いを受け、共同経営という形で『ターバンカレー』として再出発したのが始まりである。

1973年には経営不調による共同経営解消に伴い、『ターバンカレー(新)』と『タナカのターバン』の2系統の店舗に分派された。この形態はターバンカレーが「ターバン」の名称を商標登録した1996年まで続いた。
分裂以降の新ターバンは、田中氏によるレシピとは全く異なり、あっさりしたシンプルな味が特徴。
2019年にゴーゴーカレーグループに吸収合併され、以降はゴーゴーカレーと姉妹店になる。

2020年代現在、現在は石川県内に4店舗が存在する。

◆カレーのチャンピオン

旧ターバンカレーから分裂した『タナカのターバン』の系譜を受け継ぐ店。通称「チャンカレ」。

旧ターバンから分派後、新ターバンとの差別化のため田中氏が新たに開発したレシピに基づく金沢カレーを提供している。
新ターバンカレーが「ターバン」の名称を商標登録したことに伴い、1996年7月7日に現在の名称に変更。由来は「カレー業界のチャンピオンになりたいから」「『ン』のつく店名は縁起がよいとされるから」とされている。

北陸地方を中心に展開している他、東京都や東海地方にも数店舗存在する。
人気商品はロースカツが乗った「Lカツカレー」。

◆ゴーゴーカレー

おそらく全国的な知名度は最も高いであろう金沢カレーチェーン店。リアルなゴリラの看板で知られる。テーマソングも印象的。
金沢カレーというローカルグルメの名を一躍全国に知らしめた存在。現在は四国を除く全地方に展開している他、アメリカやインドネシアなど海外にも進出している。
デカ盛りメニュー「メジャーカレーワールドチャンピオンクラス」は総重量2.5kg!自信のある人は挑戦してみよう。

かつてターバンカレー本店で修行していた宮森宏和氏が2003年に創業。2004年、新宿に1号店を開店した。
レシピもターバン系を受け継いでいるため、ニューカナザワ・田中氏をルーツとしない金沢カレー業態の一系列である。
先述した金沢カレーの5大ポイントこそ満たしているものの、田中氏をルーツとするチャンカレをはじめとした金沢カレーとは違った味わいを持つのが特徴。
その影響力の大きさから、全国的に見ると「金沢カレー」の代表格といえばゴーゴーカレーが真っ先に挙がりがちだが、旧ターバン・チャンカレを古くから愛する地元ファンの中には「ゴーゴーカレーは金沢カレーではない」という否定的な声も少なくない。

店名の由来は、石川県能美市出身・松井秀喜の背番号「55」で、宮森氏が松井の大ファンであることから名付けられた。
また看板やマークについても、当初は松井の代名詞として知られる「ゴジラ」を使用する方針だったが、版権料の都合で断念し「ゴ」つながりでゴリラが起用されたという経緯がある。

相方がゴリラでお馴染みのお笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志はゴーゴーカレーのファンで、55歳の誕生日を迎えた際にはゴーゴーカレーから記念の大皿を贈呈されている。

◆インデアンカレー

チャンカレ創業者・田中氏が勤務していた『レストラン ニューカナザワ』で和食部門に勤務してきた野村幸男氏が今度忠氏を誘い創業。
上記の『洋食タナカ』に感銘を受け、今度氏が田中氏から受け継いだレシピに独自のアレンジを加えた金沢カレーを開発し、1964年に開店した。タナカを除いては最初に開業した金沢カレー専門店である。

野菜玉子カレーやハンバーグカレーなど、金沢カレーのトッピングにバリエーションを増やしたのはインデアンの功績とされている。

◆キッチンユキ

1966年、ニューカナザワ2代目チーフだった宮島幸雄氏が、田中氏、今度氏などニューカナザワ時代の同僚たちのサポートを受け創業した洋食店。
現在は石川県白山市に店舗を構える。

この店の金沢カレーは、一般的なものよりさらに色が濃いことから「金沢ブラックカレー」の名が付いた。
この他、同じく金沢生まれのご当地グルメ・ハントンライスや、「ベーキライス」という洋風チャーハンなども販売されている。

◆カレーの市民アルバ

長らくインデアンカレーに携わっていた今度氏が石川県小松市に開業。金沢カレーならぬ「加賀カレー」という愛称でも親しまれている。
小松本店は2021年9月にコロナの影響で一時閉店、同年12月に元スタッフが創業者から経営権を引き継ぐ形で営業再開するも、2025年11月30日をもって惜しまれつつ2度目の閉店となった。
ただ小松市からアルバが消えたわけではなく、2016年に小松駅店が開店しており現在も営業中。
金沢鳴和店は星稜高校時代の松井秀喜がよく通っていたことで知られている。

◆ゴールドカレー

生パン粉を使用したサクサクのロースカツを乗せた「Gカツカレー」が自慢。
かつてチャンピオンカレーのフランチャイズ店として営業していたが、元オーナーの諸事情から「ゴールドカレー」として独立し現在に至る。現在は金沢市内の本店1店舗のみを構えている。

◆アパ社長カレー

石川県発祥のアパホテルを展開する「アパグループ」が展開する製品および同製品を販売する専門店および同店の看板メニュー。
ホテルの看板・CMでもお馴染みの元谷芙美子社長のマスコットが目印。


【金沢カレーと関係が深い作品】

りゅうおうのおしごと!
本作のヒロイン・雛鶴あいの得意料理の一つに金沢カレーがある。その腕前は九頭竜八一があまりの旨さに意識が「もってかれ」てしまったほど。
ちなみに八一は石川のお隣・福井出身だが、あいが作ってくれるまで金沢カレーを一度も見たことがなかった。
過去にはカレーのチャンピオンとのタイアップも行っており、コラボ商品「あいちゃんの金沢カレー」がレトルトで発売された。
なお、原作者・白鳥士郎氏は金沢大学在学時、野々市市内のチャンカレ本店によく通っており、作中に金沢カレーを登場させたのも、金沢カレーに衝撃と感銘を受けた当時の思い出がきっかけであると語っている。

ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
金沢を舞台とした作品だけあり、日常の食事パートにごく普通に映りこんでいる。
蓮ノ空女学院学内の食堂メニューとしても定番なようで、ストーリーパートでは主人公の日野下花帆などがよく頼んでいる様子。
一方で学外で食しているシーンは意外にもあまり見受けられず、同じ金沢グルメの代名詞にして近江町市場のシーンでよく登場する「金沢おでん」とは対照的な扱いと言える。


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最終更新:2026年05月09日 12:44

*1 開業前は鉄道弘済会が運営母体である『レストラン ニューカナザワ』の初代チーフコックとして4年ほど勤務していた。