グロック17

登録日:2011/09/05 (月) 13:15:37
更新日:2025/07/09 Wed 20:17:42
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「おい、どこを見ている」


性能

全長:186mm
重量:625g
使用弾薬:9×19mmパラベラム弾
装弾数:17+1(マガジンにより変動)
製造:グロック社(オーストリア)

概要

グロック17とは、オーストラリアにあるグロック社が開発製造している自動拳銃である。

オーストリア軍ではワルサーP38の後継として制式拳銃トライアルPi80を実施。同国ステアー社はAUGに続く制式の座を狙い、シュタイアーGBを開発した。GBは性能も良好であった。が…
制式採用の座に就いたのはまさかのグロック17。当時銃器開発には参入間もないグロック社が提出した。
グロック17はGBと同等の性能でGBよりもコストを抑えることができたためお眼鏡にかなったということである。

色々と従来品とは毛並みが違ったが、オーストリア軍を中心に実用性が評価され現在もなお爆発的な人気を誇っている。
アメリカ国内だけでも警察など4000機関に採用され、約50カ国の軍隊で制式採用されている。日本では海上保安庁のSSTがサイドアームとして採用している。



構造

ポリマーフレーム

スライド全体をポリマー(樹脂)で構成し、ポリマーの恩恵を存分に受けた。

安全装置と撃発機構

グロック社独自の「セーフアクション」が導入されており、3つの安全装置と変則ダブルアクションにより手動の安全装置が存在しない。

ドロップセーフティ

ファイアリングピンセーフティ

双方とも落下などトリガー以外の衝撃で撃鉄が落ちてしまわないように制止する安全装置。

トリガーセーフティ

引き金を人間の指以外で引いてしまったさいにトリガーをロックする安全装置。

変則ダブルアクション

待機時にはハーフコックの位置でロックされ、引き金を引いた際にはフルコックののち撃鉄が落とされる。
引き金を元の位置までは戻さずに引き直すとシングルアクションとなり、一応軽いトリガープルで連射できる。

薬室に弾を装填したまま安全に携行でき、いざという時に「安全装置を外す」または「スライドを引く」という操作なしに引き金を引くだけで撃てるわけである。
ただしあくまで機械的な暴発しか防止しない。
アメリカの警官ではDAリボルバーからの更新直後、トリガープルの違いから暴発させる事例があった。その為、グロック社はトリガープルをDA拳銃並みに重くしたモデルをニューヨーク市警向けに開発している。

ストライカー方式とシンプルな形状による跳ね上がりの抑制

撃鉄をハンマーからストライカー式としたことで、弾を発射する位置が保持している手の軸に近くなった。
フレーム側も親指付け根付近に回転軸などを用意しなくてよくなったのでスライドギリギリまで手を持ってくるハイグリップがしやすくなった。
上記により、きちんと構えると銃身軸と保持軸との差が小さくなり発砲時の跳ね上がりが抑制できる。



バリエーション

人気となったがためか弾やサイズで複数のモデルに分かれている。サイズが近いならある程度部品の互換性もあり、特にダブルカラムマガジンの互換性は高い。

モデル サイズ デフォルトのマガジン装弾数 補足
17 9パラ 通常 17 基本モデル
17L 9パラ ロング 17 競技用ロングモデル
17C 9パラ 通常 17 コンペンセイター内蔵
18 9パラ 通常 17 フルオート対応
18C 9パラ 通常 17 フルオート対応、コンペンセイター内蔵
19 9パラ 小型 15
19C 9パラ 小型 15 コンペンセイター内蔵
19X 9パラ 小型 17 19のスライドと17のフレームの組み合わせ
20 10オート 通常 15
20C 10オート 通常 15 コンペンセイター内蔵
21 45ACP 通常 13
21C 45ACP 通常 13 コンペンセイター内蔵
22 40SW 通常 15
22C 40SW 通常 15 コンペンセイター内蔵
23 40SW 小型 13
23C 40SW 小型 13 コンペンセイター内蔵
24 40SW ロング 15 競技用ロングモデル
25 380ACP 小型 15
26 9パラ 超小型 10
27 40SW 超小型 9
28 380ACP 超小型 10 公的機関限定モデル
29 10オート 超小型 10
30 45ACP 超小型 9
31 357SIG 通常 15
31C 357SIG 通常 15 コンペンセイター内蔵
32 357SIG 小型 13
32C 357SIG 小型 13 コンペンセイター内蔵
33 357SIG 超小型 9
34 9パラ ロング 17 競技用ロングモデル
35 40SW ロング 15 競技用ロングモデル
36 45ACP 超超小型 6 シングルカラムの専用マガジン
37 45GAP 通常 10 グロック独自弾薬モデル
38 45GAP 小型 8
39 45GAP 超小型 6
40 10オート ロング 15 競技用ロングモデル
41 45ACP ロング 13 競技用ロングモデル
42 380ACP 超超小型 6
43 9パラ 超超小型 6 シングルカラムの専用マガジン
44 .22LR 小型 10 トレーニング向け
45 9パラ 小型 17 47との互換性高め
46 9パラ 小型 15 ロータリーバレル式
47 9パラ 通常 17 45との互換性高め
48 9パラ 小型 10 極薄型フレーム
49 9パラ 通常 15 17のスライドと19のフレームの組み合わせ

名前が「17」である理由は、装弾数が17発、特許を17件得た、会社の17番目の製品、など憶測はあれど真偽不明。
サブコンパクト(表の超小型)モデルは米国の拳銃の装弾数規制を逆手にとり「合法な10発で自然な大きさの銃」として開発された。

  • 世代によるアップデート遍歴
Gen1(1982):グリップは全面梨地加工で前後にはチェッカリングなし
Gen2(1988):前後にチェッカリング、マグキャッチ大型化、スライド形状変更、リコイルスプリングを1パーツ化
Gen3(1998):マウントレールとフィンガーチャネル、サムレスト追加、トリガー改修
Gen4(2010):梨地加工の改善、グリップのバックストラップを任意に追加可能、マガジンキャッチの大型化と左右差し替え対応、リコイルスプリングを2重に変更(この世代でGen3以前との互換性が大幅に低下)
Gen5(2017):マガジンキャッチ、スライドストップのアンビ化、フィンガーチャンネルの廃止、マグウェル拡張、トリガー改修、バレル改修、マガジンフォロアー等の色改修



フィクション


エアガンでは昔から各社メーカーが多数販売してきたが、現在入手しやすいのは東京マルイやKSC辺りが定番だろう。
ちなみにガスガンでセーフアクションをきちんと再現したものは少なく*1、再現していない場合は本来出来ない連続空打ちが可能である。

割と軽く、そこそこの装弾数、シャープなリコイル、飾り気の無いシンプルなデザイン…
使い勝手のいいツールのような一品なので、かなりオススメです!



余談

  • ポリマーフレームについて
映画ダイ・ハード2で「プラスチック製なので空港検査をパス出来る」と言われていたが、これは誤りで樹脂を用いているのはスライドとマガジンの外皮だけなので容易に引っかかる。
また、プラスチック素材を使った初めての銃ではなく、フレームが完全にプラスチックである初の拳銃 が正解。
この辺りの詳細はポリマーフレームの頁にて。
  • endotactical社からストックが販売されている。アメリカでは装着してしまうとSBR認定されるため注意。




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最終更新:2025年07月09日 20:17

*1 パテントの関係や、ガスガン自体ストライカー式で作りにくいため、スプリングフィールドXDのように内蔵ハンマー&コンベンショナルダブルアクションになっている。