可部線

登録日:2013/03/09 Sat 19:55:26
更新日:2025/04/02 Wed 21:43:15
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可部線(かべせん)とは、広島県の横川駅からあき亀山駅までを結ぶ、JR西日本の鉄道路線である。
ラインカラーは青で、路線記号は B 


目次


概要

優等列車がなく、普通列車のみ運転されている。
路線上の起点は横川駅であるが、実際にはすべての列車が広島駅へ直通する。
現在の路線は、電化された安佐北区・安佐南区のニュータウンと広島市中心部を結ぶ通勤路線であり、国鉄時代から通勤形電車が導入されていた。
現在の混雑率は132%と、下手な首都圏の路線に匹敵する。

かつては可部~三段峡まで非電化の路線も存在したが、2003年に廃線となった。
しかし、2017年に僅か2駅・距離1.6kmながらも新駅設置までも含んだ復活を果たした。
これは廃線という危機に面し、これまでの常識を覆して前代未聞の偉業を成し遂げた12年にも及ぶ人々のドラマである。田口トモロヲ風に読んでください。

廃線区間の復活

そもそも問題となった可部駅以北は、可部線が廃線候補に挙がった翌年の1969年に新たに建設された区間である。
「ただでさえ営業係数519の赤字路線に加えて廃線候補なのに新たに延伸するなよ」という意見もあったが、実は山陰本線の浜田駅まで延伸する「今福線」計画まであった(さすがにこれは中止になった)。
この区間は非電化であり、1984年にもこの区間を廃止すべきという意見があったが、この時は沿線市町村の反対もあり廃線を免れた。
1998年、ついに正式に非電化区間の廃止が決定した。当時は電化区間が収入15億円に対して経費20億円で5億の赤字に対し、非電化区間は収入1億4000万円に対して経費7億4000万円で6億の赤字と明らかなお荷物状態だった。
沿線住民は利便性が高まれば利用者は増えると当然反対し、当初JRも住民の主張に応えて約460日間にも及ぶ試験増発を行ったが、住民の主張も虚しくこれっぽちも利用者は増えなかった。
そしてついに2003年廃線となった。ここからドラマは始まる。

廃線の際、JRと広島市の間で「市の要請があれば応じる」と言質を取った住民は2008年まで粘り強く復活を訴えた。
そして2008年、この復活計画が国の補助対象に選ばれ、2011年に正式に復活させると発表した。
しかし、2013年完成の筈の工事予定は一向に進まず、ようやく2012年に工事が開始。2015年に復活すると発表した。
ところが土地の再取得が遅れに遅れているせいで延期となり、最終的に復活したのは2017年3月4日だった。

一度廃線となった区間が復活するという、JR史上初の奇跡だった。


使用車両

  • 227系
30年振りに導入された新型車両かつ広島シティネットワークの顔。快適さは言うまでもない。
2019年3月16日以降は、全ての列車がこの形式で運転される。

過去の車両

画像出典: 日本の旅・鉄道見聞録
URL: http://www.uraken.net/rail/alltrain/ec/105kabe2.jpg
閲覧日時: 2016/01/07



主な駅

山陽新幹線 G 山陽本線(海田市・西条方面)・ P 芸備線 Y 呉線、広島電鉄本線乗り換え。
広島県第一の都市。運行上の起点駅。
基本的に当駅折り返しだが、一部列車が呉線に乗り入れる。
かつては山陽本線の西条方面や岡山方面へも乗り入れていた。

  • JR-B02 新白島
2015年3月14日に完成したばかりの新しい駅。アストラムライン乗り換え。
広島駅に代わり広島城の最寄駅となった。

  • JR-B03 横川
 R 山陽本線(宮島口・岩国方面)、広島電鉄横川線乗り換え。
路線上の起点駅。

  • JR-B04 三滝
1962年の大田川放水路建設に伴い移設された駅。

  • JR-B05 安芸長束
正12角形の多角錐屋根というユニークな駅舎を持つ。

  • JR-B06 下祇園
かつて1面2線だったのが、2024年1月に新駅舎に移行して2面2線になった。

  • JR-B07 古市橋
ルート変更区間その2の起点。
1929年の改軌に伴い当駅-緑橋間が移設。
大町駅開業前はここで一部列車が折り返していた。

  • JR-B08 大町
アストラムライン乗り換え。
1994年に開業した新駅で、上記の新白島開業に伴い、新白島~当駅間が競合状態となっている。

  • JR-B09 緑井
ほぼ半分の列車がここで折り返す。

  • JR-B10 七軒茶屋
天下茶屋のように、駅名は過去に茶屋があったことに起因する。
でも無人駅。

  • JR-B11 梅林
朝ラッシュ時に一部の列車がここで折り返す。
2014年に発生した平成26年8月豪雨で一番被害の大きかった安佐南区はここが最寄駅。

  • JR-B12 上八木
ルート変更区間その3。
1950年のキジア台風および1951年のルース台風の被害を受けたあとに、駅が南寄りに移設された上で当駅~中島間のルートが変更された。

  • JR-B13 中島
ここまでの駅は全部1983年を境に1日平均乗降数が右肩上がりだが、この駅だけ1998年の775人をピークに一気に減少し、2003年には211人まで落ちた。
しかし、そこからまた上昇し現在500人前後まで回復したジェットコースターみたいな駅。
乗り換え線もないのにここまで数値が上下するのは稀だとか。

  • JR-B14 可部
1911年から1936年までと、2003年から2017年までの終着駅。
日本の全鉄道路線の中でも唯一、
終着駅(1911年~1936年)

途中駅(1936年~2003年)

終着駅(2003年~2017年)

途中駅(2017年~)
と終着駅と途中駅を2度も経験している珍しい駅。

駅舎は2面2線の相対駅だが、2016年のホーム改良前は頭端式+島式の複合型2面3線+側線1線で、当時の3番乗り場のみ三段峡方面へ線路が繋がっていた。
ホーム改良時に側線が改良されて2番乗り場が増設され、旧3番線は現1番線になり、行き止まり2線は廃止された。

  • JR-B15 河戸帆待川
2017年3月4日の延伸と同時に開業。
なお、旧河戸駅はこの先0.5km進んだところにあった。

  • JR-B16 あき亀山
終着駅。
近くには広島市立北部医療センター安佐市民病院が移転開業した。

廃線区間

  • 河戸
駅にあった待合室はあき亀山駅近くの神社に移設された。

  • 安芸亀山
現在の駅とは同じ亀山地区ながら5㎞も離れているため、駅名が平仮名となった。

  • 小河内
特定都区市内の「広島市内」はここまで。といっても何もない。

  • 加計
非電化区間の途中駅では唯一の有人駅で、当駅で運行系統が原則分断されていた。
近くの車庫には当線を走っていたキハ28が保存されている。

  • 三段峡
終着駅。
開業当初はハイキング観光向けの臨時列車が運行されるなど人気を博したが、平日はまるで閑散としていたという。
現在は車止めのモニュメントが設置されている。
駅前にはC11が保存されていたが、廃駅後は府中町のイオンモールに移動している。



追記・修正は、可部線の廃線区間に行ったことのある人にお願いします。

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