国民種族昇華主義(ナレーンテァトー主義)とは、ナレーンテァトー連邦帝国における思想潮流の一つであり、悲劇の元凶となる種族や民族という想像力の産物を、国民種族という新たな概念へと統合することで、想像力による悲劇を未然に防ごうという思想である。
ナショナリズムの一種であり、ポスト・ヒューマニズムの一種と言われることもある。理論的には大宇宙加盟前後に確立し、それ以来ナレーンテァトー連邦帝国における、種族政策に対するイデオロギーとなった。


概要

▲国民種族昇華主義について説明した画像。なお必ずしも種族のアイデンティティーを否定しない。

まずマウサナ文明の用語においては、猿と猫など生物学的な種のことを「種族」と呼び、日本や中国など文化的・言語的に形成される集団のことを「民族」と呼ぶ。
国民種族昇華主義においては、マウサナ人アンドロイド、その他の種族などそれぞれの「種族」としての概念の上位に、「国民種族」という全ての国民が加入する上位概念を形成する。
種族それぞれに異なった政策を行い異なったアイデンティティーを持たせることは、国民の分断に繋がるリスクがある。
しかし国民種族昇華主義においては、種族の上位概念である国民種族に対して画一的な政策を行い、種族のアイデンティティーを統合することによって、国民の団結力が高まると考えられている。

理論

種族という概念は想像の産物

国民種族昇華主義においては、まず前提として「マウサナ人は唯一無二な生き物であるという考え」と「マウサナ人とアンドロイドは異なるものであるという考え」の両方を否定し、よってマウサナ人の権利は、他の種族の権利やアンドロイドの権利と同じスペクトルに存在するとされる。
国民種族昇華主義による解釈では、様々な種族やアンドロイドにおいては、その物質よりもそれに宿る情報が本質であり、意識はその情報によって形成され、肉体であるマウサナ人と機械であるアンドロイドの間には本質的な違いや絶対的な境界線はないとしている。
つまり、種族や民族、アンドロイドといった区別は、「生物学的・物質的な差異(これらは本質ではない)」によって連想された「想像による産物」に過ぎず、実際のところ種族や民族、アンドロイドは全て同じような存在であるため、そうした想像による産物に従って彼らを区別したり差別したりするのは無意味な行為であると捉えられる。

「想像による自然状態」の回避

想像による産物である種族や民族に応じて区別や差別を行う体制からは、「想像による自然状態」が生じる。生物の本能においては本質を見ることが出来ず、想像による産物に従って行動してしまうことにより、排他的な行動を行い、想像による自然状態となる。
つまり想像による自然状態とは、種族により別れて武装し資源を巡って合い争い、強き種族は弱き種族のリソースを奪い、そして弱き種族は奴隷として強者の資源となるか滅びて退場するという、弱肉強食の世界観である。
国民種族昇華主義においては、理性を持つ種族の使命は「本質たる情報の共通」に気付き、このような想像による自然状態を回避し、殴るか殴られるかの国際秩序ではなく、互いに手を取り合う国際秩序を構築することにある。

種族普遍的国民国家の提唱

国民種族昇華主義では、民族・種族的国民国家に続く新たな概念としての種族普遍的国民国家を提唱する。これは想像力ではなく本質たる情報の共通に立脚した国民国家であり、構成員は種族に関わらず国民としての共通のアイデンティティーを有する。
国民種族というのは想像による産物であるが、全てが本質的に同じ存在であるという真理を最もよく表している。種族や民族、アンドロイドといった想像による産物を全て、国民種族という新しい概念で上書きすることで、国家の構成員は「想像による自然状態」から脱却することができ、ひいては国家の安寧に直結するのである。

歴史

国民種族昇華主義の前身となる理論は、古代、サーナワン暦23世紀に神権政治の不正を暴露し立憲君主制を呼びかけた「イズナムア」という偉人によって提唱された。
イズナムアは、神権政治に対する挑戦状と言われる「30ヶ条の誓約書」と呼ばれる文章の中で、「全ての人が神の前で平等であるにも関わらず、民族で人々を区別し差別するのは悪しき神権政治の失策である。我々は民族差別を廃して全ての人を平等に扱うべきだ 。」と述べている。
イズナムアによれば、民族という区別そのものが差別に繋がり、そして悲劇に繋がりうるとして、民族という概念よりも神の前の平等に立ち返り、人々の団結力を高めるべきであるといい、これは国民種族昇華主義に繋がる考え方である。

かなり後年になって、第一次惑星マウサナ大戦の終結後に設立された国際組織「世界連盟」による「ケーポノ・プロトコル」によれば、「世界連盟は、ユトー人やソノトー人といった人種的概念から脱却し、惑星マウサナに住むマウサナ人としての共通意識を育むことに全力を尽くし、あらゆる人種的・民族的差別の根絶を目指す。そのためには、そもそもユトー人とソノトー人という区別を無くし制度上平等に扱い、新たなアイデンティティーを構築する」としている。

しかしケーポノ・プロトコルは数世紀後に発生した第二次惑星マウサナ大戦の惨劇を防止することが出来なかった。そこでハーメノー暦2世紀の思想家、「ムプカナイのラネー」は、肉体であるマウサナ人と機械であるアンドロイドの間には本質的な違いや絶対的な境界線はないとする「ポスト・マウサナ人思想」を提唱している。しかしアンドロイドに対する完全な権利保証はまだ先の話であった。

シンテーア暦1697年のネーロアール事件においてピマオール星系の前FTL文明を保護国化した際に、ネーロアートーの扱いに関する議論が巻き起こった。これに対して思想家「ザーレヤのオユリ」が提唱したのが国民種族昇華主義であり、マウサナ人とネーロアー人の上位概念としてナレーンテァ人という概念が作られた。
大宇宙への加盟によって様々な種族が来るようになると、国民種族昇華主義が政策に採用され、あらゆる種族に対して画一的な政策が行われた。しかしアンドロイドに関しては完全ではなかった。
そこで、アンドロイドの人権獲得に大きく貢献した思想家「ソーレクポーのミリーテルー」は、かつてのポスト・マウサナ人思想を引用して国民種族昇華主義に取り入れ、「マウサナ人とアンドロイドは異なるものであるという考え」を否定し、ついに国民種族昇華主義が完成し、エーンヤイッア民主主義と並ぶナレーンテァトー連邦帝国のイデオロギーとなったのである。

他の思想との関係

刻印主義

国民種族昇華主義は、刻印主義を「種族を分断して想像による自然状態を誘発する」として明確に否定している。特に刻印主義を利用して獣人やアンドロイドを弾圧したラヴィル政権は批判に晒された。
しかし、そもそもマウサナ人は理系寄りの気風の種族であり哲学の分野はあまり強くないことや、マウサナの哲学界がファルトクノアの思想に疎いこともあって的外れな批判を行ってしまう者も多く、ファルトクノアの哲学界からはあまり相手にされていない(むしろ研究対象として捉えられている?)のが現状である。

ホーラトー主義

ホーラトー主義とは、サーナ教の神学に立脚した、「愛、理性、信仰」の3つの条件を満たす存在には人権を認めなければならないという思想である。
ホーラトー主義の立場においてはアンドロイドはホーラトーに分類され、人権を認めるべきであるとしている。ホーラトー主義は国民種族昇華主義とは別の観点からあらゆる種族の平等を説いているため、関係は良好である。

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最終更新:2023年08月29日 23:24