教圏

トリヴィクラマ



事象地平戦線アーディティヤに登場する国家。
正式名称は「トリヴィクラマ崇光教圏」で、作中では単に“教圏”と呼ばれる。

「天国の創造」を目指す巨大宇宙国家。第四劫暦において宇宙の覇権を争う三大国家(三界一如(トリムルティ))の一つ。
連邦(ブラーフマナ)帝国(シャイヴァ)とは三竦みの関係にある。

国状

既得権益の権化じみた宗教国家。
国家元首は法王(教皇)。しかし現在の教圏は枢機卿の一人ヴィヴァス・ヴァット・ヴァイシュナヴァが事実上支配している。
三界一如の源流。故に各国の内部には今も深く根を張っているため諜報面では頭一つ抜ける(連邦アートマン家の本家本元)。

不死になった理由を説く宗教を信仰する。
他二国家と違い不死の呪いをどうこうするのではなく、どうして世界がそのようになったのかという理由に固執している。
ここは地獄が溢れた世界。不死は人の悪行に対する天罰であるとするのが基本思想。
この教義に反するような真実があれば困るため、教圏は始まりの地へ先に至ることで世界の秘密を独占し、自分たちに都合のいい形に撹拌しようとする。

強かさにおいては一日の長があり、教義に反する様な欲望を正当化するためにも虚実織り混ぜ口実を作るなど単純な戦力以外でも一筋縄ではいかない。権威を維持するために救いを成そうとする姿勢は手段と目的の逆転で、死も不死も道具。自らを輝かせるのに必要なら平然と両立させる。
宗教というものは人種や国家を超えるものであるため、この国の諜報網・騎士団を欺くのは不可能。

胸に拳を当てるのが教圏式の敬礼。

第四劫暦元年、人類社会の統合によって生まれた現存する最古の国家。連邦が誕生するまで星霊大祭を主導してきた立場であるため、第四劫暦の文化風俗の大半は教圏が決めたルールが下地になっている。
三界一如の源流として、過去を軽んじる真似ができない古典主義。こうした教圏の特徴は他のすべてにも言える通り、長所であり短所でもある。

宗教

教祖はスダルシャナ・ヴァイシュナヴァ。
彼は不死者(アムリタ)の世界についてこう説いた。「ここは過去の悪行が限度を超えた果てに、地獄が溢れた世界」「救われるためには剣を置き、我欲を捨てて、痛みに耐えながらも愛を抱いて生きねばならぬ」。
壊し壊されの戦乱だった第三劫暦において非戦を謳った教義。つまりは、「地獄の世界はこれまでの悪行の天罰だから、罰を受け入れて許されるまで待とう。信じ続けていれば神は世界を以前の姿にお戻しくださる」ということ。

伏して待ち続けるのが唯一の道と謳っているので、劫波の告げる「始まりの地に至れば真実がわかる」という事実は教圏にとって認め難いものであった。

“天国の創造”が基本理念。
天国とは善き行いの果てに善き死を迎えた後に招かれる善き世界のことで、そこで永遠の幸せを甘受するのが救済。教圏は他国の源流なので、連邦の真なる不死と帝国の正しい死の何方も内包した理念であり、他の二国は分化した亜流というのがヴァイクンタの民の認識。
そして天国に召されるのは教義に忠実な者だけ。

歴史

第三劫暦の末期、後の教圏の教祖スダルシャナが前述の宗教を説く。それ自体は以前までの歴史でも特に珍しい思想というわけでもなく、かつてより敗北主義者の戯言として相手にされることはなかった。
しかし第三劫暦においては壊し合いを望んでいた者が多かったため信者はその争いに巻き込まれることが少なかったこと、技術は頭打ちで本当は誰もが訪れない救いに疲れ果てていたことで宗教という別の方法に縋るようになったことからこの考えは残り、広がっていく。
第三劫暦にて聖騎士イクシュバークの活躍で乱立した国家が多数倒れたことで、人類社会が統合。戦乱は終結し、その教えの下で平和な時代が始まった。壊葬の文化が広く確立されたのもこの時期。

しかしスダルシャナが壊者となってから200年経った頃には富を求める様になり堕落、その体制に反発する者と押さえつけようとする者との間で戦乱が勃発する。

第四劫暦396年、司祭ダクシャが人工知能“劫波”を製造。401年には『始まりの地』の存在が発覚し、教義を崩す様な現実から教圏とダクシャは対立。その戦争の結果は領土を大幅に奪い取って連邦を建国したダクシャとその九支族の勝利と言えるが、教圏側も劫波の製造技術を盗み取ることで、自国の劫波を生み出して信徒にスダルシャナの再臨が成されたと嘯き始まりの地を目指す言い訳を得るなどの成果を得ている。
この頃から劫波のテクノロジーを基盤としてイクシュバークの機械人形を製造し始める。

800年頃には、連邦の地方戦線を完全に任されていた軍人カイラスと水面下で接触。カイラスがシャンカラ家の所領を強襲するのと同時に侵攻を開始し、連邦の領土を3割削り取った。
しかし7年後には覚醒した連邦の反逆に合い、ダクシャの怒りを買った帝国とは違い手を引き、戦線の整理に入った。

1185年のルドリヤ戦役においては、ルドリヤに聖騎士団を差し向けるが壊滅し、異端審問局すらルドリヤ戦群の前に敗れる。

関連組織

  • 異端審問局
局長はヴィヴァス。イクシュバークはこの組織に所属する僧兵。ナーサティヤ/バイシャジャもこの組織の聖務執行官。
名前から教圏の教義に従わない者達を撃滅するための軍隊なのだろう。教圏の最高戦力。

  • 国務聖省
長官はヴィヴァス。詳細は不明。
名前から内政の任務(あるいは外交も含めて)を幅広く担当する部署なのだろう。

  • 騎士団
ヴィヴァスの部下の総称。前述の通り諜報においては頭抜けている。アートマン家の力でも圏のスパイの撲滅は不可能。加えて騎士団には異端審問局も含まれるため武力面でも強大。
13年前にはルドリヤに聖騎士団が送られているがヴィヴァスの部下としての騎士団との関係は不明。

  • 教理省
不明。60年前にサンマナスヤ寺院を社会実験として観察対象にすることを決定したのはここ。

教圏の辺境惑星でごく限定的な範囲で活動していたカルト教団。反出生主義を極右化した思想を持っており、子作りを最大の禁忌としている。
元々子供の頃のナーサティヤが所属していたがバイシャジャによって壊滅した。

関連人物

  • スダルシャナ・ヴァイシュナヴァ
トリヴィクラマの宗教の教祖。ヴィヴァスの先祖。
スダルシャナは聖人の類と呼べる男で、その言動は慈愛に満ちていたという。

教圏で信奉される古い英雄。現在は彼の人格と技術を再現した人工のイクシュバークが製造されている。

関連の土地・

  • 聖都ヴァイクンタ
教圏の中枢。都市全体が秀麗を極めた芸術品になっている。

  • カウストゥバ
人類の始祖の一つラトナ族の母星。とうの昔に資源は食い尽くされているが、近年劫波結集の地として再開発が進められている。
撹拌が起きた時代には無線通信が誕生し、当地の歴史上最大規模の血が流れた。


備考

トリヴィクラマとは「リグ・ヴェーダ」の複数の賛歌で語られる維持神ヴィシュヌにまつわる神話のこと。
様々なヒンドゥー寺院でトリヴィクラマ(三界を3歩で跨ぐ者)をテーマにした偶像を見ることができる。


関連項目



  • ティピカル悪の宗教国家って感じなんだろうけども「聖なる騎士たちで異教徒殲滅だ!信徒の方はお布施お願いします」みたいな感じだろうか -- 名無しさん (2022-06-06 10:27:49)
  • 連邦も帝国も元は教圏の領地だから、どこの国にも信徒いる可能性あるからなぁ。ダクシャも元司教の1人だったり、恐らく裏切り嫌いも教圏由来っぽく思うんだよなぁ。 -- 名無しさん (2022-06-06 19:48:45)
  • ↑↑『寄進が推奨されています。』『推奨とはすなわち強制です。』 -- 名無しさん (2022-06-06 21:30:53)
  • トリヴィクラマって世界を支配するアスラ王から三歩分の土地(全世界)を強奪した神話だっけ -- 名無しさん (2022-06-10 18:16:10)
  • マハーバリさんが出てくる話だったか -- 名無しさん (2022-06-14 14:12:14)
  • 割と異端の人も戦力として使う感じだが、ヴィヴァスの意向がそういう感じという事なのかね -- 名無しさん (2022-06-20 12:01:31)
  • 使い潰すのに丁度いいぐらいの認識だと思う -- 名無しさん (2022-06-20 12:08:55)
  • いや救おうとしてくるって下りや性格と立場見るとヴィヴァスの相方っぽくもあるから、使い潰すとかの意識ないやろ。ローカパーラに選出するくらいだから、お気に入り且つかなり教圏内でも強い奴なんやろ -- 名無しさん (2022-06-20 20:23:41)
  • インド世界観で宗教国家で既得権の権化となるとカースト制(ヴァルナ・ジャーティ制)社会なのかな。 -- 名無しさん (2022-09-16 23:07:44)
  • アーディティヤが五篇構成で教圏とは出てないし、敵にも味方にもなりえる厄介な立ち位置だからかな? -- 名無しさん (2022-11-26 11:53:37)
  • 立ち位置が独特やからなぁ。最終編で目立つ立ち位置でも分かるし、イクシュバーグやナーサティアも個人武力的なキャラだから、どの編にぶっ込んでも良いしなぁ -- 名無しさん (2022-11-26 14:03:09)
  • 所属してる奴のアヴァターラ、一方的にルールというか自身の優位性を押し付けてくるのばっかりなのお国柄が出てる 「彼を信じるものは裁かれない。信じない者は既に裁かれている」を地でいってる -- 名無しさん (2023-01-27 19:43:35)
  • 神を作ろうとしているという行為が後の神座創造に至るのだと語られてるけど、ナラカの書き換えで怪しくなってきてるよね……どこまでが教圏でどこからナラカなのか -- 名無しさん (2023-08-26 08:43:40)
  • まぁ、神(劫波)だから三国当てはまるし、教圏の目的は謎の独占(昔は別天地を目指すと語られてた気がしたが修正されてた)だからな。神座の思想を塗り替えるって要素は教圏の影響とは語られてたけど、神座創造には3国とも関わるじゃねぇの -- 名無しさん (2023-08-26 11:35:23)
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最終更新:2024年03月19日 08:16
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