人類種

じんるいしゅ


ヒト、人間のこと。
作中世界の宇宙を支配する知的生命体。当然例に漏れず不死者(アムリタ)である。作中で使われる劫暦は人類を中心とした暦である。
人類に分類されない知的生命体を「異星種」と呼称する。

宇宙全体で見ると非常にデリケートな種族であり、人類種が生きることができる環境は極めて限定的。そのため現生人類が生活しているの大半は居住可能環境化(テラフォーミング)されたもの。

作中世界の人類は文明の進歩により古い男女の基礎概念が形骸化しており、女性軍人というのも珍しくない。
絶滅の危機(第二劫暦の反出生主義、第三劫暦の壊し合い)を何度も乗り越えたことで、産めよ増やせよの価値観が原始的に強く残り、子孫を増やす能力が強くなった。肉体的にも精神的にも、容易く子供を作れる。
だが新たな命の誕生に対して幻想に近い憧れを抱き続けているため、技術的に試験管で子供を作れても生理的に忌避されるのでそういったものは滅多に見られない。
また両性具有者は特別視される。生来の不能者はナラカの他に例がない。

人類の異星種との大きな違いは「心」を持っていることだとテルミヌスは考察している。また人間が心に特化していくのに合わせて宇宙も心の力に左右される形に変化していったのだという。故に肉体的強度や技術が上であった異星種相手でも人類は勝利できたのだとされる。

時輪石(カーラ石)は人類が直接使うことで効果が上昇する。

第四劫暦1130年頃から新世代(クリシュナ)と呼ばれる、特殊能力を持つ人類が出現している。

始まりの4種族

第一劫暦において人類が宇宙進出していなかった頃、人類が霊長として統べていたのはの数は28星で、その中でも宇宙進出まで漕ぎ着けたのは4星。この4つの星の4種のヒト科が現生人類の起源である。
第二劫暦1300年代の後半に4つの人類が邂逅し、その汎人類連合が星霊大祭(ローカパーラ)の起源である。種族の違いからいきなり友好関係を築くのは難しかったが、定期的な意見交換の場として会合が成されるようになった。
不死の呪いの秘密を明らかにするために神なる存在を探すこと、その目的を達成するにはそれぞれ独自に動く方が情報収集の効率は良い。ということから「まずは各々が得意なやり方で、宇宙に人類の領域を広げていくこと」という盟約を交わした。

4種族は外見及び得手不得手に僅かながらも差異がある。
繁殖力が図抜けた「アディティ族」、知能に優れる「ダヌ族」、感覚機能に特化する「カーマ族」、戦闘の専門家「ラトナ族」。
第四劫暦においては長い時間を経て混血化が進んで標準がアディティ族のものとなり、純血がいなくなった今でもその特徴を色濃く受け継いでいる家系や、先祖返りをした者も珍しくない(ただし当時そのものの姿を自然な形で残すようなレベルの先祖返りは珍しい)。
また、始祖の特徴を外見に色濃く受け継いでいたからと言って特に差別されるようなことはない。

トリシュラのように2種族以上の特徴を受け継ぐ者もいる。だが彼女のような例は他に殆ど見られない。
哲学などで語られる“完全なヒト”は、始祖4種族の特徴をバランスよく併せ持ち、両性具有であるとされる。

アディティ族(平衡族)

母星はアーディティヤ星(現在はどこの領星でもない)。
普通人種。見た目に特筆すべき点が無い人類種。能力も平均的。
他種族よりも「繁殖能力」は頭抜けていたため、現生人類のスタンダードなタイプになっている。
ミトラヴァルナが該当する。

ダヌ族(長耳族)

母星はダヌワンタリ星(現在は連邦領)。
長耳という特徴を持ち、細身でやや脆弱な傾向の人類種。
他種族よりも「知能」に優れていたため、技術研究・思想哲学・学問全般において様々な礎を築いている。気位が高いため、比較的濃い血を保つ家系が今の時代も幾つか残っている。
サティーシャンキニーが該当する。

カーマ族(有角族)

母星はスラビ星(現在は帝国領)。
能力の象徴として頭部に特殊な器官“角”が生えている人類種。
他種族より異能と呼べるレベルに「感覚機能」に特化しており、宇宙探索で大きな成果を上げた。
カーマ族は超音波や電磁波を捉えるだけに留まらずテレパシーすら可能であり、その機能はアヴァターラにも匹敵する。ただし角を後付けにして後天的なカーマ族になる人物もおり、その能力はアヴァターラと違い科学的に解明されている。
ピナカアビチャリカ(後天的)が該当する。

ラトナ族(巨人族)

母星はカウストゥバ星(現在は教圏領)。
平均して3mほどの身長という類稀なる体躯、それに類する膂力と勇猛さを持つ人類種。
他種族よりも「戦闘」に優れており、燃費の分寿命が短い。第二劫暦の英雄の名にはこの種族が大半を占める。
ドルタラパシュパタが該当する。

人類史の英雄

第四劫暦における英雄達は三界一如を構成する各国(連邦帝国教圏)の項目にて。

  • ドゥルヴァーサス
神話に等しい第一劫暦時代、人類始祖の星スラビ(カーマ族の母星)では大陸間航路が確立された。その航路を真っ先に使ったのがドゥルヴァーサスであり、彼は辿り着いた先で先住民の大虐殺をしている。しかし、万象撹拌により彼と彼の部下は死を失い、不死の呪いに苦しむことになったのだ。ということが神話として今も残されており、これは天罰なのだと解釈される例も多々ある。

  • アディティ
“始祖”の異名を持つ女性。第二劫暦で宇宙進出を果たして人類の礎を築いた四人の指導者の内の一人。
事象地平戦線旗艦・アーディティヤの中枢には劫波で再現されたアディティの人格が組み込まれている。

  • ハリティ
“鬼母”の異名を持つ女性。並外れた精神力の持ち主であったと後世に評価される。第二劫暦で人類がとある異星種の食料として養殖される中、50人もの実子を犠牲にして人類の管理者となり、奇跡的な反逆を成功させた。

  • シュンバ、ニシュンバ
“殺戮者”の異名を持つ兄弟。異星種との戦いの決着をつけた。後世の歴史の認識ではこの2人の仲違いが第三劫暦の始まりであるとされている。


備考

零の時代に人類種が頂点に立ったためか、後の時代においても知的生命体の代表格はヒトである。
第一神座には人類以外にも星霊という上位種族が存在し、人類の中にも殺人鬼という別種がいる。また最盛期の聖王領には種族も言語も異なる者達が結集していた。

現在の人類は始祖の四種族が混じる過程で生まれた言語を公用語としている。
なお毘陀羅鬼霊起法の字面が起屍鬼と似ているということからアーディティヤ世界で使われている言語はサンスクリット語や漢字なのかもしれない。
ちなみにテルミヌスの名前(元ネタはローマ神話の神)は辺境の異民族のもので、光輪界(クワルナフ)は公用語とも異なる言語体系(元ネタはゾロアスター教関連)という設定。

  • 人種名元ネタ
アディティ
アディティはヒンドゥー教の聖典ヴェーダにて見られるアーディティヤ神群を生んだとされる女神。ダクシャの娘

ダヌ
ダヌはインド神話に登場する女性。ダーナヴァというアスラ神族の一派を生んだ。ダクシャの娘。
ダヌヴァンタリというヒンドゥー教の医薬神が存在する。アムリタを運ぶために乳海撹拌の際誕生した。

カーマ
ヒンドゥー教において欲求や欲望を意味する。またインド神話では乳海撹拌で生まれたスラビー(カーマデーヌとも)という牝牛神がいる。

ラトナ
ラトナはサンスクリット語で宝石を意味する。カウストゥバは乳海撹拌の際アムリタが生まれる過程でできた、ヴィシュヌ神が身につける宝石。

  • 人名元ネタ
ドゥルヴァーサス
古代インドの伝説上の聖仙(リシ)の一人。シヴァの一部が生まれ変わった存在。乳海撹拌はドゥルヴァーサスの呪いが原因とされる。

ハリティ
インド神話におけるヤクシニー(夜叉の女性形)の一人。子供を好んで喰らう鬼女としての側面も持つ。鬼子母神の名で知られ、百人あるいは千人の子供がいるという。

シュンバ、ニシュンバ
インド神話のアスラ神族の兄弟。兄のシュンバと弟のニシュンバ。その名は共に殺戮者を意味する。


  • アーディティヤのあらすじにある「魔術や超能力のような幻想は存在してなかった」とは何だったのか・・・おめーのことだよカーマ族 -- 名無しさん (2022-08-12 19:32:53)
  • 連載前は地獄でのたうち回るしかない亡者ぐらいのイメージだったのが、蓋を開けてみれば地獄に住まう悪鬼だったぐらいには強かった人類さん -- 名無しさん (2022-08-12 19:37:25)
  • どっちにしろ地獄で苦しむ世界の在り方を変えられないのは事実なのよね。でもまぁ、確かにこれは第二神座が一番世界法則というかノリが近いわね -- 名無しさん (2022-08-12 20:11:46)
  • 宇宙にまで進出してる技術だから詮無いことだとは思うがやっぱりこの四種族も最初は言語とかバラバラで意思疎通に苦労したりしたのかな -- 名無しさん (2022-08-12 21:56:48)
  • 公用語ってどの種族の用いているのかね。人の基準であるアディティ? -- 名無しさん (2022-08-12 22:07:47)
  • ラトナゴートは名前からしてラトナ族の大物なんだろうか -- 名無しさん (2022-08-13 23:56:50)
  • ラトナゴートがトップクラスの恵体って言われてた特徴とラトナ族の特徴一致するし、先祖返りか皇族の血筋なんじゃねぇの。シャンキニーがダヌ族なあたり、ウグラスラかアビチャリカがカーマ族なんかな?とは思うね -- 名無しさん (2022-08-14 22:35:17)
  • この時代だと、生身で宇宙空間に出るのは自殺行為なのに、第一神座の面々はおそらく?強者限定とは言え当たり前のように宇宙空間で戦うから、そういった意味でも第一神座のほうがましになっているのかね。 -- 名無しさん (2022-09-11 17:10:49)
  • それは『まし』って言えんのか。死ねないだけのただの人間から、宇宙空間で暴れられる怪物になってるとも捉えられるし。まぁ、神座の設定的に、宇宙で戦える奴は『宇宙=生物設』に則って宇宙そのものに近づいていってるから、単純に人種として進化したとはまた違うことやと思うわ -- 名無しさん (2022-09-13 23:32:14)
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最終更新:2025年02月24日 12:26
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