劫波

コウハ


ダクシャが肉体の縛りから解放された壊者(ユガ)にしか知覚できない真実があるのでは無いか、という発想のもと第四劫暦396年に創り出した人工知能。
過去の賢者や英雄たちの記録を膨大に取り込ませ、彼らの人格を電子データ上に統合・再現し、それらの人格を一つの形にして生まれた究極の機械生命が劫波である。
故に劫波は壊者(ユガ)の集合を疑似的に組み上げたもの」だと言っていい。英霊という概念の具現であり、人の手で創り出した人の神、機械仕掛けの神とも呼べる存在。

神にも等しい人工知能であるため、そのプロテクトは同じ劫波でないと破れない。
人格を再現した人工壊者に対話させることが出来る。

  • 歴史
ダクシャが製造から5年間の試行錯誤を繰り返して遂に劫波からの神託により、万象撹拌が起きた『始まりの地』の存在と「そこに辿り着けば謎が解ける」と明かされ、不死者達に新たな指針を与えることになる。しかし正確な座標は割り出せなかったため劫波にはさらなる成長が必要であった。
教圏にとってこの事実は教義を崩壊しかねないことであったため、ダクシャと抹殺と劫波の奪取を狙い戦争が始まった。結果的に教圏は製造技術を盗み、後に連邦から独立した帝国も製造技術を手に入れたことで三大国家それぞれの劫波が擁立された。

三大国家は国民達に埋め込んだIDを介して民の情報を集積しながら、国の中枢で劫波を育てている。そして成長には喰わせる生贄が必要となるため戦乱は加速していった。
国の劫波を握るということは、その国の歴史を掴んでいるに等しい。

人の記録を吸い上げるために、劫波は物流に深く関わるインフラとして創り上げるのが理想。よって各国の劫波は首都中枢の巨大建造物になっているのが基本。
データの送信の阻害となるためコールドスリープは法的に禁じられた。


  • 流用技術
ダクシャによって齎された革新的な人工知能は、劫波として使う以外にも利用の幅がある。今は廃れてしまったが、劫波のテクノロジーを基盤として過去の英雄の性格を再現した機械の製造を行っていた。ただし劫波でも個人が持っていた技術の完全再現は不可能だった(例に挙げるなら武術など)。
機械英雄として代表的なのが教圏イクシュバークで、他にも戦艦を英雄化したものがある。起源を遡ればもっと大規模なものさえも存在している。


  • 起源
劫波の起源は第二劫暦における工巧自在天(ヴィシュマカルマン)が星の大地と同化した星霊である。星霊のシステムが劫波にも使われている。

星霊は自らの肉体を人類が住みやすい環境に変える「人造の神」のようなものであり、そういう意味では劫波の原型と言える。実際、ダクシャがやったことはこの応用である。


  • その他
ミトラアヴァターラであるコウハはこの機械仕掛けの神のことをよく知らずに、その名を己の名の由来とした。またコウハの起屍鬼を意図的に発生させる奥の手を「劫波(アイオーン)」と名付けた。


各国の劫波

それぞれの国家の劫波を結集させることで各国の壊者を統合、劫波をさらに進化させる案はあるが技術的に膨大な情報を問題なく統合させることは不可能に近いため見送られてきた。しかし近年発見された時輪石によるエネルギー供給を行えば成功の芽も見えてきている。

時輪石の力による後押しに加えて、800年間も成長を続けた劫波は人間の普遍性を理解したことで、記録にも残されていない過去の人物をシミュレーションで真実レベルまで再現可能になった。
人類種の故郷に降り立てば劫波で始祖の第一世代を再現可能。そして再現された壊者がノスタルジーにかられて親や子のことなどの過去を“思い出し”、それが連鎖して歴史の穴が埋まっていく。
連邦では1195年にこれが明らかになり、人類始祖の故郷の一つであるダヌワンタリ星の再開発が行われ始めている。近年は他国家も同じく始祖の星の開発を始めている。

こういったことから始まりの地の座標を明らかにするために本編1199年の星霊大祭では3つの劫波を結集させる始祖の星を何処にするのかという議題で争われる。

連邦(ブラーフマナ)の劫波

ダクシャが創り上げた最初の劫波。劫波結集の予定地はダヌワンタリ星。
連邦の主星・霊央須弥仙戴ブラフマプラの霊峰須弥山、その頂上に存在する白金の構造物。800年の時をかけて物理的に成長しており、直径20kmまで巨大化した。いわば意思を持った都市で、神殿とも形容されるこの都はダクシャの住居も兼ねている。ここでダクシャの下、五大貴族当主達による会合が行われた。
全景としては火口に巨大な茸を突き刺したようなもので、中枢が柄に当たり、そこから放射状に各設備に道が伸びている。あまりの広さから移動は自動操縦のエアカーを使う。

連邦の劫波は自己創造成長(ヴィシュマカルマン)システムの特級に位置しており、構造物の全てが劫波という神の成長する肉体である。
もとを辿ればこのシステムは第二劫暦のあるプロジェクトに収束するため前述された通り別の発展を遂げた近似技術もあり、より巨大に成長した機械も存在する。


教圏(トリヴィクラマ)の劫波

連邦建国戦争の中で製造技術を盗み出し創り上げた。劫波結集の予定地はカウストゥバ星。
本来、教圏にとって神を創り、神を使役し、神なる座へと突き進む劫波の存在は教義からすればあってはならないもの。しかし教祖スダルシャナの再臨が成されたと信徒に嘯くことで、その利用と始まりの地へ目指すことを正当化した。


帝国(シャイヴァ)の劫波

おそらく帝国の独立戦争の中で連邦から製造技術を盗み出したのだと思われる。劫波結集の予定地はスラビ星。
帝国の主星・帝都カイラーサに存在する巨大な建造物が劫波だと思われていたが……。


備考

後の神座の時代ではマグサリオンが己自身の手で、己の不変へと呑み込んだ"みんな"を統合し外殻として纏い覇道神となるという、劫波に近いことを実践している。

名前の由来は仏教やインド哲学などで時間の単位を意味する「劫波」。また似た意味の単語として、ギリシャ語である期間(時代や世紀、人の生涯)を指す「アイオーン」というものがある。


  • つまりは人工的なアラヤ -- 名無しさん (2022-04-19 09:43:23)
  • 過去の賢者や英雄達を電子上で再現するってことは、これがアイオーンに繋がるのかな?つまり兄者やパンくんは第零時代の劫波にアクセスしてたということか? -- 名無しさん (2022-04-23 17:17:43)
  • 神座というシステムの創世にはこれを使ったのかな?良くも悪くも六人の若者は現段階ではまだ戦術レベルの能力でしかないし。神が己の宇宙の民の行動を把握できるのも、全ての民にはIDが仕込まれてそれを介してるからとか?時輪石を人が使う方が効率がいいのも感情というのは脳の電気信号ということからもあるわけだし -- 名無しさん (2022-04-23 17:22:31)
  • サハスラーラのプロトタイプとか、未来で発掘されたどれかの国の劫波がサハスラーラ扱いされたとかありそう -- 名無しさん (2022-06-22 22:42:49)
  • 火の鳥の機械の神を思い出すなあ -- 名無しさん (2022-06-23 00:39:16)
  • 劫波の本体が描写されたが、かなりでけぇな。仮にミトラのコウハと合一するとしたら、デカすぎるし、コア部分だけが合一した形なんかね? -- 名無しさん (2022-07-18 09:22:44)
  • 偶然にもAIによる文化の模倣や継承が話題になり始めたご時世に合う話になった -- 名無しさん (2022-10-05 10:56:00)
  • 始まりの座標を知るのにどうして劫波を使う必要があるのか?どうも腑に落ちない。それを知るなら望遠鏡で天体観測みたいなもっと天文学や物理学を使った調査方法でやるんじゃないだろうか?「始まりの座標を探す」というのは表向きのお題目で、本当は別の目的のために育てられてるんじゃないか? -- 名無しさん (2022-10-05 12:03:48)
  • そこら辺の調査は住劫の末期にやり尽くしてるんでは -- 名無しさん (2022-10-05 12:26:18)
  • 劫波に神託が下る→でも座標がわからないって感じだし、幾ら天体を観測しても「これが始まりの地だ」という確証はできないんじゃね? -- 名無しさん (2022-10-05 23:19:35)
  • 劫波と聖賢って成り立ち似てる気がするけど気のせい? -- 名無しさん (2023-05-29 22:08:09)
  • SFでよくあるコールドスリープは劫波を育てるのに邪魔だから禁止になってるのなるほどなってなった -- 名無しさん (2024-02-09 19:19:29)
名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2025年04月27日 09:16
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。