こがたじゅんしせん いなさ
概要
180トン型巡視船 PS01「みはし」型
領海警備を考慮して建造された、高速の180トン型巡視船。
従来の小型巡視船が、排水型の船で有ったのに対し、滑走型の船型の斬新な高速艇スタイルとなっている。
在来型より7ktも高速な35ktと、
海上保安庁最高速の部類に入っていた。
この高速性は1985年に発生した「日向灘不審船事案」の教訓により整備された。
というか海保はこれ以前にもちょいちょい不審船追跡するも有りえん高速性に逃げられてたりする。
だからこそ高速型巡視船の製造に踏み切ったわけで。
1985年4月25日(宮崎県日南市鵜戸埼沖)
県取締船が宮崎県日南市鵜戸埼沖約11.2海里(約20km)の日向灘にて漁船型の不審船を発見、通報を受けた巡視船・航空機により追跡するも停船命令に応じず逃走。
当初本船には13mm単装機銃が装備されていたが、M61バルカンこと20mm多銃身機関砲に換装。
九州南西海域工作船事件においてその正確な射撃は、暗視装置による画像と共にニュースで生々しい映像が全国放送されていた。
この射撃は遠隔操作型RFS(Remort Firing System)によるものであり、乗員の安全性と射撃精度が向上している。
自衛隊でも掃海艦なんかが使ってる。
ネームシップの「みはし」は、配属先変更により、船名を「あきよし」更に「しんざん」に変更している。
これは本型だけではなく、一部
しきしま型みたいな例外もあるが大体の巡視船が異動すると名前も変わり、上のしんざんも退役後に再誕している。受け継がれる名前と言ったところか。
なお「みずき」は2010年の尖閣諸島中国漁船衝突事件にも従事しており、2012年7月には魚釣島の領海を侵犯した台湾の海巡署の巡視船と衝突している。こっちも話題が多い武勲船であるがまた今度。
今回はしんざん型が中心というわけで、大きく関わった九州南西海域不審船事案について解説しよう。
2001年12月22日 鹿児島県奄美大島の北西沖で不審船が発見され、海上保安庁および海上自衛隊が出動。
午後、巡視船「いなさ」「みずき」が警告射撃の後船体射撃を行った。
海上保安庁の巡視船による船体射撃は、1953年8月のソ連の情報収集船への射撃以来である。
政府は、当面、海上自衛隊による海上警備行動の発動はないとしているが、防衛庁(現防衛省)では、護衛艦「DDG-173
こんごう」「DD-152 旧TV-3515
やまぎり」を現場海域へ出動させた。
鹿児島県奄美大島近海は「PS-04 きりしま」の担当である第十管区の担当なのだが、「PS-03いなさ」は上記の通り当時は共に第七管区の海上保安本部です。(みずきは現在第十一管区に異動)
これは米軍偵察衛星による情報で海上自衛隊の
P-3C対潜哨戒機が確認し、海上保安庁が急行したからである。
詳細な出動船舶及び航空機は不明だが、第十及び十一管区の稼働船艇及び航空機が出動しており、第七及び第八管区は警戒態勢であった。
総数実に巡視船艇24隻の航空機14機。
更に護衛艦二隻と、更に更にSBU(海上自衛隊特別警備隊)も出動待機状態であった。
同日6時20分、海保航空機が発見。12時48分「いなさ」が視認。20分後に「漁業法励行」のための国旗を掲揚していない不審船に対して航空機と巡視船から最初の停船命令が発せられた。が、無視。
続いて拡声器と無線で多言語、旗旒信号、発光信号、音響信号、発煙筒と何パターンもの停戦命令。が、やはり無視。
14時15分。縄野海上保安庁長官(当時)は、船体を狙った射撃も含めた威嚇射撃を許可。
能登半島沖不審船事件で法改正されて危害射撃が可能になっていたのだ。
このあたりで「漁業法違反容疑(立ち入り検査忌避)」成立。停船しないと撃つと多種警告。 が、これも無視。
14時36分、20mm機関砲にて不審船の上や付近の海面などを威嚇射撃。45分間断続的に五回。
このあたりでようやく反応するも、停船ではなく中国の国旗である五星紅旗(と思われる赤い布)を振るだけ。
15時頃に排他的経済水域の日中中間線を超えて更に西へ。
一応許可は出てました。撃っていいよと。
が、そこは日本。本当にこれ撃って良いのか海保はとてもとても難しい判断に迫られてました。
中国の国旗振られてたわけだし。日本の領海外のEEZ行っちゃってたし。
だが、本船は改修を受けていた。RFS搭載機関砲である。
これだったら船体だけを狙い、乗員に危害を加えず射撃する事が可能。 だからこそ許可が降りていたのだ。
16時13分。「いなさ」船体射撃開始。もちろん事前警告有り。
狙いは艦尾の機関の破壊。 だが不審船、命中するもこれをスルー。
なおこの船体射撃は実に海保としては48年ぶりである。
16時30分。「みずき」到着。
本船に搭載されていた赤外線映像によって、なんか主機関が船尾じゃなくて前部の船倉に搭載されていたことが判明。(上陸用舟艇が搭載されててこれを隠すためだった。漁船にこんなもんいらん)
16時58分。「みずき」から船首を撃つと事前警告の上で射撃。甲板にあったドラム缶に引火し火災発生。
17時24分。ようやく停船するも、やってることは消火活動。30分後逃走再開。
この時なにか投棄。多分暗号の乱数表とか違法薬物の類と思われるが回収できず。諦めが見え始めるもしつこい。
なんでここで強行突入しなかったと思うだろうが、この時つがる型巡視船の2番船「PLH-03 おおすみ」がSST(海上保安庁特殊警備隊)を乗船させて急行中で、この到着を待っていたからである。
21時、船体射撃を「みずき」より再開するも、弾薬切れにより離脱。
21時35分に再度停船。 が2分後再逃走。
この時、10km先には無関係な漁船群が居て、不審船ここに紛れ込む気であった。
もうSST待ってられないので現場の戦力でなんとかする必要が生じる。
22時00分。「いなさ」監視。右から「あまみ」、左から「きりしま」がサーチライト照射とともに挟撃。
自動小銃を携行し強行接舷を試みる。
が、流石にやばいと思ったのか反撃。軽機関銃による銃撃を受ける。
消灯して退避して正当防衛射撃するも、不審船よりRPG-7(対戦車ロケット弾)が二発も飛んでくる。
内一発が「あまみ」のすぐ上を通過しており場合によっては撃沈されていたかもしれない。
というのも「あまみ」はアルミニウム合金構造で防弾装甲の類はなく、100発以上受けて3名負傷している。(2名という資料もある)
「いなさ」と「きりしま」も被弾。こちらは防弾処理されているが、全面ではないしこっちもアルミニウム合金である。。
おかげで三隻中二隻が主機を一部破壊されている。
22時13分、自爆轟沈。よりにもよって中国のEEZで。
こいつ、沈む直前に「党よ、この子は永遠にあなたの忠臣になろう」「万歳」といった無線発してる。
反省としては色々有るが、筆者としては榴弾装備しておけばよかったな―という感じだと思ってる。
で、この船の引き上げなんだが、一部の議員やらメディアやらが北朝鮮や中国に配慮しろーとか言い出す。
これを小泉純一郎政権が断行。
でも海保としても深度90mのところに沈んだやつ引き上げてどうするのよとか、よりにもよって台風が来てたりして反対意見が出るが、捜査ということで引き上げる。中国で沈まれたので1億5千万円も払って。
これで北朝鮮の工作船の弱点が判明してるので色々とメリットは大きい。
事件後とかも有るんだが船の話なのでこのへんで。
海の安全を守って30年。
日本中を驚かせた不審船事件。このとき活躍した巡視船「いなさ」が老朽化に伴い、2020年6月19日にその役目を終えました。
交代したのは「巡視艇やえぐも」。
約30年にわたり密輸など海上犯罪の取り締まりや海難救助など海の安全を守ってきた船である。
1年ちょっとで100回も故障し、雨漏りもするなど晩年は大変な状態だったらしいです。
本船は実に海上保安庁で48年ぶりの船体射撃を行った、封印を解いたとも言える巡視船であり、巡視船の大型化、高速化へのさらなる進化へのきっかけを作った船でもあった。
これ以降に建造された巡視船は小回りも効くようになってゆく。
30年もの間、お疲れさまでした。
本作登場枠としては、二番目の引退となる。
作中での活躍
軍祭の最中、急遽襲撃してきた
パーパルディア皇国監査軍所属の
ワイバーンロードのうち10騎が本船に火炎弾を斉射するが、被弾を後部の一か所だけに抑え他全てを躱す。尚、狙われた理由は「白くて目立つから」であった。
(護衛艦のほうがデカくて目立つ気がするのは気のせい)ひゅうが(全長197m)も居たのに
対不審船用の機銃によってワイバーンロードを1騎撃墜する。他9騎は「
みょうこう」以下
第3護衛隊群の砲撃によって消滅。
本船の攻撃のみ砲ではなく機銃であったため、本船によって撃墜された竜騎士
レクマイアは生き残り救助され日本に捕虜として逮捕、事情聴取を受けることになった。
だが本船は上記の被弾が原因となりエンジン故障。
水深の都合で護衛艦に曳航してもらうことが出来ず、他国の港で自爆させることも置いていくことも出来ない為、護衛艦「
みょうこう」は
日本国と
パーパルディア皇国の初の艦隊戦をすることとなる。
その後について作中で言及はないが、事態が収束した後で日本に曳航されていったと思われる。
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〔最終更新日:2021年03月20日〕
最終更新:2021年03月20日 06:06