ここでは車軸受けについて解説します。その他のベアリング*1についてはベアリングローラーの種類を参照してください。


滑り軸受け

ボールベアリングやローラーベアリングではない、中実(中空の逆。ムクとも)の単純な軸受けです。
全体的に、磨耗を防ぐためのグリスが必須。

ハトメ

グリス○

皆さんご存知キット付属のハトメ。
当然、高性能なベアリングの方が速くできますが、ノンベアルールではこれを選別したり、筒状になってる部分をカットして接触面を減らすなど、自分で加工すればちょっと速くなる可能性がありますが、手先の器用さなどそれなりの技術が必要です。
プラリングに接着してあげれば、ブレが少なくなります。
金属としては柔らかい真ちゅう製なので寿命は短いです。
元々軸受として作られている物じゃありませんから仕方ないですね。

メタル軸受け

グリス○

AOパーツで、620には敵わないもののなかなかの精度を持ち、さらに1セット100円という低価格。
しかし真ちゅう製であるため、寿命は短いです*2


フッソコート620スチールベアリング

グリス○

工具鋼と同じ硬質スチールに、フッ素コートを施した一品。
上記メタル軸受けの高耐久性版のような物です(ボールベアリングではなく、滑り軸受け)。
精度もなかなかに高いです。
カウンターギヤに内蔵するとよく廻るとされます。
フッ素が剥がれやすいので、軸受けで使うのであればグリスは必須です。


POM(低摩擦プラ)

グリス○

AR以降発売の片軸シャーシのキットに5個、MAシャーシのキットに4個付属しているベアリング*3
因みにPOMとはポリオキシメチレンの頭文字です。
摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れている事はあまりにも有名ですが、燃えやすいのが難点。
プラベアリングとしては唯一、ハトメを必要としません。
軽いうえにかなり滑りが良く、メタル軸受けやフッ素コート620よりよく回る。
脱脂した新型620よりも回る(かも)。
※車重が100g前後の軽いマシンであれば新620ボールベアリングといい勝負できるが、以降は重くなればなるほど金属製のベアリングに軍配が上がるようになる。
AOパーツで出て欲しいパーツと言われていたが2020年1月に通常のGUPとして単品発売された(15523:低摩擦プラベアリングセット)
寿命は運用方法にもよるが、真ちゅう製のハトメなどよりは上、スチールよりは下くらい。


玉軸受け

転がり軸受けの一種、玉を使って回転抵抗を軽減させた軸受けです。
潤滑剤は、標準状態ではグリスが使われていますが、それでは粘りがきつすぎてあまり回らないので、脱脂をしてオイルを使ったほうがいいです。


六角&丸穴ボールベアリング

グリス×

2次ブームの頃に購入した人も多いと思いますが、精度は後述のボールベアリングに大きく劣ります。
何せ本体(外輪)は金属の薄板をプレス加工し、それをはめ込みで組み立てているため、この方法では精度は高が知れています。
内部構造も簡易で、本来ボールベアリングにはリテイナーという球の位置(球と球の間隔)を一定に保つための部品が入ってません。球が入ってるだけです。
球同士が擦れると、余計な抵抗が発生する(同じ方向に回転する円や球同士が擦れると、擦れる面が互いに逆方向に動いているため強い摩擦が発生する)上、最悪球同士がかみ込み、軸受け部分(内輪)がロックしてしまうという、転がり軸受けとしてはあってはならない事態に陥る危険性を秘めています。
六角穴でこれらが起きると、駆動系を完全にロックしてしまうため目も当てられません。
そのため、強いて言うなら回らなくても軸受になれる丸穴の方が良いと言われています。
ハトメやメタル軸受けに比べて寿命が長くグリスアップレス化できるのが唯一の利点。


HGベアリング

グリス×

ダンガンレーサー用の軸受け。2個300円なので、一台組むには2袋必要。
値段も六角と大差ないのに、外輪・内輪が削りだしで作られているため精度はこちらの方が遥かに上で、回転も非常に軽くなっています。
また、角穴や丸穴と違って削りだしのため頑丈で、さらにちゃんとリテイナーが入っていて、しかも620のように分厚くないため、ホイールの貫通無しでも使えます。
HGベアリングを選ぶ一番の理由はその薄さにある、と言ってしまっても良いかもしれません。
HG丸穴ボールベアリング登場まではX系シャーシを愛用する人にとっては、垂涎モノの逸品でした。
とは言っても現在は生産停止で入手困難で、定価ではまず手に入らないでしょうし、HG丸穴ベアリングがあればなんとかなるため、わざわざコレを探す理由もなくなりつつあります。


620ベアリング

グリス×

一部片軸シャーシ向けのGUPのセッティングギヤセットに1個入っているほか、AOパーツにてカウンターギヤ向けに販売されています。
620とは、6→外径6mm・2→内径2mm・0は内側の角の数(これは円なので0)を表します。
タミヤ製のミニ四駆軸受け用ボールベアリングでは最も高性能。
AOパーツですが売ってるお店も少なくないので入手し易いです。
ただ精度が良すぎでゆとりがないので、車軸受けにする場合は真っ直ぐなシャフトの選別や、脱脂をしなければ本領を発揮できません。

また、横幅が2.5mmと広く普通にホイールを取り付けると奥まで刺さらず、抜け落ちやすくなってしまいます。
マックスブレイカーTRFタイプのようなオフセットの少ないホイールを使用するか、ホイール軸を1.7~1.8mmくらいのドリルで貫通させ、72mmシャフトを使ってホイールを貫通させるといいでしょう。

2011年末~2012年初頭にかけてマイナーチェンジが行われ、厚みと外周直径(6mm)と内周直系(2mm)は変わらないものの、各部の形状が変更されていて、外見で区別できます。
外輪が薄くなったため、旧型のようにホイールとベアリングの間に挟むワッシャーを絶縁ワッシャーのような極端に小さな部品にしなくとも、部品の取り付けに使う小ワッシャーで代用できるようになっています。
反面、性能は低下したと言われ、どうも原因はゴムシールのようです。
脱脂する前(グリスが入ったまま)慣らしてから脱脂すると、回るようになる固体もあるようですが、それでも回らないモノも多く、そうなると最悪研磨剤慣らしをやらなくてはならなくなります。
皮肉なことに、回転を鈍らせている原因の新型ゴムシールは、大型化した所為で外しやすくなっていて研磨剤慣らしをする場合は有利に働きます・・・

2018年の値上げと共に再びマイチェンし、リテイナーが樹脂製になったとの報告もあり、この変更(リテイナーの樹脂化)によって4個で0.1グラム近く軽くなったとの報告も。
ASINが有効ではありません。

520ベアリング

グリス×

車軸受けとしてはMSシャーシのN-04、T-04の520装着用パーツ使用時にのみ装備可能。
元々はベアリングローラーやMSのカウンターギヤ、N-03・T-03のスパーの両脇に使われていたボールベアリング。


HG 丸穴ボールベアリング

グリス×

2018年12月15日発売。
520の外径を大きくしたような見た目。
(便宜上旧と書く)旧丸穴のような中心部分の遊びがない。
内側の穴が620より大きい。
ガタが出やすいものの、シャフト選定の苦労から解放される、立体レースで走行中にシャフトが多少曲がってもフォローしてくれるとも言える。
厚みも旧丸穴と同じで、クリアランス問題もない。特にX/XXシャーシユーザーにとっては待望のパーツ。
脱脂後の4個の重量が約0.25グラムで、現行620より0.03(0.28g)グラム前後、それ以前の620より0.10(0.37g)グラム前後でかなり軽いとの報告も。
11mmベアリングローラー並みの固いグリスが入っており、大抵の個体はそのままではスムーズな空転は望めない。
元々の性能は十分高いので、脱脂して自分でオイルを入れる、もしくは脱脂したまま使うのが吉。
リテイナーは樹脂製。
状態の良い物は開けポンの時点で脱脂などを施した現行620より優秀との評価もあり。

片軸のギヤベアリングとしては、トルクの細いモーター用は軽いPOM、逆はガタの少なさもあり旧620がそれぞれ優秀で、わざわざ車軸受け以外にもう1セットとまでしなくても良さそうという感じ(万能選手とも器用貧乏とも言える微妙な…)、ダッシュ系のモーターならPOMより相性○、旧620にやや劣る、現行620とは当たり外れでたまにHG丸穴が上?、という塩梅。



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最終更新:2023年02月11日 16:23

*1 ベアリングとは軸受け全体を挿す

*2 軸の内側に細い凸状の輪がありシャフトとの抵抗を減らすのですが、削れるのがとても早いようです

*3 片軸は車軸受け用が4個、カウンター軸受け用が1個。シャフトドライブシャーシのカウンターギヤは実質これがなくても問題ないため、車軸受けの予備とも取れる