ペンタグラムエキスパンション(ストーリー)
ストーリープロローグ
5つの強大な勢力が存在していた…
ハニャン連邦・
ララモ党・
ヴァイラ教・
コンヴァニア財団・
ルアルネ傭兵団 。
世界には小さな火種はあるが、それは燻ぶりとなる程度で、大火にはならなかった。世界は絶妙な力のバランスで成り立っていたからだ。
200年もその不安定な情勢が世界で続いた… しかし、とうとう世界のパワーバランスを崩すものが生み出されてしまった、いや… 発見されたのだ。
「
職人石」または、「
職人の記憶」と呼ばれる宝石だ。その宝石には1000年も前の強大な権力者の力が込められている。それを所有し使いこなせれば、とてつもない力を発現させることが出来る。
最初にそれを発見したのは
ルアルネ傭兵団。浮遊島と言う彼らの拠点で偶然発見されたのだ。
たくさんの「
職人の記憶」が続々と発見されて、それらが戦いに用いられるのには時間はかからなかった。
その力を利用しようと世界中の勢力が動き出した。「
職人の記憶」の奪い合い… 職人戦争である
ストーリー基本設定
ハニャン連邦....
白赤
さまざまな人種(AA)が集う巨大な軍事国家。
優秀な軍師が多く、奇襲や待ち伏せなどの戦術に長けており、さまざまなAAの持つ特性を生かした戦いは負けを知らない。
ララモ党とは同盟関係にあり、資金の援助などをしてもらっている。その代わりに
ララモ党が目指す「平和」の実現に協力している。
「
職人の記憶」を得ることでその強大な力を利用し、更なる発展を目論んでいる。
ララモ党....
白黒
平和を守り国を司る行政。彼らは平和を厭わない… 平和を乱されないようにその危険分子をいち早く排除し世界の混乱を未然に防いできた。
発言力が強く、
ハニャン連邦や
コンヴァニア財団などにもそこそこ影響力がある。
ハニャン連邦とは同盟関係であるが、他勢力を抑制するための表面上の希薄な同盟であり、実際はどちらが先に裏切るかにらみ合いをしている…
コンヴァニア財団の技術に興味を持ち、様々な援助を行いそれらの技術を自分のものにしようとしている
「
職人の記憶」を平和を乱す危険なものとみなし、それらが他勢力に回らないようにして、確固たる平和のために利用しようと考えている。
ヴァイラ教….
緑黒
深い森の奥にある邪宗教団体。死んだものを生き返らせる霊媒を用いてそれらが生み出す混沌を楽しんでいる。信頼という物の脆さを利用して、信者は組織に入り込み裏切りを残していく
「
職人の記憶」の強大な力に魅入られ、それらを用いこの世界を混沌に導こうとしている。
コンヴァニア財団….
青赤
美しさと優雅こそがすべてという独善的な考えを持っている財団。莫大なる財力を有し、彼らはその金で美しい装飾品や石造などを作り上げる。
彼らの財力により生み出された技術で、人という器に入っていた命を別の器に移すことで、それらに特殊な能力をもたらすことが出来る。
金さえ払えば何でもしてくれる
ルアルネ傭兵団とは何度も交流をしており、それなりの親交もある。
世界の誰もが欲しがる「
職人の記憶」。美しくも凶悪なその宝石の所有者は自分達しかいないと考え「
職人の記憶」を手に入れようとしている。
ルアルネ傭兵団….
緑青
浮遊島と言う、海流に乗り世界のいたるところに行くことが出来る巨大な島を拠点に活動する傭兵団。自分のその島に誇りを持っており、ひとたび浮遊島のことを悪く言うと後悔する事になる
その浮遊島にしか住んでいない巨大な獣を操り、動きは遅いもののその巨体から発せられる攻撃は、とてつもない攻撃力と攻撃範囲を持つ。
「
職人の記憶」は浮遊島に安置されるべきものと考え、他勢力にそれらが奪われないように非常に神経質になっている。再三に「職人石」を売却するように圧力をかけて来る
コンヴァニア財団には嫌気が差しているようだ。
登場人物紹介
ストーリー第1章
ヒッキーのように肉親や親友、恋人を失ったもの達は
ヴァイラ教が操る死者をよみがえらせる力でそれらを生き返らせて欲しいと懇願し、信徒となっていったが…
みな首魁オドノの操る狂気でおかしくなり、気が付いたときには信徒達はその自分達の目的など忘れてしまい、身も心も蝕まれてアヒャって行った。
唯一正気が保てていた
ヒッキーはそんな信徒達を見て、まったくもって自分達はオドノにとっての丁度いい駒に過ぎないのだと。いや、玩具に過ぎないのだということに気付いた…
しかしそれを気付いたとしてもどうすることも出来ない… 裏切れば自分が殺されてしまう… 殺される恐怖もそうだが、彼は今だ「死んだ母に会いたい」一心であったからだ。
そんなある日のこと、幹部の方から
ララモ党に潜伏せよという命令が下った… アヒャってない彼は
ララモ党に潜伏させるには丁度いい人材だと判断された。
教団が掲げる「混沌」など自分にとっては何の意味もない。言われるがまま彼は潜伏した
心地よい「平和」…
ヒッキーは
ヴァイラ教に居た時とは違う、見たことも無いような平穏に心を奪われた。
ララモ党の掲げる「平和」は
ヴァイラ教が押し付ける「混沌」とは対なる存在… 素晴らしい「理想」だ。
ヒッキーは
ララモ党が抱える、アルカント教という宗教の信者として潜伏したが、人を生き返らせると甘言をいい人々を混沌に導く
ヴァイラ教。彼はその
ヴァイラ教を捨てるのに時間が立たなかった。
数ヶ月が立ち
ヒッキーは「ギャシャール」という
ララモ党の議員と出会う。自分がこの平和に賛同し、またアルカント教の教えにも賛同したことを伝えると彼女は嬉しそうに話を聞いてくれた。
引きこもりの自分がここまで話せることにも驚いたが、自分をそこまでさせる「平和」の魅力にも驚いたと話す。
礼拝の時間が訪れ、礼拝堂へ戻ろうとした
ヒッキーは彼女に一言こういった「この平和がずっと続くといいね」
彼女のは笑顔で「そうだね」と答えてくれた。そして、
ヒッキーが見えなくなると、彼女はどれにも聞こえないような小さな声で吐き捨てる様にこう言った。
「何も知らないくせに…」
一週間がたち、
ヒッキーは突然、保安官に捕まえられた。
ヒッキーが
ヴァイラ教のスパイであることがばれたのだ。
数ヶ月も
ヴァイラ教団への呼び掛けに答えなかった自分が教団に裏切り者と判断されたのだ。そして、同じように
ララモ党に潜伏している
ヴァイラ教の信徒に
ヒッキーがスパイであることを告発させた。
そして、連れて行かれた取調室で取調べを受けることになる。しかし、奇妙なことにすぐ隣にはギャシャールが座っていた。彼女も同じように何かを尋問されているようであった。
ヴァイラ教について色々聞かれた後、新しく向こうの扉から人が入ってきた。
どうやらギャシャールと知り合いのようで、ギャシャールの目の色が変わったのは一目で
ヒッキーにも分った。
ララモールと名乗った男は、淡々とギャシャールに言った。
「お前には失望した。同期であるから、そして平和に対する確固たる理想を持ったお前に目をかけた結果がこれだ。部下の失敗に責任を取らされる事になったよ。最議員から私の降格が言い渡された。」
何の会話をしているかまるで分らなかった。ギャシャールが何を失敗して、この男は一体何者なのか。何も分らなかった。
ギャシャールは必死に弁解を男に述べるが、まったく聞く耳を持ってもらえなかった。そして、男は一言こういった
「何も君達をどうにかしようとはしないさ… ただ、やってもらいたいことがあってねぇ。「
コンヴァニア財団」をご存知かね?そこへ「援助」へ行って欲しい。」
断ることなど出来ない… 断ればその場で殺されるような気がしたからだ。
ヒッキー達に頷くほか術はなかった。
ヒッキー達はララモールが言う
コンヴァニア財団の「援助」のため、たくさんの人たちが乗る列車へ乗せられた。
乗っている人たちは自分達と同じように、どうやら
コンヴァニア財団の「援助」へ向かっているようだ。ギャシャールはこの人たちが皆、罪を犯した人間だったり、奴隷である事を話す。
自分は
コンヴァニア財団で奴隷のように働かされるのか?と心配になり問いかけるが、知るもんか…、と静かに答える
長い沈黙の後、ギャシャールは突然、
ララモ党の「平和」について話出す。そして、
ヒッキーは
ララモ党の裏の面を知ることになる。
それは「平和」という心地よい響きとはかけ離れた「暴力」であった。
「名も無き者」と呼ばれる暗殺集団を抱えた
ララモ党は「平和の実現」のためという題目でたくさんの人間達を葬ってきた。
中には「平和」のためでなく
ララモ党の幹部の保身の為、または
ララモ党の掲げる「平和」の、その真実を知った罪無き人達をも粛清していたのだ。
そして、自分も「名も無き者」の一人で、「平和」を乱す反乱分子の粛清に失敗したから「罰」を受けるのだとも話した。
ヒッキーは
ララモ党の機密情報を話し出すギャシャールに困惑する。なぜ、今そんな事を話すのか分らなかった。
そんな
ヒッキーは絶望した。またも、絶望したのだ…
ヴァイラ教の甘言に騙され、
ララモ党の「平和」に騙されたのだ。初めて自分の信じるに値すると、感じた素晴らしい「理想」は最悪の「偽善」だったのだ。
ヒッキーは涙が止まらなかった。こんなに泣いたのは母親が死んだとき以来かもしれない… またも騙された自分が悔しくてたまらなかった。
「男の子なんだから、そんなに泣くな… 女の僕だって我慢してるんだぞ。」とギャシャールが言うと、
ヒッキーはその言葉にハッとした。
「君は? 」
「僕だって今は君と同じ境遇なんだぞ。それを… 」
「うん… 」ギャシャールも気丈に振舞っているが不安でたまらないようであった。それなのに自分を励ましてくれるギャシャールに感謝し、その言葉に静かに頷く
「っていうか君は女の人だった…の?」
ヒッキーが言うが早し、彼女からの鉄拳が飛んだ。
鉄拳を喰らい数時間後。列車が止まりそこで下ろされる。
ここは、「黄金の都ムルア」。
コンヴァニア財団の拠点として、光り輝くさまざまな建物や高みを見下ろせる巨大な金色の城。まさしく黄金の都である。
ヒッキーはもちろんギャシャールや、連れて来れられた奴隷や罪人もその都市の豪華絢爛な姿に目を奪われた。ここは本当に現し世なのか問いたくなるほどの別世界。
ヒッキー達は収容施設のような場所へ連れて行かれる。
そして広い何も無い部屋へ連れて行かれると、そこで待たされることになった。暇をもてあましていると、その部屋でギコ族の少年のギコールに出会う。
かれも奴隷として売られ来た身で、ギコールは自分が母を亡くして、おじに引き取られたがそこで虐待にあい、果てには奴隷としてここに売られてしまったと話す。
ヒッキーもその少年に自分の境遇を話し、ふたりは意気投合し「友達」になった
いつ殺されるかも分らない状況で「友達」などと話し出す
ヒッキーに呆れるギャシャールは、何時の間にか部屋から少しずつ人が居なくなっていることに気付く。そして、さらにギャシャールはララモールの「援助」と言う言葉がずっと気にかかっていた。
反乱分子の粛清に失敗した自分は、罰を受けなければならないと聞いていたが、それは確実なる「粛清」を受けるはずだ。挙句にこちらは
ヴァイラ教のスパイまでいる。生かしておくはずが無い
しかし、それがどのように降り掛かってくるか何も分からない。彼女は、ギコールと話をしている
ヒッキーにそのことを伝える。
しばらくし、よろいを着た兵士が
ヒッキーたちをさら別の部屋に移動させる。そこは、すべての壁が鏡のように磨かれた部屋で、中央に綺麗な宝石がガラスの中に入って置かれているだけの、簡素な部屋だ。
その宝石は人をひきつける様な、なんとも言い表せない魅力があり、まるで意思を持ったように素晴らしいきらめきを放っている。
全員が部屋に入り終えると扉が閉まり、どこからか声が聞こえてくる。
「君達は我々の素晴らしい技術を体験してもらいたい。 君達のその命は宝石を磨く輝きへと姿を変えて、われら
コンヴァニア財団の糧となる」
やばい…
ヒッキーとギャシャールは、勘が働きこのままでは何らかの方法で命を奪われるかもしれないと、とっさに理解した。このままではまずい…
すると、突如爆音が響き、建物が大きく揺れたと思うと外から慌しい声が聞こえてくる。
「蛮人だ! 蛮人の奴らが攻めてきたぞぉ!!」
再び爆音が響き渡り、複数人の足音が聞こえてくる。そして、その足音の主は閉じ込められた
ヒッキーたちを助けてくれた。
「正義の味方、
ルアルネ傭兵団のギィとはあたいのことさ。さっさとこの部屋からでな!宝石にされちまうよ!!」
助け出された
ヒッキー達は、彼女達の乗る飛空挺へ(半強制的)に乗せられ
コンヴァニア財団から逃げることに成功した。
「まったく、あたい等を蛮人呼ばわりするなんて、失礼言ったら無いね。あんた達大丈夫かい?」
ヒッキーたちを助けてくれた「ギィ」と名乗る女性はいま、救い出された自分達が、「浮遊島」の都市へ向かっている事。
そして、
コンヴァニア財団に何をされそうになったかを教えてもらった。
「あいつ等
コンヴァニア財団は人の「命」を研磨機にして、宝石を磨く鬼畜さ。その「命」を差し入れにして援助してやがる
ララモ党の偽善者どももね。」
ララモ党は「援助」の名の元に、
コンヴァニア財団に宝石のきらめきを増す素材、「命」を差し出していた。「粛清」を受けるべき人、「平和」の維持に影響ない人。
そう判断された人達は、「援助」の名目で
コンヴァニア財団へ差し出され、そこでその「命」を宝石へ込められていったのだ。
もう少し、
ルアルネ傭兵団に助け出されるのが遅ければ、自分達の命を「宝石」に移し変えられていた。
その事実を知った
ヒッキーは驚愕する。罪を犯したり身分が低いそんな人達を守るのが「平和」じゃないのか?何を目的に
コンヴァニア財団に「援助」を行なっているのか分らないが、そんな事が許されるはずが無い。
自分の中で今まで感じたことも無い「怒り」がこみ上げてくる。
そんな
ヒッキーがギャシャールを見ると、彼女は固まっていた。自分の行いが間違っていても結果的にそれは、弱い人間の「平和」を守ることにつながると考えていた。彼女は彼女なりの「平和」に対する理想があった。
ララモ党の「平和」も強引ではあるが、それで万人の「平和」が守れる。だから、すべての生活を捨て「信念」をもって「名も無き者」へ志願したのに… 実際はギコールのような罪の無い多くの人を、不幸にしていた。
すべてを裏切られたといった彼女はその場で泣き崩れる。そして、不意に彼女は
ヒッキーに言った言葉を思い出す… 「何も知らないくせに…」
何も知らなかったのは自分のほうだ…
ところ変わって、
ララモ党の本拠地… 暗がりの中に2つの人影が浮かび上がる。
「さて、ララモール。君が見つけた
ヴァイラ教の鼠に、部下の戦絶議員であるギャシャール嬢のその後の処理なのだが… まだ、しぶとく生き残っているという情報が入ってきたぞ。」
「はい、最議員長。粛清をするならば、コンヴァニアの成金どもに差し出したほうが良いと思いましたので。「援助」の頭数も増え、邪魔者も始末できると一石二鳥を狙ったつもりです。」
「そして、粛清は失敗か… つくづく期待を裏切ってくれるなララモール。その手腕から若いながらも党率議員から、最議員長の推薦がかかったと聞いたが、最近は洗練さが見られなくなったぞ。」
「フッ…」
「何だララモール… 何がおかしい?」
「では、お言葉を返すようですが。なぜ、アレに志願した新米の彼女を、あれほど難しい要人暗殺に差し向けたのですが?最議員長のあなたの命令と聞きましたが… 失敗するのは目に見えていたのになぜ?」
「何のことかな?」
「しらをお切りになるのはおやめなさい。、最議員より上の党率議員のみが要人暗殺の任務を依頼できるはずでしょうになぜ?率直に言わせてもらうと、暗殺などより部下の責任を問う形で、私の降格させるのが目的なのでは?」
「…! き、きさま…」
「あなたにもコネがあるように、私にもコネがあります。あのスパイやギャシャールの責任を問うのであればどうぞ。しかし、それを突き詰めれば突き詰めるほどに、あなたの立場が悪くなるのですよ?おっと、祝和会議の時間ですので失礼…」
(悪童め… 貴様なぞにこの私の地位を渡してたまるか… 「平和」を守るのはワシなのだ! 貴様のような若造にワシの地位は断じて渡さんぞ…)
(老害め、「理想」を亡くした愚者に私がやり込められると思うなよ。)
「ヴェサリス党率議員。いつまで隠れているつもりですか?」
「隠れているつもりなんて無いわ。ただあのボケ爺が最初の最後まで私に気づかなかっただけ。」
「ふぅ… 最議員長も困ったものだ。地位を守ることに固執して「平和」への大義を失ってしまわれた。」
「あら、アレのほうが返って扱いやすいのよ。臆病者のだから上には絶対逆らわないし。」
(ギャシャール。きみが言う「平和」にはまだ程遠いよ…)
場所は戻り飛空挺内。彼女の涙から数時間。
ヒッキー達は何もすることなく、狭い個室に閉じ込められ、重苦しい空気の中で時間だけが過ぎていく
「甘言で誘い、「混沌」へ導く
ヴァイラ教。絢爛美麗の裏側、財を得るために人の「命」さえ金に換える
コンヴァニア財団。「平和」を掲げ、犠牲を厭わない
ララモ党。大きな勢力のそれぞれの思惑に一体いくらの犠牲が払われたのかな?」
突然部屋の隅でうずくまる彼女が口を開く。
「僕にも分らない… でも、手際の良さから初めてじゃないと思う。」
「…」
「ギコールは大丈夫かな?」
「さっきのギィとか言う女の人へ別の部屋に連れて行かれた… でも、大丈夫。ギコールはただの奴隷だったわけだし、何かされる心配は無いと思う。問題は…
話をさえぎる様にノックが響き、突如部屋のドアが開かれるとギィと数人の男達が部屋に入ってくる。
「そう、問題はあんた達よ。
ヴァイラ教の
ヒッキー。
ララモ党、戦絶議員のギャシャール。貴様らには聞きたいことが山ほどある。覚悟しろ。」
彼女は組織の裏の顔は知っているが、表の顔のことをあまり知らなかったようだ。尋問といっても、端から聞いていても知っていて当然のことばかりを聞かれ、何をされるのか肩に力を入れていた
ヒッキー達が脱力する
それぞれの組織で下っ端の自分達は、その影で組織が何をしていたのかまったく知らなかったと話す。裏であんなむごいことが起きていたなんて…
「「むごいこと」か… あたい達の
ルアルネ傭兵団も人のことは言えない。もしかしたら、あたい達の見つけたアレで世界は大戦へ導かれるかもしれない。 そう、あんなモンせいで… 人が大勢死ぬなんて馬鹿らし過ぎるよ。」
その瞬間に、彼女の部下が一斉に騒ぎ始める。どうやら彼女は最重要機密を口に漏らしたらしい。しかし彼女は口が滑ったわけではなくわざわざ、
ヒッキー達にそのことを教えるつもりで言ったらしい。
「ああ、一般人にならね。でも、一般人じゃない奴ならいいんだろ?こいつらがアレの存在を知っていようがいまいが、始末されちまうんだ… だったら少しでも、知っておく権利があるはずでしょ…」
そしてまた訪れる「沈黙」。やはり自分達を生かしておくはずが無かったようだ…
しばらくすると、自分達の部屋へ研究服を着た男が連れ込まれてくる。
コンヴァニア財団を襲撃したとき、彼女の部下が「捕虜」として連れて来たらしい。
一体誰かと思い、
ヒッキーは名前を問いかけると、憤慨したように叫びだす。
「ウリを知らんのか!!これだから引き篭もりはいかんニダ!! ウリの名は「ニーダ=ホルフォール」
コンヴァニア財団の画期的な「変換」システムの生みの親!!多くの命を救う、一言で言うなら「偉大」な男ニダ!!」
やけに尊大な態度のその男は、大声で自己紹介をし始める。捕虜の意味を分っているのか?と思わず
ヒッキーは冷や汗をたらす。
「うっさいのよボケ。それにどっかで聞いたことあるようなセイフを喋んな。」
青筋を浮かべたギィはうんざりした様子でニーダを
殴りつける。
「いたぁ!殴ったな!?この偉大なるウリを殴ったなぁ!! もう怒ったニダ!女だからって、ウリは容赦しないニダよ!?」
「殺すよ」
「ごめんなさい許してください。」
)
「正義の味方」が絶対に言わないことを口にし、挙句無抵抗の捕虜を殴るのをみて、
ヒッキーは心底恐怖する。
まあ、彼を殴りたくなる気持ちも分からないでもないけど…
「宝石」に関する変換システムを開発したのが、ニーダになります。 っていうか、20くらいは優秀だったけど30を越えたあたりから、作るものすべてが
コンヴァニア財団に認められず、本人認めてもらおうと躍起です。
ちなみにニーダのお年は43才くらいです
ニーダをさらに殴った後、ギィの部下から浮遊島が「襲撃」を受けたという情報が入ってきた。話を聞くと、
コンヴァニア財団の報復攻撃らしい、こちらはニーダという捕虜が居るのになぜ?
「ちっ… こいつ見捨てられたね。」
ギィの吐き捨てるようなセイフを聞いて、ニーダは愕然とする。自称、優秀な科学者である自分が見捨てられるなんて信じられなかったようだ。
ニーダはその言葉を聴いた唖然としていたが、また火が点いたように騒ぎ出す。
コンヴァニア財団に尽くしてきた自分が、こんな仕打ちを受けるはずが無い!「発展」のために尽力してきた自分が、と…
ギィはニーダを殴り、黙らせると、部下から詳しく報告させる。
何でも顔から小さな手足を生やした無数の小人が、数に物を言わせて空と陸から攻めてきたらしい。ジエンかと思いきや、どうやら違うらしい…
そいつらは獣の檻の鍵を壊したり、子供のおやつを盗み食い… 果ては、近所のお宅の下着は盗むは、妻のへそくりを夫にばらす、やりたい放題らしい。
大混乱が起きて何人もけが人が出ているという。
ニーダが言うには「オワタ」というホムンクルス(人工生命体)らしい。彼らはその生命活動が停止すると変な擬音とともに霧散して死体が消えてなくなってしまう。
死体が残らないので、破棄する手間がかからず、更には捕らえられたとしても、
コンヴァニア財団の証拠は何一つ残らない。
それを発明したのも彼らしい… ニーダは再び、ギィに殴り飛ばされる。
オワタは基本的に短命で単純な作業しかこなせないが、徒党を組んで襲ってくるので相手をかく乱するのには打って付けらしい。
そして、
コンヴァニア財団はそのオワタを使い、浮遊島に保管してあった「大切なもの」が奪ったらしい。彼女の怒号とともにすぐに捜索隊が編成される。
ヒッキー達は相変わらず閉じ込められるが、ギャシャールが縛り付けていたロープを自分で解き、閉じ込められた部屋から脱出することに成功する。
脱出した
ヒッキーはニーダとギャシャールにとんでもない提案を持ちかける。それは
ヒッキーの初めて「決断」だった。
あろうことに
ヒッキーはギィの手伝いに行こうと話す。捕虜の意味を分っているのか?このまま逃げたほうが良いに決まっているニダ、とニーダは呆れていうが、
ヒッキーは浮遊島は島だから逃げ場所なんて、ここにないと話す
こちらにはオワタの特性を知り尽くしたニーダがいるし、ギャシャールも「名も亡き者」にいたのだから運動神経はいいはずだ。自分だって、何か出来ることがあるはずだ。
こちらが真摯に頼めばきっと分ってくれると信じている
ギャシャールはため息をつく。仮にも相手を騙し陥れる
ヴァイラ教に居た彼が、ここまで何の根拠も無く人を信じているなんて… ほとんど敵である
ルアルネ傭兵団にそんな事を言っても捕らえられるのがオチだ
「でも、このままに逃げても捕まるだけだし… いっその事、
ルアルネ傭兵団とは別行動を取って僕達がそれを取り返しにいけばいい」と言う。 奪われたものを取り返せば少しはこちらを信用してくれる。
それに、信用する素振りが無ければこれを交渉材料とし、脱出すればいい。
ヒッキーは難しい顔をしながらも了解し、ニーダも黙ってギャシャールの言葉をうなずく。本当は嫌だが、いい案が自分には浮かばない… 苛立ちと
コンヴァニア財団にも見捨てられた悲しみで彼は少し自暴自棄になっていた。
ギャシャールが衛兵の会話を盗み聞きし、どうやら「ルアルネの巨木」という島の中央の森を抜けて海に向かっていったと話してくれた。捜索隊の人集めに時間がかかっているギィたちを出し抜くのはいまだ!
ヒッキー達はニーダが言う「オワタ」が通りそうな道を通って「オワタ」を追うことにした。
「まだ人が集まらないのか! もういい!少ないがこれだけの人数でいくぞ!」
「ギィーラの姉貴!ギーコードさんがどこにも居ねぇって…」
「あいつ…! この忙しい時にどこをほっつき歩いてんだ!」
「なんでも、コンヴァニアの小人が攻めてきたあたりから突然姿が見えなくなったって…」
「この森のことを一番知ってるあいつがいれば、少しはマシなんだが…」
「ギィーラの姉貴!」
「今度は何だい!?」
「捕虜の奴らがいつの間にか逃げ出してます!」
「このくそ忙しい時に…!! この際、あんな奴らほっとけ!!さっさといくぞ!!」
「「「「「ウスッ!!」」」」」
(「
職人の記憶」はやばい… あんなのすぐに壊しちまえばよかったのに、やれ取り引きに使えるだの、やれ浮遊島の御神体だのとかいって結局は保管してやがったんだ!! ギーコード!!!この始末どうつけてくれるんだい!!)
一方そのころ…
「ゼィゼィ…」
「ハヒー… ハヒー…」
「君達体力無さ過ぎ!!まだ少ししか走って無いじゃん!!」
「僕引き篭もってたから体力が…」
「ウリは研究者だから…」
「だめだこいつら… 早く何とかしないと…」
彼らに任せておいて大丈夫なのか?
ストーリー第2章
ストーリー第3章(ハニャン連邦への航海~)
ストーリー第4章(反乱軍のチンピラとギィの無礼と~)
ストーリー第5章(反乱軍、その名は「ヘリオス」)
ストーリー第6章(剣を掲げるとき)
ストーリー第7章(皆の心配)
ストーリー第8章(何とも微妙な討伐隊)
ストーリー第9章(カリアイン到着)
ストーリー第10章(ニーダの受難とギィ無双)
ストーリー第11章(夢と希望と現実と…)
ストーリー第12章(太陽 さようなら)
ストーリー第13章(シレモン凱旋)
ストーリー第14章(そんなルアルネ傭兵団)
ストーリー第15章(今度はお空の旅です)
ストーリー第16章(クライム来訪と、るあるね式 せっとくじゅつ)
ストーリー第17章(魚肉ソーセージ、ツンデレ風味)
ストーリー第18章(戦絶3人娘+αと愛の戦士2人 ララモール救出へ)
ストーリー第19章(それぞれの修羅場)
ストーリー第20章(不死身じゃないです。タフネス∞なだけ…)
ストーリー第21章(最悪の来訪)
最終更新:2009年05月03日 11:04