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ゼム草


概要

 ゼム草は、惑星クレイシスに広く分布する多年生の草本植物である。
各地の地表に自生する一方、まとまった栽培の中心地はエシュティア共和国の広がるセイム平原に置かれている。
同国の食と衣を支える基幹作物であり、地下に流れる次元エネルギーの揺らぎに敏感な性質を備える。
事象災害の活動が穏やかな土地で安定した生育を見せるため、揺動の鎮まった領域で集中的に栽培される傾向が強い。
共和国の自給体制を成り立たせる柱の一角を担い、繊維と食用の双方に利用が及び、暮らしの諸場面で扱われる。

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性質

 ゼム草は地下に伸びる根系を備え、地上には細長い葉を伸ばす草本である。株からは繊維質に富んだ茎が立ち上がり、季節ごとに穂状の花序を頂く。穂が結ぶ実は粒の小さな種子状で、内部に乳白色の胚乳が詰まる。葉は柔らかく薄手で、株元から扇状に広がる形を取る。茎の繊維は長くしなやかで、繰り返しの屈曲にもよく耐える特性を備える。最大の特徴は、地下を流れる次元エネルギーの揺動に対する感受性である。根系は土壌中のエネルギー勾配に応じて伸び方を変え、揺らぎが穏やかな土地では葉も茎も均等に張り、揺らぎの激しい土地では生育が滞って実の付きが悪くなる。播種地の周辺にテルク晶を配して揺らぎを鎮める運用が広く行われており、この扱いを経た株は繊維の張りに均質な仕上がりが得られ、胚乳の詰まりも揃う。サイス術の作用域に置かれた田畑では、結晶を介した静穏化と相まって生育の安定が一段と深まる傾向が見られる。生育の地域差も顕著である。セイム平原のように地殻のエネルギー揺動が比較的穏やかで、地下水脈の通る土地では、繊維の長さが伸び、胚乳の充実も伴った株が育つ。クレイシスの他の地域でも自生は珍しくないものの、揺動の強い土地では繊維が短く折れやすく、実の充実も伴わない傾向が見られた。加工に堪える品質を得るには、手を入れた田畑での栽培が要件となる。乾燥にも寒冷にもある程度の耐性を備える一方、過湿には弱く、根の伸長が阻まれて株全体が衰える性質を持つ。

用途

 ゼム草の用途は、繊維の利用と食用の利用に大きく分かれる。繊維の利用では、茎を裂いて取り出した長繊維が衣料の原料に供され、織物の素地としても用いられる。長くしなやかな繊維は撚りをかけても切れにくく、肌に当たる感触が滑らかであるため、日常の衣服から寝具の覆いに至るまで幅広く扱われる。共和国内では繊維の用途が衣料の主軸を占めており、暮らしの基層に同種の繊維が織り込まれている。加工された繊維製品は国外へも輸出されており、対外交易の主要品目である。繊維の質は栽培地の生育条件によって左右されるため、揺動の穏やかな田畑で育った株から取れた繊維がとりわけ尊ばれる。食用の利用では、穂に結ぶ実が用いられ、若葉も食材に上る。実は脱穀の後に粉に挽かれて主食の素材となり、薄く焼いた餅状の食物や、発酵を経たパン状の食物の原料に供される。胚乳には淡い甘みがあり、加熱の段階で引き出されるため、調味の手数を抑えた料理が成り立つ。若葉は煮込みや漬け込みに用いられ、繊維質の柔らかさから副菜の材料として日常の食卓に上る。実の収穫を経た後の茎葉は飼料に回されるほか、敷料にも転用される。繊維と食用以外の利用も限定的ながら存在する。茎の切り口から滲む粘性のある汁は、乾燥させたうえで膠の代用に供され、家具や器の補修に使われる。根を干して煎じた飲料は、ほのかな甘みを伴い、落ち着いた香りを持ち、静かな場で口にされる飲み物の素地である。

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最終更新:2026年05月08日 00:03

*1 作:Gemini