カウシュフェルト
[解説]
アルカディア帝国ダンゲルマイヤー侯爵領の北東部、ダンゲルマイヤー家直轄領の飛び地に存在する、ダンゲルマイヤー領最北端の村。ダンゲルマイヤー領の北部からカナドの地へと続く山脈の麓に位置している。人口は300~600名程度で一定せず、年代によって上下する。この近隣に出没する、ナウマンと言う象に似た魔獣に悩まされており、それを狩るために外部から多くの傭兵を雇い入れており、人口が一定しないのはそれも一因である。
この村の収入源は、山々に自生している希少で特殊な薬草や、山々から流れ出ている川で採取できる特殊な比重の重い鉱物、そして傭兵から買い取った魔獣ナウマンの素材の加工品である。このうち薬草と鉱物、ことに鉱物の方は帝国が力を入れている錬金術の素材として、高値で買い取られて行く。実のところこの村が成立した経緯は、山脈から流れ出した川の川底に沈んだ特殊な鉱物類を採取するために集まった人々が、集落を築いたのが始まりだった。
気候は寒冷であり、冬季には雪で閉ざされてしまう。流石にこの時期には川底の鉱物採取も、山歩きをしての薬草採取も困難だ。このため、稼ぎ時は初夏から初秋に至るまでである。
村人たちの性格は、一見排他的で狭量に見える。しかし一旦内懐に入ってしまえば、非常に友好的で親しみやすい。前述の魔獣ナウマンを狩る傭兵たちも、雇われる前の塩対応と雇われた後での温かい扱いのあまりの違いに、新人などは目を白黒させるらしい。
村の統治者は、飛び地とは言えダンゲルマイヤー家直轄領であるから当然、当主ディートヘルム・フォン・ダンゲルマイヤー侯その人である。ただし村に派遣されているのは代官であり、名をヨーゼフ・クンツと言う老文官である。元々は領都である第一都市ボーダルンシュタットでバリバリ働いていた人物なのだが、老いて引退、隠居しようとした。しかしその才を惜しんだ侯爵から待ったがかかり、すったもんだの末、とりあえず忙しくなるまでは田舎の村の代官でのんびり過ごしてもらおうと言う事になったのだ。
ちなみに傭兵たちの機兵のため、村には小規模ながら設備の整った機兵工房が1つ存在している。またこれも傭兵たちの怪我に備え、そこそこ優秀な医者が開いた、小さいながらも設備が整った個人病院も村の中央に建てられている。この機兵工房と病院を頼って、周囲の村落などから傭兵、冒険者、怪我人や病人などが良くやって来ては、この村に金を落としていく。ただし基本的にこの村の者は、外来者には塩対応であるため、村人に受け入れられた者達からの直接紹介あるいは紹介状が必須である。
位置的には、旧サーモン=シャリス国立森林公園のただ中に位置する。