機装兵 ミルザ・ナーゲル

[解説]
シリウス船団の壊滅からおよそ40年経過してからの生産だったため、当初こそはロートル機などと言われ、国外からの評価は低かったものの、ヘパイストスにより高められた生産性故の廉価ぶりや、装甲の材質及び製造法を変えたことで防御性が向上したこともあり、私設の兵団を抱える貴族や帝国軍…つまりは大量に機兵を必要とする者達からの評価は非常に高かった。
基本となる武装は炎魔法を付与された大振りの手斧、「グルート」とラウンドシールドのみである。この「グルート」は当時としては画期的な武器であり、従来の溶断兵装とは違い使い捨てではなく、整備すれば何度も利用可能であり、コストパフォーマンスの観点で見れば破格の武装である。また、基本武装こそ少ないものの、各地に点在するヘパイストスの工場に依頼すれば魔導砲なども装備可能になる、という点もミルザ・ナーゲルが広く普及した一因である。
とはいえわざわざオプション装備を持たせる理由もないため、当機の運用法は基本的にその高い防御性を活かした突撃、そして破壊力に溢れる斧での一撃である。斧の重量に加え炎魔法も付与されていることにより、並の機兵であれば一撃で装甲を粉砕し得る破壊力を秘めていることもあり、一時期は幾多の戦場でその姿を見ることのできたミルザ・ナーゲルであるが、聖華暦800年を境にその姿はあまり見受けられなくなる。その大きな理由の一つが都市同盟軍の主力装兵に「重機兵 フォッシュ」が加わったことである。
何故フォッシュの台頭でミルザ・ナーゲルのお株が奪われることとなったのか。その大きな要因は、両機の突破力と防御力の差にある。両機共に防御力…ひいては操手の生存性にかけては破格のものを持ってはいるが、フォッシュの圧倒的加速力から生み出される突破力を耐えるだけの性能がミルザ・ナーゲルには無かったのだ。勿論、ミルザ・ナーゲルはフォッシュが運用不可能な地形でも運用できるなどの強みはあるものの、かつてミルザ・ナーゲルの見せ場であった合戦での切り込み役という立場は完全に消え去ることとなった。
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