グレートソルトイール
[解説]
アルカディア帝国、ダンゲルマイヤー侯爵領内、キルシュネライト伯爵領に存在する巨大な塩湖、グレートソルト湖に生息する超大型魚類で、最大で全長10mほどにも成長するとされる。
なお、本種はその巨大な体格と攻撃性の強い性質から漁師など直接扱う人間以外には魔獣と認識されることも少なくないが、旧人類により製造された生物兵器ではなく、地球上の歴史の中のどこかで生まれ、地球の記憶に刻まれていた生物が、世界樹による環境改善の際に再生されたものである。
本種は塩分濃度が非常に濃く、生命が生息するには厳しい環境である塩湖に対応した進化を果たしており、中でも代表的なものが皮膚表層に生息している好塩性細菌の存在である。
この好塩性細菌は、厳密に言うと高度好塩性をもった光合成細菌であり、グレートソルトイールが住処として皮膚表層を提供する代わりとして、好塩性細菌が生み出すエネルギーを得るという共生関係にある。この関係はサンゴなどの刺胞動物門と褐色藻の間で見られる関係に非常に近いと言えるだろう。
なお、グレートソルトイールがこの好塩性細菌から得ているエネルギーは、生命維持に必要なエネルギーの約8割にも達しており、日中、天候の良い日にはグレートソルト湖の水面近くをゆったりと漂うように泳ぐ本種がよく観察される。
この好塩性細菌は、厳密に言うと高度好塩性をもった光合成細菌であり、グレートソルトイールが住処として皮膚表層を提供する代わりとして、好塩性細菌が生み出すエネルギーを得るという共生関係にある。この関係はサンゴなどの刺胞動物門と褐色藻の間で見られる関係に非常に近いと言えるだろう。
なお、グレートソルトイールがこの好塩性細菌から得ているエネルギーは、生命維持に必要なエネルギーの約8割にも達しており、日中、天候の良い日にはグレートソルト湖の水面近くをゆったりと漂うように泳ぐ本種がよく観察される。
本種はイールの名の通り系統としてはウナギやアナゴなどのウナギ目魚類の延長線上に存在する種ではあるが、この系統の魚類には珍しく、産卵のために海に下ることをせず、湖内のみで生活環を完結させる完全な陸封型である。一方で、他のウナギ目魚類と同じく、孵化後はレプトケファルス(葉形仔魚)と呼ばれる笹の葉のような薄く半透明な幼体を経ることで知られている。
なお、本種の肉は食用として利用されるが、その血液にはイクチオヘモトキシンと呼ばれるタンパク質由来の毒が含まれており、食べる際には火を通し、毒のタンパク質構造を熱変性させて無毒化する必要がある。もっとも、厳密な血抜きができるならば刺身で食べることも不可能ではないが、非常に高度な調理技術が必要となるため、一級の高級料理店以外で口にすることは叶わないだろう。なお、聖華暦830年代における技術力では、イクチオヘモトキシンという毒性のタンパク質構造そのものが同定されているというわけではなく、本種を利用する新人類達が、あくまで経験則として「本種の血は火を通さなければ食べられない」ということを知っているに過ぎない。
このほか、本種のしなやかで丈夫な皮は日用品から機兵用の防塵カバーの材料などさまざまな用途に活用されているほか、本種の身と皮の間に存在する脂肪層から抽出される魚油は適度に粘りのある性質を持っており、機器類の潤滑剤、いわゆるグリスとして重用されている。また、この魚油は極めて新鮮なものに限れば食用にすることも可能であり、非常に高価ではあるが、独特の甘みのある珍味として出回ることもある。
このように、本種は利用価値が高い魚種であり、グレートソルト湖を擁するキルシュネライト伯爵領をはじめ、グレートソルト湖と隣接するブレス伯爵領においては重要な水産資源として徹底した漁獲量管理のもと、漁獲対象とされている。
このように、本種は利用価値が高い魚種であり、グレートソルト湖を擁するキルシュネライト伯爵領をはじめ、グレートソルト湖と隣接するブレス伯爵領においては重要な水産資源として徹底した漁獲量管理のもと、漁獲対象とされている。