アングル・イーラー
[解説]
カナド地方の湖を生息域とする超巨大魚類の一種で、グレートソルト湖に生息するグレートソルトイールの原種にあたる生物。
最大で20m近くまで成長するとされており、その巨大な体格と攻撃性の強い性質から漁師など直接扱う人間以外には魔獣と認識されることも少なくないが、旧人類により製造された生物兵器ではなく、地球上の歴史の中のどこかで生まれ、地球の記憶に刻まれていた生物が、世界樹による環境改善の際に再生されたものである。
本種の近縁種であるグレートソルトイールは塩湖という非常に塩分の高いある種の極限環境に適応した種であるが、本種は基本的には淡水域で生息する。とはいえ、産卵の際には他の多くのウナギ目魚類と同じく降海する性質を持っており、塩分濃度の高い海という環境にも対応している。
また、皮膚表層には低度好塩性を持つ光合成細菌が共生しており、生命維持に必要なエネルギーの3割程度はこの光合成細菌から得ているようである。
このため、最大で20mにも達する体格を持ちながら、比較的飢餓には強く、捕食行動はそれほど活発ではない。とはいえ、目の前に獲物が居るならばそれを見逃すわけはないのは言うまでもない。
このため、最大で20mにも達する体格を持ちながら、比較的飢餓には強く、捕食行動はそれほど活発ではない。とはいえ、目の前に獲物が居るならばそれを見逃すわけはないのは言うまでもない。
本種は、前述の通り、海で産卵を行うのだが、その稚魚は孵化後、レプトケファルス(葉形仔魚)と呼ばれる笹の葉のような薄く半透明な幼体を経て、半透明ではあるが親と同形のシラスと呼ばれる姿に成長するまでを海で過ごし、その後、川を遡上し湖に戻ってくることになる。
なお、湖に戻ってきた頃の稚魚は、褐色になっており、クロコと呼ばれるのだが、この色は皮膚表層に共生している光合成細菌の色であり、遡上の直前、汽水域で身体を淡水に慣らしている時期に光合成細菌が取り込まれるために体色が変化するのだと考えられる。
本種の肉はカナド部族を中心に食用として利用されるが、その血液にはイクチオヘモトキシンと呼ばれるタンパク質由来の毒が含まれており、食べる際には火を通し、毒のタンパク質構造を熱変性させて無毒化する必要がある。特に、カナドでは、本種の肉を甘めのタレに漬け込んで直火で炙るようにして焼く蒲焼きと呼ばれる料理法が親しまれており、本種の旬である10月頃にはさまざまな部族で食べられている。
なお、カナド地方ではほぼ行われない食べ方ではあるが、本種の肉もグレートソルトイールと同じく、厳密な血抜きを施せば、刺身で食べることも不可能ではない。しかし、非常に高度な調理技術が必要となる上、鮮度を劣化させず、運搬することが難しいため、グレートソルトイールの刺身以上に、超がつくほど高額な料理となってしまうだろう。なお、聖華暦830年代における技術力では、イクチオヘモトキシンという毒性のタンパク質構造そのものが同定されているというわけではなく、本種を利用する新人類達が、あくまで経験則として「本種の血は火を通さなければ食べられない」ということを知っているに過ぎない。
なお、カナド地方ではほぼ行われない食べ方ではあるが、本種の肉もグレートソルトイールと同じく、厳密な血抜きを施せば、刺身で食べることも不可能ではない。しかし、非常に高度な調理技術が必要となる上、鮮度を劣化させず、運搬することが難しいため、グレートソルトイールの刺身以上に、超がつくほど高額な料理となってしまうだろう。なお、聖華暦830年代における技術力では、イクチオヘモトキシンという毒性のタンパク質構造そのものが同定されているというわけではなく、本種を利用する新人類達が、あくまで経験則として「本種の血は火を通さなければ食べられない」ということを知っているに過ぎない。
このほか、本種のしなやかで丈夫な皮は日用品の他、狩装兵用の防塵カバーの材料などさまざまな用途に活用されている。また、本種の身と皮の間に存在する脂肪層から抽出される魚油は適度に粘りのある性質を持っており、機器類の潤滑剤、いわゆるグリスとして重用されている。
この魚油もグレートソルトイールと同じく、極めて新鮮なものに限れば食用にすることも可能であり、独特の甘みのある珍味としてカナド地方でも食されている。
この魚油もグレートソルトイールと同じく、極めて新鮮なものに限れば食用にすることも可能であり、独特の甘みのある珍味としてカナド地方でも食されている。
このように、本種は利用価値が高い魚種であり、さまざまなカナド部族から漁獲対象とされている。