魔獣除けの楔石(タリピシア)
[解説]
魔獣除けの楔石(タリピシア)とは、三国の都市には必ず言っていいほど設置されている大型魔導器のことで、その名前の通り、都市に魔獣を寄せ付けないようにするための、ある種の結界を敷くための楔となるものである。
その構造は比較的単純で、全面にルーンが刻まれた、楔石と呼ばれる巨石の中央に、強力な魔獣から採取された無属性の魔石が嵌め込まれているというもの。
また、規模の大きな都市に設置されている楔石には、ルーンの反応性を高める目的でミスライト鋼を用いたメッキが施されていることもある。
このため、一見すると巨大なクリスタルが碑文が記された石碑を包み込んでいるように見え、神秘的な雰囲気をたたえていることからも、大都市の名所の一つとして認識されていることも多い。
また、規模の大きな都市に設置されている楔石には、ルーンの反応性を高める目的でミスライト鋼を用いたメッキが施されていることもある。
このため、一見すると巨大なクリスタルが碑文が記された石碑を包み込んでいるように見え、神秘的な雰囲気をたたえていることからも、大都市の名所の一つとして認識されていることも多い。
なお、楔石に刻まれたルーンは、嵌め込まれた魔石に染み付いた魔獣の気配を魔導的に増幅し、波動として拡散する機能を持っており、これによって、街全体を拡散した魔獣の気配で包み込むことで、強力な魔獣の縄張りであるように見せかけ、魔獣が街に寄ってこないようにするという仕組みである。
こういった仕組みであるため、その性質上、使用した魔石を採取した魔獣が強力なものであるほど、また、魔石自体が大きく質の良いものであるほど、その忌避効果は強く、効果範囲も広くなる。
一方で、その魔石由来である魔獣自体を恐れず、縄張り争いをするような関係にある魔獣や、積極的に捕食しているような強力な魔獣である場合には忌避効果が効かないばかりか、最悪の場合、誘引してしまうこともあるため注意が必要である。
一方で、その魔石由来である魔獣自体を恐れず、縄張り争いをするような関係にある魔獣や、積極的に捕食しているような強力な魔獣である場合には忌避効果が効かないばかりか、最悪の場合、誘引してしまうこともあるため注意が必要である。
これについて例を挙げると、聖華暦833年末に自由都市同盟で発生した未曾有の魔獣災害、バフォメット事変において、魔王級魔獣バフォメットが道中の村落、小規模都市を壊滅させながら中央都市アマルーナを目指すように向かってきたことについては、この誘引効果が発揮されたのではないかとの学説が同盟の魔獣生態学者、ルインスター・ケルン博士及び、魔獣行動学者、ジョナサン・グランド博士の連名による論文として発表されている。
このほか、本来は忌避効果が作用するはずの弱い魔獣であっても、より強力な魔獣に襲われる、あるいは非常に強力な誘引剤となる餌が都市内にある等、なんらかの原因で恐慌、興奮状態にあり、正常な行動が取れなくなっている場合には、忌避効果が作用しないこともある。
[共鳴石について]
これは、タリピシアの子機とも言える簡易の魔獣除け魔導器で、タリピシアが放つ波動に共鳴させることで、その波長を記録し、また放出することができるというもので、全体をミスライト鋼によるメッキで覆われた手のひらサイズの楔石というような外見をしている。
都市に設置されるタリピシアと比較すると、その忌避効果や効果範囲は限定的になってしまう他、放出するごとに、共鳴させた波動が弱まり、効果も減衰してしまうため、定期的なタリピシアとの共鳴が必要という弱点はあるものの、個人でも持ち運べる程度の大きさにまで小型化されており、都市など、拠点を防衛するためのものというよりは、野外での個人使用を前提としたものである。
特に、野外で活動や都市間の移動を行う場合の魔獣除けや、野外において野宿を行う際などに簡易的に魔獣除けの結界を張る場合などの用途で利用されており、都市間を運行する旅客船や商人のキャラバン、農民から猟師、冒険者まで、都市外で活動を行う多くの人々に幅広く普及している。
個人用のものであれば、道具屋などで普通に取り扱っており、価格も安いものなら数百ガルダ程度から購入可能である。