ペッレルボイネン子爵家
「解説」
アルカディア帝国北部の、寒冷な気候で農業に向かずさりとて鉱産資源も出ない貧しい領地に封じられていたアボンガラ家は、代々食料を確保すべく、魔法も使った農業技術を研究実践していた。
そして、下位五属性魔法の組み合わせだけでは思うような成果が出ず、業を煮やした当主が音頭を取って、第二次聖帝戦争で得られた捕虜や鹵獲物品などからの情報をもとに、光魔法を研究して目指す目標に役立つ魔法がいかなるものか解明しようと試みるに至った。
帝国では光魔法は絶対の禁忌のため、あくまで「日照や気温を確保するのに必要な疑似的太陽光を生み出す魔法を研究すること」が眼目だったのだ。
そして、下位五属性魔法の組み合わせだけでは思うような成果が出ず、業を煮やした当主が音頭を取って、第二次聖帝戦争で得られた捕虜や鹵獲物品などからの情報をもとに、光魔法を研究して目指す目標に役立つ魔法がいかなるものか解明しようと試みるに至った。
帝国では光魔法は絶対の禁忌のため、あくまで「日照や気温を確保するのに必要な疑似的太陽光を生み出す魔法を研究すること」が眼目だったのだ。
だがこれが、政敵に利用されてしまった。
同じ貧しい環境でありながら一定の農業生産を上げているアボンガラ領を横取りせんとする近隣領主から光魔法を利用してよからぬことを企んでいると讒言され、審問官も賄賂で買収されていたため、アボンガラ家は粛清対象とされてしまう。
同じ貧しい環境でありながら一定の農業生産を上げているアボンガラ領を横取りせんとする近隣領主から光魔法を利用してよからぬことを企んでいると讒言され、審問官も賄賂で買収されていたため、アボンガラ家は粛清対象とされてしまう。
叶わぬまでも玉砕覚悟の抗議の一戦をと一族を集めていたアボンガラ家に接触したのは、なんと末席とはいえ皇位継承権者の、ジョン・アルカディア第三皇子であった。
彼はこの国を真に支配しているのは黒竜神を騙る異世界から来た邪悪な意志ある機械の巨人、ゲイズ・ガロウドであること、巨人は自らの敵を誘き出すために人々の血と嘆きが世界に満ちることを欲し、そのために帝国を使い潰そうとしていることを語り、皇子の名において帝国から共に脱出するものを集めていると告げた。
新天地では農業の知識を持つ人間が死活的に重要になる。
くだらぬ政争で滅ぶぐらいなら、国を捨ててついてきてほしいとの説得に乗り、アボンガラ家は帝国から亡命した。
彼はこの国を真に支配しているのは黒竜神を騙る異世界から来た邪悪な意志ある機械の巨人、ゲイズ・ガロウドであること、巨人は自らの敵を誘き出すために人々の血と嘆きが世界に満ちることを欲し、そのために帝国を使い潰そうとしていることを語り、皇子の名において帝国から共に脱出するものを集めていると告げた。
新天地では農業の知識を持つ人間が死活的に重要になる。
くだらぬ政争で滅ぶぐらいなら、国を捨ててついてきてほしいとの説得に乗り、アボンガラ家は帝国から亡命した。
幾多の苦難を経て帝国亡命者が辿り着いたスナフの地は、雪と氷に閉ざされ太陽の光すら差さない、旧アボンガラ領以上に厳しい環境だった。
アボンガラ家は秘中の秘だった家伝の魔導農法を他家にも伝え、原住民の中にも僅かにいた魔力高く生まれついたものにも技術を教え、機兵部隊が鋼魔獣を排除して確保した居住地に少しずつ農地を増やしていった。
こうして国の形が整い、改めて国を治める13党首家の一つに選ばれたアボンガラ家は、他の元帝国貴族にならい、旧人類の物語に出てくる豊穣の神から名を取り、ペッレルボイネン家と改名したのだった。
アボンガラ家は秘中の秘だった家伝の魔導農法を他家にも伝え、原住民の中にも僅かにいた魔力高く生まれついたものにも技術を教え、機兵部隊が鋼魔獣を排除して確保した居住地に少しずつ農地を増やしていった。
こうして国の形が整い、改めて国を治める13党首家の一つに選ばれたアボンガラ家は、他の元帝国貴族にならい、旧人類の物語に出てくる豊穣の神から名を取り、ペッレルボイネン家と改名したのだった。
現在のペッレルボイネン家は、農業を司る家柄になっている。
農業から派生して食料政策の中心にもなっており、ブランドを育てて特産品を売り込んだり、逆に同盟諸国から使えそうな作物や技術を買い付けたりする動きを統括しているわけだ。
農業から派生して食料政策の中心にもなっており、ブランドを育てて特産品を売り込んだり、逆に同盟諸国から使えそうな作物や技術を買い付けたりする動きを統括しているわけだ。
そして、もう一つ大きな特色がある。
ペッレルボイネンの領地には、聖導教会スナフ支部がある。
そして同盟加盟からこっち、代々家から一人を聖職者として出しているのだ。
開国した際に、「光魔法を研究したら粛清に遭った」という歴史を聞きつけた教会関係者からのアプローチを受け、有用な光魔法の教示と引き換えに布教を認めた結果である。
スナフ王国は黒竜教を捨て独自の精霊信仰を採用しているため三女神教は国教ではなく、教会も今のところ強引な布教はしていないが、王国内では異色であるのは間違いがない。
ペッレルボイネンの領地には、聖導教会スナフ支部がある。
そして同盟加盟からこっち、代々家から一人を聖職者として出しているのだ。
開国した際に、「光魔法を研究したら粛清に遭った」という歴史を聞きつけた教会関係者からのアプローチを受け、有用な光魔法の教示と引き換えに布教を認めた結果である。
スナフ王国は黒竜教を捨て独自の精霊信仰を採用しているため三女神教は国教ではなく、教会も今のところ強引な布教はしていないが、王国内では異色であるのは間違いがない。