美女と野獣
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1993 |
1993(字幕) |
2002(SPL) |
2002(SPL:字幕) |
2010(SP) |
ストーリー
ある寒い夜の晩、
城*を一人の老婆が訪れ、一晩の宿を恵んで欲しいと懇願した。城の主である王子は老婆のみすぼらしい姿を見てこれを拒否する。すると老婆は美しい
魔女に姿を変え、外見で人を判断した王子を
野獣に、召使いたちを家具に変えてしまう。魔女は
魔法のバラ*を差し出し、花びらが全て散るまでに王子が愛することを学び誰かに愛されなければ元の姿に戻ることはないと伝える。
数年後、
村*に住む美しい娘
ベルは粗暴な男
ガストンの求婚を断り、もっと広い世界を夢見ていた。ある日、父の
モーリスが仕事に出かけたきり戻らず、彼を乗せていた馬
フィリップだけが帰ってくる。ベルはフィリップに導かれ、鬱蒼とした森の奥の城を訪れる…。
概要
ディズニーの長編アニメーション映画第30作。物語は原作よりも1946年に公開されたジャン・コクトー監督の実写映画版に近い。
IMAX版(スペシャル・エディション)
2002年にはIMAX用に、各シーンにマイナーチェンジが加えられたスペシャル・エディション版が公開された。主な変更点は以下の通り。
- 「愛の芽生え」のラストのポット夫人がチップに「大きくなったら教えてあげるよ」と語りかけるシーンにて、彼らの立ち位置が逆に描かれていたのが修正されている。
- 公開当時にお蔵入りとなり、1994年のミュージカル版で日の目を見た故・アシュマンの楽曲「人間に戻りたい」が追加曲として使用されている。
- 「人間に戻りたい」の掃除のシーンが追加されたことで、野獣が風呂に入るシーンやベルが魔法の鏡で父の姿を見るシーンなどに登場する、野獣に壊された城の壁や装飾品が修理された状態に変更された。
- ベルを解放した野獣に対するコグスワースのアニメーションが変更されている。
歴史
世界初のカラー長編アニメーション『
白雪姫』(1937年)の成功により、
ウォルト・ディズニーは新たな映画化の候補として『美女と野獣』を選んだ。1930年代と1950年代に二度ストーリー構成を練ったものの、難しすぎたために断念した。ディズニーが断念した理由にはジャン・コクトー監督による1946年の実写映画版の存在が大きかったようだ。
また、カッツェンバーグは『リトル・マーメイド』のようなブロードウェイ・ミュージカル形式を目指すために再び作詞家の
ハワード・アシュマンと作曲家の
アラン・メンケンにオファーした。当時、エイズの合併症で死期を悟っていたアシュマンは『
アラジン』(1992年)に取り組んでいたため乗り気ではなかったが『美女と野獣』の立て直しに参加することを決めた。『美女と野獣』の準備の場は
ロンドン*からアシュマンの自宅のある
ニューヨーク*に移された。製作体制はトゥルースデイル、ワイズ、ハーン、ウールヴァートン、アシュマン、メンケンとなった。その時点では登場人物は
ベルと
野獣しか決まっておらず物語も暗かったため、コメディ要素を強めるために家具をモチーフにした脇役を登場させることになった。1990年に入ると、カッツェンバーグは改訂された筋書きを承認し、ストーリーボード作業が再開した。製作は
カリフォルニア州*のスタジオで行われたが、ストーリー・アーティストはアシュマンの承認のためにカリフォルニアとニューヨークを行き来することになった。アシュマンの病気のことは一部の人間にしか知らされておらず、アシュマンに会うためにわざわざニューヨークまで行かされることを不満に感じていた者もいたという。
キャスティング
ディズニーは当初『リトル・マーメイド』の
アリエルを演じた
ジョディ・ベンソンを起用しようとしたが、少女というより女性らしい声を探して約500名にオーディションをした結果、ブロードウェイ女優の
ペイジ・オハラを
ベル役に選んだ。アシュマンはロジャース&ハマースタインのミュージカル『ショウボート』でのオハラの演技を絶賛していたという。
アニメーション
シミュレーションは『
美女と野獣』のカメラワークにも存分に活かされており、ディズニーが初めて3Dレンダリングを行うこととなった。このシーンはディズニーの上層部にも感銘を与え、ディズニーが今後の作品でCG技術に投資するための十分な動機となった。
ちなみにフィナーレでベルと王子が周りに祝福されて踊るシーンのアニメーションは『
眠れる森の美女』(1959年)の流用となっている。監督のトゥルースデイルによると、「締切ギリギリだったから」とのこと。
音楽
作詞はハワード・アシュマン、作曲はアラン・メンケンが担当した。
ブロードウェイのスタイルを目指したこともあり、ストーリーと楽曲制作は並行して行われた。「ひとりぼっちの晩餐会」はベルの父
モーリスをもてなす歌だったが、アニメーションが作られた後にストーリー・アーティストの
ブルース・ウッドサイド*が「この歌はベルに向けて歌われるべきだ」と主張し、二人の監督も同意した。
『美女と野獣』は
ポット夫人役の
アンジェラ・ランズベリーが歌った。彼女はこの曲は自分の声質と合っていないのではないかと主張したが、結局ワンテイクで歌いきり、スタジオにいた全員を感動させたという。この日、彼女が乗っていた飛行機に爆弾を仕掛けたという脅迫があって緊急着陸したため、スタジオに着いたのはギリギリの時間だったという。
制作チームは最初のスクリーン・テストで成功を収めた後、病床のアシュマンを見舞ったという。1991年3月14日、公開の18ヶ月前にアシュマンは41歳の若さでこの世を去った。『美女と野獣』の楽曲は完成していたが、『アラジン』の曲は未完であり、いくつかは
ティム・ライスが跡を継いだ。1994年、ミュージカル版『
美女と野獣*』を上演するにあたり、メンケンは「人間に戻りたい」を復活させた。2002年にIMAXで公開した特別編にも追加シーンとしてこの曲を採用している。
キャスト
※IMAX版(スペシャル・エディション)の追加部分にも参加した声優
- 吹替版
- オリジナル版:1992年9月23日公開。※Blu-ray・DVD・旧VHS収録
- IMAX版:2002年1月1日、追加シーンを同一キャストで追録して再公開。※Blu-ray・DVD・新VHS収録
- 翻訳:進藤光太*、訳詞:湯川れい子*、浅利慶太*(追加曲)、演出:山田悦司*
※Blu-ray・DVDでは、オリジナル版とIMAX版がどちらも収録されています。VHSは通常版が『オリジナル版』、スペシャル・リミテッド・エディションは『IMAX版』のみの収録となります。
楽曲
※IMAX版(スペシャル・エディション)で追加された楽曲
最終更新:2022年10月18日 00:14