『ゲーメスト』とは新声社が発行していたアーケードゲーム専門の情報誌。
1986年創刊、1999年9月30日号をもって廃刊。
当時としてはほぼ唯一のアーケードゲームの情報誌で、当初は月刊発行だったが、1994年からは月に2回の発行になった。
全国各地のゲーセンのハイスコア集計が行なわれていた。これは当時『マイコンBASICマガジン』でも行われ勢刀を二分していた。
そのトップスコアラーが編集部に誘われライダーになったケースも。
攻略情報はアクション系・シューティング系ゲームの手書きイラス卜のマップ、敵パターンの記載など丁寧なもの。
格闘ゲームなら各キャラク夕ーの出現コマンドや超必殺技のコマンド、キャラ毎の強さを比較するダイヤグラムも独自に書かれていた。
前述の通り当時唯一のアーケードゲーム情報誌だったためゲーセンに通う人には重宝されていた。たぶん。
担し、攻略を途中で放り投げることも多く、『コンバットライブス』のラスボスについてはあまりの強さに
「難しいけど勝てない相手じゃないぞ!」の一言で済ませ、
『力イザーナックル』の歌ボス
ジェネラルに関してはあまりの強さに
「気合いでなんとか」と投げた。
最盛期には姉妹誌として
『コミックゲーメスト』なんてのも発刊されており、そちらでは『速攻生徒会』『
キャプテンコマンドー』なんかも連載されていた。
当時の刊行状況を見るに、なかなかのシェアを誇り責めていたようであろ。
当初は唯一のアーケ一ドゲームの攻略情報誌ということで一定の需要を得ていたのだが、
やがて当時のアーケード業界の主カだった対戦格闘ゲームブームが下火になっていった影響で、アーケードゲーム業界そのものが危機的な状況に陥ってしまう。
にも関わらず当時流行り出していた
UFOキャッチャーやプリクラなどのアミューズメント関連の記事を掲載せず、
頑なにアーケードゲームの攻略記事しか掲載しなかった事が災いし、急激に発行部数が減少してしまう。
これが新声社の倒産を招く事になってしまい、本誌も1999年9月30日号をもって廃刊となってしまった。
同時に発売予定だった「
KOF99」と「月下の剣士第二幕」の攻略ムックも発売中止となった。
(グーメストムックは演出やグラフィック特集の上巻と攻略特化の下巻の二部構成であることが多かったのが、上巻を出したところで力尽きた)
このゲーメスト、当時から現在に至るまで発行されている数々のゲーム情報誌の中でもひときわ目立ったある特徴を持っていた。
それは、
である。
とにかく誤植が多く、誤植と言えばゲーメストと代名詞的な存在になってしまうほどであった。
その多さは誤植のない号がないと言っていいレべル。誤植撲滅を誓った二行後に誤植したり、「前号の『前号の誤りと訂正』に誤りがありました」なんてことまであつた。
あまりにも酷すぎたためか逆にネタとして定着していき、しまいには自分たちからネタにして「わざと誤植した部分があります!見つけた方にはプレゼントを進呈」という企画をしたこともあった。
ちなみにその企画はあまりの誤植の多さに本来の正解が埋もれてしまい、一番面日い誤植を見つけた読者にプレゼント進呈に変更というなんとも予想通りの結果に終わっている。
もろちん、ゲーメスト編集部も誤植したくてしていたわけではない。
誤植された文章がなぜか笑える文章になってる事もあり、「ライターわざとだろ!?」とも疑がわれたが、本人達は否定している。
などなど、様々な要因が重なった結果として大量の誤植が生まれたのである。
最後期にはワープ口を使うようになり原稿の読違いによる誤植は減った。代わりにタイプミスや変換ミスによる誤植は多発するようになったが。
◆有名な誤植
(正→誤)
- ハンドルを右に → インド人を右に
- ザンギエフのスーパーラリアット → ザンギュラのスーパーウリアッ上
- 確かめてみろ! → 確かみてみろ!
など、ゲーメストを知らなくても日にしたことのある人は多いのではないだろうが。
(※)このザンギュラ~の件ではさすがにライターも怒り、
写植業者に文句をつけようと原稿を見直したらどう見てもザンギュラのスーパーウリアッ上としか読めなかったとかなんとか。
他にも
- レバー+大パンチ → レバー+大ピンチ
- ファイナルブロー → ファイナルゴロー
- しゃがみ大パンチ→ しゃがみ大パンツ
- ジャンプニーキック→ジャンニーキックプ
- サービスエリア・イン・高岡 → サービスエイリアン高岡
- ストリートファイターZERO3 → ZストリートファイターERO3
- ファンタジーゾーン → アァンタジーゾーン
- 鍵盤を示すバーが途中で消える → 鍵盤を示すババーが途中で消える
- 相手の目が慣れてしまう → 相手の目が潰れてしまう
- 餓狼伝説 → 餓死伝説、飢餓伝説
- (ギースの説明にて)おまけに烈風拳飛ばないし → おまえに烈風拳飛ばないし
- JOJO → TOTO
- あしたのジョー → あたしのジョー
- いおりん → おいらん
- いま巷で大人気 → いま港で大人気
- ウルバリン → ウルバクン
- うごきまわれ → うごきままれ
- エリアルレイブ → エリアルレイプ
- キュービー → キューピー
- 三島平八 → 江田島平八
- クイズDNAの反乱 → クイズDANの反乱
- クイズDNAの反乱 → クズDNAの反乱
- サターン → サチーン
- サムライスピリッツ天草降臨 → サムライスピリッツ天草システム
- ショウコがうつ! → ショウコがうっ!
- たろすけ → たすけろ
- ディ〇ニーランド → ディ〇ズニーランド
- ムエタイ戦士 → ムエタイ戦死
- ユリを誘拐した → ユリを誘惑した
- 神のみぞ知る → 神のみそ汁
- 疑似同キャラ → 議事堂キャラ
- 最速でパンチ → 催促でパンチ
- 目押しコンボ → 目白押しコンボ
- 超鋼戦紀キカイオー → 長江仙鬼奇怪王
etc.
誤植以外にも写真とキャプションの説明が間違っていたり(ブレイクスパイラルの説明をしているが写真はカイザーウェイブ)(怒首領蜂の記事見出しに「豪鬼使用コマンド公開!」と無関係のゲーム内容を載せてしまう)、
写真の順番が間違っていたり(コンボを説明し「三段でこの威力!」などと謳っていたが写真では体力が増えていた)、
「満タンからのこの減り!」とか言っておきながら体力ゲージが見切れていたりなどは日常茶飯事だった。
また誤植以外にも、
- 応募者プレゼントの紹介は〇〇ページ!→漫画のページ
- 9月30日発売号のプレゼント応募ハガキの締切が9月30日必着
などインパクトの強い間違いが多かった。
情報誌としては問題だったかもしれないが、現在までネタにされていることからもわかるように愛された雑誌ではあった。
興味が湧いたら是非とも古本屋に足を運び手にとって確かみてみろ!
廃刊後は一部のスタッフが工ンターブレインに移籍しアルカディアを発行していたのだが、そのアルカディアも発刊となってしまった。