GOTH リストカット事件

登録日:2011/09/26(月) 22:41:08
更新日:2023/07/27 Thu 13:59:12
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この世には殺す人間と殺される人間がいる。


僕は前者だ。





『GOTH リストカット事件』は、小説家・乙一による短編集の一つ、またそれを原作とする漫画、映画である。
「ザ・スニーカー」で掲載されていたが、ライトノベルではなく一般小説として発売された。第3回本格ミステリ大賞受賞作。
非常に陰鬱とした雰囲気の作品であり、グロ描写も多い。
そのため苦手な人も多いかもしれないが、乙一作品らしくトリックも上手いため、ミステリ好きにはオススメの作品である。あと夜がかわいい。
漫画版で作画を担当したのは、『NHKにようこそ!』でも作画担当だった大岩ケンヂ。
単行本になったのはこれが初。夜がかわいい。


■あらすじ

人間の暗黒面に強く惹かれる高校生「僕」は、
表面的にはごく普通の少年を装っていたが、身近でおこる猟奇的事件に興味を抱いていた。
ある日、「人間の老若男女問わず手だけ切り落とされる」という事件が発生する。
決して対象を殺さず、あくまでも手だけに執着する犯人に、「僕」は興味を持った。
そして些細なことから事件の犯人を特定できた「僕」は、その犯人を利用し、ある計画を実行する。


■主な登場人物

  • 「僕」
主人公。某名探偵ばりに事件に関わっていく高校生。作者にはアホと言われた。
一応探偵役のポジションだが、おそらく作中一番の危険人物。
一人称が「僕」であり、基本的に彼視点で物語が描かれる。何故か読者に名前を明かそうとしない。
それが最大の伏線であり、この作品そのもののトリックとなっている。
ある事件の犯人が使っていた凶器のナイフセットを勝手に持ち帰り、度々それを「使ってみたい」と思いながら眺めている変態。
趣味は観光(殺人事件の現場巡り)。
これらの異常性は夜以外には隠していて、冗談を言って周囲を笑わせたりもするが、
ほぼ自動運転状態で周囲に話を合わせていて、自分が何を言っているのかすら認識していないことも。
漫画版では厨二ホイホイなバトルシーンを魅せてくれるが、彼自身は厨二病と片付けられる範囲を明らかに逸脱しており、
考え方によっては「隣人にもなり得る」ような超現実の恐怖と言えるかも知れない。

  • 森野夜
「僕」のクラスメイトで、実質ヒロイン。
全身真っ黒(服装的な意味で)で、「まるで夜を人の形にしたよう」である。
長い黒髪と泣きボクロ、リストカットの跡が特徴的。
服や髪の色とは対照的に、肌は雪や陶器を思わせるほどに白い美少女。
しかし他人を寄せ付けないバリアのようなものを放っているため、孤立しているぼっちさんである。よく理科室で読書をしている。
実は「僕」同様に人間の暗黒面に惹かれており、よくスプラッタな写真集を見ているほど。
そのためある事件をきっかけに「僕」と意気投合し、奇妙な付き合いが生まれる。
地図を書くのが下手で、「僕」ですら吐き気を催すほどカオスな図になる。川の中に本屋がある。
また何故か高い頻度で犯罪者に出会い、ほぼ100%の確率で愛されて(?)しまう。
そのためか事件に巻き込まれることが多く、作者にはピーチ姫と例えられた。
漫画版では比較的感情豊かに描かれている。あくまで「比較的」だが。
「僕」に執着されているようである。

  • マスター
夜の行きつけの喫茶店のマスター。
几帳面な性格なのか、ヒゲは丹念に剃ってある。
映画版にも登場する。

「僕」の妹。中学生。
今はボーイッシュなショートヘアだが、以前は夜同様に黒髪ロングだった。
呪われている。さすが「僕」の妹。

  • 少女
「僕」のご近所さん。よくの散歩をしているところを見かける。
犬語翻訳機能搭載。

  • 森野夕
夜の双子の妹。故人。
夜とは違い、ごく普通の女の子だった。

  • 北沢夏海
短編『声 Voice』における、もう一人の語り手。
姉の博子が殺され、犯人と名乗る少年から最後のメッセージを渡される。
漫画版では夜と夕が彼女と博子のポジションを務める為、姉ともども登場しない。

  • 高見
博子を殺したと夏海の前に現れた少年。一人称は「僕」。
夏海は彼が夜と一緒にいるところを目撃し、樹から二人の名前を聞いている。
名前は漫画版で樹が呼びかけたことで判明。

  • 神山樹
夏海の後輩。
サッカー部所属だった爽やかなイケメソ。一人称は「俺」。
夜のことも知っている。
「僕」のことである。

■漫画版

前述のとおり、作画担当は大岩ケンヂ。
基本的に原作の展開に沿っているが、いくつかコミカライズされていない話も存在する。
最終話も原作の上巻最終話と下巻最終話を合わせたような、漫画版オリジナルの展開になっている。
また、若干エロくなっている。
原作者の挨拶で「エロくしてくれて」なる一文が有る。


■映画版

2007年7月にクランクインし、撮影も一ヶ月足らずで終わったが、大人の事情で公開が遅れる。最終的に2008年の年末に公開された。
原作の第一話と上巻最終話を組み合わせたような展開。短いながらも、上手くまとまっている。
また、現在ハリウッド版も企画中である。どうなることやら……。







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最終更新:2023年07月27日 13:59