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長巻

登録日:2009/06/14 Sun 00:13:32
更新日:2026/07/11 Sat 02:01:49
所要時間:約 4 分で読めます





概要

長巻(ながまき)とは日本刀の一種。室町時代に誕生した。中巻とも呼ばれる。

薙刀によく似た武器だが、長巻は分類としては長柄武器では無く刀剣である。

歴史

長巻は長く重い刀身を持つ大太刀・野太刀の操作性を高めるべく刃根元部に握りになるよう巻物を付けた中巻野太刀に端を発している。

この改造から生まれた刀剣は使い勝手が良かったことからか、後に最初から長柄をもった野太刀が登場した。これが長巻の始まりである。

柄は三~四尺(約90~120㎝)くらい、刀身は三尺(約90cm)前後と野太刀よりも幅広で、非常に重い武器になったがその長柄のおかげで野太刀よりも扱い易かった。

戦国時代(日本)には現在の形になり「に慣れない者は長巻を使え」と言われ、長柄武器の補助兵器として長槍隊の後ろに備えて大将の馬廻りについた。長巻術という武術も考案され、中には石突に予備の刃物を取り付けた物も作られた。
なお戦国時代には太刀の柄を後付けで長くした簡易版長巻も多用された。
当然ながらこれは茎が短いので柄の強度に問題はあったが太刀のまま合戦で戦うよりはマシということなのだろう。
柄の茎より先の部分には金属製の環を通したりして補強するなどの工夫はしていたようだ。
太刀の改造品という点ではご先祖様である中巻野太刀への先祖帰りとも言えるかもしれない。
ただしこちらは柄を改造し、中巻野太刀は刀身に握りを追加しているという違いがあるが。

あの豊臣秀吉や上杉景勝などは、自分の軍の中に長巻隊をもっていた。

とはいえ大型刀剣系武器の宿命か、隊列の中では振るいにくく、
集団戦法に不向きゆえに槍のように主流の武器にはならなかった。


由来諸説

元々、戦国の世における日本での最強の近接武器は、長刀(薙刀)だと言われていた。
リーチが長く、とも野太刀ともとれぬ変幻自在の軌道を描く攻撃と、形状が持つ特性故に膂力のない人にも扱い易いその便利さからである。

然し世は戦国。侍と侍とが戦場でかち合う、儀式めいた戦いの前では、「それは女の使う道具だ」と敬遠されてしまう。

確かに長刀の祖は護身用具ではある。使えば強いのに、見栄のせいで使えない、なんと不器用な話しか。


ある時、一人の兵が、戦場で拾ったを見て思った。

「柄が鞘の分、長ければ……」

そして、やってみた。
抜いた鞘の口に、柄の底を無理やりはめ込んだのだ。
不器用にだが、長巻に似る形状。
更に接合部を手ぬぐいで縛れば、もう外れることはない。

結果、いざ戦場似に行く時には刀一本の姿で。
そして戦場では、最強武器(長刀)に似た形状でぶんまわしまくると言う、チキン武器の誕生である。

以上は諸説の一つに過ぎないが、想像すると面白いかも知れない。
もっとも薙刀が女性の武器という認識は明治時代以降の話であり、
戦国時代やそれ以前は対騎兵用の武器として普通に戦場で使われていたし、江戸時代でも薙刀術を学ぶ男性は珍しいものではなかったので、この逸話は明治時代以降の創作と考えられる。
そもそも長巻が成立、普及したのは室町時代なので明らかに時代の流れと矛盾するし。
また、槍や薙刀、長巻などの長柄武器の柄は衝撃が集中するために強度が低いと折れやすい。
そのために実戦用の長柄武器の柄は折れないように樫などの強靭な木材で製作し、さらに長い茎*1で内側から補強する、柄を金属製の輪や頑丈な麻縄で巻いて補強する、といった手間のかかる手法で作られている。
そのため刀の鞘を無理やり柄に突き刺して作った簡易な長巻は実用に耐えうる強度があるとは考えにくい。一部には打撃武器兼用の強靭な鉄鞘もあったとはいえ、一般的な刀の鞘の強度はあまり高い物ではないのだ。
そういうことからも上述の逸話は平和な時代の創作の可能性が高いと言える。
とはいえ、前述の通り、戦国時代には太刀の柄を長いものに換装した簡易の長巻も使われていたので後付けで太刀を長巻化すること自体はそうおかしい話ではない。もっとも強度の低い鞘に無理やり突き刺すという雑なやり方はされていなかっただろうけど。

ちなみに戦国時代やそれ以前の合戦で使われた薙刀は重厚長大でお世辞にも女性向けとは言い難く、
女性向けの薙刀は合戦用の薙刀を軽量小型化したものであり姫薙刀と呼ばれて区別されていた。
そして合戦がなくなった江戸時代に合戦用の大型の薙刀が廃れ、姫薙刀が一般化したことから姫薙刀が普通の薙刀と扱われ、
本来の合戦用の薙刀は大薙刀と呼ばれるようになったのである。

長巻と薙刀の違い

薙刀と長巻はどちらも長い柄に刀状の刀身が付いているという同じような構造からしばしば混同されるが、
構造的にも由来的にも扱い方も明確に異なる武器である。
分かりやすい違いとしては柄と刀身の長さの違いがある。
長巻は柄が90~120cmほどで刀身が90~100cmほどで、全体としては2m前後で柄と刀身がだいたい同じくらい。
いっぽう、薙刀は柄が150~250cmほどで刀身が30~40cmほど、ただし特に大型のものだと刀身が60cmほどのものもある。
つまり長巻は薙刀よりも柄が短く、刀身は長いのだ。
また、柄と刀身の形状にも差があり、長巻の刀身は薙刀の刀身よりも幅広で重厚であり、根元から緩やかに全体的に反っている。柄も緩やかに湾曲しているものが多い。
いっぽう、薙刀の刀身は根元から半ばくらいまではほぼ真っ直ぐで先端で大きく反る傾向がある。
そして柄は真っ直ぐで反りがない。
由来は長巻は大太刀を取扱いやすくするために柄を長く伸ばしたものであり、取扱い方も刀身のすぐ下を持ち、リーチよりも操作性を重視して刀を振るうように扱い、重厚な刀身の重みを活かして威力を出す。反りが緩いことから斬撃と突きの性能が両立している。
つまりあくまでも柄の長い刀なのだ
いっぽう薙刀は槍のようなポールウェポンの一種であり、取扱い方も刀身からだいぶ離れた位置を持ち、リーチを活かして遠心力を駆使して扱い、
深めの反りを活かして撫で切るように使う。時には槍のように柄をしごいて突くこともあるが基本的には斬撃が主となる。*2
薙刀が柄の長さをリーチを伸ばすために活用する武器なら、長巻は柄の長さを操作性を高めるために活用する武器なのである。


創作における長巻

現代における知名度は低く、それに比例してフィクションでもかなりマイナーな武器である。
これは長巻自体の知名度の低さもさることながら、創作においては設定次第で女子供でも大太刀を軽々振るえるため、そもそも膂力不足の解決を長巻に求める必要がないからだろう。
また長巻と言う呼称がマイナー且つ力強さに欠ける為か、フィクションに出てくる長巻状の武器は「薙刀」や「大太刀」扱いされる事が多い。これには両者と見分けがつきにくいという理由もある。
如何に主流で無かったとはいえど、時の権力者に認められ重用されたこと考えると、悲しいほどに廃れてしまったと言えよう。

主力として使っている。

令サムで颯爽と登場したイケメン鎧武者にして長巻使い。
やや振りが遅いが長いリーチと火力を備えた長巻らしい性能を持つ。

敵の参謀格であり重量級の長巻の使い手。
奥義「崩塊斬」は日本刀を叩き斬れたりして普通に強いのだが、相手が主人公サイド最強格の伊織だったのであえなくかませ犬と化した。

武器として登場。こんぼうより強くカタナより弱い。
早くカタナが欲しいところだが、現実はそう甘くない。
特にDS版では魔蝕虫討伐まで武器はこれで我慢せざるを得ないことがザラ。
前述のように大きな武器だが「女性が使った」というイメージからか普通のカタナより弱く、
直感的でないためか近年のシリーズでは「青銅の太刀」に立場を取られる形でリストラされている。
もっとも女性が使ったというイメージは薙刀であり長巻には女性的というイメージは存在しないはずなのだが、
恐らくは形が似ていることから薙刀と長巻が混同されたのだろう。
むしろ実際には刀よりも強力な武器なのだが。

  • 長巻・ナギナタ刀(Kenshi)
長巻が刀カテゴリの武器として登場。
本作の刀は対人ボーナスと引き換えに重装備やロボットが苦手という特徴があるのだが、長巻のみ性能が他の刀と少し異なり、対人ボーナスが無い代わりに対ロボットのマイナス補正もなく、重装備に対する軽減率も低めになっている。
どうしても終盤まで刀を使いたい人は長巻で戦うことになるだろう。ただしモーションは普通の刀と同じなので少し違和感がある。
ナギナタ刀は長柄武器の武器で、刀身:柄がほぼ1:1という長巻に近いデザイン。
こちらは長巻とは逆に「刀カテゴリの特性を持った長柄武器」という性質を持ち、対人ボーナスを持つ代わりに装甲貫通マイナスと対ロボットのマイナス補正を持つ。

ゲルググの武器であるビームナギナタは形状からして長巻のほうが近い。
もっとも長巻も薙刀も決して双頭刃ではないが。

なおビームナギナタそのものではないが、『BB戦士三国伝』に登場する張遼ゲルググの武器「鳳龍双刃刀」の形態の内、ビームナギナタをモチーフとした双頭刃型は「両長巻形態」と明確に長巻(のバリエーション武器)扱いされている。

明らかに長巻状の武器を使っているが、テキストでは刀、長刀という表現をされている。
本人の怪力によって片手で軽々と振り回し、居合いまで使っており長柄の意味は殆ど無い。
彼女は魔法で刀身の形を変えられる為、薙刀や槍、ノコギリ等の長柄武器に変形させる為に柄を長くしているものと思われる。

DLC2に登場するボス、騎士アーロンが所持している武器。名言はされていないが形状からしてほぼ長巻で間違いないだろう。
騎士アーロン自身の俊敏な動きと得物の長い間合いも相まって、DLCボスに恥じぬ大変な強敵となる。
彼を倒した後はその妖刀をプレイヤーが使用することも可能。
プレイヤーの武器としても優れたリーチを持つ強力な武器だが、同作の刀武器共通の弱点として耐久性が低く長期戦には向かず、同じ刀武器のひとつである「物干し竿」のリーチには流石に負けてしまう。
また、この武器独自の特徴として切腹することで強化するという如何にも妖刀らしい行動がある。
実際には刀が耐久力が低いというのは誇張であり、西洋の剣などの強度も刀とは大差なく、刀が壊れるような使い方をすれば西洋の剣も壊れるのだが。



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最終更新:2026年07月11日 02:01

*1 刀身や穂先の根本から柄の中に伸びる鋼鉄の芯

*2 ただし薙刀が合戦の主武器として使われていた鎌倉時代などでは比較的先端の反りが浅く、突きもしやすい薙刀が主流だった。そして薙刀が合戦の主役ではなくなり護身用や局地戦のための武器となると反りが深くなり、突きよりも薙ぎ払いに偏重していった。これは集団戦では突きの性能も重要だったのに対して護身においては薙ぎ払いで広い範囲を牽制する性能が重視されたためと考えられる。