ゴースト(マクロスシリーズ)

登録日:2011/03/06(日) 23:48:25
更新日:2024/03/22 Fri 11:16:14
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Ghost


マクロスシリーズ通して一種の畏怖を以って描かれる無人戦闘機シリーズの総称。


有人機は“人間”という「ナマモノ」のせいで性能に安全性を考慮して、身体限界を超えない程度に制限をしなければならない。
しかも損耗すれば戦力低下、維持には養育費、給料、死亡したら遺族に払う年金…etc.と様々な面で金が掛かる兵器

この対処案が無人戦闘機(ゴースト)、俗に言う「マシン・マキシマム構想」である。

機械的限界(ポテンシャル)を追究した機体から「生命を排除する」ことでコスト問題を解決し、
訓練の必要なく即戦力となり、均質で強力、人間の限界を超えたより高次元の戦闘を実現し、大量に襲い来る容赦の無いキリングマシン。

まさに、肉体から解き放たれた"ゴースト"。 

半自律型が普及しているが、機械的限界までポテンシャルを高めたというだけあって大半は相手にすらならず、
クラン・クラン撃墜に成功しているが、これはQF-4000の体勢が乱れた隙を衝いたからで、ガチでやり合って撃墜するのはごく一部の天才共を除いて困難。

特にエースですら反応しきれない戦闘機動を行う完全自律型AIの搭載が理想だが、ハッキングで乗っ取られたり、自我意識の形成の方向によっては人類に危害を及ぼす危険性があり*1、無線遠隔操作式の場合、2050年代のバジュラのECM攻撃のように無力化される可能性がある。

その反乱したAIに対抗する建前(人間が“そら”を翔けるロマン)を掲げた飛行機バカ(技術屋ども)の努力の結晶こそが、対G限界を超えるためのEX-ギアであり、慣性蓄積コンバーター(ISC)であり、VF-25 メサイアである。


ゴースト撃墜で最も有名なエピソードは、2040年にゴーストが採用される寸前。
マクロスシティに乗り込んだAVF計画テストパイロット2名のうち、ガルド・ゴア・ボーマンはミサイルやガンポッドなど武装をほぼ使い切って消耗したYF-21を駆り、肉体が圧壊する壮絶な機動戦闘の末に単機で刺し違えて撃破し、上層部に有人機の“価値”を叩き付けて撤回させた。
ちなみに機体が万全なら単機でも余裕で撃墜可能と評価されている。もはや伝説を通り越して神話レベルである。

このように、人類最強格のパイロットが、更にシステムサポートなどにより生物的限界を超えなければ、完全自律型ゴーストには及びもつかないのだ。




【主な機体】


◆QF-2200D-A
マクロスゼロに登場。偵察機。
前進翼や推力偏向ノズルを装備している他、偵察機らしくステルス性を考慮した設計となっている。
まだ熱核反応エンジンが完成していない時期に運用されていたためジェットエンジンを使用しており、運用は大気圏内に限られる。


◆QF-2200D-B
上述のゴースト1機を丸々推進剤とするアホみたいな追加装備「ゴーストブースター」に使用された魔改造仕様。
ステルス性能をかなぐり捨て、余剰推力を頼りにミサイルポッドと追加燃料タンクを兎に角積めるだけ積んだ決戦仕様でもあり、
ツインブースター装備のSV-51に肉薄する推力と火力を得た。

本来の使用用途から大きく逸脱したオーバーチューンを施し、強引に機体に背負って接続しているため挙動の把握が困難。
調整もヘッタクレもない状況で調達した装備のため、ミサイルを撃つだけで機体バランスが変動してしまうじゃじゃ馬である。
VF-0 フェニックスに装備するために空母アスカで急遽改造されたため、厳密には存在しない型となっている。


◆QF-3000E
超時空要塞マクロスに登場した、記念すべきシリーズ初のゴースト。
地味に第一話から出撃シーンが映り、「ゴースト隊は~」と台詞にも名が出てたりするのだが、まともな活躍シーンが無いに等しい為、覚えている人はあまりいない。
おかげでゴーストの初出を下記のマクロスプラスだと思っている人もいる始末。

熱核反応エンジンを搭載し、大気圏内外での全領域活動が可能になった。
当初は統合軍の主力となることが期待されたが、AI技術が未熟で期待通りの性能を発揮出来ず、役割はバルキリー部隊の露払い等に留まった。


◆X-9
通称:ゴーストバード
マクロスプラスに登場。「究極の戦闘機」をコンセプトに【マクロスコンツェルン】が開発した完全自律型ゴースト。シャロン・アップルのデータを参考にしたAIが搭載されている。
マージ・グルドアが構築したそのシステムは仮想空間の中で生物の自我、無意識のレベルを完全にエミュレートするというもので、人工知能の一つの完成型。
無人機でありながら人間と同様の閃き、群を抜いた反応速度を有する怪物。

YF-19、YF-21を差し置いて新統合軍の時期主力戦闘機に内定。
第一次星間戦争終結30周年記念式典でお披露目され、有人機を過去の遺物にする筈だったが、AIの元であるシャロンが暴走を開始。
X-9も乗っ取られその前の戦闘(じゃれ合い)で消耗したYF-19、YF-21を襲撃するも、
リミッターを解除した状態であるハイ・マニューバ・モードを解放したYF-21の特攻によって撃墜された。

一連の「シャロン・アップル事件」の煽りを受けて、事件の隠蔽と共に本機の主力機内定は取り消し、完全自律型AIの研究開発も禁止され、
内定取り消しに伴い空座となった次期主力機の座はVF-19 エクスカリバーが受け持つことになった。

A.C.E.3にも登場し、最高難易度になると一部の機体では詰んでるほどの変態機動でフルボッコにしてくる。下手にドッグファイトに持ち込むとあっという間に撃墜される。
因みにシミュレーションではフォッカーが撃墜されたらしい(一条輝談)

スパロボでも案の定大暴れしており、他作品でもアムロですら当てるのに一苦労という脅威の回避率を見せてくる。
ちなみに攻撃を当てるという1点においてバルキリー乗りで一番ゴーストとの相性がいいのは、
輝でもフォッカーでもマックスでもミリアでもイサムでもガルドですらなく、必中で命中率100%に出来る柿崎
まぁ、序盤のマクロスプラスシナリオだと必中覚えてないからどうしようもないんだけどな…


◆AIF-9B
マクロスVF-X2に登場。見た目はまんまX-9。
シャロン・アップル事件から時を経て、実戦配備が始まろうとしていた。明言はされていないが、おそらく半自律型。
マクロスFの時代には後述の後継機達がいる為、退役した様だが。


◆AIF-7S
マクロスFに登場。半自律型ゴースト。
自律行動をある程度抑制することで、晴れて制式・量産化に至った。
同時期の主力有人機VF-171 ナイトメアプラスより遥かに高性能でありながら、製造・運用コストはその1/3以下という破格の安さ。
そのため実質的な新統合軍主力機となっている。
これが戦場の主役になったことで有人機に要求されるスペックは下がり、ナイトメアプラスは生存性が重視された結果スペックは全世代機よりやや下がっている。
運用は母艦からの遠隔操作、AIとプログラムによる自律機能を複合した半自動式によって行われており、外部からの通信が途絶えてもある程度の継続戦闘が可能。


ただし、本編では落とされる事安請け合い。
マクロスΔの小説版でもホイホイ落とされていた。


◆QF-4000
ルカ・アンジェローニが従える三機の改良型AIF-7S。愛称はそれぞれシモン、ヨハネ、ペテロ。
バジュラのECM攻撃に対処するため、最新式のフォールド通信システムを搭載して試験運用している。
L.A.I技研が秘密裏に回収・改良したX-9のAI「ユダ・システム(SYSYTEM-JUDAH)」が封印されており、解放されると完全自律状態へ移行。
V-9すら凌駕する驚異的な性能を発揮する。ただ、基礎システムについてはマージの理論が理解できず解析不能だったため、ブラックボックス化してそのまま積んでいる。
娘ドラには人格が付与されたAIが三機登場。名前はアルトミシェル、ナナセ。
これは本人が言うには「ユダ・システムを使うときに備えた抑止力」らしいが、明らかに違う使われ方をしている。


◆AIF-9V
通称:V-9
Fに登場。2050年代における最高性能を追求した完全自律型ゴースト。
勿論スペックは驚異的なもので、0-MAX-0の急加速・急停止が可能な上、その軌道は鋭角を描く。本当に戦闘機?
あまりのヤバさに故にBC兵器と同義とされ、カウンターテロ以外では使ってはならないことになっている。
新統合軍も配備を認めておらず、公的には技術実証機として扱われている。

まあ鬼畜外道を地で行くギャラクシー船団がそんな約束事を守る筈もなく、
最終決戦にてバトル・ギャラクシーから凄まじい速度で大量に射出され、フロンティア船団を一方的に蹂躙していった。
中枢モジュールはX-9の模倣発展型。そのため純正発展型であるユダ・システムを解放したQF-4000には敵わずフルボッコにされていた。

サヨナラノツバサにも最終局面でVF-27 ルシファーを駆るブレラ・スターンに率いられ3機が登場。
しかし、YF-29 デュランダルを駆る早乙女アルトに攻撃を全て回避された上に、叩き墜とされてしまった。

小説版によると、他にも大量に投入され応援部隊を襲撃していた模様。
本文中だと「ルカなどRVF-25隊がジャミングかけながらミサイルをぶち込めばかろうじて撃墜可能」という強敵レベル。
が、イサム・アルヴァ・ダイソンによって数多くが「ミサイルすら使わず瞬殺」されてしまった。V-9ェ……
VF-27とのバトルはちゃんとどんな操縦したか書かれてたのに、ゴーストは素の文でしれっと撃墜されていた。もうやだこの天才。
この時はマクロス7船団の最強夫妻も参戦していたので、そちらにもスコアを献上する羽目になったと思われる。


◆リルドラケン
マクロスΔ』に登場。2060年代後半においてウィンダミア王国空中騎士団が運用する無人支援戦闘機。
機体はかなり小型で有人機との共同運用に終始していたなど、他のゴーストとは性格が異なる。
普段はSv-262の主翼端に接続されてブースターや増加装甲としても機能する。
分離の際はアクティブジャミングを併用して分身したかのように見せかける、有人機を守る盾として扱うなど多様な使い方ができる。
TVシリーズにおいてはΔ小隊のエースパイロットであるメッサー・イーレフェルトの撃墜に貢献するなど、その汎用性を見せつけている。
劇場版の時系列においては、銀河標準規格のおかげでVF-31を母機としても運用可能なことが判明した。

ウィンダミアの場合、
  • 新統合政府と対立しているのでシャロン・アップルのような高度なAI技術を入手/開発できない
  • ウィンダミア人の身体能力は地球人のそれを上回るので有人機とゴーストの性能差が小さい

といった理由から、V9のような機動力と低コストで有人機を凌駕するタイプのゴーストを導入する理由に乏しかった可能性が考えられる。
作中頻繁に撃墜される印象があるが、交戦したVF-31はISCやEXギアが標準装備であること、そもそもV9とは性格が異なる機体であることに注意。


◆Sv-303 ヴィヴァスヴァット
劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』に登場。こちらもゴーストとしては型破りな機体。
svナンバーが付いていることからもわかるように、無人化されたバルキリーといった方が正確であり、3段変形に加えて”第4のモード”を持つ。
またゴーストでありながら、更に子機とも言えるゴーストを出すことができる。

シャロン・アップルの発展システムを利用した「セイレーンシステム」によって制御されており、
しかもフォールドウェーブシステムに対応していることもあり、エース級のバルキリー乗りが複数いるも同然の状態で、
停戦が成立したウィンダミアを強襲して空中騎士団のSv-262・Δ小隊のVF-31を纏めて一方的に押しまくり、ゴーストの恐ろしさを改めて知らしめた。

…なお、ただの天才の前ではやられ役に徹するしかなかった。もうやだこの世界のエースパイロットども


◆スーパーゴースト
同じく『絶対LIVE!!!!!!』に登場。厳密に言えば「スーパーパックをつけているゴースト」という扱いである。
ケイオスが所有しており、カイロスプラスに搭乗したΔ小隊が仮想ヴィヴァスヴァットとして相手取った。
ヴィヴァスヴァットの戦闘データが反映され、60%の性能発揮でΔ小隊を翻弄していた。

その後の最終決戦でも何機かが参戦しており、終盤さらなる見せ場が披露される。




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最終更新:2024年03月22日 11:16

*1 ゴーストX-9は採用寸前にまで至りながら、内定取消しとなった