スレイヤー問わず語り(ドラマCD)

登録日:2011/03/23 Wed 03:01:04
更新日:2025/01/22 Wed 23:00:22
所要時間:約 12 分で読めます




ようこそ私の書庫へ

私の名はスレイヤー

君たちが言うところの、吸血鬼というものだ



概要

スレイヤー問わず語りとは、GGXXシリーズのドラマCDのショートストーリーである。
2004年に発売した、アサシン組織とそれに組する者達にスポット当てたドラマCD「ナイト・オブ・ナイブズ」のVol.1~3に収録されており、ロボカイ編、アバ編、アクセル編の3作品が出ている。
ストーリーはそれぞれ30~40分くらい。
本編の時系列的に見て、GUILTY GEAR ISUKA~GUILTY GEAR XX SLASH、∧ COREの間の話のようである。

スレイヤーが自宅を訪れた友人に昔話を話すという形でストーリーは展開される。
ゲーム本編ではまず見られないスレイヤーの一面や他の登場人物との関わり等、家弓家正氏をはじめとする声優陣の熱演もあってストーリーの評価はかなり高い。ドラマCDのメインでもある「ナイト・オブ・ナイブズ」の話よりも好きという人もいるほど。
スレイヤーファンだけでなく、ギルティギアシリーズをプレイしている、過去にプレイしていた人にも必聴な内容である。

ちなみに問わず語りとは、「人から聞かれていないのに自分から語り出すこと」という意味。

主な登場人物

ご存じダンディズムな吸血鬼。全話における主人公でもある。
訪ねてきた「友人」に対し、自身の過去の話の問わず語りを披露する。
妻のシャロンは登場せず(あるいはいるけど喋ってないだけ?)、友人に対し飲み物を出す等のもてなしは彼自身が行っている。
語る内容は中の人のどことなく温かみのある声も合わさって、まるで絵本を読んでもらっているかのような感覚に陥ることも。

しかしいざ戦いとなるとゲーム本編と同様、作中最強クラスの拳を振るう。流石に女性相手となると若干のためらいはあるようだが。
そして場合によっては相手に容赦のない言葉を投げかけることも。

あと話の締めには俳句を詠むことが多い。ゲームで見るようなトンチキな内容ではないが、どことなくちょっと変

  • 友人
作中でスレイヤーが話をし、語っている相手。容姿がわからないのは当然として、作中で全く喋らない*1ので名前等含めどんな人物なのかは全くの不明。多分女性ではないと思われる。シャロンが黙ってないだろうし。
彼の書庫に偶然迷い込んだところを珍しいと見定められたのが最初の出会い。
人に話すということに楽しさを覚えたスレイヤーは、友人に話すものを何にするかあれこれ考えているらしい。

※各エピソードの若干のネタバレも含みますのでご注意下さい。


ロボカイ編


「ナイト・オブ・ナイブズVol.1」に収録されている。

【あらすじ】

君は…人形に魂が宿ることが、ありえると思うかい?

時は聖戦が終わって少し後。禁断の古文書「子供の科学 夏休みの実験」に書かれた3種の神器、亜鉛・銅・ミカンを求めるロボカイ。3種のうち2種を手に入れ残るミカンを求める旅先、ロボカイは量産型ロボカイに出会う。

ロボカイと量産型との掛け合いを中心に描かれており、ラストは感動的。スレイヤーはむしろ空気…というかほぼナレーション役。それとカイは空気を読め。

因みに声優や作中の台詞から、このロボカイはMk-2であると思われる。

登場人物

ご存じカイ=キスクを模して作られた機械人形。この話のメインキャラ。人を模したが故に人以上に人らしい、あるいはわざとらしい程に人らしい人形
シリアルナンバー0 タコヤロウ 
無限のエネルギーが得られる(と本人は思っている)三種の神器を記した禁断の古文書「子供の科学 夏休みの実験」を偶然手にし、記された三種の神器を求めて各地を奔走する。この世界では既に存在していない国、“日本”の古い書物とされているので古文書であることに違いはないのかもしれないが…。

人間ではないので当初は特に見向きもされなかったのだが、人が造り人を模した存在であること、そして何より彼の人間を超えたアグレッシブさがスレイヤーの興味を惹きつけたのだった。

芋面の暴君女のような男国土を持たない国家権力に組した巨漢野郎と戦った経験から彼らの一部の技をラーニングしている。ちなみに首が3つある女との戦闘はかなりヤバかったらしい。ついで言うと芋面相手にはボコられた疑惑あり。

三種の神器の最後の一つ、ミカンを求めて未だ聖戦の傷跡の残る廃墟を訪れた際、量産型と運命的な出会いを果たす。
量産型との出会いや交わしたやり取り、この時の出来事が後の作品の彼に影響を及ぼしたと思われる描写も…。

  • 量産型ロボカイ
ロボカイが偶然出会った自身にそっくりな人物?任務の遂行を第一とした、機械的なまでに忠実な人形
シリアルナンバー000348 ハゲ オタンチン・パレオロガス*2
データのスキャンは紙に手書きして読み取るタイプ。

出会った時点でかなり損傷しており、ここに至るまでに装飾を気に入ったと戦いを挑んできたクジラを使ってくる海賊の小娘にボコボコされ、その後自身のボディを中華鍋にすると言ってきた娘に襲われ(幸いボディは無事)、さらにその後オリジナルであるカイを遭遇し戦うもボロ負けし全パーツ破損してしまうという散々な憂き目に遭っていた。*3
それらのこともあってロボカイからはダメダメのダメとボロクソにこき下ろされたが、量産型の本来の目的がシリアルナンバー0である自身の捕獲・連行と聞いて驚愕する。
襲い掛かるも(オリジナルと同じ戦法の開幕足払いで)軽くあしらわれた後、ナンバー0の持つ禁断の古文書に興味を持ち、最後の一つであるミカンを求め歩く彼の旅に同行してくる。
小学校低学年ばりの罵倒合戦からしりとりに発展したり、一緒に雨宿りする等(スレイヤー曰く)見ていて飽きない様を沢山見せてくれる。

「キサマに合わせて歩くつもりもないし、途中で力尽きても助けるつもりなんて無い。」とロボカイは言っていたが…

ご存じギルティギアシリーズの主人公の一人。駄目オリジナル
回想にて、不愉快で面妖な面構えな量産型を怒り心頭のままボコボコにした。
話の終盤にロボカイの前に現れ、彼のことを取り逃がした量産型だと誤解し今度こそ捕らえる為に戦いを挑んでくる。
“ある言葉”に動揺したロボカイに問答無用で覚醒技をぶっぱする彼はマジもんのKY。でも最後の最後では空気を読む。


アバ編


「ナイト・オブ・ナイブズVol.2」に収録されている。

【あらすじ】

グラスはグラス、器にすぎない

だが、“たった一つの言葉”によって、忌まわしい“死”そのものへと(へん)じる

そしてまた“一つの言葉”で、死神は盃へとその姿を変える

時は20と5年前、まだ人間とギアが争っていた頃…スレイヤーが戦場を渡り歩いていると、巨大な斧を持った1人の兵士と出会う。しかしその兵士は手に持った意思を持つ斧「フラメント・ナーゲル」に操られていた。フラメント・ナーゲルを下したのちスレイヤーは戦場を後にする。
長い時が経ち…彼はふとあの斧のことを思い出していた。そんな時町へ繰り出してみると、ホムンクルスのアバとアバに夫「パラケルス」と呼ばれるフラメント・ナーゲルと出会うのであった。

アバとパラケルスの漫才は見ていて微笑ましい。

登場人物

  • フラメント・ナーゲル/パラケルス
ISUKAより初登場した自我を持った魔器。
聖戦のさなか、名もなき兵士を乗っ取り戦場で暴れていたところをスレイヤーと遭遇、襲い掛かるも軽くいなされパイルバンカーの一撃で倒されてしまう。
その後、戦場で放置されていたところをアバに拾われたはいいものの、戦いとは無縁な生活に辟易していた。が、ある日スレイヤーと偶然再会し、最初はフラメント・ナーゲルではないと言い張っていたものの、(アバから一方的に)夫婦になったという話を聞いて立ち去ろうとする彼を見て、再び戦いの生活に戻ろうと画策し正体を明かして付いていこうとする。
アバのことは只管迷惑でうんざりする女性だと思っているようだが…?
この話の主役的な存在であり、なおかつツンデレ属性持ち。パラケルスかわいいよパラケルス。

ちなみにこのドラマCDでは、声は龍谷修武氏が演じている。スレイヤーに低姿勢だったり、アバと漫才する時の声色はどことなくどっかの名族っぽい。

家庭用ISUKAで初参戦したホムンクルス。ドラマCDの関係上、ゲーム本編よりもよく喋る。
フラメント・ナーゲルをパラケルスと名付け、人のカラダを手に入れる(争いとは無縁の)旅の途中でスレイヤーと遭遇する。ちなみにパラケルスのことを斧ではなく鍵、“未来を照らす鍵”とも呼んでいる。

パラケルスがスレイヤーに付いていこうとするところを見て*4、夫を取られると憤慨しスレイヤーに戦いを挑む。しかしゲーム本編でいう通常モード(素手のみ)で攻撃するも全く相手にならず、高い授業料と言わんばかりに彼から叩きのめされてしまう。そしてハンデとして武器を使ってもいいと言われ、困り果てていたところにパラケルスが名乗り出てきて…!
この時の戦闘が夫婦二人の初戦闘、かつ諸刃モードの初披露でもある。*5

余談だが、次回作のSLASHにてアバでアーケードモードを進めると9人目がスレイヤーになるのはドラマCDの影響とのこと。さらにこの話はゲーム本編のAC+とも繋がっており前日談でもあることから、あちらのストーリーモードで顔見知りなのはそれが理由。


アクセル編


「ナイト・オブ・ナイブズVol.3」に収録されている。

【あらすじ】

訪れた友人はふと二人の人物が描かれた肖像画が目に留まる。一人はスレイヤー、もう一人は腰から下が描かれていない青年。別に画家の手抜きというわけではなく、これには理由があるようで…。そのことからスレイヤーはこの絵にまつわる話をすることに。

君は、誰かを裏切ったことがあるかね?

あるいは、かけがえのない友に裏切られたことは…?

時はまだ聖戦が続いていた頃、スレイヤーが5年に1度訪れることにしているニューデリーの酒場に赴き*6、その店の主人チャーリーや彼の幼い娘パノニカと談笑していた時、突然ポーランドのワルシャワからタイムスリップしてきたアクセルに出会う。
これは永い時を生きる吸血鬼と、過去や未来を行き来する青年との“友情”と“裏切り”の話

スレイヤーとアクセルの友情を深く描いたストーリーであり、アクセルのタイムスリップ体質をうまく生かした作品である。また、ダンディズムに富んだスレイヤーを見ることができる。


登場人物

ご存じ20世紀のロンドンからやってきたタイムスリッパ―。
ポーランドの雪の降りしきる中でギアと戦闘し、これを倒したはいいものの猛吹雪に見舞われてしまい危うく凍死しそうなところで時空転移し、スレイヤーのいるニューデリーにやってきた。
アクセル本人は既にスレイヤーとは顔見知りで、「スレイヤーの旦那」と呼んでいたが、再会した時代では彼とまだ出会っていない過去の世界だった為に困惑されてしまう。
雪とは無縁のニューデリーで凍えながら酒場にやってきたことや自分のことを知っているということから、スレイヤーは彼に興味を抱き、食事に誘うのだった。20世紀のロンドンから来たという突拍子もない話や(この時代の)お金を持ってないので貸しにしてくれということから彼を最初は詐欺師ではないかと疑っていたが、ここから二人の長い時と駆ける友情が始まる。

この出来事から彼の時間でわずか5日後、船から落ちた子供を助ける為に海に飛び込み、無事助けたはいいものの直後に時空転移してしまい、10年後のスレイヤーが訪れていたあのニューデリーの酒場にずぶ濡れの状態でやってくる。
時空転移すると、どの時代でも知り合いに出会うことが多いような気がするというアクセルの言葉に対し、スレイヤーは「特定の人物を念じて飛べば、ある程度時間や場所を指定出来るのではないか?」という見解を示す。それなら恋人の待つ20世紀に帰れるはずだと半信半疑ではあったものの、これが後の作品における伏線になっている。

そしてそれからさらに時が経った頃、スレイヤーが訪れていた酒場に血相を変えて飛び込んで来る。その理由は……

  • パノニカ
CV:疋田由香里
アクセル編で登場するドラマCDオリジナルキャラクター。
スレイヤーが5年に1度訪れるニューデリーにある小さな村の酒場の娘。産まれて間もない時にスレイヤーと会っており、5歳になった頃に再会する。*7
そして10年後には酒場の看板娘として働き、さらに時が経ち父親のチャーリーが亡くなってからはまだ若いながらも女将として酒場を一人で切り盛りしている。酒造りも父に劣っておらず、スレイヤーは5年に1度この店のウイスキーを嗜むことを楽しみにしている。

幼女、少女、成人時代と三段階共に疋田氏がしっかり演じ分けている。声優って凄い。

ちなみに冒頭の肖像画は彼女が15歳の時に描いたもの。描き切る前にアクセルが時空転移で消えてしまったので、彼の腰から下が描かれていないのはその為である。

パノニカの村は、小さな村ではあるもののギアの襲撃も無く戦争とは無縁なので、彼女はこの村に生まれたことに感謝していた。


追記・修正は問わず語りを聞きながらお願いします

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最終更新:2025年01月22日 23:00

*1 言葉は発しているのだが、内容をスレイヤーが「〇〇だって?」という聞き返す形で話を進めている。

*2 おたんちんは、江戸時代の俗語で「バカ」や「マヌケ」の意味。これに東ローマ帝国最後の皇帝「コンスタンチン・パレオロガス」を掛け合わせたシャレ。夏目漱石の著書「吾輩は猫である」の中でも実際にこの単語が登場しており、バカだなぁという意味合いで使われている。

*3 本人曰く相手は人間以上の人間達だったというが、どいつもこいつも相手が悪すぎる…。

*4 当然スレイヤーは必要ないと拒否していたのだが。

*5 ちなみにバックで流れる戦闘BGMは、「Quicksilver」。ISUKAでの彼女のステージの曲でもある。

*6 何故5年に1度なのかと友人が聞いたところ、容姿が全く変わらない自分が常連客として頻繁に訪れていたら不気味がられてしまい、折角の酒が楽しめなくなる為らしい。

*7 この時のスレイヤーはまるで孫と触れ合うお爺ちゃんみたいな感じである。

*8 この土地にも聖騎士団は勿論いるのだが、この時ニューデリー国境に現れた大型種の対処に回っており、別動隊のこちらには来れなかったという。