登録日:2011/11/11 Fri 11:56:09
更新日:2025/04/17 Thu 14:30:58
所要時間:俺は、この項目が約 48 分で読めると信じている!
だって、師匠が言ったんだ…。そうだ、師匠がやれって!こんなことになるなんて知らなかった!誰も教えてくれなかっただろっ!
俺は悪くねぇっ!俺は悪くねぇっ!!
…大佐?
…船橋に戻ります。ここにいると、馬鹿な発言に苛々させられる
なんだよ!俺はアクゼリュスを助けようとしたんだぞ!
変わってしまいましたのね…記憶を失ってからのあなたは、まるで別人ですわ…
お、おまえらだって何もできなかったじゃないか!俺ばっか責めるな!
あなたの言うとおりです、僕は無力だ。だけど…
イオン様!こんなサイテーな奴、ほっといた方がいいです
わ、悪いのは師匠だ!俺は悪くないぞ!なあ、ガイ、そうだろ!?
ルーク…あんまり幻滅させないでくれ…
少しはいいところもあるって思ってたのに…私が馬鹿だった
……ど、どうしてだよ!どうしてみんな俺を責めるんだ!
ご主人様…元気出してですの...
だ、だまれ!おまえに何がわかる!
ボクも…ボクのせいで仲間たくさん死んでしまったから…だからご主人様の気持ち、わかるですの…
おまえなんかと一緒にするな!おまえなんかと…うぅ…
概要
俺は悪くねぇっ!とは、『
テイルズ オブ ジ アビス』の主人公
ルークが
ヴァンに騙された末に瘴気に冒されていたアクゼリュスという鉱山都市を住民や滞在していた騎士兵士など多くの人間もろとも崩壊させてしまった後、
地下世界である魔界(クリフォト)の瘴気の海に浮かぶタルタロス(陸上装甲艦)の甲板でパーティメンバーから無言の圧力をかけられ、それに耐えかねて放った台詞の一部。
そして、冒頭に書かれてある流れの通り、
(イオンとミュウ以外の)パーティーメンバーほぼ全員からとある特撮組織みたいにボロボロに暴言を吐かれた挙句見捨てられるのである…
ルークは何故見捨てられた
親善大使という大役を請け負った割には威張るばかりで大した実績もなく、ヴァンに何を聞き齧ったかは知らないがそれを自分で学習する様子もなく、ヴァンが裏切った後は震え上がって自分の弁解ばかり……
まあ、有り体に言えば無責任な振る舞いの数々が積み重なった結果である。
仲間側が怒った最大の理由も「自分がやった事への向き合い方」の方であり、後のあるサブイベントにおけるジェイドの、
「
叱ったのは、あなたがアクゼリュスを崩落させたからではありませんよ。言い訳ばかりで、反省の一つもせず、思考停止したことを叱ったんです。(原文ママ)」と言う台詞からも見てとれる。
(特にジェイドの場合は自分が元凶である認識があり、ルークの過ちが嘗ての
恩師に関係する自分の過ちを思い出させるためにイライラしたというのが大きい。
イベント当時のルークから見ればジェイドの過去などそれこそ知ったことではないし、それを世間では八つ当たりとも言うのだが)
ただし、彼を非難した最大の原因をちゃんと説明する人が居なかった上に、
特にジェイドとアニスは彼が態度を改めた後も彼をネチネチ邪険にしたりと明確に悪辣な態度を取り、断髪した彼の理解者とされるティアとガイもルークの表面的に卑屈な態度を叱咤するだけで終わりがち、ガイに至っては心配面を気取りながら上から目線&的外れな物言いでルークの性分を憂う始末だったためルークは完全に誤解してしまっており、もし上記のサブイベントを起こしていなかったらずっと誤解したままエンディングを迎える羽目にすらなってしまう。
…というか「アクゼリュスを崩落させた事そのもの」も実際に責められている。
他の仲間からもその後の台詞の節々から、(
後述の通り仲間たちにも責任やルーク以上のやらかしがあるというのに
)こちらの理由でも責められていることは疑いようが無い。
それどころかルークの態度が変わったことで、仲間達からの話題や態度の比率からもむしろこちらの方で延々と責めている状況ですらある。
また「俺は悪くねぇっ!」の文だけを見ると伝わりにくいが、この後に続く「俺ばっか責めるな」や、前後の台詞や態度を踏まえると、本人も無責任に開き直るつもりだったわけではない。
さらにフォローすると、少なくともアクゼリュス崩落の件に限っては、
冒頭のルークの訴えの数々は実は何も間違ってはいない。
前提として一番悪いのは、何も知り得ないルークに悪意を持って幾重の嘘を吹き込んだ上、最後は暗示によって虐殺を強制させたヴァン。
世界観の関係上自分が何をしようとしていたのか理解出来る立場になく、暗示により意識を奪われたルークには、客観的に考えると負うべき罪どころか、とれる責任すらも本来ない。
無論、本人の口から「本当に自分は悪くない!」も断じて褒められた発言ではないが、想定の真逆に陥った事態の深刻さを突き付けられた上、仲間から無言で非難された状況だったため、本気で想定外だった彼の心情を考えると無理のない発言でもある。
ちなみにルークが師匠に騙されたというのは、この直前のルークの訴えや彼の生い立ちなどから全員が理解・承知している。
元々敵兵士や盗賊への反撃にすら強く躊躇う場面も何度も見て来たので、他人に威張りはしても(たとえ師匠に命令されても)自分から虐殺に加担する気を起こす人物ではないという位も少なくとも分かっていただろう。
それならもうちょっと位話を聞いてやれよ…とも言いたくなるが、流石に具体的にどう騙されたのかまでは知らなかったようで「どうせ都合の良い作り話に飛びついたんでしょ?」程度の認識だったと思われる。
ルークは本当に悪くなかったのでは…?
さて、このルークの行動はさっきも言った様に口応え自体が許されないと考える人もいるかもしれないが、冷静に事情を考えてみると純粋に同情・擁護できる点も多い。例えば…
- 幼い頃から信頼していた人物に「お前の超振動を上手く使えば瘴気が中和できて町の住民を救える」と騙され、
いざ実行してみれば起こしてしまったのは真逆の大量虐殺+目の前で生きたまま泥海に沈んでいく子供の姿まで見せられ、仲間たちから圧をかけられる恐怖に負けて思わず言ってしまった事には同情の余地がある。また、見放された後泣き崩れている事、後の彼の台詞から彼も「直前まで嬉々として協力していた」自覚と「万死に値する何か恐ろしい事件に関わってしまった」罪悪感を抱いた上での言い訳であることが分かる。
また、機械的に謝罪して適当にやり過ごそうとしたり、どうせ誰も信じてくれないからと開き直る位なら、事の重大さを自覚した上で不服な点を素直に主張しようとするだけまだ建設的な反応である。
投げやりに罪を認めるような受け答えをすれば、最悪その場でジェイド辺りにテロリスト同然に断罪(実際彼ならやりかねない)される可能性も有り得たので、尚更不本意と強調したくもなる。- 実際、本人は後のシナリオで「俺は悪くねぇっ!」という発言について「責任を認めるのが怖かった。認めたら自らの大罪に向き合わなければならないって。」と述べている。
- 「仲間にまともな配慮もせず独断で裏技を試したツケ」などの意見もあるが、これは内緒話を聞いていない人物の視点であり、プレイヤーはメタな視点として見えている以上「ルークの葛藤が伝わらなくて当然」という解釈はできない。
- そもそもルークも単に楽がしたいとか権勢欲などでヴァンの口車に乗ったわけではなく、本人の境遇と元々記憶が無いのをいいことに、事前に信頼しているヴァンから尤もらしい(しかも半分脅しに近い)内容の嘘を念入りに聞かされ、寧ろ暗い結末を信じ込んで焦ってすらいた。ヴァンに従ったのも「人助けや世界を救うために役に立つ」というあくまで善意からであり、ダメ押しに『同行メンバー全員(特にキムラスカ関係)が立場上疑わしく、下手な段階で知られたらお前をダアトに逃がせなくなるから直前まで打ち明けるな』とも更に不安を煽られた為、ルーク視点ではとてもではないが断ったり、唯でさえ険悪気味な当時のメンバーに素直に相談できるような内容や状況ではない。ヴァンの真偽を確認できる相手もおらず、「実はガイなら少し知っていた」など当時のルークが気付く筈もない。その結果として騙されて使い捨てられた結末は純粋に運がなかったとしか言いようがない。
- 『いや、それでも超振動が絡む以上どうなるかくらい調べるなり考えることは出来ただろ?』という反論もあるが、超振動は極めて難解な現象であり、ヴァンとの密会から旅立ちまで急き立てられながら学習する事は不可能である。加えて彼は『瘴気を中和する手段』としてしか知らされていないのだ。仮に仲間に「超振動で瘴気が消せるのか?」と訊ねたところで、現実味の無い事態&それまでのやりとりから一笑に付されたり馬鹿なことを考えるなと叱咤されるだけなのは想像に難くない。そもそもの破壊対象だったパッセージリングやその部屋であるセフィロト自体が世界最高機密なのでなおさらルークの立場では調べようがなかった(セフィロトに行くこと自体伏せられていたが)。
- ゆえに、ヴァンの甘言の真相にたどり着くための情報や手がかり自体があまりにも無さすぎて、仮に疑問を持ったところでどうにもならない状況だった。周りに聞いても出し渋ってほとんど教えてくれない(主にティア、ジェイド、イオン)と愚痴を零し、一番親身に思えた人物には騙されていたのだから、流石に不憫と言わざるをえない。
- あくまでたらればの話となるが、仮にヴァンの計画をティアやイオンに相談したとしても、最高機密の塊のような界隈なだけに彼を納得させられるような真相はまともに話してもらえなかった可能性が高い。ローレライ教団には「人の死が絡む預言(秘預言)は民衆には絶対公表しない」掟がある以上、ヴァンの嘘は見抜いても真実をルークに伝える手段が無いので二重に詰んでいる。
- 流石に世界の事実を知らない一般人に地面が丸ごと制御装置で宙に浮いているなどを想像する方が無理だが、素人が突然町の地下に封印されていた巨大なオーパーツを見せられて不安を感じたからこそ(自称)専門家に任せたとしてもおかしな話ではない。そこで装置に向けて超振動を使えと言われれば多少躊躇いはすれど、ジェイドのように相当な知識人かつ冷徹な人間でもない限り「もし暴発したら町ごと巻き込む大惨事になりませんか?」なんてはっきりと反論できる人もまずいない。
生まれた時から軟禁生活により知識や社会経験自体が圧倒的に不足し、徹頭徹尾訳が分からないまま唯一信じ頼れる人間に縋らざるを得なかった当時のルークでは尚更無理だろう。
- そんなこんなで疑問の余地なしに完璧に従わせた挙句、繰り返しになるが最終的には未知の力に戸惑う素振りを見せるもすかさず暗示をかけられ意識混濁になり強制的に超振動を発動させられている。
この暗示自体は序盤にも彼の超振動の暴走阻止の為に使われたことや、この時のルークは超振動を制御できなかったことから、「私も(暗示で)力を貸す。制御さえしっかりすれば瘴気を中和できる。」とあらかじめ助太刀のように扱われていた為、暗示を疑う余地すら残されていなかった。- このようにまたも繰り返しになるがこの事件は本当にヴァン師匠が悪い。それも実質ルークの出生時点から丹念に仕組まれた壮大な罠であり、加えて一部真実を織り交ぜた作り話やお世辞にも好意的とは言えない仲間達と対照的に自分は味方だと信頼させ、挙句の果てには、国家ぐるみの大人の事情までもが絡み合っていたため、外部の指摘なしに避けられる可能性はほぼない。
- こうなるような事態は預言に記されていたにも拘わらず、
「犠牲の預言であっても必ず実行されなければならない」
というローレライ教団の方針により住民への対策どころか告知さえされず、預言成就および人類繁栄のため意図的に捨て石にされたとすら言える扱いであり、ユリアシティの市長でさえ事もなげに「起こるべくして起こった」と言い捨ててしまった。正直なところ教団やキムラスカ王国もグルになっていた可能性もあるので…尚更ルークだけが責められていい話ではない。これについては「預言」に依存して成り立つオールドラント全体の問題でもあるが。
仮に主人公補正でヴァンや世界の真実に全て気付いて行動を起こして暗示もどうにかなったところで、所詮はヴァンが都合よく用意したレプリカなので物理的に口封じされるのが関の山だろう。また記憶喪失になったとか別のレプリカを用意するとかで決行時期は伸びるかもしれないが。
- ルークの知識の無さは我々の一般常識で鑑みれる範疇を逸していることも念頭に置きたい。彼は7年前からの記憶が無く、実年齢は7才である。
しかもその7年間もずっと屋敷での軟禁生活な上、その大半を喋れない歩けない赤子同然の状態からの再教育に費やし、かつ様々な思惑でヴァン以外誰もまともに教育してくれなかった状態だった上
誇張抜きで一度も屋敷から出た事がなく、「体の動かし方や家族の面影すら欠落していた」レベルなのだ。仮にヴァンの言葉に疑いを持ったとしてもそれを追求できるだけの知識や感覚が絶対的に不足していた。当然その過去は仲間全員が知っている筈であり、「いい歳して大人げない奴だ!」と強く責める訳にもいかない。
そもそも誰よりも信用していた人間に裏切られて、結果として街一つ滅ぼし、多数の死体と目の前で死ぬ子供を目の当たりにするというこの上ない悪夢に直面し、仲間達からも冷たい無言の威圧をかけられ何を言っても責められるであろう四面楚歌な状況で、為政者として直ちに冷静かつ責任ある返事や行動をしろと求める方が無理難題だし、仮に出来たところで「…街一つ滅ぼしておいて何すました事言ってるんだ?」などといちゃもんをつけられ責められていた可能性すら高く、徹底的に詰んでいた。
責める方も大概
また、本当に巻き込まれただけの住民やその関係者などからならばともかく、仲間の方にも前後の落ち度や不自然な経緯が目に付いており、棚に上げてルークを批判されたところで正直説得力がない。
おまけに、体のいい道具として利用された方のルークを非難する一方で、既に逃げた後とはいえそれを仕組んだヴァンについては何故か殆ど責めていないという不自然な会話になっている。
後々「アクゼリュスを崩落させておいてぬけぬけと!」と崩落の事を責められたシンクが「履き違えるな。崩落させたのはそこのレプリカ(ルーク)だ」と思いっきり「自分たちは悪くない」いう旨の詭弁を述べた際にも誰一人反論をしないため、本気で崩落に関してもルークも……むしろルークが悪いと思っている可能性が高い。
+
|
其々のルークの仲間達および、六人将の一員であるアッシュの抱える問題について |
ミュウ
- 自分に対して辛辣な態度を取った彼の心境を誰よりも理解し、唯一彼に付き従い、かつて自分が犯した過ちを引き合いに出して慰めようとしている上に、更にその後、寝込んでいるルークをアッシュから必死に庇って見せた。……これだけ見ればメンバー屈指の良心的存在なのだが、その過ちというのが、未熟な個体にもかかわらず炎を吐く事が出来て調子に乗ってしまった結果、誤って災害(森林火災)を引き起こしてしまい、更にそこから連鎖的に各方面に被害を続出させ、最終的に比較的穏当な提案をしていた罪無き獣のライガクイーン(=ライガ族)もその卵も理不尽に滅ぼされ、その結果妖獣のアリエッタにも恨まれ、最終的に彼女も命を落とす遠因まで作り出した。という、引き起こした惨事は負けていないが利用されたルークと違って完全にミュウの自業自得であり、ルークも言っているがさすがに一緒くたにされたくない。
- それ故にこの慰めは『かつて調子に乗って火事を起こした自分』と重ねた上での発言である以上、ミュウも他のメンバーと同様この惨劇を『ルークが自分の意思で行った』と捉えている事になり、少々あんまりな流れになっている。ミュウにそこまでの機微を求めるのも酷ではあるが。
- 更に、ストーリー終盤にルークの消滅の件をティアにバラすという相棒にしては余りにも無神経な行動をとっている。わざわざルークに席を立たせた上でばらしているため意図的な行為なのだが、結果何ら解決にもならなかったばかりか皆に内緒にして少しでも明るく余生を過ごしたいというルークの望みを裏切っただけに終わったので、結局何をしたかったのか分からない。
- 尤も、唯一俺は悪くねぇ!の後にもルークを慰めたり、上記の行動も悪意による行動や言動がなく、それどころか終始心からルークを慕って寄り添っていたのは事実であるため、イオン同様プレイヤーからの印象は相当マシな方であるが。
ティア
- 原作時点ではヴァンの計画を曖昧にしか知らなかったor実は知っていたと場面場面で表現が異なり曖昧である。流石にこの場面までは前者の様な扱いなのだが、この後のイベントで明らかになる後者の設定も様々な話に繋がっているので無視できるようなものではなく、どうあがいても整合性は取れない。当然この時点で実は知っていたとなるとやけに辛辣なルークへの対応以外の行動や言動全ても違和感でしかなくなる。
- 外伝作品の『ファンダムVol.2』では後者の設定を採用して本編開始以前からヴァンの計画を知ってる事になっている。それなら、何故そのヴァンの計画をルークに教えなかったのかが、プレイヤー達の視点で見ても疑問にしか残らないし、尚更ルークを批判できる立場でもない。。
ジェイド
- この作品の諸悪の根源と言っても過言ではない存在であり、しかも(預言の強制性を考慮しなければ)この惨劇を未然に防ぎうる知識・推理力なども色々揃っていた。更に取り沙汰されていないが、計画に必要な技術の全てに深く関わっているのでルークが暗示で操られたということも恐らく把握している。この件に於いてはティアやガイどころかルーク以上に他人の事をとやかく言える立場ではない。しかもルークや仲間たちと違って35歳のいい大人であるにも拘らず、普段の嫌味ったらしい態度のまま、悪びれる様子もなくルークを貶すその態度はとても擁護できるものではない。これについては冒頭でも触れたように、シナリオの不手際というよりは意図的に悪い面としても描かれているが。
- アクゼリュスが崩落した後「事前に相談して欲しかった」と苦言を呈しているが、(主張自体は正論であるが)上記の事情を抜きにしてもここまで自身が知りえた情報を頑なに周囲に明かさないでいたジェイドがよく言えたものである。第一、徹頭徹尾ルークに上から目線の嫌味ばかり繰り返していたうえに敵国の将校でもあるジェイドに大事な事を相談できるはずもあるまい。
アニス
- 後から判明するがそもそも彼女は敵(大詠師モース)のスパイ。この惨劇への直接の関わりはないものの、ティア・ジェイド・ガイと同じく彼女もまたイオンの補佐役として止められる可能性は十分あったが、表向きの職務はここまでの間にほとんど果たせていない。彼女自身もここに至るまでに渋々とはいえルーク以上にストレートに人の事が言えていないようなことを多数しでかしている。その中にはこの件と同じく事実上の虐殺までもが含まれている。
- こんな立場でありながら、本人に少しでも同族嫌悪の自覚があるならまだしも、どう見ても心の底からルークを見下している上に、更に先をいうなら、上記の行動を棚に上げてルークを「お坊ちゃま」呼ばわりしたり、ルークの提案に「うわ、ルークが仕切るんだ」等率先して嫌味を言うのだから余計に印象が悪い。
この辺りから彼女の株は下がる一方である。
- なおシナリオブックによるとルークを擁護しようとしたイオンを彼女が静止したのは、タルタロスからの一連の出来事が遠縁となり、自分にも責任がある事を自覚し、ヘイトをルークに向けるためとされている。もっとも上記の通り劇中では崩落の原因は全てルークにあるとばかりにボロカスに言っているため、その設定にも後付け感があるが。
イオン
- ヴァンとルークに促されるがまま、教団の最高機密である筈のパッセージリングがある広間への扉の封印も渋々とはいえ解いた為、ルークがパッセージリングを破壊してしまいアクゼリュス崩落を起こしてしまった。2人を信頼した故の行動とはいえ、それも言ってしまえば彼もルークと同罪である。それゆえか彼だけは会話の中でルークをフォローしようとする様子を見せるが、アニスに口を挟まれてしまい、自身も意気消沈していたからかそのままアニスと引っ込んでしまう。なお彼もルークと似た事情で実年齢2歳(ただしルークと違って記憶は刷り込まれている)。
- とはいえ彼はそんな自分の罪を自覚しており、その後もルークへの態度も全く変えず今まで通り献身的に接し続け、ルークに嫌味な態度を見せるジェイドやアニスを諭したりと以降の言動が至って真っ当であるため、ミュウ共々他のメンバーよりは批判は少ない。ただ、「ルークと同じくらい落ち度がある筈なのに、何故イオンはルークのように責められないの?」とは言われる事がある。
ここまで散々言った「普段の行いと当時の発言の差」と言ってしまえばそれまでかもしれないが……- 敢えて小言を加えるなら、そもそも彼はキムラスカ国王に親書を手渡した時点で既に役目を終えており、彼が
守護役のアニスにも内緒で勝手に外出した結果アッシュに雇われた漆黒の翼に誘拐され(アニメ版では2人のキムラスカ兵を護衛につけていたが倒されてしまった。)
ザオ遺跡に連行され急ぎの身であるルーク達に回り道をさせた。にも拘わらずアクゼリュス救出の仔細を今回の和平活動の発案者であるピオニーに報告したいという微妙な理由で自らルーク達とアクゼリュスに行きたいとせがんで半ば無理やり同行していた。そして道中だけ見ても案の定疲弊してルーク達の足手まといになっている。
ガイ
- ルークの幼少の頃からの理解者であり「マブダチ」を(称号として)自称している。しかもルークが記憶喪失になったことがきっかけで結果的に憎しみから救われている。また利害の一致などからヴァンの計画にも一部加担していて、仮に詳細は知らなかったにしてもヴァンがルークを利用するために接近していたことも最初から知っていた。…何せ自分だってそうだし。その立場に加えて計画に必要な譜業知識なども持ち合わせていたため何気にジェイド以上にヴァンの企みに気付ける立場だった。
しかもルークの親友を自称しているにも拘わらず、アクゼリュス到着直前の怪しい雰囲気も察している割には雰囲気の改善などはろくに図らず、ルークがますますヴァンに依存して周囲との軋轢を深めていくことを放置し、そしてルークが彼に藁をも掴む想いですがった際に上の言葉を吐き捨てて去る。しかも、後の再会時も自分の後ろめたい事情は一切話したり思い悩むことすらも一切なく「ルークを許す」など客観的に見れば見当違いの上から目線の振る舞いをし続け、挙句(ルークに発破をかけるためとはいえ)最終決戦直前のイベントで「死ぬまで罪を償い続けろ」という趣旨の言葉を投げかける、ルークに救われたと思っているはずなのにルークへの殺意を秘め続けていた挙句それを隠し通す等々……、一見親友&お人よしにも見えるが、だからこそ余計に反省の念が一切見えないなどのサイコパスや冷血と取られてもおかしくない言動が全編通して余りにも多い。彼の発言にルークが救われたのは事実だが、それはアッシュが回線を繋いでいた事による結果論であり、ガイ自身はルークがいない場所でアッシュを一方的に突き放す言葉をぶつけただけである。- 極めつけは、当項目の冒頭にもあるメンバーがルークを叱った…否、見放した真意を語るサブイベントにて、ジェイドの台詞に続いて『で、その後ちゃんと自分の責任を思い知ったルークだから、ジェイドもこうやって色々面倒を見るようになったんだよな?』と便乗する始末である。それまでに綴った通り、この惨劇においてルークに直接の責任は皆無(というより責任の問いようがない状態)であるにも拘わらずこの物言いで、なまじルークの親友・理解者面をしている分面と向かって嫌味や罵声を浴びせたジェイドやアニス以上にタチが悪い。
- そしてメンバー…どころか開発陣の間ではこの惨劇はルークが自分の意思で行ったものと定義しているという動かぬ証拠にもなっており、ネガティブゲイトも真っ青な負の三段構えな構図と化している。
ナタリア
- 厳密には、この惨劇への直接の関わりはない。確かにそうなのだが、ただ、ルークに対しては世話も少しは焼いていたが、同時に7年間事あるごとに過去ばかり見て記憶喪失のルークを否定&記憶を取り戻せと圧をかけ続けており、記憶喪失の人には絶対にやってはいけない対応をし続けている。そのためルークも感謝はしているものの同時に苦手意識も持っていたため、師匠の口止めがなくとも彼女に相談することはありえない。
- 自分がルークを振り回していたことは本気で自覚がなく、この後も当時の態度を反省している描写はほぼない。後に反省している場面はあるが、それはルークとアッシュの正体が分かってからのルークへの態度が主であり、厳密には別の問題である。
- この件でもやはり過去を持ち出してルークをなじるのだが、上記の関係性や脅して無理やりついてきた彼女にそんな責め方をする正統性があるのか甚だ疑問である。しかもルークが軟禁され続けている実質7歳児(歩くことすらできなかった正真正銘0からのスタート)などの事情はガイと同じく他メンバー以上に把握している。
- 但し、彼女もまたルークがレプリカである事は全く知りようもなかったことと、崩落に関しては本当に落ち度が無かったことから、この件に関しては彼女を非難する声は少ない方。
どちらかと言えば自身の立場や城の心配もそっちのけで勝手に一行について来てしまい崩落に巻き込まれてしまったことで、この直後に起きる戦争の口実にされてしまうのが彼女の落ち度と言うべきだろう。- なお猛省しているといっても、この後も独断行動などでお世辞にも良い人物とは言えないアッシュばかり気にして現在のルークのことを相変わらずこの後も実質的に見ていなかったり、自分とアッシュの本来の地位しか見ていない状態だったのにある時それがひっくりかえることになっても(問題が無かったわけではないが)なあなあで済んだりと、長々と続くルークへの対応を考えるとやはり違和感のある待遇となっている。
- ヴァンの計画の仔細を知っており、「上手く」ルークに打ち明ければ彼を止められる可能性があった存在。しかし初対面でいきなりルークに不意打ちで斬りかかってきたり、キムラスカの軍港を襲撃させたり、イオンを攫ったり、ルークを面白半分に操って近くのティアを斬らせようとしたり、立場以上に過剰に敵対的に振る舞っていたり殺しにかかってくる関係性であるのに、件の説得も具体的な説明も聞き入れるような説得力なども皆無でダメ押しに暴言同然な命令口調だった為、如何に真実でも「お前の言うことなんて…!」とルークが(寧ろルークですら)信用できる筈もなかった。
- また「お前もお前だ!どうして不用意に超振動を使った!?」と非難しており、ルークと回線を接続できるアッシュですら「ルークの意思で崩落させた」と認識している事が伺える。
- 更に言えば彼自身も元々ヴァンを慕っていたらしく、ルークとの入れ替わり後もヴァンが犯人と知りつつ本気で従っていた時期もあり、ヴァンのカリスマ性や魅力というものは痛いほど身に染みているはずである。それなのに自分のやったことを忘れ、ヴァンの影響力を無視した説得力皆無の説得(?)をした自分が悪いと思えないあたりどうしようもない。
- 余談だが、直前にグリフォンに掴まれてヴァンに連れ去られた筈なのに、何事も無かったかの様に猛毒の瘴気と泥の海のド真ん中にあるユリアシティに先回りしていたりと、前後の立ち回りの描写がお粗末というツッコミ所がある。
|
…と、この様にテイルズ史上でも一二を争う問題人物だらけのメンバーである。(無論、多少のフォロー等はあるが)
よりによって一番的確な行動をしていたのが明らかな敵にしか見えなかったアッシュぐらいだった上にルーク視点ではただの暴言だった。更にルークの話に耳を貸してくれたのはイオンとミュウの二人(一人と一匹?)だけだったという不運には同情せざるを得ない。
仲間への批判を総括すると
「惨劇を起こした黒幕に目の前で逃げられているのに、それを放置するどころか小馬鹿にし
感情論で仲間割れに興じだるのは如何なものか
」
「惨劇そのものを防ぐことは出来なくても「ヴァンが何か企んでいる」と警告や忠告位は出来たはずなのに、それすらしないで、いざ惨劇が起きたら
自分達の罪や後ろめたい事情は棚に上げて、ルークだけが悪いかのように非難するのは横暴なのではないか
」
「実質的に七歳であるルークが誰よりも信頼していた人に騙され更に地獄のような町の光景を見て錯乱、
堪らず自己保身の言葉を零したら辛辣に吐き捨て、ルークを冷たく見放す大人げない連中
」
とも言えてしまう。
そして、ルークが作中全編通して責められるべき原因やらイベントは上記に挙げたものがほぼ全てであり、
「(実質7歳&境遇が酷すぎて)態度が悪い」
「(操られて)崩壊の引き金を引いた(しかも「そういう予言だからそうしよう」が国家規模で行われる世界での予定調和)」
程度でしかない、凄まじいギャップの差が長年この話題が続いていたりする最大の要因だと思われる。
ルークの落ち度と言い分
ただ、ルークが責められる流れが完全に理不尽だったかというと、決してそうではなかったりする。
彼の序盤の性格などは彼の記事などを参考にして頂くとして、ルークが親善大使に任命されて以降は態度の悪辣さに急激に拍車がかかっており、兎に角メンバーの反感を買う身勝手な発言ばかりを繰り返し人望が地に落ちていた。
ヴァンから色々吹き込まれて不信感や危機感を煽られまくっていた事に加え、当初はヴァンと共に最短ルートの海路で直接アクゼリュスに向かう予定だったがオラクル騎士団の海上妨害に遭い、連中に対する囮の船に急遽ヴァンのみが乗って現地に向かう事になり、ルークたちはそのどさくさに紛れて
遠回りかつ広大な砂漠&荒れた峠越えの陸路をとらざるを得なくなり、一刻も早くヴァンに追いつく事を優先して焦りが蓄積していた。
…にも拘わらず、
(本来ならこの派遣とは無関係な)イオンがアッシュらに誘拐され救出の為に砂漠のザオ遺跡まで寄り道をせざるを得なくなり、辛くも救出には成功したもののまた
六神将に誘拐される可能性がある事、イオンの希望もあって彼とアニスも同行するのだが、アニスは兎も角病弱なイオンを連れての過酷な陸路の旅により唯でさえ大幅に遅れていた予定が更に遅れ、ルークの焦りや苛立ちも限界に達しつつあった。その上で…
- イオン救出を「寄り道」呼ばわりして「今はイオンが居なくても(俺が居れば)戦争は起きない」と自惚れてアニスやティアの反感を買ってしまう。
- ただし、イオンを誘拐したのは六神将であり、キムラスカでもマルクトでもない。言ってしまえばダアト内部でのゴタゴタに過ぎず、それに対してアクゼリュス救助隊であるルークたちが首を突っ込む道理は全くない。
つまり元々の任務優先で冷徹な言い方をすれば、イオンの件は正しく寄り道である。
- これに対し
導師守護役のアニスもルークに対して「あんた、バカ!?」と食って掛かる
が
直属の護衛役が攫われた後で言うことではないし、本来なら彼女の持ち場で解決するべき問題なのだが、よりにもよって別の案件で移動中のルークたちに協力を強請るという最悪手をとった。
ルークの目的や気持ちを考慮しつつもやむを得ず協力を求めるか、自分の落ち度を認めて巻き込んだ事を詫びつつイオンを庇うなら兎も角、このような物言いをされても困る。
- そのイオンが
独断で付いてきておきながら疲れてへたり込みアニスに休憩を打診されると師匠が待っていると猛反対し、挙句「親善大使は俺なんだ、俺が行くと言ったら行くんだよ!」と強引な物言いをした結果全員の反感を買ってしまう。- 見かねたジェイドが強引に休憩に持ち込んだので仕方がなく妥協し、その後ティアからの説教も聞き入れないどころか、彼女に対する不信感を余計に募らせてしまう。
-
これは一応、ルークの癇癪も誤りではない。
そもそもルークたちは瘴気が発生したアクゼリュスに対する救助隊であり一刻も早くアクゼリュスにつかねばならない立場である。それなのに本来いるはずのない人員(足手纏いともいう)の完全な自業自得な理由で時間を浪費してなどいられず、傲慢な言い方ではあるが主張そのものは間違っていない。それこそ親善大使の権限でイオンの申し出を突っぱね、ケセドニアのマルクト帝国の領事館にアニスと共にイオンを預けるべきであった。
- 道中のフェイスチャットでガイやナタリアから(最前線の肉体労働などでも)親善大使の務めをしっかり果たすよう忠告され、それに対し「どうして俺が前線に立って動かなきゃいけねーんだよ」「俺は指示してれば良い」と、一応
親善大使としてはごもっともではある
が、協調性に欠いた言動を取る。
- いくら『預言』にアクゼリュス行きを詠まれていたとしても、王位継承権すら持つ公爵家の人間であり親善大使という一行のトップを戦闘や災害現場の前線に出すなんて狂気の沙汰である(これは王女であるナタリアも同様)。また、言い方は悪いが安全圏でふんぞり返って指示するのは高位貴族として当然のスタイルである(当然、それに伴うあらゆる責任を背負う事も含めて、だが)。そのための手足としてティア、ガイ、ジェイドが(公式に)同行しているのだが。
- その後ティアを連れ戻しにきた六神将のリグレットの襲撃を受け彼女から出来損ない呼ばわりされ激昂、明らかにルークに関係する話なのに本人そっちのけで(再三説明を求めるルークをガン無視して)リグレットとジェイドとイオンの中だけで勝手に話をまとめられた事に対し「どいつもこいつも俺を馬鹿にして、蔑ろにして!俺は親善大使なんだぞ!」と喚き散らすもメンバーはまるでルークを除け者として扱うが如くに無視。
- その後のフェイスチャットでティアからその態度についても再三注意され、「師匠は分からない事は何でも説明してくれた!」という言い分も結局彼女に理解して貰えず、彼を慰めようとしたミュウに当然の如く「ティアもジェイドもイオンも肝心な事を話しやがらねぇ…!ムカつくんだよ、どいつもこいつも!」「だったら俺に話しかけるんじゃねぇ!」と八つ当たりしてしまう。
- ただ、こういうティア自身もヴァンやリグレットの言葉にすぐ困惑するので正直説得力はない。同族嫌悪だろうか。ここに関しては言い方や怒る理由などを含めても掛け値なしでルークが正論ではある。
- そしてアクゼリュスに到着し予想以上の惨状に慄き、ナタリアが被災者のひとりに迂闊に駆け寄り介抱しようとしたのに対し「お、おい、ナタリア。汚ねぇからやめろよ。感染るかも知れないぞ」と彼女を止める為とはいえ、被災者に無神経な発言をした。当然、この言葉を聞いたナタリアは激怒した。
- 確かに言い方は酷いが、アクゼリュスは瘴気障害で長期間まともに機能しておらず衛生状態なども極めて悪いと推測される。そんな状態では伝染病なども発生している可能性が極めて高く、王女であるナタリアが万が一罹患でもしたら一大事である。そもそもルーク一行は救助隊の本体とも言える先遣隊が駆けつけるまでの情報収集・舞台作りこそ本来の役目と言える立場であり、にもかかわらず(僅か手ぶらの7人で)被災者の救助に注力したところで得られる成果はタカが知れており、その結果伝染病などにかかっていては本末転倒であり、結果論ではあるがルークの言葉は的を射ている。しかし、百歩譲ってそうだとしてもあの酷い言い方では伝わるわけもなく、ナタリアも怒って当然である。
- そして(急にとはいえ)アクゼリュスの監督に声をかけられてもテンパってしまい、見かねたナタリアが代弁する始末。フェイスチャットであれだけ大見栄をきっておきながら親善大使としての務めはおろかオタオタするばかりで手伝いのひとつもせず、挙句ヴァンとの合流の為メンバーにも何も言わず勝手に坑道の奥に進む。そして待ち構えていたヴァンに巧みに誘導されこの惨劇である。
…と、上記の様に、事情は何であれルークの態度が周囲の反感を買うような内容だったのも事実である。
「家柄と親善大使が本来持つ権力」と「実年齢7歳で社会経験が足りない」は真っ向から相反する要素であり、仲間としてもルークには「真面目に責任を取らせて良い」のか、「話に相槌を打つ程度にして自分達が主導するべき」か困惑するのも確かである。
といっても、それで上述した仲間の落ち度を払拭できる訳ではなく、尚の事「俺ばかり責めるな!」に答えていくべきではなかったのか。
各々の事情はともかく、態度で損しているのは本当にルークだけというのも正直怪しい。こういう細かいゴリ押しの積み重ねが、今に至るまでキャラ関連の議論が泥沼化しやすい元凶でもあるのだが。
その後のルーク
ともあれ、ルーク自身もこの一件によって深すぎるトラウマを負うことになり、髪を斬り落とす決意表明までして再起を誓ったものの、結局生まれたのは「
自尊心や自己肯定感をほぼ完全に失い、盲目的な贖罪の意識とレプリカのコンプレックスのあまり自分の望みすら分からなくなった自己犠牲と劣等感の塊
」と化した不安定かつ痛々しいルークであった。
ここからレプリカのコンプレックスを断ち切り、「生まれた意味」を知って一人の人間として真の意味で大成するのは遥か後の話である。
実質七歳でそんな死生観を悩まなくちゃいけないのか……?とか、
死にたくないという悲壮な想いを抱き続けながらも、それすらも叶わず自分の生を諦める選択を繰り返したことを大成と称えることは畜生ではないか……?というツッコミもあるが……。
なお、この自尊心を打ち砕かれてしばらく自虐の塊と化す時期自体はシナリオ上で意図されていたことではある。
ファンからの反応など
この展開は実は開発中のスタッフ達でも評判が分かれていたものの、プレイヤーに(ルークは悪いことしたのにふてぶてしい態度を取っていたんだという感じに)感情移入してもらうためにそのままこの話を導入したという。
この様にゲーム中の描写としても、開発者インタビューとしても、制作者のスタンスは「ルークが悪い」とされている。
実際、取り返しのつかない事態に必死に自己弁護しようとするみっともないルークの姿として批判的に描かれており、『この場面だけを見れば』「ルークが悪い」としか見えない。
その一方で上記の通り、背景や理由を考えると本当に「ルークは何も悪くない」としか言いようがなく、更に本当に悪い奴はほったらかしで何故か彼が責められ続けられていると彼を擁護するプレイヤーが多く続出することとなった。
メタな事情から言えば、これらの格差は製作期間の短さ故の「脚本のデバッグ不足」が原因で、ある意味ルークも仲間も全員が泥沼化に巻き込まれた結果ヘイトを被る羽目になった被害者になってしまった…という見方も否めない。
…キャラの立つこのシリーズで完全な一対多を描くリスクを考えれば、話の矛盾はかなり致命的になることは想像に難くない。ましてや「筋書き」が主題のシナリオでやらかしたのだから尚更である。
事実、考察の過程でキャラごとの行動や言動、立場が検証されるに伴い、次第にルークへの賛否以上に仲間に対するツッコミや批判の声までもが大幅に増えてしまった。
インタビューからも本来は「ルークが悪かった」という筋書き有りきのストーリーだったのであろうが、紆余曲折あった結果整合性がとれなくなって矛盾が生じたと言われている。
初見プレイでも色々な意味でおかしいと判断出来るアッシュの説得(?)を初めとして、
理解を示そうとするイオンを遮ってまで「コイツを庇う価値なんて無い」と突き放すアニスや、ゲーム内で彼を庇う流れが尽く出ないことも、「ルークが悪いという筋書き有りきの展開」だからと考えると辻褄が合う。
ルークの態度についても、(焦りと我慢の限界だったとはいえ)アクゼリュス直前辺りから急激に悪化しているようにも見え、同時に周囲がルークに愛想を尽かす描写も目立っているため、「空気が急に変わった」とでも言うべき違和感を覚える声も。
仲間側の事情についても既に説明しているように後から明らかになる衝撃の事実が多いため、受け取り方次第で後からこのイベントの印象が一変するプレイヤーも続出している。
余談だが、この後紆余曲折を経てルークは立ち直っていくこととなるのだが、その間、このアクゼリュスの罪の所在が悉くたらい回しにされている感が否めない。
- ユリアシティ(ダアトの上層部)で市長に謝罪すれば「預言通りだからOK(勿論トップシークレット)」とあっさり許され、
- 合流したガイにどう償うべきかを尋ねれば最終的には後ろ向きのは止めろとがなられた挙句「お前の一生全部使って世界中を幸せにするつもりで生きろ」と投げやりな返事を返され、
- ヴァンの手下である六神将を糾弾すれば「履き違えるな。崩落させたのはそこのレプリカ(ルーク)だ」と詭弁を返され、
- マルクト帝国の皇帝に打ち明ければ、「それは皆知っているが今大事なのはそこではない」とはぐらかされた末に「崩壊しそうなセントビナーの町の救援」という急を要する事態で現実的な対応とは言え話をシフトさせられて結局流され、
- バチカルで遂に実行犯として処刑…と思いきや、それは名目上の理由程度にしか扱われず、逃げ出した後ナタリアは和解するがルークの処遇は忘れられる。更に終盤のあるサブイベントでは彼のある功績が讃えられキムラスカ国王から王国最大の名誉である『ランバルディア至宝勲章』と子爵の地位、そして『キムラスカの英雄』という称号まで授かってしまう。
- 最終決戦でヴァンに恨みつらみをぶつけるチャンス…と思いきや、ヴァンはヴァンでガチの悪役だが一貫した信念があったこと、(中盤あたりからだが)彼がアクゼリュスを滅ぼした事については全く取り沙汰されなくなり、ひたすら彼の野望や信念の後追いやルークの成長に主軸が固定されてしまう。そしてそのルークが成長してしまい彼もヴァンの所業を責める事はなくなり、彼からの独立ばかり語るように。そして最期に贈った言葉は「ありがとうございました!!」
ルークが各方面に限りなく自首に等しい行動をとったところでどの陣営も特に追求や拘束する訳でもなく、ヴァンに至っては最終決戦の間際まで妙に美化されていて全く怨敵扱いされていない。
これではアクゼリュス住人は泣き寝入りである。
ただ、預言に依存している世界観なので預言に反する行動を取ったら(取れたら)それこそ大罪とされかねないため、ルークもアクゼリュス住人も詰んでいたと言える。
これによりルークはけじめのつけどころを失い、長らくひとり宙ぶらりんな中で罪悪感と自己憐憫に苛まれ続ける羽目になってしまった。
これまたメタ的な話をすると、ルークが本気で罪を受けようとすると
・マルクト&キムラスカから永久追放(流刑)
・処刑
・釈放一切無しの終身刑
のどれかが妥当レベルで、仮にどんなに温情があって罪が軽減されても年単位の牢獄暮らしは逃れられず、物語が衝撃の展開を迎えつつあるなかで、ルークを長期間離脱させるわけにもいかない…という事情も考えられる。
更に言えばこれでもメンバーの中では犯した罪に対してかなり取り沙汰されている方であり、アニスやガイ、ティアを始めとしたほかのメンバーが犯した所業は処罰どころか非難もされないで、ほとんど
スルーである…。
ネタバレになるが、このゲームのストーリーのその後を考えると「
体よくルーク1人に罪を押し付けて終わらせやがった」と憤るプレイヤーもいる。
そのルークもルークで、一度はあっても良いだろう「
犠牲になったアクゼリュスの住民の遺族や関係者に責められる」という展開が一度も無かったりする。。
なお、ヴァンがルークを利用してアクゼリュスを崩壊させた目的だが、唯一アクゼリュスのパッセージリングと共に設置されていたマスターキーにあたる封印装置を手っ取り早くルークに丸ごと破壊させることで封印を強引に解除し、世界中のセフィロトで自分の操作を入力できるようにすることが最大の狙いだった。
更に、アクゼリュス崩落はマルクトの仕業(各国の要人諸共ルークやナタリアの謀殺を企てた)とキムラスカ王国に誤解させることで、預言通りマルクトに戦争を仕掛けさせる…と、表向きは教団の忠臣として振る舞うことで大詠師モース含めた上層部を油断させ、自分の離反計画を気付かせないという狙いもあった。
そちらに関しては少々計画が狂ったものの、都合よくナタリアもアクゼリュスに無断でついてきていたので、ほぼ理想通りに開戦のきっかけができて多数の死傷者が出た。
なお、崩落の真相(結果的にルークが起こした事)を知っているのも各国&ローレライ教団の上層部のみであり、マルクトの民衆には逆に「キムラスカが譜業兵器によって起こした」と広まっていたようで、反キムラスカの世論が優勢だった。
トドメは『キムラスカ軍とマルクト軍が戦闘を繰り広げる最中に突然崩落に巻き込ませることで大量の外殻大地の人間も殺せる』という、ヴァンにとっては一石三鳥位のあまりに旨すぎる計画である。
そもそもヴァンがなぜこんな計画を企てるかというと、かつてジェイドの研究によって心身に深い傷を負った上故郷も文字通り滅ぼされるという散々な過去を持っており、
更に預言がそれを予定調和として片付けてしまうという事態も目の当たりにして復讐を決意。
その手段として過去のジェイドが行っていたフォミクリー研究を利害が一致した死神ディストと共に盗用した。
余談
テイルズオブシリーズという作品群の中でも、この台詞の知名度は群を抜いて高く、ネット上ではテイルズオブシリーズに関係する掲示板等ではもちろん、
その汎用性、インパクトからシリーズと関係ないサイトやBBSやSNSでもネットスラングとして使用されることが多々ある。
もはや作品そのものよりも知名度が高いセリフと言えるかもしれない。
(
アニヲタWikiでも立て主/建て主等でも見かける)
そんなこんなで、ルークが親善大使の称号を得るところからここまでの流れのインパクトが強すぎたこともあり、専ら親善大使と言う肩書がそのまま「長髪版のルークの渾名」として浸透している。
しかし、親善大使になってから輪をかけてルークの態度が悪化してプレイヤーの心証を損ねてしまったことが災いし、この渾名は蔑称として使われることもある。なので、愛称で呼んだはずが、相手を不快な想いをさせてしまうことがあるので注意。
『テイルズオブジアビス』は良くも悪くも、というか大分悪い意味で「親善大使」という肩書を有名にしてしまったようだ。
そのインパクトゆえ、主にゲームやアニメ版を中心にこのイベントのみを切り取った動画が多く出回っているが、
このシーンだけを見るとルークのキャラクター性に対する致命的な誤解を生み出しがねないので、原作未プレイのうちにこういう動画だけを観てこの惨劇の仔細やルークの人間性を理解したつもりになるのは危険である。
解説付きであったとしてもこのイベント前後の大雑把な解説を10分20分程度しかしていない事がほとんどなので、やはり満足に理解するのは難しい。詳細な解説をするなら数時間単位の尺が必要になるレベル。
この惨劇は今迄散々記したように、世界観からはじまりそれを巡る様々な人間の思惑や事情が複雑に交錯した上で起こったものであり、散発的な情報だけで推し量れるほど単純なモノではない。
アニメや漫画版も、ゲームから展開がかなり端折られてるのはもちろん、やりとりや設定解説そのものも減らされているためパンチ不足。
本気でルークの発言の是非などについて考えたいのなら、設定を読むだけでなくゲームをメインシナリオのみならずフェイスチャットやサブイベント、町人との会話などもなるだけこなして最低一度はクリアしてからにした方が良い。
本作では公式とファミ通から攻略本が出ているが、特にPS2版公式攻略本と3DS版ファミ通攻略本で、ルークが悪いという事を異様な程強調している。
3DS版攻略本に至っては普通にプレイしていればメンバー擁護派でもおかしいとすぐわかるほどゲーム内描写を捻じ曲げている程であり、特にティア、アニス、イオンの項目は無茶苦茶で、ティアは「ヴァンの野望や世界の危機を知らないルークに呆れていた」、アニスは「イオンがいなくても俺がいれば戦争は起きない」と「今は」を消すというまだどの面感はあるがそりゃ「あんたバカ?」と言いたくなる改変、イオンに至っては「ルークを擁護するどころか彼の責任転嫁の発言に反論した」という完全な捏造までしでかしている始末である。
なおこれらの加筆が公式からの資料か、ファミ通側の独断かは不明である。
またPS2版のインタビューにて「ルークは悪くないと判断する人がいるのは彼に感情移入したからだろう(意訳)」と述べている事から「客観的に見ればルークが悪くないわけがない」とスタッフが認識している事が伺える。
各メディア版での「俺は悪くねぇっ!」
今現在『アビス』はでアニメ、漫画、ドラマCD、果ては舞台…などなど多くの媒体でメディア化されているが、この場面はシナリオに於いて避けては通れない最大の契機となっている故か殆どのメディア版である程度忠実に取り入れられており、夫々大なり小なり周辺の設定や展開などがアレンジされているため同じシーンでもルークの立場や状況などが異なっている。
【ドラマCD】
2巻の終盤で描かれる。
概ねの流れは同じだが、ルークを擁護するミュウはチーグルという存在そのものがカットされ、イオンも崩落直前にヴァンに拉致されるため「俺は悪くねぇっ!」の場面に於いてルークを擁護する者がひとりも居ないという完全に四面楚歌な状態に。
ただし捨て台詞を言うのはジェイドとガイのみでティアとアニスは無言で立ち去る流れに変更され、ナタリアはこの場面になってはじめてアッシュと共にルーク達と合流する為一応ルークを見捨ててはいない。
特にガイは道中ルークの失言に対しメンバーに彼の過去を打ち明けた上で大目に見て欲しいと頭を下げ、リグレット戦の後原作と同じく錯乱するルークを必死に諭すも逆ギレで罵倒されたり、原作では投げっぱなしにしていたルークの贖罪への問いにそれとなく答えを示していたり、平和条約締結での振る舞いも妥当なものになり、最終決戦前にルークのみならずアッシュにも生きて戻ってくるよう求めたり、問題発言などの多くが改変されルークを積極的にフォローする台詞や展開が追加されており原作より違和感などが減っている。
理由は不明だがイオン(とアニス)もアクゼリュス救援隊の一員になっており、リグレットをダアト式譜術で撃退する活躍をしているので、ルークの一部イオンを貶す発言も純粋な暴言と化し(言い方もかなり傲慢に)それに対するティアやアニスの態度もネガティブながら筋が通るようになった。そもそもドラマCDでのイオンとルークは決して好意的になれるとは言い難い出会いで、両者がまともに会話するのは4巻とかなり後半になってからである。
ついでに該当シーンの舞台もタルタロスではなく崩落し損ねた大地の上になっており、アッシュとの戦いもここに変更されているので彼に対するツッコミどころもいくらか解消。
【アニメ】
8話「崩落」にて描かれる。
ミュウのフォローも含めて概ね原作どおりだが、尺の都合からか幾つか台詞がカットされ展開自体も駆け足気味にされている。
【月刊電撃マ王のコミカライズ版】
流れは原作と同じだが、ルークに辛辣な言葉を浴びせるのはジェイドのみで、それ以外のメンバーは特に何も言わない。
またこの時ティアはルークに対して理不尽な平手打ちを浴びせ、「…これ以上幻滅させないで」と暴言を吐く。お前が言うな
他作品における「俺は悪くねぇっ!」
なお、原作のシナリオがおおむね再現されている
ツインブレイヴでも当然このセリフが登場する。
その経緯はというと、
- エルレインに「聖剣エターナルソードを使って世界中のマナ不足を解消しよう」と唆され、救世主になれると思い上がり周囲の静止も聞かず魔剣と化したエターナルソードを使っていしまい、世界各地の貧しい村や国が住民ごと消滅。
実質、ルーク自身が世界中の人間を殺してしまったという、ベテラン指導者ですら裸足で逃げ出したくなるような状況で絞りだされたために
その後のガイの「これ以上失望させないでくれ」という台詞ともども臨場感が凄まじいことに。
つーかこの作品の聖女様は原作に輪をかけて悪辣。
派生(?)として、
「俺は悪くヌェー」もあるが、おそらく
アニメ化の際のルーク役の声優の演技が要因だと思われる。
また、長髪ルークのキャラTシャツには「俺は悪くねぇ!」とデカデカとプリントされており、中の人もシリーズのイベント出演の際にはノリノリで着ていた。
エクシリアのDLCアタッチメント「ルークの剣」にも「俺は悪くねぇっ!」と説明されていたりする。
…パーティ全員のアタッチメントが「俺は悪くねぇっ!」って………
また、似たようなニュアンスで
ジランドが「俺じゃねえ!」と叫んでいるが、この場合は意味が違ってくる。そして本当にジランドは関係ない。
他にも公式のテイルズ世論調査にて「テイルズ オブ シリーズ」で叫んでみたい台詞といえば?では
2位の約3倍の投票数を得て堂々の1位に輝いた。
テイルズフェスのスペシャルスキットでは
鈴木千尋が観客と共に叫ぶのが恒例となっている。
スーパーロボット大戦UXでは張飛ガンダムがこれと似たニュアンスの台詞を言い、
アビスを知っているプレイヤー一同を「
アーニーじゃなくてお前が言うのかよ!」とずっこけさせた。
(
UXの主人公であるアーニーはルークと中の人が同じため)
また、本ゲーム発売から半年後にリリースされた
某ネットゲームが舞台のRPGの
主人公もルークに似たような
暴走からの誤爆をしでかしている。
当の本人は凄まじい絶望と困惑に襲われるも、残念なことに本項の台詞までは言ってくれない。
まぁそのはず、こちらは序盤の狂犬ぶりを除けば作中の登場人物の中ではまともな部類に入るんだけどね
もしかして→だが私は謝らない
(#0M0) ナニイテンダ!!フザケルナ!!
(#0w0) ナニバカナコトイッテンダ!!
そんな…ヴァン師匠のパソコンで項目を追記・修正してただけなのに、途中で規制されちまった……!
お、俺は悪くねぇぞ!ヴァン師匠が荒らしだったんだ!俺は何も悪くねぇっ…!
作品やキャラクター等に対する愚痴や誹謗中傷等が続くようならばコメント欄の撤去やIP規制といった処置がされますのでご注意ください
最終更新:2025年04月17日 14:30