登録日:2012/05/08(火) 01:27:05
更新日:2025/01/17 Fri 00:59:17
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生は、死の始まり。
死は、現実の続き。
そして再生は、夢の終わり。
微笑みは、偽り。
真実は、痛み。
溶け合う心が、私を壊す。
NOILEGNAVE:DEATH
AND
EVANGELION:REBIRTH
概要
TVアニメ『
新世紀エヴァンゲリオン』の初の劇場版として製作された2本立ての劇場用アニメ。
1997年春に「DEATH」と「REBIRTH」の2本立てで公開された。
この上映形式は、
庵野秀明総監督もファンと公言している『
伝説巨神イデオン』の劇場版「接触篇」と「発動篇」に倣ったものと推測される。
通称『春エヴァ』。
タイトルには「『死』と『新生』」と「『
使徒』新生」の二つの意味が引っ掛けてある。
本作の製作意図として最初に建てられたのは、「賛否両論で何が起こったか分からず仕舞いだったTV版を完結させる」ことであった。
というわけで、今作品の製作発表では、まず第壱話から第弐拾四話までの総集編の「DEATH」、続けてTV版のラスト2話をリメイクした「REBIRTH」の2本を1997年の春に公開。
さらに同年の夏には完全新作のエヴァンゲリオン劇場版を公開する、と大々的に触れ込んだ。
……が、そこは庵野秀明、期待は悪い意味で裏切らない。
春エヴァの製作が遅れて新作である「REBIRTH」編が1996年の暮れの時点でちっとも完成していなかったのだ。
これには当時のエヴァファンもまたもや大荒れになったそうだ。今もそうかもしれないが
そのため、「REBIRTH」編は当初の予定の4分の1程度のみの公開となり、上記の公開スケジュールは完全に破綻。
残りは夏、ラスト2話リメイク版を「THE END OF EVANGELION」として公開することを決定。
なお没になった完全新作の劇場版のプロットは、
「補完計画発動後、人類の大半が死滅した世界で、残された人類はA.T.フィールドで覆われた区画に籠って生活していた。外に繋がるのは一本の橋だけ。
エヴァの子宮の中に直接チルドレンを埋め込み、早く取り出さないと『ヒトでなくなってしまう』」
……という、今で言う
進撃の巨人と似たような内容だった。
また
新劇場版:Qのヒントにもなっているのかもしれない。
そんな未完成状態での「シト新生」公開となったが、なんと第一弾テレカ(レイorアスカ)付き前売り券は長蛇の列が並んであっという間に完売。
公開初日も大混雑というメガヒットを記録した。
当時はエヴァの再放送が夜中に大ブームとなり、これがきっかけでエヴァのブームは最高潮に達していたのである。
そしてその熱気も冷めやらぬまま夏にEOEこと『
Air/まごころを、君に』が公開されたわけだが……。
詳細は項目参照。もしくは本作を検索するか、自分で観てみよう。
当時の空気が多少は察せるかも知れない。
DEATH編
監督は摩砂雪。
この手のTVアニメの映画化にありがちな「TVシリーズの総集編」だが、構成がかなり凝った作り。
≪あらすじ≫
碇シンジが渚カヲル=最後の使徒を殺す15か月前。
その日、シンジは長野県第2新東京市の中学校の講堂でチェロの調弦をしていた。
弦楽四重奏の音合わせをやるためである。
やがて他のメンバーが次々と顔を出す。
勝気な第2ヴァイオリンの少女、無口なヴィオラの少女、浮世離れな第1ヴァイオリンの少年――
彼らはパッハベルの『カノン』を奏で出す。
シンジが迎えるであろう、苦悩に満ちた戦いの記録を曲に乗せて。
この総集編の特徴として挙げられるのが、場面場面がほぼぶつ切りの状態で編集されていることである。
シンジ達TVシリーズのメインキャラクターが独奏すると、そのキャラに関するエピソードが時系列を無視してプレイバックされる……と言った具合。
そのキャラクターの移り変わり方も独特で、摩砂雪監督の編集が光る演出になっている。
総集編ではあるが物語のあらすじではなく、メインキャラ達のグチャグチャな精神状態や記憶をなぞるための作品とも言える。
また、新作カットも豊富。一見TV放映時と変わらない所もあるが、細かな所で新作になっているカットが多数ある。絵自体は使い回しでも効果が変更されていることも。
特にヤシマ作戦のレイの貞本絵の笑顔は必見である。
新作カットの中には後にビデオフォーマット版に移植されたシーンも存在する。
何故かソフト化されるごとに編集がなされており、現在主として見られるのは2度目の編集が行われた「DEATH(TRUE)2」である。
ちなみに「DEATH(TRUE)」はWOWOWで初放送された際に公開されたもので、こちらはTV本放送版を収録したDVDBOX及びBlu-rayBOXにのみ収録。
変更箇所は、ビデオフォーマット版に追加された新作カットを削除するといった所。
例:大勢の声優が演じるアスカ
REBIRTH編
監督は鶴巻和哉。
所謂第25話「Air」の前半部分。また、未完成ゆえに「Air」では修正を加えられた箇所がある。
アスカ「エヴァシリーズ…完成していたの?」
→スタッフロール開始
弐号機の元にエヴァシリーズが飛来した時点で「REBIRTH」は終了しており、このぶつ切りENDはもはや伝説。
結局「Air」と被ってしまうため、同一作品として見られがち。
最初に発売されたDVDには「REBIRTH」は収録されていたが、現在発売中のリマスター版DVDには収録されていなかったが、2015年発売のBlu-Ray BOXには劇場公開版の『シト新生』が収録されており、未再編集版の「DEATH」と併せて日の目を見ることとなった。
ちなみに「REBIRTH」では戦自の隊員の声が
山寺宏一だったが、加持とは無関係。
(Airでは別の声優に差し替えられた)
使用曲
DEATH編
パッハベル作「カノン」
弦楽四重奏のメンバーが弾いた曲。
やたら長いスタッフロールで流れていたのもこれ。
REBIRTH編
高橋洋子「魂のルフラン」
エヴァファンにとっては語り草となっている名曲。
「残酷な天使のテーゼ」と同じく、カラオケの人気曲である。
EOEでは使用されなかったので、これが流れる神EDが幻となるのはあまりに惜しいだろう。
高橋洋子「心よ原始に戻れ」
劇中では使用されなかったが、宣伝に使われた曲。
後にアスカ役の宮村優子氏がカバーした。
予告編
動画投稿サイトで多数のMAD動画が作られるほど、伝説となった予告編。
①特報
ベートーヴェン作交響曲第9番『歓喜の歌』をバックにTVの本編映像を編集したもの。
主にDEATH編の予告。
②本予告
ヴェルディ『レクイエム~怒りの日』をバックに本編の映像や絵コンテ、原画、脚本の一部が高速カットで切り替わる。
黒地一杯に「殺してやる」はトラウマになった者も多い。
第25話、第26話(REBIRTH編)の予告となっているが、使われた脚本のほとんどが次回に後回しになっているため、ほとんどEOEの予告編のような扱いである。
余談
最初の劇場上映の際には
『魔法学園ルナ-青い竜の秘密-』という、
セガサターンの同名ゲームを原作とした
約10分のドタバタギャグアニメが
前座同時上映されている。
全く無関係な上にミスマッチな作品が同時上映されたのは、
完成しなかったREBIRTH編の穴埋めとして適当な作品があてがわれた……というのは流石に邪推がすぎるか。
EOEの劇場公開後には『新世紀エヴァンゲリオン劇場版』本来のカタチとして『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に』の連続上映が度々行われている。
累計2時間半超えという長丁場なため、『DEATH(TRUE)2』終了後には休憩が入る。
- REBIRTHラストの空を舞う量産機がどう見てもガッチャマン。 -- 名無しさん (2014-02-27 23:52:37)
- だなw -- 名無しさん (2014-02-27 23:56:19)
- BDBOX化おめでとう。ようやく魂のルフランが見れるね -- 名無しさん (2014-12-04 00:05:39)
- 冒頭でチェロの調弦をするときにに本編より前なのにレイやアスカやカヲル君と顔合わせしてるのはどうゆう事なの? -- 名無しさん (2015-10-26 14:23:54)
- ↑他チルドレンの顔になっているのはシンジの心象風景で実際は全く別のシンジの同級生らしい -- 名無しさん (2016-04-23 12:24:49)
- あの量産機登場→魂のルフランのコンボは未だに好きだわ -- 名無しさん (2016-04-23 16:13:40)
最終更新:2025年01月17日 00:59