登録日:2011/07/12 Tue 00:58:17
更新日:2025/02/02 Sun 23:10:40
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失望の海
脆弱な心
偽りの微笑み
病的な被写体
自我の崩壊
残酷な他人
代理の異性
刹那な癒し
蔓延する虚脱
無への願望
閉塞した自分
分離への不安
一方的な勘違い
他人の恐怖
危険な思考
他者との拒絶
同調への嫌悪
傲慢な把握
弱者への憐れみ
不愉快な写真
過去の傷跡
曖昧な境界
常識の逸脱
孤独なヒトビト
価値への疑問
情欲との融合
胎内への回帰
空しい時間
破滅への憧憬
要らないワタシ
虚構の始まり
現実の続き
それは、夢の終わり
では、
あなたは何故、ココにいるの?
…ココにいても、いいの?
概要
『
新世紀エヴァンゲリオン劇場版Air/まごころを、君に』(THE END OF EVANGELION)は、TVアニメ『
新世紀エヴァンゲリオン』の完結編として1997年7月19日に公開された映画。
上映時間は「Air」が約46分、「まごころを、君に」が約40分の計1時間26分。
「Air」が第25話、「まごころを、君に」が第26話の構成となっている。
第25話の演出は鶴巻和哉、第26話は総監督を務めた
庵野秀明が担当。
タイトルの由来は「Air」が「G線上のアリア(
Air on the G String)」、「まごころを、君に」はダニエル・キイスの小説「アルジャーノンに花束を」の映画(1968年版)の邦題「
まごころを君に」から採られている。
それぞれの英語の副題は「Air」が「
Love is destructive.」で、「まごころを、君に」は「
I need you.」。
本来、エヴァンゲリオンという作品はテレビアニメであり、謎が謎を呼ぶ展開で当時のアニメファンの注目を集めながらも、当然テレビシリーズの最終回を以って完結するはずだった。
ところが、ラスト2話の「終わる世界」「世界の中心でアイを叫んだけもの」の内容が内容だったため「で、結局実際は何が起こったわけよ?」という意見……ぶっちゃけほぼ批判が殺到。当時すさまじいまでの人気と注目を博していたこともあり、その補完をするという形でラスト2話のリメイクとして本作は製作されることになった。
元々のラスト2話と区別するために、アニメ版では漢数字表記だったエピソード番号を普通の数字に変更、英語の副題側は、それぞれ「Episode:25'」「ONE MORE FINAL」と表記している。
本来は同年春に『
新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』としてTV版の完結編を公開し、夏には完全新作の劇場版を予定していたが、製作は遅れに遅れてしまう。
結局「シト新生」は総集編の「DEATH」と「Air」の前半部分のみを収録した「REBIRTH」の前後編のみを公開。完結編はさらに夏に持ち越されることになってしまい、ファンを再び呆れさせた。
それでもファンのエヴァ熱は冷めやらず、そして遂にファン待望の完結編が公開。劇場に数多くの観客が足を運んだ――
が。
鑑賞後、ほとんどの観客は絶句することに。
上記のような内容になったのはプロデューサーの大月氏いわく「もう続きが作れないような結末にするため」だったそうな。
詳しくは各自調べて欲しいが、当時の庵野がいかに『エヴァ』に追い詰められていたのかがよくわかると思われる。
今から観てみたいと思う方は、そこら辺のバックストーリーも踏まえて観るとよい。
予告編は何故かフル実写だが、実は最初の予定ではすべて本編にてショートドラマ形式で使われる予定だったとのこと。ただでさえやばかったのに……
ちなみにこの実写パートは、2003年に発売されたDVD,BDBOXにて、当初の構想に近い形に再編集されて収録されている。機会があれば観てみよう。
1998年には、TVシリーズ総集編である「シト新生 DEATHパート」、及び「シト新生 REBIRTHパート」にあたるはずであった本作「Air」、「まごころを、君に」の3つを合体させ、「本来のシト新生」として再構成、再編集を施した旧劇場版の集大成とも言える作品、「DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に(REVIVAL OF EVANGELION)」が公開された。
合計2時間40分という長尺のため、『DEATH(TRUE)2』が終わると、カウントダウンと共にクラシック音楽が流れる休憩時間が設けられている。
新劇場版のおかげで現在は日陰に追いやられがちだが、「旧劇場版あってこその新劇場版」の意見もあって最近は肯定されつつある。
とはいえ、アヴァンギャルドな表現と残虐描写の連発から人を選びまくる映画であることは変わりない。
そして2014年には旧劇2作~新劇Qまで流す「真夏のエヴァ祭り」の一環として
まさかの地上波放送決定。
それを知った
緒方恵美女史は「
あれを地上波で放送するの!?」とビビりまくっていた。気持ちはよくわかる。
さすがにそのまま放送するのは流石にまずいと判断されたか、グロ描写を含む一部シーンはカットされ黒塗りになっていた。緒方さんがビビってた「最低だ、俺って…」の白濁液も当然のごとくカット。残念ではあるが仕方ないと言える。
……しかし、2017年のNHKBSプレミアムでTVシリーズ全話(HDリマスター版)が再放送。本作もプレミアムシネマで放送され、その際は
ほとんどノーカット(レイの腕&巨大綾波の首切断面にはぼかしあり)で流され、日テレでの雪辱を果たした。
ちなみに、テレビ版副監督の一人の摩砂雪氏は「ビジュアルウォーターアーチスト」という役職に据えられている。
これは、本作製作時に海で遊んでいたことへの対抗措置……という噂があるが真偽は不明。
余談だが摩砂雪氏は『
シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』でも水中映像カメラマンとしてクレジットされている。水と縁があるのだろうか。
ストーリー
最後のシ者=渚カヲルが死んだ。
自らの手で親友を殺したシンジは深く心を閉ざす。
一方、人類補完計画を最終段階へと進めようとするゼーレは個人的な目的の補完を始めるゲンドウと袂を分かつ。
戦略自衛隊の猛攻を受け虐殺されていくネルフ職員たち。
弐号機の中で母に気づき遂に復活するアスカ。
シンジを戦いに送り届けるため奮迅するミサト。
補完計画の要へと導かれるレイ。
その渦中で目を閉じることしかできないシンジは、何を望むのか…
登場人物
詳しくは各項目を参照。
「僕は……ダメだ。ダメなんですよ。人を傷つけてまで、殺してまでエヴァに乗るなんて、そんな資格ないんだ」
主人公。カヲルを失ったことで深く傷付き、完全に心を閉ざしてしまう。親、友人、家族代わりの保護者、この全てを失い精神的支柱は瓦解している。
戦略自衛隊から頭に拳銃を突きつけられても何もしないなど、生きる意志を失っていたが、ミサトに引っ張られエヴァ初号機まで導かれる。
「何甘ったれたこと言ってんのよ!アンタまだ生きてるでしょう!?しっかり生きて、それから死になさい!」
ちょっち抜けたお姉さんの側面はもう無い。軍人として戦略自衛隊と戦闘し、尚も弱音を吐くシンジを叱咤し初めて自身の本音を吐露する。
「私は、あなたの人形じゃない。私は、あなたじゃないもの」
「駄目。碇君が呼んでる」
3人目のレイ。ゲンドウに言われるがままに補完計画を進めようとするが、シンジの叫びを聞きゲンドウを裏切りシンジの願いを叶えようとする。
「負けてらんないのよォ!ママが見てるのにぃ!」
セカンドチルドレン。
使徒による精神攻撃以降、精神崩壊していたが、NERV壊滅の窮地にて復活。戦略自衛隊とエヴァ量産機相手に孤軍奮闘する。久々にエースパイロットらしい活躍を見せてくれる。
だが、実は……
「母さんは、娘よりも、自分の男を選ぶのね!」
レイを虐殺した罰として独房に入れられていたが、MAGIがハッキングされるとその腕を必要とされ開放。ゲンドウとの軋轢を抱えたまま、MAGIをハッキングから守った。
「すまなかったな…シンジ」
NERV総司令。ゼーレと仲違いし自身の願いを叶えるためだけに人類補完計画を利用する。
「碇、お前もユイ君に会えたのか?」
NERV副司令。ゲンドウが早々に発令所を後にし、リツコも居ないため解説役を務める。
「向こうはそう思っちゃくれないさ」
「バカっ!撃たなきゃ死ぬぞ!」
「ねぇ!どうしてそんなにエヴァが欲しいの!?」
オペレーターの3人。戦略自衛隊の侵攻を受けてもしっかり抵抗している。
「そう、全て、これでよい…」
人類補完計画委員会の議長。人類補完を実行するためにNERV本部へ戦略自衛隊を送り込み強制的な確保へ走った。実質的な黒幕。
「もう、いいのかい?」
フィフスチルドレン。使徒である彼は既に殲滅された筈だが……?
「太陽と月と地球があれば、大丈夫…」
シンジの母親。かつてエヴァ初号機のコアと融合しこの世から消えた人。
エヴァンゲリオン
(一応)主役機。だが戦闘シーンなし。
25話の引きからして26話では大暴走してくれると思ったらそうでもなかったぜ!
最早サードインパクトの舞台装置状態。
それでも最後の締めにはシンジに力を借してくれる。
戦闘シーンでの立役者。
「偽りの再生」で戦略自衛隊を蹴散らし「Air」で
量産機と死闘を繰り広げる様は圧巻。
が、同時に
トラウマ製造機でもある。鳥葬ェ…
みんなの
トラウマ、白
ウナギ。フルフル。
とにかくキモイ。なのに何故か癖になるデザイン。
他のエヴァと毛色の違うデザインなのはデザイナーが違うから。
因みにモデルはチ○コ。それを加味して観るとあらゆるシーンに象徴的な意味と嫌悪感を覚えること必至。
使用曲
スタッフロール曲
「THANATOS-IF I CAN'T BE YOURS」
第26話挿入歌
普通に聴いたらわからないが、どちらもネガティブ全開な歌詞で有名。
特に後者は聞いてると死にたくなること必至。
でも……僕はもう一度会いたいと思った
その時の気持ちは本当だと思うから
最終更新:2025年02月02日 23:10