伝説巨神イデオン

登録日:2011/05/08 Sun 21:19:18
更新日:2025/01/11 Sat 00:14:37
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1980年 80年代テレビアニメ MAP兵器 ※木曜夕方18時45分です。 ※金曜夜19時30分です。 ∀ガンダム すぎやまこういち そして誰もいなくなった どうせみんないなくなる アジバ3 アニメ イデ イデの発動 イデオン グレンキャノンもだ! コスモスに君と コメント欄ログ化項目 サンライズ ジムの神様 ジム神 スパロボ スパロボ参戦作 スペースランナウェイ! スーパーロボット チート テレビ東京 バッフ・クラン リアルロボット ロボットアニメ 人間のエゴ 人類皆殺し 伝説巨神イデオン 因果地平へ 子供にも容赦なし 宇宙リセットボタン 富野由悠季 巨人 建設巨神イエオン 復活のイデオン 悲劇の主人公 懐かしのアニメ 接触篇 明るいイデオン 最強ロボット候補 東京12チャンネル 湖川友謙 無限力 無限力←むげんちから 発動篇 皆殺しの富野 衝撃のラスト 逆襲のギガンティス 鬱展開 鬱展開の嵐 黒富野




「イデ」とは何か。イデオンとは。



『伝説巨神イデオン』は1980年~81年にかけて放映された、富野喜幸監督、日本サンライズ制作のロボットアニメ
トミーとサンライズがマーチャンダイジング前提で組んで送り出したアニメの第二作目として、前番組『科学冒険隊タンサー5』の後番組として企画された。
しかし、下記の様に一般的なアニメ制作者の枠に収まらない富野善幸(由悠季)が監督と脚本を担当した結果、多くの逸話や伝説を残した末に作品自体は伝説となったが、
サンライズと組んだ二作(含めて五作が作られていた)トミー主導のテレビアニメシリーズは、本作での玩具販売の不振から終了を余儀なくされた。

前年の『機動戦士ガンダム』が視聴率こそ振るわなかったものの、いわゆる“アニメファン”に強い支持を受けた状況を踏まえて、制作されている。
とはいえ、スポンサーから押し付けられたイデオンのあまりに玩具然としたデザインや、主要人物の年齢を引き下げざるをえない(明らかな違和感が…)状況など、
富野氏も多くの横槍に相変わらずストレスを抱えながらの作業だったらしい。
しかし、相互理解という主題に負の側面から徹底的に切り込んだ重厚なドラマや、ロボットアニメの常識を覆す斬新な演出の数々から、
放映当時は苦戦した面もあったものの富野作品の中でも突出した人気を誇り、庵野秀明をはじめとして本作に影響を受けたと公言するクリエイターも多い。
また、声優置鮎龍太郎も本作の大ファンで、公開当時の劇場版も観に行ったと語っているなど、その影響力は計り知れない。
のちに国民的RPGの代表作『ドラゴンクエストシリーズ』で名を知らしめるすぎやまこういち氏も劇伴として参加している。

ただ、放送当時は局地的な人気は得たものの、視聴率は振るわなかった影響で打ち切られることとなり、
最終回は唐突に「その時だった、イデの発動が起こったのは…」というナレーションとともに全人類が滅亡して締めくくられることとなった。
実際、最終回の脚本を担当した松崎健一氏曰く、「最後の2分だけ富野監督が変更して最終回にした」そうで、「それまではただの39話」とのこと。唐突に感じられるのもむべなるかな。

翌年に公開された劇場版『THE IDEON 発動篇』では、本来予定されていた結末が描かれることとなった他、
主要人物たちが次々と壮絶な死を遂げていき、「主人公のヘルメットのバイザーに爆風で吹き飛んでいく生首が映る」等のショッキングなシーンも描かれた。
今も続く「真の最終回は映画館で」のハシリ。
なお、この劇場版はTVシリーズの総集編『THE IDEON 接触篇』と併せて公開され、全編通して三時間を越す長丁場となった。

因みに、劇場版公開にあたり、前回の『ガンダム』時と比較して一般的な盛り上がりが不足していると判断されたことから、
制作サイドが公式にファンを巻き込み『明るいイデオン』という内容に対して白々しいタイトルのイベントが実行され、
更にイベントの延長線上となる内容が後に40話(再放送枠)相当としてTVでも特番として放映された。
この『明るいイデオン』には、当時のアニメ雑誌の執筆陣や編集者達も半ば制作サイド側に立つスタッフとして参加しており、
その内の一人であった漫画家のゆうきまさみも、当時『月刊OUT』に掲載していた漫画『イデオンマイナーノート』*1にて、この時の詳細を描いている。

また、DAICON FILM*2の創設者である岡田斗司夫と武田康廣が“双子の悪魔”*3を名乗り、イベントやTVでの宣伝とパフォーマンスも行っていた。

尚、スタッフの一人で当時の『アニメック』編集長だった小牧雅伸によると、当初は「現在日本で最高水準のアニメ作品」という路線でイベントを打つ予定だったそうだが、
よりにもよって富野の新作である戦闘メカ ザブングル』の初回オンエアを見たスタッフから、この謳い文句は『イデオン』には使えないという話が出たことから、
熱心なファンの協力により、割り切ってとにかく話題だけでも作る路線に変更したという。

当時は前代未聞だったラッシュフィルムによる試写会を行ったり、公式にパロディ作品の公募なども行われた。
かの有名な、公式によるトチ狂ったパロディ作品『アジバ3』*4等も、この一環として制作されたものである。
…しかし、前述のようにそもそもとして『イデオン』自体が一般向けする内容では無かったことや、この応援イベントや特番も青年オタク的なノリを理解出来ないとついていけない…と、
前回の「ポスト・宇宙戦艦ヤマト」や「アニメ新世紀宣言」等と大々的に取り上げられた劇場版『ガンダム』公開前の盛り上がりに比べると限定的なものに終わった。
そして、TV版よりも凄惨さを増した劇場版『イデオン』は内容こそ、見た人間によって語り継がれていくであろう程の出来となったものの、
興行はアニメーション部門に限ってもこの年のベスト5にも入れず、小牧は「今考えても無理のある企画」と振り返っている。


【あらすじ】

地球をはるか離れた植民星「ソロ星」(バッフ・クラン側は「ロゴ・ダウ」と呼称)。
「第6文明人」の遺跡を発掘中の地球人達は、伝説の無限エネルギー「イデ」を捜索中の異星人・バッフ・クラン族と、最悪な形でコンタクトしてしまう。
誤解が誤解を生み、バッフ・クラン軍の攻撃を受ける中、「第6文明人」の遺跡・巨神イデオンが立ち上がる。
それはソロシップの終わりなき逃亡の始まりであり、ふたつの地球の滅亡へのプロローグでもあった。


【登場メカ】


■イデオン

伝説の()(げん)(ちから)「イデ」を内包した「巨神」。見た目は全身真っ赤で超巨大なジム
このデザインはトミーの依頼を受けたサブマリンが描き起こしたのだが、それが作品自体の運命を決める事になるとは……。
「イデオン」という名称については、SFの傑作『禁断の惑星』に登場する人の無意識が生み出した“イドの怪物”や、
作品のテーマ的に「イデオロギー」の意味も込められているとされる。

物語序盤から、劇中に登場するメカの中でも桁違いの巨体から繰り出されるパワフルな打撃や、
全身に満載されたミサイルやグレン・キャノン(ビーム砲)を武器とする強力な機体であったが、
物語が進むにつれて、艦隊を一瞬で消滅させるイデオンガン、惑星を両断するイデオンソード、
核兵器ぐらいじゃビクともしない強力なバリア等も使用可能となり、攻守ともに敵も味方も戦慄せしめる戦闘力を発揮するように。
しかし、イデオンを動かすための(コスモたちにとって)未知のエネルギー、「イデ」の力は非常に出力が不安定であり、
フルパワーを発揮できれば上述の桁違いの戦闘力を発揮する一方、充分なパワーを確保できず、窮地に陥ることもしばしば。

その他、ソル・アンバー、ソル・バニヤー、ソル・コンバーの三体のメカが変型・合体するギミックを持ち、
戦闘中に機体を分離させて変幻自在に戦うドッキングアウト戦法は当時のアニメファンに衝撃を与えた。

ちなみに、デザインの段階ではレスキューメカを想定していたらしく、カラーリングが消防車なのもそのため。
だが富野氏は余りのダサさから一目見るなり「これは第6文明人の遺跡です」と言い放ち、実際にそんな設定となったとか。
これについてはそうでも思わなきゃやってられないのは勿論、玩具会社が主導してアニメを作らせようとする状況への反発があった……と振り返られている。
古代文明人の超兵器という設定に説得力を持たせるべく富野氏も尽力したが、それでもメカメカしくダサいデザインはやっぱり世界観と合わず、
富野氏自身による小説版の挿絵*5では大幅に雰囲気が変えられている事でも有名。
生物的とも無機質ともいえ、どちらかといえば巨神兵やらオーラバトラーと例えられる見た目になっている。
後の時代の作品では『ぼくらの』的でもある。

見た目のダサさもさることながら、当時のロボットアニメの主役に欠かせない剣や銃といった視覚的に分かりやすい武器がほぼ無いのもイデオンの特徴。
超絶的なインパクトを誇るイデオンソードやイデオンガンは最初は出てこず、序盤はミサイルすら積まれずに徒手空拳のみで闘っていた。
設定が設定なだけに必殺パンチなんてものがあるわけもなく、その地味さからトミーは勿論、アオシマからも発売された玩具やプラモデルが売れずに番組の打ち切りにまで発展。
富野氏も、盟友であり作風に於いて影響を受けた長浜忠夫も同じ苦労をしていた事を振り返って、「今更ダイモスじゃあるまいし…」と自身の演出の遅さを悔やんだという。
イデオンソード&イデオンガンのインパクトがデカすぎただけに、つくづく惜しまれる判断である。

しかし、当時から年長のファンやアニメ専門誌では徹底したハード志向が支持されており、それが放送終了一年での劇場版制作へと繋がった。

主な武装

その巨体から、適当に手足を振り回してぶつけるだけでバッフ軍の重機動メカを粉砕するぐらいのパワーを有しているだけでなく、
発掘後に色々武装が追加されたり、解放されたりなどして、劇中でもトップクラスの戦闘力を持つ機体となった。

  • ミサイル
最終的には549基、1万6千発という無茶苦茶な数が装填されたミサイル。
地球の兵器故に威力的に見るところはないが、後半になるとイデの力を得ているのか重機動メカをアッサリ破壊していく。
これとグレン・キャノンを一斉に発射する「全方位ミサイル(或いは、カミューラ・ランバン・アタック)」ともなると、
ミサイルが「イデ」の力で加速されることで敵機を貫通するようになる。
「無数の細い線が上下左右に伸びていく」という全方位ミサイルの演出は、のちに『超時空要塞マクロス』でその名を知らしめる板野一郎氏が行っており、
これに限らず本作の演出は後の板野サーカスの原型になったという見方が多い。

ちなみにTV版では当初イデオンの合体構造が把握しきれていなかったため、合体したら使用できないところに搭載されたミサイルがあった。
小説版ではそういうことこそないが、こちらは何と人力で装填するミサイルとなっている。

  • グレン・キャノン
ソロ星駐留軍が取り付けたビーム砲。ミサイルと比べて搭載数は少ないが戦艦の大砲になるぐらいの武器なので強力ではある。
劇中ではイデによってパワーを引き上げられたことでさらに火力が上がったが、パワーが上がりすぎてエネルギー系統が焼き切れることも。

  • イデバリア
イデオンとソロシップが搭載しているバリア。ビームだけでなくミサイルすら防ぐ。
「イデ」の力……もっと言えばイデの気分によってバリアの強度が激変し、最も高まっているときは冗談抜きで一切の攻撃を受け付けない
イデオンの肩で核爆弾が起動した際に、流石に肩こそ吹っ飛んだがそれ以外は無事でパイロットは放射線被曝すらないというチートっぷりである。
だがイデの力が弱まっていると大して攻撃を防げず、重機動メカとの肉弾戦で大損害を受ける場面も。
圧倒的な物量差に苦しめられながら最終局面までイデオンとソロシップが健在だったのはこのバリアのおかげである。

  • イデオンガン
波導ガン、イデオン波導ガンとも称される(ヤマトのアレと被るので作中後半~劇場版では一貫して「イデオンガン」)。
イデオンの唯一の手持ち武器にして、文字通り『銀河切り裂く』イデオンを象徴する武器。
ソロシップの面々が調査したところ、原理的にはグレン・キャノンと一緒らしいのだが、
腹部のシャッター内にあるミニ・ブラックホールのエネルギーコネクターに接続して撃つことでエネルギーが波導となって拡散し対象を破壊する。
劇中では一度も最大出力で放たれる事はなかったが(ただし、TV版ではコネクターは片方のみ、劇場版では両方接続されている)、
半分程度の出力でも一撃で大艦隊を消滅させ、3割ほどのエネルギーしかない状態でも惑星の輪を消し飛ばし、
後述のイデオンソードと一緒に使えば惑星を貫通し星の向こう側の艦隊を殲滅できるという無茶苦茶っぷり。
亜空間航法(デス・ドライブ)で亜空間に逃げれば避けられる…と思いきや、『発動篇』では亜空間航法中の相手にも直撃し、破壊している。
一応イデオン側のFCSで捕捉されてる状態での出来事だったので、イデオン側に探知・捕捉されてない状態なら亜空間に逃げるのは有効かもしれないが……。
ぶっちゃけ「相手は死ぬ」の典型であり、避ける術は事実上無し。『必殺の技が撃つのは我が身なのかと』という詞がシャレにもならない。
ちなみにイデオンガンそのものにバーニアが付いており、ソロシップやイデオンの誘導で動かす事ができるのだが、劇場版では危うく忘れて出撃しそうになったことも。

  • イデオンソード
イデオンの両腕から放たれる『閃光の剣』
当初は戦艦をぶった切るという程度だった(ちなみにイデオンガンの方が登場は先)のだが、「イデ」がどんどん自重しなくなり、
衛星を破壊したり、挙句の果てに巨大な惑星を一刀両断したりと、こっちも滅茶苦茶な性能を発揮するようになった。物理法則もあったもんじゃねえな
ソードとはいうが、厳密にはエネルギーを放出し続けるものであるようで、イデのパワーが上がらない時にビーム砲のように使ったこともある。

……というのは見た目上の話。実際のところの効果原理としては、因果律そのものが「消滅」という結果を伴って放出される、
要は斬られた対象は「その瞬間消滅する運命であったことにされてしまう」という物理法則どころか時空さえも超越したトンデモ兵器である。

『発動篇』ではほぼ常時使用するようになったが、イデのパワーが下がっているためか無敵とはいかなかった。とは言え、超巨大構造物であるガンド・ロワを最終的にぶった切っているが。
使用時に独特のSEが流れるが、後年『機動戦士ガンダムUC』がアニメ化された際、作者がイデオン好きだからということで、終盤のある場面で全く同じSEが使用された。


■ソロシップ

イデオンの母艦。イデの器(イデオンをイデが宿る仏像に例えるとこちらは仏座のようなもの)とされるものであるらしく、イデオンと深くリンクしている。
武装は一切無かったが、イデオン同様ミサイルやグレン・キャノンが搭載された。
ただ、バリアーについてはイデオンと同等あるいはそれ以上の強度があり、夥しい数の重機動メカに攻撃されても轟沈しなかったのはバリアーの影響が非常に大きいだろう。

乗員には全くコントロール出来ないが、イデにより流星を生み出し、数百万光年以上の彼方にまで降らせる戦略爆撃的能力がある。
アニメ史上でも類を見ないほどの長距離、アウトレンジ攻撃である。
物語の開始前から発動しており、バッフクランをソロ星に呼び寄せる呼び水として使われた。
終盤には大量の流星を発生させ、地球、バッフクランの母星、植民星を壊滅させ両人類を根絶やしにした模様。
バッフクランの母星は絨緞爆撃的に降る流星のために真っ二つに割れてしまった。


【主な登場人物】


■地球側


CV:塩谷翼
「こんな甲斐の無い生き方など、俺は認めない!」
近年ではそのアフロヘアーばかりがネタにされる主人公。
多感で直情的だが、心根は優しい。
ソル・アンバーのメインパイロットであり、最後までイデの意思に抗い続けた。
グレンキャノンもだ!


  • ジョーダン・ベス
CV:田中秀幸
「俺達はやる事が全て遅かったのかもしれん」
ソロシップのリーダー。
設定は18歳!だが、ここは+7~10歳と考えるべき。
優秀なリーダーだが、序盤は恋愛感情を抱いたカララをやたらと庇い、コスモやカーシャの反感を買っていた。


  • イムホフ・カーシャ
CV:白石冬美
「じゃあ、私達はなぜ生きてきたの!?」
ソル・コンバーのパイロット。多くの言動が物騒なタカ派な実行系少女。
物語終盤、イデが起こしたある現象を見ての上述のセリフは、登場人物たちの悲哀を見事に表している。
コスモに今でいうツンデレ。『発動篇』でのキスシーンはグッジョブ。


  • フォルモッサ・シェリル
CV:井上瑶
「何をやっても、イデの掌で踊ってるだけなのよ…!」
第6文明人の遺跡を調査していた言語学者。18歳…?(だから+10とかすりゃいいだろ!?)
イデの謎に取り憑かれ、しばしば自己中な言動を繰り返しており、声を担当した井上氏も演じながらうんざりしていたそうで、
アニメ誌などに寄せたコメントでも、「かわいいところのない嫌な女」等と評していたほど。
後半に恋の季節が描かれ性格が緩和されたのは、富野なりの中の人への贖罪であったらしい。
しかし、終盤では当の恋人を初めとした大切な人を次々と失い、最終回でとうとう壊れてしまう。
劇中でも学者として「イデ」の謎に迫る姿が描かれるが、それがかえって「イデ」の逆鱗に触れたのか、
それとも元来の自分勝手な性格が原因なのかは定かではないが、ソロシップメンバーの中でも特にイデから嫌われている節がある。


  • イラ・ジョリバ
CV:塩沢兼人(ナレーションも兼任)
「こんなことなら、ベスより先に口説くんだったよ」
ソロシップのメカマン。
普段はあまり目立たないが、TV版最終回でをあげる。


  • ナプール・ハタリ
CV:横尾三郎(7話まで)/井上和彦(9話から)
「馬鹿な!?俺はまだ何もやっちゃいないんだぞ…」
ベスの片腕としてソロシップの操舵を勤める。
担当声優は、後のグラドスから来た少年。
それなりに整った外見なのに、靴下には穴が空いているなどかなりガサツ。


  • バンダ・ロッタ
CV:山田栄子
「そんな利口ぶった言葉が何になります!」
家庭的な少女だが、異星人への憎しみからカララに銃を向ける。
…が、そのカララと過ごす内に異星人もまた人間なのだと理解していき、『発動篇』では、かつて銃を向けたカララを庇って射殺される。
一見するとかなり地味な少女だが、
「赤毛のアンの声の世界名作劇場じみた女の子が、生死の瀬戸際に追い込まれる」
という、凄い刺激的な部分もあったりする。


  • フォルモッサ・リン
CV:横沢啓子
シェリルの妹。
作中では姉妹での絡みが少ないため、ロッタの友人としての出番が多い。
アジアン星への2度目の寄港の際に現地の軍に人質にされ、同胞の地球人に射殺される。
劇場版ではいつの間にか死んでいた


  • ファトム・モエラ
CV:佐々木秀樹/井上剛(スーパーロボット大戦シリーズ)
「この光は、俺達の運命を変えていく光だ」
ベスに代わりソル・バニヤーのパイロットを勤める。
あまり目立たない脇役のはずが、突然彼女が出来たり、子供と絡んだりと今でいう死亡フラグを盛大に立ててしまう。


  • ギャバリー・テクノ
CV:桜本晶弘
  • マルス・ベント
CV:三橋洋一
ソロ星の軍人。
イデオンの副操縦士や砲撃を務める。


  • ファム・ラポー
CV:つるたきみこ
ソロシップの看護兵。
17話で割と唐突に登場し、途中でモエラと交際するようになった。


  • アフタ・デク
CV:松田たつや/小桜エツコ(スーパーロボット大戦シリーズ)
  • ノバク・アーシュラ
CV:松原雅子
  • マラカ・ファード
CV:高木早苗
  • パイパー・ルウ
CV:井上瑶
ソロシップの子供達。イデオンが暴走する主な原因。
デクは中盤からソル・アンバーのサブパイロットも務める。
劇中では、彼らの純粋無垢な叫びに「イデ」が反応し、彼らを護るように凄まじいパワーを発揮する場面が多く見られたが、
最後まで赤子だったルウ以外の子どもたちは、激化する戦闘に戦士、あるいは大人として順応していったことで「イデ」に見限られたのか、
『発動篇』では明確な死亡シーンがないルウ以外の子供達は、全員戦場で無惨なを遂げることとなった。
特に、幼女アーシュラの首が吹き飛ばされるシーンはもはや伝説である。
ちなみにデクの担当声優は、劇場版の収録時には声変わりを迎え、収録が大変だったらしい。

ルウは赤子ながら本作のキーパーソンであり、監督曰くルウが居なかったら2話でイデが発動(=全滅)していたとのこと。

  • キッチ・キッチン
CV:鵜飼るみ子
「私達から見たらあなた達も異星人と同じよ!」
逃亡中のソロシップが立ち寄った植民星・キャラルの少女。
コスモといい感じになるが、彼への明確な恋心を自覚する前にTV版では子どもたちの巻き添えになる形で射殺される。
『発動篇』ではイントロダクションでコスモとの馴れ初めが描かれた後、戦闘の爆撃に巻き込まれて彼の眼前で死亡し、
彼女の首が吹き飛んでいく様を直視してしまったコスモが絶叫したところでタイトルコールという壮絶な死に様が描かれる。


■バッフ・クラン側

地球のあるごく狭い空域を除く宇宙のほぼ全域を支配する種族。
重機動メカをはじめとする強大な戦力と圧倒的な物量でソロシップを常に苦境に立たせている。
バッフ星を起源とするが、彼らもしばしば自らの母星を「地球」と呼称しており、コスモら地球人の事は「ロゴ・ダウの異星人」と認識している。
(そもそも本作でいう「地球」はコスモ達のものも含め我々が住む太陽系第3惑星を意味せず、あくまで「母星」という意味に過ぎない)*6

特に翻訳などを介さずロゴ・ダウの異星人(地球人)と会話はできるが、使う文字は違うらしい。
また、文化なども似てはいるが決定的に違う部分も多く、それが原因で破滅へと導かれることになる。
とりあえず白旗はダメ、ゼッタイ。

  • カララ・アジバ
CV:戸田恵子
「異星人より身内の方が怖いものです」
バッフ・クラン武家の名門に生まれながらも、戦いを嫌う理想主義者。本作のヒロインと呼べる人物。
好奇心から地球人に接触したことが地球人とバッフ・クラン人が戦うきっかけとなり、
さらに、成り行きからカララがソロシップに乗船したままとなったことが、事態をややこしくする一因となってしまった。
カララ自身は尊敬すべき人格者であり、最初は敵視されていたソロシップクルーにもその人柄で「仲間」として受け入れられていくのだが、
一方で上述の通り彼女の行動や立場が物語を悪い方向に進ませる要因となることも多く、彼女(の行動)が全ての元凶と言っても過言ではない。
地球人のベスとの子、メシアを身ごもったことでイデは積極的に彼女を守ろうとする(搭乗していた脱出艇が撃ち落されるも無事だった)が、
『発動篇』ではお腹の子を護るため、自分を殺そうとする実の姉・ハルルに銃を向けたことでイデに見限られたのか、
ハルルから嫉妬と憎しみが込められた銃弾を執拗に顔面に撃ち込まれて死亡する。

担当声優はアンパンマンでも有名な女優さん。
見た目もアイドル出身であった当時の担当声優がモデルになっている美人さんで、EDも歌っている。


  • ギジェ・ザラル
CV:林一夫
「私は破廉恥な男かもしれん」
バッフ・クランの武人。
真面目イケメンだが、とことん不憫。
一応、カララの元婚約者。
イデオンに惨敗を繰り返した挙句、終盤でダラムから見捨てられ、ソロシップに転がり込む。
ソロシップ入りした後はモエラに代わってソル・バニヤーのメインパイロットとなる。
シェリルと急接近して、互いにいい影響を与えあっていたのだが……。


  • ハルル・アジバ
CV:麻上洋子(現・一龍齋春水)
「ダラム、助けて…」
女傑と称えられるバッフ・クランの武人。
前線に立って勇ましく戦うが、元恋人であるダラムへの想いを捨てきれていなかったり、
妹であるカララの女性らしさに嫉妬しているなど、その内面には弱さや脆さが秘められている。
まだ25歳にもかかわらず、配下からも年増の行き遅れと陰口を叩かれているが、聡明な彼女はそのことに気付いている。

『発動篇』ではソロシップ内の白兵戦でカララと対峙し、お腹の子を護ろうと銃を構えた彼女の顔面を執拗に撃って射殺。
帰投後に妹を殺した動機が「一族の名誉のため」等ではなく、「女としての幸せを得た妹への妬みと憎しみ」だったことを父ドバに吐露するも一蹴される。
その前後の悲痛なやりとりは涙無しでは観られない。
最終盤では、亜空間航法を利用してソロシップとイデオンを攻撃しようとするも、
亜空間をも切り裂くイデオンガンに母艦を撃たれ、運悪くその着弾地点にいたことで戦死。

壮絶な戦死を遂げた彼女の魂はダラムに迎えられ、憑き物が落ちたかのように幸せそうな顔をしていた。


  • ダミド・ペッチ
CV:田中崇(現・銀河万丈)
ギジェの同僚の軍人。
出世欲が強く、ギジェを出し抜こうと無茶な作戦を立てた末に戦死。
劇場版では序盤で死亡する。


  • マヤヤ・ラウ
CV:松原雅子
「お嬢様、私は余計な事をしたのでしょうか…」
カララの侍女。
序盤でカララ共々ソロシップの捕虜にされるが、脱走未遂を引き起こし射殺される。
『接触篇』ではロッタに射殺された。


  • ダラム・ズバ
CV:木原正二郎
「こんな巨人、この世に存在してはならん!」
バッフ・クラン正規軍とは別にイデオンを狙うオーメ財団私設軍の司令官。
ハルルの元カレ。


  • ルクク・キル
CV:高島雅羅
「こっちが赤面するわ」
対イデオン用に開発された多数の機動メカを以て、ソロシップを追う。
ハルルの女の部分を、同じ女として嘲笑った為に暗殺された。


  • ギンドロ・ジンム
CV:蟹江英司(TV版)/加藤精三(劇場版)
「ガンドロワは無駄になるかな」
バッフ・クランの地球で財界を牛耳るオーメ財団の代表。
ドバの旧友でもあるが、彼を真に理解できたのは死んだ後の事だった。


  • ドバ・アジバ
CV:石森達幸
「判るか?俗物。私はそれ程傲慢では無いよ…」
バッフ・クラン軍総司令。ワッキーに似ている。
イデから直々に(地球人がその憎しみをぶつける対象として)ターゲットされるほどの業の持ち主ではあるが、
バッフ・クラン内で見ると独裁者を打倒せんと奮闘するサムライであり、イデの力を欲したのはそれが理由である。

厳格な武人だが、対照的な二人の娘には割り切れぬ思いを抱く苦悩する父親でもある。
サムライ気質のバッフ・クランにおいて、自らの子供が男の子ではない事を悩んでおり、
長女のハルルには自ら「女として育てたつもりはない」と言うほどの教育を施したが、結果として彼女は「女」であることを捨てきれず、
次女のカララも、よりにもよって今現在敵対している異星人の子を身籠るという、ドバにとっては最悪とも言える行動をしてしまう。

結果、ドバはバッフ・クランとしてだけではなく、ハルルとカララの父親としての業も全て背負い、イデオンに憎しみをぶつけることになるが…。

実は富野監督が、「(当時まだ幼かった)二人の娘がカララやハルルのような感じに育ったらどうしよう」という考えの下、
「もしそうなったらどんな気持ちになるだろう」というシミュレーションから造形されたキャラクターで、ある意味監督の分身ということもあってか、監督屈指の名キャラクターである。*7
なお、実際に富野監督の(『イデオン』制作時は幼かった)二人の娘さんがどのように育ったのかについては、
F91』のセシリー、『V』のカテジナ、『ブレンパワード』の依衣子姉さんを見れば大体察せる。
公式『ダイターン3』OPパロディ『アジバ3』は必見。
あとサムライだからなのか協力者だったギンドロへの平手打ちや銃撃が妙にスタイリッシュでカッコいい。


■第六文明人

イデオンを建造した(地球人から見ての)異星人。
地球の植民惑星である「ソロ星」の原住民で、その名称は「地球人が遭遇した六番目の異星文明人」から来ているが、
劇中には生きた第六文明人は登場せず、イデオンは元々は彼らがソロ星に遺した遺跡の一つである。
設定上は平均身長が4~5mもある巨大な異星人で、イデオンが巨体なのも、彼らが使用する前提で建造したからとされる。


【主題歌】

OP・ED共に作詞は井荻麟、作曲はすぎやまこういち。
快活で勇ましい歌詞のOP。
最終回のサブタイトルにもなっている。結婚式の定番ソング。歌詞が結婚式で流す内容とは思えないが


【余談】

かの『ドラえもん』において『建設巨神イエオン』なるアニメ作品が登場する。
頭には鉢巻、手には鋸と金槌というロボットとしては非常にシュールなデザインが特徴的。
なんと替え歌もあり、何かとSF作品のパロディに縁のある藤子・F・不二雄らしい思い切ったパロディからかファンからは妙に人気が高い。

ケロロ軍曹』には「カララ」というケロン人が登場しており、原作では単なるゲストキャラの1人に過ぎなかったのだが、
アニメ版では名前つながりで「カララ・アジバのパロディキャラ」という要素が与えられ、父親のドババだの軽機動メカだのと彼女を起点にイデオンネタが大量に持ち込まれた。

スーパーロボット大戦シリーズでは『F完結編』並びに『第3次α』に参戦。
いずれも王道シリーズの最終作であり、スタッフからもある種の特異な扱いを受けている事が垣間見える。
この他、『スーパーロボット大戦X-Ω』にも期間限定参戦。何と『ぼくらの』と絡む。

99年に富野が製作した『∀ガンダム』のコンセプトはガンダム版イデオンだった。
しかし、黒富野の極致たるイデオンに対して、こちらでは戦乱の黒歴史時代の果ての新時代に生きる人々が再び黒歴史に出会っても、
自分たちの意志で戦乱を回避するという、白富野と呼ばれる次期の作品らしい平和的な結末を迎えている。

映像化はされていないが、『機動戦士ガンダム』とのクロスオーバー作品『機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス』(連載時は『ガンダムVS伝説の巨神』)が存在する。
『機動戦士クロスボーンガンダム』等で知られる漫画家の長谷川裕一先生による漫画作品で、角川書店から単行本化もされている。
元々は『ガンダムVSイデオン』であったが、流石に直球過ぎてまずいとされたか、連載時には『ガンダムVS伝説の巨神』に変更され、
現在では単行本化の際に改題された『機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス』が正式タイトルになっている他、
劇中でも徹底して『伝説巨神』とか『巨神』とだけ呼称され、『イデオン』の名前は出てこない(「ユウキ・コスモ」等の名前は出てくるが)。
出オチみたいなタイトルだが、内容はかなり真面目で、『スパロボ』のプロデューサーからは「クロスオーバーものの教科書」と称されている。
長谷川先生曰く、構想は学生時代にあったとのことだが、最初「ガンダムVSイデオンを描きたい」と言った時は編集者にギャグと思われて大笑いされたらしい。


放映終了から劇場版公開の間に、アオシマからバッフ・クラン軍の重機動メカを中心にしたプラモデルシリーズ、通称「イデプラ」が発売。
当時白熱していたガンプラブームの恩恵を受け、上々の売上を記録した。
イデオン及びすべての重機動メカが1/600の統一スケールで立体化*8されており、
他にもソロシップやバイラル・ジンなどの戦艦もラインナップされている。あのガンドロワも予定はあったようだが未発売に終わった。
他にも組み立て玩具的色彩が強い「合体ロボ」「おやこマシン」といったアオシマの商品シリーズでもイデオンが発売されており、
なんとも形容しがたい怪しいイデオンのバリエーションが誕生した。

ちなみに駿河屋静岡本店ではどういう訳かこのイデプラが山のように売られており、ファンの間では無限力ならぬ無限在庫と呼ばれている。


1983年にATARIから発売された『PAC-KONG』と言うソフトのパッケージには何故かイデオンの絵が描かれている
著作権を表す©マークが無いため、ほぼ間違いなくサンライズには無許可と思われる。



「死ぬかもしれないのに、何で追記・修正なんてしてんだろ?俺」

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最終更新:2025年01月11日 00:14

*1 この時の内幕を富野作品キャラに仮託して描かれた実録コメディ。タイトルも制作当時に出版された富野の自著『「イデオン」ライナー・ノート』のパロディである。

*2 大阪の大学生を中心に第20回日本SF大賞に出品された自主制作アニメーション、及びその後に発表された特撮作品で知られるようになった同人集団。庵野秀明等も参加しており、数年後の株式会社ガイナックスの母体となった。

*3 第20話に登場した印象的な兄妹バッフクランのドッバとキヤヤに由来。

*4無敵鋼人ダイターン3』のOPにドバ・アジバを当て嵌めた公式MAD。

*5 角川文庫版の挿絵。最初に出たソノラマ文庫の挿絵ではアニメ同様のデザイン。

*6 総監督曰く、陸棲知的生命体は母星の事を『地球』、水棲であれば『水球』などと呼ぶものであろうとのこと。また地球人側の人物が作中で「二人の捕虜がバッフ・クランと言う地球に住んでいる異星人という事が確認できた」と述べているシーンもある

*7 ちなみに富野監督みたいな見た目のキャラもカメオ出演していたりする。

*8 「登場する全ロボットキャラの立体化」を成し遂げたという点において、アオシマのイデオンシリーズは、バンダイの『ガンダム』や、タカラの『ダグラム』シリーズに類似する点に匹敵するぞ! byはぬまあん