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大リーグボール

登録日:2010/11/15 Mon 03:20:37
更新日:2026/05/12 Tue 23:12:44
所要時間:約 6 分で読めます





大リーグボールとは、漫画巨人の星』及び『新・巨人の星』内において、主人公星飛雄馬が投げる変化球の総称である。

飛雄馬がプロ入り後に速球投手としての限界*1に悩み、大投手金田正一に変化球の教えを請うた折、「星の若さがあれば新たな変化球を発明できる」という言葉を受けたことをきっかけとして作りあげられた。


◎大リーグボール1号


まず登場したのがこの球。
構えたバットにあて、凡打にするという言葉では伝えづらい変化球である。
より詳しく説明すると、魔送球を投げられる程のコントロールにより、確実にデッドボールになりそうなコースに投げた球で相手を威嚇し、萎縮して回避行動をとった相手が、振れずに構え続けたバットに故意に当てるというもの。
相手が頭の近くに来るボールに対してどう反応するかを完璧に予測してバットだけを狙撃するという逝かれた投球法であり、相手の動きを読む洞察力を鍛えるべくボクシングのスパーリングや剣道の地稽古*2、果ては警察官の射撃訓練見学までも取り入れていた。
投球前に打者の動作をじっくり観察して動きを予測するため、精神的な疲労が大きいというデメリットがある。
花形は(完全な魔球であるか確かめることも兼ねて)「ビーンボールだ」と抗議したが、審判団の意見としては「狙うのはあくまでバットなのでビーンボールではない」とのこと。

これに対し花形、左門といったライバル達は苦戦を強いられるも、ものすごい変な姿勢でも快打を打てるように特訓した変人ライバル達に最終的に攻略され、さらにそれを極めたと言えるオズマの登場で完璧に打ちのめされた。
大リーグボール2号の開発後に中日に移籍した伴との初対決でも使用したが、ホームベースに背を向ける伴のバットの動きを追尾するかの如く物理法則を完全に無視した挙動を見せていた*3
なお、この大リーグボールは後の右投手として再起後の時代に再使用を試みた事があるが、右投手としての制球力では使えないと発言している(原作のみ。アニメ版では使用した)。

ちなみにドカベンでもスーパースターズ編にて、楽天の先発投手を務めた真田一球が微笑三太郎を似たような方法で打ち取るシーンがある。

現実の野球でも、高校野球以下のレベルであれば全国大会レベルでも偶発的に大リーグボール1号が成立するのはよくあることである。もっとも、フェアゾーンに綺麗に飛ぶことまではそうそうないが。

◎大リーグボール2号


こちらは言わずと知れた消える魔球である。
父一徹の魔送球をもとにあみだされた。
こちらも登場以降ライバル達を苦しめるが、魔送球の改良ということもあり、早々に原理の80%まで解明される。
その後花形にホームランを浴び、飛雄馬は野球に対する情熱を失ってしまう。

ちなみに理論は、まず第一段階として、飛雄馬の独特の投球フォーム(足を高く跳ね上げる)により生じる土埃を、凄まじい勢いで投げられる魔送球の回転によりボールの縫い目に巻きこんで土をまぶす。
第二段階として、魔送球の回転力でベース前の土を巻き上げ同化する、というもの。
消えたように見えるのは土による保護色効果であるため、一徹からは「星投手の右足が高く上がると、青い虫が飛んでいき、青い葉に止まる」とも形容された。

なんじゃそりゃ。ぶっちゃけ砂漠ばりに砂だらけでも無ければ、そんな現象起こり得る筈が(ry)
それ以前に、投球時に故意にボールに土をつけている時点で反則(不正投球の一種・マッドボール)である。一応、球に刷り込むのではなく勝手に巻き込むのだからこれがルール違反なら、ワンバウンドしたボールに土が付着してもルール違反だという苦しいフォローはされているが。
一応、本来のマッドボールやスピットボールは打者が到達打てない不規則な変化を生じさせる目的で行われるが、この大リーグボール2号ではボールを見えなくする以外の目的はなく、ホームベース付近での土の巻き上げが封じられ球筋が見えた際には普通に打たれている。
魔送球そのものを球種として使うという発想に至らなかったところからしても、いくら凄まじい回転力を持つとはいえ魔送球自体は大して強くはないらしい。

投球前にスイングを繰り返して砂を払う(左門)、3塁ランナーが強引なホームスチールをしてホームベースの土の舞い上がりを手で防ぐ(花形の打席)、ヘルメットを落として土ぼこりを上げさせない(花形、野村克也)、ユニホームに水を含ませ、スイングで振りまいて地面を固める(ジョージ・アルトマン)といった様々な攻略法が用いられた。
そして、立て続けに打たれたことで精神的に不安定になった飛雄馬に対し、花形は何の意味もない一本足打法を見せて投球モーションを不完全なものにし、ボールを消えなくさせてホームランを打った。

消える魔球の先駆者の一つといえる魔球であり、アニメ版『新・巨人の星Ⅱ』においては再利用されたため、最終的には消える魔球まで投げられる制球力が右腕にも備わったと言える。

ちなみに空想科学読本で、この大リーグボール2号の弱点はホームベースの掃き掃除や汚れたボールの取り替えと書かれている。


◎大リーグボール3号


バットを避けて通る魔球。
この球で飛雄馬は真に"巨人の星"となったと言える。

原理は後に飛雄馬の手紙により明かされるが、アンダースローのフォームから投げる瞬間に親指と中指で押し出すことで、球にバックスピンをかけ、球が本塁に届く頃には限界まで速度を落ち、フワフワと飛ぶ球は、バットの振った時の風圧でバットを避ける……らしい。
風圧で球がバットを避けきるより先に球がバットにぶつかりそうだが気にしない。
見た目はただのスローボールのため、解説や各球団はおろか一徹も当初は「打者を惑わせている(虚仮おどし)」と誤認した。
また、フォームも従来のオーバースローからアンダースローに急変したこともあり、当初オールスターで実験台にされた野村克也からは「いくら球宴とはいえお遊びが過ぎる」、同試合の解説者からは「若い投手のやることじゃない」とも苦言を呈されていた。
なお、オールスター直後に野村と彼に続いて実験台にされたアルトマンと張本勲を招いた座談会が開かれ、飛雄馬に打ち取られた際の感想について全員とも「簡単に打てるはずの球なのに不思議と全く当たらない」といった回答をしていた。ぶっちゃけノムさんは打席中は飛雄馬の姿勢に完全にブチ切れていた*4のだが、最後の球は冷静に見極めていたなどと話している。
ここで記者が引き合いに出している野球映画『春の珍事』*5が、メタ的にもこの魔球の元ネタになっていると思われる。

風圧の弱いスイングではボールが避けきらないという弱点があり、普段バッティングの強くないピッチャーにヒットを打たれるというケースが散見された。
無論バントでも当たるため、アニメ版における最終戦では川上監督に直訴して外野手を全員内野に配備し、バント作戦に備えるという対策を講じた。
開発のヒントとなった場面の当事者である左門はあえてバットをゆっくり振って当てることには成功したが、内野ゴロで打ち取られる。
花形はノックアウト打法でヒット寸前までいったが、飛雄馬の無茶一歩手前の守備によってアウトとなった。
アニメ版では更に対決が追加され、花形、左門、オズマが1号の攻略法を応用(具体的にどう有効なのかは不明)するも、左門は勢いを殺すためのスパイクなしが災いして飛ばずにアウト、花形は3号を意識しすぎて速球で空振り、オズマは怪我でバットを振りきれずカス当たり……と完全攻略には至らなかった。
花形に関しては飛雄馬の逃げじゃないかとか言わない。魔球はあくまで手段なのだ

最大の欠点は、不自然に腕を酷使するため、指が二度と動かなくなる危険性があること。
飛雄馬もそれを理解しながら「死ぬときはたとえどぶの中でも前のめりに死んでいたい」という意志のもと投げ続けた。

そして最後の中日戦においてパーフェクト達成の最後の1球を投げた時にとうとう左腕は破壊されてしまった。
この時、一徹は伴を逆立ちさせ続け、限界まで体力を消耗させて腕の力を弱めることで、風圧を抑えて球を捉える、という戦術を講じた。
が、ぶっちゃけアンダースローの時にしか3号は投げられないので、3号の時のみ限界までゆっくり振れば(ry
打った伴はボロボロの体で一塁へ進みクロスプレーとなるが、原作では伴の一塁到達と王貞治の捕球がほぼ同着で、審判が両者から凄まれて正確なジャッジを下せず、巨人が勝手に完全試合達成を主張したため提訴試合にまで発展した。
この後一徹が「3号の打倒には成功したが、一塁到達まで伴の体力を残すことを失念していた以上、塁審の判断はどうあれわしの負けだ」と述べ、飛雄馬の勝利として親子対決の決着を告げた。
アニメではちゃんとアウトになっている。

なお、アニメオリジナルの『新・巨人の星Ⅱ』では禁断の魔球でありながらも、少数回ほど投げている。おい、設定は(ry

京楽のパチンコ「巨人の星」ではこれが選ばれると、どんな相手だろうと勝利確定となる。




その後飛雄馬は左腕を破壊されて、引退・失踪し、『巨人の星』は終了した。が……


◎大リーグボール右1号(通算で4号。蜃気楼の魔球)


飛雄馬が右投手として再起した『新・巨人の星』において、飛雄馬が投げた新たな魔球である。
左腕の故障で自暴自棄になり、毎日酒浸りの飛雄馬が右腕でボールを投げたら、とんでもない剛速球を投げられた、という感じで右投手として復帰した後、やはり右の大リーグボールに行き着いた飛雄馬が自分で考案し、老いた父親の一徹も冥土の土産にと、初めて親子で協力して出来上がった魔球である。

まあ養成ギプスは両腕に付けていたので、当たり前っちゃ当たり前だが、実は右利きだったという後付け(ry
王貞治曰く「蜃気楼の魔球」。
2号が消える魔球だったのに対しこちらは3つに増える魔球である。

最早それっぽい原理の説明は存在しない。

この球も「本物の球は影がある」と見抜かれて、例外なく花形、左門に攻略される。
そもそも分身の球はストライクゾーンから明らかに外れた位置になるので、「相手にしなけりゃ良いんじゃね?」とかいう疑問が生じるが気にしてはいけない。

新巨人の星自体がこの魔球が打たれたあたりで連載が終了したため、結果として、飛雄馬が投げた生涯最後の大リーグボールとなった。
なお、飛雄馬はその後、原作の世界線においては、更なる続編の漫画で最終的に藤田巨人の時代(80年代中頃)までには二軍コーチに落ち着く事が明らかになっている。
だが、作画担当が変わった事による画の変化と、飛雄馬が主人公ではなくなった事によって、その認知度も低いため、巨人の星シリーズの正史に含まない見方もある。
結果として、現在では80年代に入っても飛雄馬が巨人で現役を続けたのかはいささか不透明な結果になっている。

アニメ版『新・巨人の星Ⅱ』では、サイドスローから投げられる162km/hのストレートが無数に分身する「蜃気楼ボール」という魔球になっている。
極端な疲労や影が見えるという弱点は存在せず、安定した投球が続けられていた。
何故か風に弱いという弱点があり、花形は大リーグボール養成ギブスをつけた猛特訓の末にバットを一度止めて風を起こしてから残像を消し、もう一度振りかぶってから打つという荒技「ツバメ返し打法」でホームランしている。
が、打った花形は代償として全身の筋肉がバラバラになり、選手生命を絶たれて引退している。
ちなみにこのシーンは左1号を強引に振り抜いてホームランした時のオマージュだったりする。
普通、飛雄馬は一度魔球を打たれたら次の魔球を考えるが、蜃気楼ボールはまともに攻略できた選手が誰一人いないため、花形引退後も使い続けている。
(アニメ版の後年の総集篇では『新Ⅱ』の結末が採用されているため、引退から12年後(引退した1979年から計算すると、90年代初頭の頃)の時点ではアメリカ在住との事。





追記・修正という星座のどまんなかでひときわでっかい明星となって光れ! かがやけ!

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最終更新:2026年05月12日 23:12

*1 体重が軽いせいで球威が軽く、プロ打者として力をつけた花形や左門から容易に痛打を浴びるほどになっていた。球質については現在から考えれば謎の理論であるが、当時は信じられていた。

*2 スパーリング同様に試合形式の練習のこと。

*3 巨人側は意表を突く目的で2号ではなく1号を投げさせたが、コーチの一徹を中心とした中日側の飛雄馬攻略作戦ではそれすらも計算の内に含まれており、「伴が背を向けてボールを誘導しつつファウルゾーンに打球が飛ぶようにバットに当て、その反動でホームベースに背中から倒れて地面を固め、2号の消えるカラクリとして用いる土煙を封じる」という策に利用していた。また、伴本人は元柔道の実力者であったため、地面に倒れ込む際の受身は手慣れていた。

*4 この勝負を見届けた花形でさえも「年功序列の意識から飛雄馬の態度に冷静さを欠いた結果の三振」と分析したほど。

*5 アメリカの化学教授が偶然にも木材に反発する性質を持つ液体を開発し、それを利用して投手としてプロ野球界(メジャーリーグ)入りするというあらすじ。