サイバーエルフ・エックス

登録日:2011/05/02(月) 04:05:54
更新日:2025/04/03 Thu 19:00:07
所要時間:約 10 分で読めます




ゼロ、この世界の事は‥
しばらくキミにまかせたい




ロックマンゼロ』シリーズに登場する謎のキャラクター。


Cyber-elf X

Unknown X(アンノウン・エックス)とも呼ばれる謎のサイバーエルフ
声優は水島大宙(ドラマCD)。



ロックマンゼロ
覚醒直後ということもあり、立ちはだかった大型メカニロイドに苦戦する主人公・ゼロに、彼本来の武器であろうゼットセイバーを投げてよこしたのが初登場。

‥ゼロ‥ソレヲツカッテ‥
誰だ!
ハヤク‥カノジョヲタスケナイト‥
サッ、ハヤク‥

その時点では謎のサイバーエルフでしかなく、何故ゼットセイバーを持っていたのかも含めて謎に包まれた存在だった。

しばらくしてストーリー佳境、ゼロがいよいよ敵の本拠地であるネオ・アルカディアに乗り込もうとした際にも登場。
サーバーハックに手こずるレジスタンスに代わってプロテクトを外してくれた。

オマエは、ゼットセイバーをなげてよこした‥
サァ ゼロ イクンダ
ソシテ ボクノカゲヲ‥
‥‥

まって、あなたは!?
‥そんなまさか‥

やはりゼロを古くから知っているような素振りを見せており、ゼロ本人が記憶を失っていることもあって正体は判然としないが、過去のゼロと深い関係にあった重要キャラクターであることを匂わせていた。
他方でシエルは、プロテクト解除とこの僅かなやり取りだけで、何か思い当たる節があったようだが…?







そして最終決戦後、ついにその正体が明かされる。



キミがボクをのこし、この世界からすがたを消してから‥
ボクは100年近く、たったひとりで
とほうもない数のイレギュラーと戦っていたんだよ‥
それは、つらくかなしい戦いの日々だった‥
しかし、何よりも悲しかったのは
だんだん、何も感じなくなってくる 自分の心だったんだ‥

サイバーエルフ特有の光球から変化した、ホログラムではあるが、神父のような衣装を纏った青いレプリロイドの姿——。

彼は百年前に戦友ゼロと共にイレギュラー戦争を戦った英雄、なんと伝説の英雄・ロックマンXその人であった。


かつて「俺」だった一人称は「ボク」となっており、性格もその頃より角が取れていて柔和で、それもあってエックスよりもむしろ初代ロックマンに近いキャラクター像となっている。
また正体を明かすまでの台詞はカタカナ表記だったが、正体判明後は通常の表記になっている。

ちなみに、企画段階では彼自身…というか『オリジナルエックス』がラスボスとなる予定であった。
しかしながら同時期に『ロックマンX』シリーズも進行中だったため、「別作品とはいえ、主人公をラスボスにして倒してしまうのはいかがなものか」という懸念の声が上がり、結果ラスボスはオリジナルエックスではなく模造品コピーエックスとなったという。

オリジナルのゼロ対エックスが見たいなら『ロックマンX5』のプレイを推奨。


エンディングでは、ゼロが眠りについてからの永い年月を一人きりで戦い続けてきたと言っているため、ロックマンゼロの歴史にアクセルは登場していない様子*1
その戦いで身も心も疲弊しきっていることを示唆し、「もう少し休ませてほしい」と言い残して、ゼロの下から去っていった。
その場でゼロは敵の大群に囲まれたまま放置なのだが、直前でエリアXの自爆から助けてもらった上に、自分がいなくなったせいでメンタルすり減らしながら百年ワンオペ頑張ったと聞かされた後では文句も言えないというもの。

わがままは聞いてやろう‥しばらくは、オレにまかせてゆっくりやすめ


ロックマンゼロ2
デュシスの森で再会。
合流後は『1』と変わらず、ゼロやシエルたちレジスタンスのサポートに回る。

同作では彼がサイバーエルフとなった理由も明かされた。
曰く、サイバーエルフが初めて実戦投入され、未曾有の犠牲者を出した『妖精戦争』*2が終結した後、その元凶の一つとされた《ダークエルフ》をネオ・アルカディア内の装置「ユグドラシル」に封印することになったのだが、その封印の鍵として自身のオリジナルボディを用いたため、エックスはボディを失い、今のようなサイバーエルフ状態になったという。
なお、レプリロイドの魂をサイバーエルフ化する能力は劇中でもマザーエルフが行使しているが、エックスのサイバーエルフ化がその力によるものかどうかは言及されていない。

しかし終盤、力を求めて暴走し、モットチカラヲダークエルフを求めたエルピスによって鍵であったオリジナルボディ諸共封印は破壊され、エックスがそこまでして封印していたダークエルフも解き放たれてしまう。

その後、已む無くエルピスを倒したゼロの前に現れ、ダークエルフが本来マザーエルフと呼ばれていたことと、彼女を変異させ『妖精戦争』を引き起こした「Dr.バイル」の名を彼に告げた。



+ 『リマスタートラック ロックマンゼロ・テロス』のドラマパートでは、妖精戦争当時の回想という形で、エックス視点でのオメガ撃破〜ゼロ封印までが新録されている。
ボクは‥ボクたちは‥誰かを縛り付けるために戦っているんじゃない
誰かを傷つけるために戦っているんじゃない
ただ‥誰とでも手を繋ぎ合わせられる世界を!作りたいんだ!

オメガ‥もう1人のオレと戦ってやっとわかった
今までのオレがどんな戦いをしてきたのか‥今までのオレの迷いが一体何だったのか‥今なら言える!
オレの力は破壊するためのものじゃない!友と‥友の信じるものを守るための力だ!

人類の60%・レプリロイドの90%を死滅させるに至った甚大な被害を及ぼしたオメガは、最終的にエックスと、コピーボディに移されたゼロの二人によって倒される。

君は‥これでいいのかい!?今までみんなのために戦ってきたというのに‥こんなのって!
‥オレがいる限り‥血塗られた歴史は繰り返される
そんな‥何言ってるんだゼロ!

しかしその後コピーボディのゼロさえも、結局はゼロ自身の危険性が問題視されたためか、エックスの反対虚しく再封印が決まり、存在を闇に葬られる事になった。

やめろ!今すぐ封印をやめてくれ!!
いいんだ‥エックス‥‥あと‥‥たの‥‥

そしてネオ・アルカディアの歴史上、戦争を終結させたのは青き英雄エックスただ一人とされ、さながら唯一神のごとく神格化される事となった。

オメガと共に復活したDr.バイルによって、新たに作られたコピペ様もといコピーエックスMk-2とゼロの戦いに姿を現す。
そして、一度ならず二度までもゼロに敗れ、憤りながらオメガを出させてゼロを始末させようとするコピペ様に、バイルの不在と元々コピペ様はバイルに利用されていただけという真実を告げる。
そのことに逆上したコピペ様は「シャイニング・トランスフォーム」を起動させようとした途端、Dr.バイルがコピーボディに仕掛けていたトラップが発動して自爆。
その事実を知っていたエックスは止めようとしていたようだが、結局間に合わず、ネオ・アルカディアを掌握しようとするDr.バイルの策がまんまと完成してしまった。

以降はバイルの野望を止めるため、ダークエルフに操られたレジスタンスたちからその影響を消し去ったり、バイルやオメガのいる座標を教えたりと、過去2作以上に積極的にゼロに協力。
これまでの構図ではネオ・アルカディア≒人間と敵対するレジスタンスへは大っぴらに協力する訳にもいかなかったが、バイルという明確かつ四天王とも共通の敵が現れた以上、それも気にしないでよくなったのだろう。

終盤には"ゼロのオリジナルボディを改造した存在がオメガであり、今のゼロはコピーに過ぎない"とバイルから告げられるが、その事実を最初から知っていたエックスは、ゼロがそれを知る前から*3「大切なのは身体ではなく心」と彼を諭した。
別段これは慰めでもなんでもなく、オメガは『オリジナルボディにバイル製のAI()が入れられた*4』存在なのに対して、ゼロは『コピーボディにオリジナルのAI()が入っている』存在だからである。
そしてオリジナルボディを振るうオメガ第三形態との最終決戦では、「キミの身体はたしかにコピーだけど、心はまぎれもなく本物」と彼を鼓舞し、その決着を見届けた。

そして、サイバー空間で生死の境にあった元四天王にも召集を掛けてゼロをサポートさせ、彼に最後の希望を託した。
“親友”の願いを託されたゼロはコピーの身でありながらオリジナルボディをも下し、「ずっと偽物の身体でいいのか」というDr.バイルの泣訴諸共、オリジナルボディを一刀両断。彼の野望を打ち砕いた。

キミならできるさ
本当にタイセツなものが何なのか
キミには、わかっているはずだから‥
さあ‥ゼロ!

しかし、『2』でオリジナルボディを破壊されたこともあって、サイバーエルフ・エックスの力も尽きかけており、『3』のEDにてついにサイバーエルフの姿を保つだけの力すら残っていないことを告白。
永きに渡って戦い抜いた伝説のロックマンXは、世界の行く末をゼロとハルピュイア達に託し、忠義の人と共に安らかに消えていった。








後の時代で再び復活。
ライブメタル・モデルXとして『ロックマンゼクス』で今一度の活躍を見せる。
オリジナル・エックスのデータを基に造られた存在であってエックス本人ではないが、さりとてコピーエックスMk-3とかでもない。
声優はゼロシリーズのドラマCDと同じく水島大宙氏。
ロックオン時の武器は腕のバスター。フルチャージショットを二連続で撃てるダブルチャージが標準装備となっており、最初から使える変身に反して火力はかなり高い。
ダブルチャージなんて昔は強化アーマーの能力だったのに…むしろエックス本人のすっぴん状態より強いのでは?

ストーリーが進むと他のライブメタルと力を合わせるダブルロックオン能力で、プレイヤーは様々な姿になれる。
…が、続編『アドベント』では他のモデルのロックマンに変身できるトランスオン能力を持つライブメタル・モデルAが登場。有り難みが若干薄れてしまった。
ただし、二段階目のチャージを二連続で撃てることから単純な火力はモデルAより高いこと、モデルAのトランスオン経由では通常のチャージ攻撃を行うだけでも武器エネルギーゲージを消費してしまうことから、差別化自体はできている。
また、ライブメタルの出力を一時的に高めて攻撃力上昇・属性付加を行うOISは各ライブメタルの単体ロックオンでは使えず、モデルXとのダブルロックオンでのみ扱える事から、エックスの特徴である高い拡張性も引き継いでいる事がうかがえる。





【ボディについて】

オリジナルエックスのボディ(素体)は全身を明確に描いた公式の立ち絵が存在しない。
ボディの資料自体は、

  • 基本イラスト(本項目1番目)
  • ユグドラシル破壊シーンの正面のドット絵
  • 同シーンの挿入イラスト(『ゼロ3 改造カード』で原画を使用)
  • 同シーンのコンセプトアート(『オフィシャルコンプリートワークス』や『ダブルダブルヒーローコレクション』に収録)
  • 『ゼロ3 改造カード』描き下ろしイラスト(同上)
  • 『リマスタートラック ロックマンゼロ・ピュシス』ブックレット内『Vile's Incident』描き下ろしイラスト
  • 『リマスタートラック ロックマンゼロ・ミュトス』ブックレット描き下ろしイラスト(本項目2番目)

などといったように数はそれなりにあるものの、描かれているのが一部分だったり遠景だったりと不明瞭な上に、それぞれのデザインに差異も見られる。
ちなみに、コピーエックスも変身前の公式イラストが無いため、"ゼロシリーズ版オリジナルエックスの現役時代"の姿は、コピーエックス変身前のドット絵から逆算するしかないのが現状。


「アーチー・コミック」版メガマン(ロックマン)にて未来の出来事として描写された妖精戦争のひと場面では、エックスのボディがこれらの一部を元にしたデザインになっていた。


この他、キャラデザの中山徹(鉄乃巨刃)氏本人がファン製作のガレージキットのパッケージ用にエックス(およびゼロ)を描いている。


公式ではないアレンジデザインではあるが、元のデザイナーによる現時点で唯一ボディ全身が明確なイラストということもあり、これ(とガレキ本体)を一つの参考例としたファンアートも少なくないのが現状である。


聞こえるかい‥ゼロ
ボクにはもう‥ほとんどチカラが のこっていない‥
この世界に‥長くいることも‥ むずかしくなってきたよ‥
ゼロ‥‥キミに‥この世界をまかせたい‥‥
まだこの世界から‥ バイルのキョウイは 去っていない‥‥
人間と‥レプリロイドを‥ 守ってあげてほしい‥
ゼ‥ロ‥‥
キミ‥なら‥できる
キミ‥な‥ら‥‥‥

画像出典:ロックマンゼロ、HARVEST-WKS(2008/08/01 及び 2008/12/16の記事)
© CAPCOM CO.,LTD. 2002 ALL RIGHTS RESERVED.

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最終更新:2025年04月03日 19:00

*1 そもそもの発売順がゼロ1→X7なので仕方ないのだが

*2 イレギュラー戦争末期の4年間、サイバーエルフの実用化により戦争が激化した事からそう呼ばれる

*3 物語冒頭から、度々バイルに「偽物」呼ばわりされており、ゼロも薄々察していたと思われるが。

*4 あるいはワイリー博士が意図していた元々の人格が起動している