荒耶宗蓮

登録日:2010/05/07 Fri 22:42:17
更新日:2025/03/08 Sat 10:35:15
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「両儀式―――その体、荒耶宗蓮が貰い受ける」


荒耶(あらや) 宗蓮(そうれん)とは、小説空の境界の登場人物
第五章「矛盾螺旋」に登場
声:中田譲治

【人物像】

「たわけ。口にしてはならないことを口にしたな、コルネリウス」

蒼崎橙子コルネリウス・アルバ魔術協会で同期だった魔術師で、常に黒いコートを羽織り、無口で強面な人相の持ち主。

元は台密(天台密教)の僧で人助けをしていたが、戦争などで人の性に絶望し、人と言う存在の意味の有無を求めて根源(延いては『 』)を目指すようになった。
しかし毎回、霊長の抑止力に阻まれ、現在では度を超え、根源を求めるだけの存在と化した。

根源の渦に至ることで「人類にとっての救いの有無を知る」という一応のお題目は掲げているが、内心では人類を救う気があるどころかヒトの悪性を見過ぎた結果「根源に至ることで、この世のどこにも救いなど『一切存在していない』という事実を確定させる」という、酷く歪んだ方向に思想がシフトしてしまっている。折れて救済を放棄し、死を記録する事後策に走ったという点ではこいつにも近い。
蒼崎橙子曰く「お前は自分の中にある『人類』の理想像を守りたいだけ」と核心的な寸評を喰らっており、通常の魔術師なら根源へ至ってしまった時点で現世がどうでもよくなる所を、荒耶宗蓮の場合は人類への憎悪が根源という実行手段を得て大惨事になるであろうことが語られている。

【能力】

「私は死なない。私の起源は『静止』である。起源を呼び起こす者は、起源そのものに支配される。すでに止まっている者を、お前はどう殺すというのだ」

魔術師としての能力は結界の分野に突出していて、限定空間においてその魔術は空間の移動・圧縮・生成など魔法の域に達する。
戦闘では自身の周りに三つの結界「不倶」「金剛」「蛇蝎」を敷くことで鉄壁の守りを誇る。
この三つの結界は常時連れ歩くという離れ業を見せており、恐らくは彼自身の起源「静止」の影響(型月世界の結界は設置式で通常連れ歩く等は不可能)。
身体能力も桁外れに高く、死徒のように銃弾を見てから回避出来る程。
また格闘戦も得意としていて、橙子は現代の中では最強の腕前と評している。
これはおそらく、長い年月を戦場や不安な地域などで過ごすうちに磨いていったものだろう。

また、橙子には及ばないが人形師としての腕もかなりのもの。
さらに起源覚醒の術で、己の起源「静止」を呼び起こしており、ほぼ不老状態で200年以上の時を生きている。
そして、左手には仏舎利を埋め込んでいるために死の線が極めて細くなっている。

【奉納殿六十四層】

「私は死途を可能なまで大きく腑分けし、結果それが六十四種であると迫った。ここに集まった者達は一人一人がその種の死に方を背負った者。いうなれば世界の縮図だ」

拠点である小川マンション、及びその結界の正式名称。カテゴリ上は固有結界の一種に分類される。
一流の結界師である荒耶宗蓮であったが、「静止」の起源との噛み合いが悪かったのか「心象風景で現実を塗り潰す」固有結界発動の域へ至ることはできず、奉納殿六十四層は「人工的に心象風景を再現する → その上から自前の結界を施す → “心象風景を閉じ込めた結界”なので固有結界として機能する」という後付けのロジックで強引に固有結界として成立させている。
固有結界内には抑止力が届かないため、式をこの中へ誘い込んで根源へ至るのが荒耶の狙いである。
「荒耶宗蓮の体内」とも形容されるこの結界内において荒耶は全能も同然であり、空間の圧縮や転移といった神代の魔女と同等の真似を行うことが可能。
一方で「体内」という形容は比喩ではないそのままの意味でもあり、奉納殿六十四層そのものが損傷すると本体の荒耶側にもダメージがフィードバックする弱点を抱える。つくづく式と能力の相性悪くないスかアンタ

作中行動

「その闇を見ろ。そして、己が名を思い出せ」

抑止力に阻まれぬ様にするため、両儀式の身体を介して『 』へ至る計画を立て、式と同じ根源(性質)を持ち、それでいて相克すると考えた巫条霧絵浅上藤乃白純里緒の3人を式と戦わせようと暗躍した。
ただ、これらの計画は荒耶自身が「うまく行かなかった」と見做している。
特に白純里緒に関しては誘い出すどころか、耐えかねた式が路上に投身自殺するまで追いつめてしまい、荒耶本人が式を救助に入るという本末転倒極まりない結果に終わっている。
さらに、実は第四の刺客として玄霧皐月も動員していたが、こちらは間に合わなかった。
橙子曰く「結界には長けるが他の能力は穴だらけ」とのことで、これらの策略がうまく行かなかったのも能力不足故の模様。

第五章ではアルバと組み「相克スル螺旋」と呼ぶ、自ら64種に分類した死の性質それぞれを反映した64人の死体と人形を用いて、死で終わる同じ1日を繰り替えさせる実験を行っていた。
その最中、偶然起きた臙条巴の逃走を利用し、小川マンションに式を呼び込み、自らが主役となって『 』を手に入れようとする。

最初の戦いでは式を捕まえることに成功し、後から来た燈子も首だけ残して倒した。
しかし直死の魔眼の仕様上、デフォで異能特効である式を「結界という異能」の内部に閉じ込めるだけに留めるというミスを犯し、さらに戻って来た臙条巴を罵倒がてらスルーしようとした所で「おまえ、大したことないじゃないか」という挑発に乗ってしまい、臙条巴相手に消費した分の時間が祟り、式の復活を許す。*1
その後は直接対決の中「両儀式」との邂逅を果たすが、追い込まれ「結界外に転移してマンションごと圧縮する」という最後の手段を、マンションの上から転移先を予測し、躊躇なく飛び降りて転移直後の荒耶を圧縮前に両断するという式の暴挙によって突破され、敗北。
自らの敗北を認めないまま、次なる人形を用意していなかったため消え去った。

彼の敗北は「抑止力によるもの」と用語集では端的に形容されているが、
  • 臙条巴の行動
  • 土壇場で転移先を正確に予測することができた両儀式
  • 霊長の抑止力が己と同じ読みの「阿頼耶(アラヤ)識」と呼ばれていることを、密教(大乗仏教)に精通しているのに終ぞ思い至らなかった荒耶宗蓮
このどれを指すのか、あるいは抑止がこのどれでもない働きだったのかは不明。
復活には数十年を要するらしいので1995年から29年経過している2024年現在、そろそろ何かの拍子に戻ってきそうである。

実は空の境界は、荒耶宗蓮という人物の物語でもある。

外部作品

ネコアルク・カオスに電話で呼び出され、店長兼料理人をすることに。

が、料理のあまりのまずさに抗議しに来た両儀式に殺された。

「ネコどもめ、図ったな!」


コラボイベント報酬である概念礼装「三重結界」のイラストに描かれている。

このイベント内では別の人が小川マンションを再現しているが、魔術師としての力量差なのか、人間どころではなくサーヴァントすら思考が歪む地味に恐ろしいものと化している。





「アラヤ、何を求める?」

――真の叡智を

「アラヤ、何処に求める?」

――ただ、己が内にのみ

「アラヤ、何処を目指す?」

――知れたこと。この矛盾した螺旋(セカイ)の果てを――





「今のままではじき常識に囚われよう。君は単にインターネットに溺れた異常者として扱われ、その人生を終えるにすぎん。だが、それは君の望むところではあるまい。
 何物にも囚われぬアニヲタとしての能力、常軌を逸した追記・修正の技法――――欲しくはないか」

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最終更新:2025年03月08日 10:35

*1 式曰く「オレの復活が間に合ったのはたまたまだが、そもそもおまえが最初に臙条の脱走を見過さなければこうはなってない(要約)」