超速スピナー

登録日:2020/05/27 Wed 14:31:18
更新日:2025/04/07 Mon 05:20:47
所要時間:約 4 分で読めます




『超速スピナー』は、1997年12月号から2000年8月号までコロコロコミックにて連載されていたホビー漫画である。
単行本:全7巻。作者:橋口たかし(当時は橋口隆志名義)。
当時大ブレイクしていたハイパーヨーヨーを題材にしており、その人気を加速させた。

美麗な作画、魅力的な登場人物が織りなす人間ドラマ、手に汗握る白熱した試合によって高い人気を獲得。「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」や「爆球連発!!スーパービーダマン」らと並ぶ、90年代のコロコロコミックを代表する作品の1つである。

ある試合では現代で言うところのVR技術を使用しており、90年代当時としてはかなり時代を先取りした描写であった。作劇上も有効に機能しており、後年になってその点が再注目されたこともある。

アニメ化もされ、「爆球連発!!スーパービーダマン」と週替わりで「おはスタ」内で放送。1話を月~金の5日分に分割して流すという特殊な形態だった。
爆走兄弟レッツ&ゴー!!」「ゾイド -ZOIDS-」と同じくXEBECの製作であり、主要なスタッフやキャストが共通している。


■あらすじ


主人公の少年、堂本瞬一は、運動神経抜群でスポーツ万能だが、勉強が苦手なのが玉に瑕。
運動部の助っ人として大会などに臨時参加をしていた彼はその腕を買われ、ヨーヨーバトルの助っ人をやる事になった。
これが瞬一がヨーヨーを始めるきっかけとなり、物語はそこから始まった…。


■主な登場キャラクター


  • 堂本瞬一
CV:森久保祥太郎
主人公。11歳の小学生。稲妻のマークが描かれたヘアバンドがトレードマーク。
勉強は苦手な反面、運動神経は抜群で様々なスポーツをそつなくこなす。
様々な運動部に助っ人として参加することで小遣いを稼ぐ日々を送っていた。
多くのスポーツを転々とする様子を快く思わない者もいたが、知り合いからは「あいつは心の底から熱くなるものがないだけなんだよ」「本当は責任感の強いいいやつなんだ」とフォローされている。
北条院から「才能」と称されるほど、ヨーヨーをプレイするのに向いたしなやかで長い指を持つ。

ある日の事、幼馴染であるりあんからヨーヨーバトルに誘われ、助っ人をやったのがきっかけでヨーヨーを始める。当初の目的である弁慶の打倒にはなんとか成功するものの、たまたま居合わせた北条院の驚異的な腕前を目の当たりにして心の底から打ちのめされてしまう。
ひどくショックを受けた彼であったが、初めて本気で熱くなれるものを見つけたことで熱中し、リベンジのために猛特訓を開始。その面白さと奥深さに引き込まれていく…。

ひたむきで真っ直ぐな性格ゆえ、過酷な特訓が祟りJCCの大会中に肘を痛めてしまった事もあった。その時は医師に懇願し、麻酔を射って何とか決勝に出場した。
JCC終了後、一時期はTHP-Jのメンバーから外され*1ヨーヨーから遠ざかっていたが、中村名人とループ対決を行なった末、スピナー(ヨーヨー使い)としての自身を取り戻した。
その後、名人からハイパードラゴンを授かり、THP-Jのミーティングに参加。
そこで実力を発揮し、メンバーに復帰した。

アニメ版ではヘアバンドの稲妻にDが足されて彼のイニシャルであるDとSを形作っている。

使用するヨーヨー
ハイパーインペリアル(アニメ版はハイパーラッセル)→ヘビーブレイン(アニメ版では未登場)→ファイヤーボール→ハイパードラゴン→ハイパードラゴンファイア

  • 北条院聖斗
CV:うえだゆうじ
瞬一のライバル。11歳。
裕福な家柄出身で、長髪の美少年。 作中でも現実でも女性ファンが多い。
瞬一が超えるべき壁として認識しているだけあり、その腕前、体力と動体視力と集中力は凄まじいものがある。
ハイパーレベルのトリックを軽々とこなすだけでなく、
  • 回転しているヨーヨーの種類を判別。
  • 右手でピアノを弾きながら利き手でない方の左手でシューティングスターを行い、そのままウォークザドッグで瞬一にヨーヨーを返す。
  • ピアノのコンクール後、休む間もなくそのままヨーヨーの大会にも出場。*2
  • ロケットで投げ、回転しながら落ちてくるヨーヨーのストリングスの穴を見極め、指を入れてキャッチ。そのままダブルループ開始。
  • 停電で闇に覆われた会場でもまるで意に介さずビハインドループを続ける。
……などなど、恐るべき描写の数々を登場人物と読者に見せつけた。

ヨーヨーのみならずピアノの腕前も抜群で、コンクールで優勝するほど。父親の意向でピアニストになることを宿命づけられている。

幼少時代は年齢相応の快活な性格であったが、現在はクールな性格をしている。
自分のヨーヨーの腕前には絶対の自信を持つ一方、瞬一の指の長さやヨーヨーの手入れが行き届いていることを素直に褒めるなど、他者に対してもよいものはよいと認める度量の広い性格。

チャンピオンとしての意地か、JCCでは各セクションで会場の誰よりも早く課題をクリアして見せている。他にも仲間となった人物が侮辱された時には静かながらも明確に怒りを表明し、相手の得意技を即興で行ってみせたこともある。基本的に温厚だが、やるときはやる人物である。
アニメ版では大会にあわや遅刻しそうな状況で迷子の女の子を助けようとした場面が追加されており、その優しさが強調されている。

優しく美人な母がおり、ヨーヨーとピアノは母と心を通わせた思い出の品であった。
しかし、幼少期に母親を病で亡くし、父親とはヨーヨーとピアノの両立を巡って確執を起こして以降は現在の様な性格になった。彼がひたむきにヨーヨーをプレイするのは、亡き母のため、そして同じく大切な人を亡くした悲しみを忘れようと苛烈な性格となってしまった父にいつか認めてもらうためであった。

そのような経緯からヨーヨーには並々ならぬ思い入れがあり、第1話で初心者の瞬一に見せつけるように高度なトリックを披露したのも、そもそもは当初ヨーヨーをよく知らなかった瞬一が口を滑らせてヨーヨーを軽んじる発言をしてしまったためである。

父親からヨーヨーを「指を痛めるから」と言われんばかりに禁止された事で一時は大会を辞退していたが、瞬一の熱意に心を打たれ、自ら家を飛び出した後、世界大会前の合宿に参加した。
アニメ版では父がヨーヨーを認めてくれたことで完全に和解したため、家出はしていない。
愛機はステルスレイダー(JCC決勝では原作ではハイパーレイダー、アニメ版ではハイパードラゴンアクアを使用)→ハイパードラゴン→ハイパードラゴンアクア

  • 夢宮りあん
CV:千葉千恵巳
瞬一のクラスメートにして幼馴染み
瞬一をヨーヨーバトルの助っ人に誘った事から全てが始まった。
よく知る仲だけあって扱いは手慣れており、当初ヨーヨーに興味のなかった瞬一に対し、上手く挑発することで弁慶と対戦するように仕向けた。
瞬一の使うハイパーインペリアル(ハイパーラッセル)やファイヤーボールは元は彼女のものである。

  • 木村ベソ
CV:野田順子
瞬一のクラスメイトでヘタレ気味。「~なのだ」が口癖。
本作のコメディリリーフ役で、彼が弁慶にヨーヨーを奪われたことがすべての発端であった。
大会ではりあんとともに瞬一の応援に駆け付ける。
りあんたちと共にフリースタイルを行った際は珍妙なオリジナルトリックの「ソバ」を披露し、会場を困惑させた。

アニメでは「キムチ」と書かれた服を着ている。

  • 武蔵丸弁慶
CV:鈴木琢磨
瞬一が最初に戦った相手。
まるで史実の弁慶のごとく、おもちゃ屋「なるみ屋」の前でヨーヨーバトルを仕掛け、勝利しては敗者からヨーヨーを巻き上げていた。
第1話でりあんが助っ人として連れてきた瞬一に敗北。

以後は瞬一とは悪友になり、時に緊張した場面を和ませるコミカルな役回りを演じる。北条院へのリベンジという同じ目的のため彼の通う学校に案内したこともあった。

JCC関東大会決勝トーナメントにて(ほとんど強運で)ベスト4にまで進出。だが、とうとう準決勝で北条院に敗れてしまった。*3
アニメ版でも基本的にギャグキャラなのは変わらないが、独特の味わいを醸し出しており、侮れない存在になっている。彼の能天気さは沈痛な心境に陥った瞬一との対比になっていたり、北条院相手でも諦めずに奮闘し続ける姿は戦意を喪失した瞬一に少なからず影響を与えたりした。

りあんに惚れており、5巻のおまけ漫画では祖父の協力のもと、肝試しにかこつけてりあんをモノにしようとした。
が、結局は瞬一にバレてしまい、失敗。しかもその時、「りあんは実は男」という出鱈目を本気で信じてしまう等、単純な所もあった。

ちなみにその時、彼はりあんとの結婚生活を想像しており、旦那になったりあんの尻に敷かれていた。
愛機はハイパーブレイン。内部のOリングを抜いてあるため、スリープ持続が伸びておりほぼファイヤーボール状態となっている。

  • 小暮宙太
CV:東さおり(現:東サオリ)
「小暮大サーカス」の一員。11歳。
やや生意気で目立ちたがりな性格をしている。「〇〇なんだよね」という語尾が特徴。
瞬一らに比べ小柄(136cm)で、それほど指も長くないが作中でもトップクラスの腕前。5つのヨーヨーで同時にロケットを放つなど、曲芸じみたトリックを行える。

ジャパンチャンピオンカーニバルの1回戦では、会場の全スピナーの中で2番目の早さで全トリックを消化。王者である北条院とはわずか数秒の差であった。この時「トリックを行う順番」に着目して司会者に質問するなど洞察力や知略にも優れることを見せつけた。

派手好きだが基礎を大切にする人物でもあり、本人曰く「基礎を馬鹿にする奴は、何やっても下手」。瞬一が特訓でロングスリーパーしかできなかった時には、スリープの音から磨かれた腕前と何か特別なことをしていることを見抜いた。
その後も裏では血の滲むような努力をしており、やがて8の字プレイの習得に成功した。

宙二という弟がおり、兄である宙太が必死でヨーヨーに取り組むのには過去の出来事が関係していた……

JCC関東大会で三位を達成。
THP-Jメンバーの一人として世界大会に出場。

愛機は原作ではファイヤーボール→ハイパードラゴン。アニメ版ではハイパーインパルス。

  • 霧崎マイ
CV:大本眞基子
昭和61年8月7日生まれ。血液型AB型。13歳。身長133cm。体重██kg。
小柄な美少女で、初登場時は物怖じしたように伏目がちで大人しく控えめな雰囲気であった。

「家の近所に認定店が無かった」という理由で「レベルなし」で登場。ついでに会場の観客にもそのように紹介された。これには対戦する輪刃も拍子抜けした様子だったが……

+ 以下ネタバレ
実際には強豪の一角であり、標準より短いストリングのヨーヨーを使用した超高速プレイ、「ワープスピード」の使い手。
愛用のステルスファイヤーのストリングスは小柄な体格に合わせてか通常よりも短く調整されている。非常に単純なタネではあるが、糸が短いということはループ系トリックの円周が狭まり、トリックに要する時間を短縮することができる。

大人しい様子は猫を被っているもので、プライドが高く強気な本性の二面性をもつスピナー。
その気性は確かな実力に裏打ちされたもので、瞬一とも熾烈な対決を繰り広げた。
強風が吹き荒れるステージではミスを避けるために腰を落とし膝をついた姿勢でストリングプレイを行うなど、洞察力や判断力もしっかり備えている。

一方、全力の勝負に負けた時には素直に相手の実力を認めて結果を受け容れるという潔さをも併せ持っている。

肩書こそレベルなしではあるが、当然ながらハイパーレベルのトリックはすべて可能。近所に認定店がなかったというのは本当だったのか、周囲を油断させるためのだったのかは不明。

ベーシック、スーパー、ハイパーレベルの全30トリックを消化するというJCC1回戦において、ループ系トリックなら関東随一と目される輪刃を抑えて2回戦に進出。
まさにダークホースであり、この予想外の結果には瞬一のみならず全国の読者が驚愕したことであろう。

小型な体格の女子でも男子と互角以上に張り合えるという、ヨーヨーの魅力を体現する人物でもある。瞬一と対戦したVR空間でのステージ、トリックを数多くこなすほど勝利に近づくルールは彼女の強みを遺憾なく発揮できる最高の舞台であった。

初登場時に負かした輪刃とは、その後も何かと絡むことがあり、霧崎に苦手意識をもつ彼をたびたび尻に敷いてコキ使っていた。
しかし、年の差に関係なく(よくも悪くも)遠慮なく接してくれていた輪刃には少なからず好意を持っていた節もあった模様。彼がドクター・ブレイン一党に下った際には複雑な顔を見せていた。思いがけない形で再登場した時には大きく動揺し、最終戦には戦意喪失するなど、特別な感情を匂わせた。

単行本4巻での中表紙でもマイと輪刃がセットで描かれており、このカップリングは公式公認なようだ。

THP-Jメンバーの一人として世界大会に出場。

実は13歳。つまり主人公や北条院より年上の中学生のお姉さん である。
それでいて背丈は主人公や輪刃の胸元くらいしかない*4見えそうで見えないチラリズムも加わり多感な年頃に刺さる属性が盛り沢山である。

よって 読者からの人気は高く、連載当時は北条院と一二を争うヒロインだった。 ……ん?*5

なお、作者の次回作『焼きたて!!ジャぱん』には「マイスター霧崎」という人物が登場する(名前以上の関係性はない)。




  • 輪刃剛志
CV:遠近孝一
サングラス姿をかけたパンクファッションの少年で、ループ技の達人。
通称:ループの輪刃剛志。
その腕前は中村名人や瞬一など多くの人物に評価されている。

JCC関東大会予選では不運にも抽選漏れしたことで、同じく当日出場枠に望みを託す瞬一と互角の戦いを繰り広げる。中村名人の計らいで両者ともに本戦出場が可能になったことで、トーナメントでの再戦を誓い合うが……

その後THP-J選抜合宿から最終戦まで、一貫して重要な立ち位置を右往左往する。
本作では数少ない左利きのスピナーであり、反利き腕の右腕には手錠型のブレスレットをアクセサリーとして付けている。

+ 以下ネタバレ
瞬一とのループ対決後、決着を付けるべく互いに1回戦の突破を画策するが、
フタを開けてみれば、結果はレベルなしとされた霧崎マイ相手にまさかの一回戦敗北であった
まあ本作に限らず少年漫画において再戦を誓った相手がさらなる強敵のかませになるというのは一種のお約束ではある

ただし中村名人に実力を認められているのは本当であり、その後THP-Jのメンバーとして参加して物語には登場し続ける。だが、敗北を喫した霧崎マイには尻に敷かれ続け、THP-Jの合宿でも最終盤において選考から外れるという屈辱に甘んじる。
それでも負け犬から脱したいというくすぶった彼の闘志はとある人物に目を付けられる。結果、最終章にてまさかの再登場を果たし、最後の最後で大役を果たすのであった。

当初はかませキャラのような扱いにされつつも、終盤で見せたこのような展開から単なるかませでは終わらなかった人物として読者から愛されている。



  • 桜場丈一郎
JCC関西大会3位。
通称:ジョーイ。ボクサーでもある。
初期は「情一」という名前だったが、何故か途中で名前が変更された。かなり我が強く度々周囲と揉める問題児であるが、
THP-J合宿でポルックスに敗北し代表から外される。その後失踪するが…?

  • 安濃慈円馬
JCC北海道大会優勝者。14歳。名前の読みは安濃(あのう)慈円馬(じえんま)。
カウボーイ風のファッションが特徴の貧乏キャラ
実家の牧場が経営難に陥っているため、とにかく金がない。切れたストリングスを繋いで使用したり、雨が降ってもなしでいる等、涙ぐましい努力を強いられている。

そのセコいとも柔軟性があるともいえる彼の在り方は時に予想外の活躍を見せることもある。
THP-Jメンバーの一人として世界大会に出場、最後まで重大な活躍をする。

  • 十川四郎
JCC四国大会の優勝者兼THP-J補欠。
細目に和服、そして頭に巻いた手拭いが特徴。
好きな食べ物は讃岐うどん

  • 伊達将吾
JCC東北大会の優勝者兼THP-J補欠。
いなかっぺ風の風貌。

  • 南郷番
JCC九州大会の優勝者兼THP-J補欠。
細目に黒帯、そしてマッチョな肉体が特徴(要は西郷隆盛風)。

  • 才羽博士
CV:鈴木清信
科学技術者であり、ヨーヨーの新たなる可能性を研究している。
ホビーアニメで欠かせない、博士ポジション。科学の発展を平和利用する事に嘘偽りはなく、最後に大立ち回りを演じる。霧崎(と読者)「……なんて無茶な救出劇かしら…。」

  • なるみ屋のおっちゃん
CV:中村大樹
瞬一たちの近所にあるおもちゃ屋「なるみ屋」の店主。
中村名人とも顔見知り。
JCCや世界大会にもりあん、ベソと共に応援に駆け付け、ビデオ役を務めた。パンチラを盗撮する。

  • 中村名人
CV:三木眞一郎
本名:中村謙一。
知る人ぞ知る、実在するヨーヨーのプロ。
北条院を超えるべく闘志を燃やす瞬一にかつての己の姿を重ねており、特訓の方法*6を教えるなど、何かと目をかけている。

瞬一にハイパードラゴンを授けた他、THP-Jの監督を務める等、名人は漫画内でもヒーローであった。
この手の監督キャラは影が薄くなるのがコロコロ漫画のお約束と言えるのだが、
この人は最後の最後まで活躍し続けた。さすが名人。

余談だが、やたらコラ画像として使われる「ストリングスプレイ・スパイダーベイビー」とドヤ顔をしているコマは本作では無く、本作の前に掲載された前後編の読み切り作品『燃えろ!スピナー』である。

アニメ版ではやたらトイレから出てきたりトイレに行くことが多く、「なるみ屋のトイレに在中している」というあらぬ誤解まで受けている。第18話に至っては才羽博士からの航空券がなぜかなるみ屋に届き、名人がトイレから出てくるのを狙っていたかのようなタイミングで電話がかかってきたほど。これにはなるみ屋のおっちゃんも「ウチのトイレに住み付いてると思われてるんじゃない?」とコメントしていた。*7


  • アレックス・ガルシア
CV:くまいもとこ
アメリカ代表「THP」のリーダー。
実在の人物であり、第一次ハイパーヨーヨーブーム時代は中村名人と並んで子供達の憧れであるトップ選手だった。

  • アルベルト・シュニッツァー
ドイツ代表「チームバイパー」のリーダー。
ヨーヨーから糸を外して行う異色のトリックを得意とする集団である。
敵対チームには高圧かつ辛辣。ワンマンチームではあるが仲間想いであり、他のメンバーを必ず世界の頂点に連れていくとしている。そのためかチームの結束は強い。

使用ヨーヨーは当時としては異色のオフストリング専用機種であったヘンリース社製のバイパー。
ハイパーバイパーとして日本国内でも販売されたが、
第一次ハイパーヨーヨー最高額(およそ8,000円)を記録したため、買ってもらえた子供は少数だった模様。*8

  • ヒュエル・マグヌス
チームバイパーの紅一点。
同じくチームの紅一点である霧崎マイと張り合うが……

  • 烏龍のリーダー
中国代表「チーム烏龍」のリーダー。
本名不明。チャイナ服のメガネっ娘で、語尾に「アル」が混ざる典型的な中国口調なチャイナ娘。終盤では数奇な運命を経て酷い目に遭わされており、 割と本作の不憫枠筆頭。
チーム烏龍の他メンバーからは「姉」と呼ばれている。

  • 黒岩
初めは才羽博士の部下として登場したが、実は世界征服を目論んでいた組織「ブレイン」のトップ・Dr.ブレインの息子。「黒岩」は偽名らしく、本名は不明。

父親に嫌悪感を持っており、ブレインの部下から「ブレインぼっちゃま」と呼ばれることも嫌がっていた。*9
最終的には父親を裏切る
中村名人の澄んだ目に対しては敵愾心のようなものを抱いていることから過去に様々な葛藤を経たことをにおわせている。

  • Dr.ブレイン
世界征服を目論む組織「ブレイン」のトップにして科学者。
「科学からは欲と悪しか生まれない」が信条であり、科学の平和利用をかかげる才羽博士への反発もあって、
彼の研究を悪行に利用しようとしている。
ニューポルックスとスーパーヒューマノイドはその成果物であり、世界大会を利用して実戦テストを行った。
完成の暁には世界を手にする……らしい。

決勝戦にて会場を占拠し、人質をとるなどして主人公らを追い詰めるが、
研究成果を破壊する才羽博士の決断により逆転、やむなく逃走する。
逃走の際には会場を火山噴火(!?)で吹き飛ばす置き土産を残し、その後世界指名手配されるが、
物語の完結まで特に成敗もされなかった珍しいラスボスである。*10


■ストーリー展開


瞬一のヨーヨーデビューからJCC出場、THP-Jのメンバー仮決定を描いたJCC編(時期:1997年12月から1999年1月まで)から始まり、
瞬一と中村名人との対決、THP-Jの合宿の様子を描いたTHP-J編(時期:1999年2月から1999年10月まで)、そして世界大会編(時期:1999年11月から2000年8月まで)へと物語が展開されていった。


■用語集


  • JCC
ジャパンチャンピオンカーニバルの略。
言わば、日本全国で行われるヨーヨーの大会である。
各地の大会で実力を認められた者はTHP-Jのメンバーになれる。
そう、実はこの大会自体、THP-Jのメンバーを決める選考会の様な物である。


  • THP
チームハイパーパフォーマンスの略。
実在したチームで、ハワイを拠点にしていたヨーヨーパフォーマー。
作中ではアメリカ代表のチーム名として登場。
また、作中には登場していないが、THP-フランスなど世界各国にTHPは存在した模様。


  • THP-J
チームハイパーパフォーマンスジャパンの略。
いわば日本版THPであり、こちらもTHP同様に実在したチーム。
当時の子供達も実力次第で加入することができたが、合格のハードルは著しく高く*11
後に何度も世界大会を制したほどのプレイヤーですら加入できないほどであった。


  • チーム烏龍
中国代表のチーム名。

  • チームバイパー
ドイツ代表のチーム名。

  • チームヤヌス
近年独立したばかりの国・ヒンギス(架空の国家)代表のチーム名。
メンバー全員が頭から布を被っており、顔がほとんど見えない。
異様な実力を持つ、その正体は……?


  • ポルックス
THP-Jの合宿における、メンバーへの試練として登場。
才羽博士が開発したアンドロイドで、後にチームヤヌスとして登場した際にはほぼ瞬一達と同じ見た目をしていた。
高度なAIが搭載されており、身体能力や技術も本人達と同じで、己を超えない限り、勝ち目はないとされている。
作中では司令機だった瞬一機が外部衝撃によって暴走したため、設定されている「本人の能力」よりも速いスピードで稼働し始めてしまったが、
その状態のポルックスに勝利できたのは瞬一・北条院・小暮・霧崎・安濃慈の5人のみだった。
合宿の例のように、才羽博士としては平和利用が目的だったようだが、
それをよしとしないドクター・ブレイン一党によって奪取、後に改良・量産された。

  • スーパーヒューマノイド
額に取り付けた装置により、強制的にを活性化させられた人間、およびそのシステム。
使用すると、THP-Jにおいては実力が高くないとされた輪刃・桜場であっても、
ダブル8の字ループのような高難度トリックを成功させ、登場人物のほとんどを圧倒する高い技術を得ることができる。
ただし、体力を大きく消耗するため、外すと3日間は昏倒してしまう。
後述するD(ドラゴン)チップの奪取された研究をもとに作られたと考えられる。

  • ハイパードラゴン
中村名人から瞬一に託されたヨーヨー
才羽博士らによって開発され、ミクロ以下の精度で製造されたヨーヨーの集大成。
中には「ドラゴンチップ」なる物が内蔵されており、上述のポルックスのデータ収集の役割も兼ねていた。
しかし後にドクター・ブレイン一党によって奪取される。

このヨーヨーは才羽博士の理論をもとに、「超フライホイール効果」なる現象を発生させるべく設計されている。
どんな現象かというと、作中の記述から読み取るに、
ハイパードラゴンには回転数が一定値を超えると性能が飛躍的に向上していく特性があるのだが、
それと連動するかのようにしてプレイヤーの能力も引き出されていく(シンクロ)、という現象らしい。
さらに、超フライホイール効果が極まると無重力空間が発生し、重力から解放されるのだとか。話が急に飛躍したな……。

このヨーヨーは実在しており、松下電器の子会社が設計に携わったが故の超高精度と
ボディやベアリングの変更、ウェイトの追加など幅広いカスタマイズが楽しめるのが売りであった。
何気に本格的な競技モデルとしては初の国産ヨーヨーである。

作中にはプロトタイプ・量産タイプ・ハイパードラゴンファイヤー・ハイパードラゴンアクアの4機種が登場。
プロトタイプは中村名人から瞬一に託されたもの。THP-Jの合宿が始まるよりも前に登場した一品だが、合宿で利用されるドラゴンチップは搭載されている。ワンオフ品かは語られていないが、作中には瞬一が受け取ったものしか登場しておらず、瞬一以外のメンバーが使う事は無かった。
量産タイプは合宿にてTHP-Jメンバー全員に配布されたもので、プロトタイプより性能は若干抑えめ。
当初プロトタイプよりも使いやすく調整されているという理由で瞬一にも使わせようとしたが、本当の理由はドラゴンチップが搭載されている機種を使わせたいため。プロトタイプにもドラゴンチップがある事を知ってからはプロトタイプの使用が認められた。
また、詳細なデータ取得のために、性能の違いは無いものの、右手用・左手用が決められている。作中では右用と左用でカラーリングも異なっていた。
ファイヤーとアクアはそれぞれ瞬一・北条院専用にカスタマイズされたアッパーバージョン機。ファイヤーはファイヤーボールやハイパーレイダー等と同じノーマル型だが、アクアはステルスファイヤー・ステルスレイダー等と同じバタフライ型。

その全てが実際に商品化されたが、耐久性に非常に難があった(特にキャップが割れやすい)のと
2000年代後半以降の中国での超速スピナーブームに伴いデッドストックが大量に輸出された為、
日本国内で美品を手に入れようとするとかなり難しい。

また、作中には登場しなかったが、後継モデルとしてハイパードラグーンと
その発展モデルであるハイパードラグーンPROが存在する。こちらも当然入手困難。


  • ヘビーブレイン
初心者用モデルであるブレインを中村名人がカスタマイズし、
外周に鉛を埋め込むことで通常の5倍の重さに仕上げた修行用ヨーヨー
このヨーヨーによる修行を経て、瞬一は確かなスリープ力とループ速度を手に入れた。
アニメ版ではこのヨーヨーは登場せずにヘビースピナーズグラブという非常に重いグローブに変更されている。

なお、実際にそんな重さのヨーヨーを使うと糸が切れたり、腕や肩や指に
尋常ではない負担を与えるので絶対に真似してはいけない。*12
後年C3yoyodesignがロングスリーパーで世界記録を作ることだけに特化した「BTH」を制作したが、
注意書きに「このヨーヨーはロングスリーパーのために作られています。普通のトリックはできません」とぶっちゃけるヨーヨーに仕上がっている。
コヤツが220gなので、このヘビーブレインはそれ以上という計算になる(58.5×5=292.5g)。
もっとも、実際のブレインは外周部にみっちりプラスチックが詰まっているので、
無理矢理再現するとなると旋盤による加工や高度な鉛の鋳造技術は必須となるので
まず真似することは不可能に近いだろうが……



■メディアミックス


  • アニメ版
1998年11月30日から1999年9月10日にかけ、テレ東系列にて放送。
全22話。
JCC編+αまでの内容で、THP-Jメンバーに合流したかは描かれていない。
瞬一がJCC1回戦の赤城戦という原作よりも早いタイミングでハイパードラゴン(後ファイアに改良)を使用するオリジナル展開も。これによりハイパーレベルのトリックを見ただけでコピーするというやや無茶な展開に説得力が足されている。

他には尺の都合に合わせて描写の肉付けが行われたり、北条院の家庭関係や過去話も描写、アニメオリジナルの展開がされている。いかにもレツゴーのスタッフが手掛けたらしく、登場人物たちがたびたび自分の使うヨーヨーの名前を口にする場面も。

特に原作では家出したままで終わった父親との確執、そして和解が描かれているのは要注目。アニメ終盤、北条院は父親からハイパードラゴンアクアを受け取って決勝に臨む展開となっており、原作よりは救われた形となっている。

1998年9月18日発売。
メーカーはハドソン
対応機種はゲームボーイ
画面に表示されたコマンドを入力し、ヨーヨー技を極めるという内容。



■余談


近年、この漫画を語る上で持ち込まれる事が多い意見に、
『唯一現実に追い抜かれたコロコロホビー』 というものがある。
漫画より現実のほうがヤバい。
そんな珍しい事例である。

というのも、この漫画の主題となるヨーヨーのテクニックは、
必殺技をはなつ自動車模型人が死傷するカードゲーム龍やら虎やらが出てくるコマと違い、
現実に存在する技をベースとしており、 (基本的には)再現が可能である ため。


現在でも開催されている全国大会や世界大会などでは目を疑うような超絶技巧が。
人類としての限界に挑戦しているかのようなプレイを多々見ることができる。
もちろん実写である。

ベーシックレベル、スーパーレベル、ハイパーレベル……。
超速スピナー当時から多種多様なトリックが存在した。
しかし 現在はそのほぼ全てが単なる基礎レベルと呼ばれるほどになってしまった 事は否めず(流石に最上のTHP-Jプロレベルだけは例外だが)
現にとある世界チャンピオンが自身のTwitterで
「もし超速スピナーのキャラが今現実の大会に出てきても、誰一人地区大会の予選すら通れないと思う(大意)」
と発言した事もある。

よって、確かに現実がフィクションを追い抜いた面も存在するのである。

ただし、この作品はあくまでホビー漫画である
トリック以外でなら、VR装置、人型ロボット、額に付けるだけで脳を活性化させる装置、ヨーヨー合宿用の島と超大規模施設……
と非現実的な表現はわんさか出てくるし、
もちろん、世界征服をたくらむ悪の組織もお約束として登場する。

トリックに関しても、
  • ミルク・ザ・カウで延々と床のスイッチを押しまくる*13
  • ループ・ザ・ループ秒間8回*14
  • ロケット*15→紐が巻き取られた状態のヨーヨーが落ちてくる→紐に直接指を通してプレイ続行*16
  • 8の字ループ*17・ダブル8の字ループ・∞ループ*18

など、いろいろとありえないプレイが多い。
これらの描写を現実のプレイヤーが再現できるはずもなく、いくら物理法則を無視しているように思える技を連発する世界トッププレイヤーでも、本当に物理法則を無視した技をできるわけではないのである。

よって正確には、 「トリックの基本的な部分は」追い抜いた 、ということになるだろう。

なお、作中に登場した技のみでは、8の字ループやその派生を用いたとしても、
自由演技ルールの大会に出た場合には平均的な技のレベルやバリエーション等で大きく劣ってしまう事は否めず、
先の世界チャンピオンの発言の通りになると考えられる。




追記・修正はムーンサルトとブレインツイスターを成功させてからお願いします。

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最終更新:2025年04月07日 05:20

*1 実力不足ではなく、中村名人から肘の故障を懸念されての取り消し。療養し懸念が消えてから改めてスカウトする予定だった。

*2 アニメ版ではさらにかなりの距離を走る羽目にもなっている

*3 一応ハイパーレベル7までは達成できたため、決して下手ではない。

*4 彼女の身長133cmというは9歳児の平均身長である。

*5 なお、正しくヒロインであるりあんは番外編の主役になったことこそあるが、全体的に見せ場が少ない。なお作者の橋口氏の画力の高さにゆえに中国代表のチャイナ娘、小暮宙太の姉、一コマだけ出たなるみ屋のおっちゃんにパンチラを撮られた子など、本作ではチョイ役の女の子にもマニアックな人気があった

*6 原作ではハイパーブレインに鉛を仕込んだヘビーブレイン、アニメ版ではヘビースピナーズグラブを使って基本トリックだけを行うというもの。

*7 原作ではやけにスッキリした様子でトイレから出てきて瞬一をズッコケさせるという描写が1回あったのみ。

*8 第三次も、同額に達した「アクロナイザー」というフルメタル機種が通販限定で販売されていた。

*9 本人曰く「ヤツ(Dr.ブレイン)の事を一度たりとも父親だとすら感じた事がない」

*10 逃亡後に黒岩からは「往生際の悪い脳味噌ジジイ」と吐き捨てられていた。

*11 当時としては非常に高難易度なTHP-JPSレベルと呼ばれるトリック群を全て制覇し、更に3分間のフリースタイル(自由演技)でも合格を貰う必要があった。それでもTHP-JPSレベルを突破する子供達はそこそこいたが、その殆どがフリースタイルで落とされ、メンバーは最終的に60人少々という非常に狭き門であった

*12 実際に真似し怪我した読者がいたらしく、当時の連載時に煽り文で注意書きが出たほど。

*13 普通ヨーヨーが止まるし、仮にできたとしてもヨーヨーがすぐ壊れる

*14 精度に関してはミリ単位で調整できる猛者も居るが、秒間8回は流石に厳しい

*15 紐から指を抜いて、ヨーヨーが回転したまま放り投げキャッチするトリック

*16 ロケットが成立した時点でストリングホールの維持はほぼ不可能

*17 軌道の切り替え方が不明。2016年世界大会における高田選手などが実際にステージ上で披露したが、不格好にならざるを得ない上、厳密には一続きのループになっておらず、作中の技を完全再現できたとは言い難い

*18 重力に真っ向からケンカを売っている。実際、特殊なヨーヨーと主人公らの技術によって「無重力空間」が発生しているらしい