エンクレイヴ(Falloutシリーズ)

登録日:2011/10/31 Mon 19:36:20
更新日:2025/04/09 Wed 15:17:41
所要時間:約 6 分で読めます




エンクレイヴとは、Falloutシリーズに登場する武装勢力である。


パワーアーマーとエネルギー兵器で武装しており、彼らの所有する装備の中にはエンクレイヴが核戦争後に独自開発した最新鋭のものも含まれる。
ちなみに彼らの装備するパワーアーマーは非常にSFチックな独特のデザインをしており、同様にパワーアーマーとレーザー兵器を装備するBrotherhood Of Steelとはまた違うカッコよさがある。
Fallout4』において似た形状を持つパワーアーマー「X-01」が登場し、ファンの一部からはこの機体の同系統あるいは発展型なのではないかと目されている。

Fallout2』のパッケージを飾っているが、その姿はどう見ても悪役のそれ。



[概要]

最終戦争を生き延びた合衆国政府や企業関係者の末裔であり、ウェイストランドの正当な後継者を自負している。
実際、精々戦前の技術を維持、もしくはリバースエンジニアリングができる程度の技術力しか保有しない他勢力と違い、新技術を開発、生産できる高度な技術力・生産力を所有している、数少ない勢力の一つ。

そして、その技術力により生み出された高度な兵器や練度の高い隊員の質も含め、間違いなくウェイストランド最強の武力を保有する勢力……であった

そんな彼らの目的は、ウェイストランドに住む全ての「ミュータント」を粛清し、エンクレイヴのみの新世界を実現するという、ナチスも新世界の神も真っ青なもの。
当然のことながらウェイストランドのすべてを敵に回したばかりか、内部からも離反者や造反者が相次ぐこととなり、台頭する度に歴代の主人公を始めとした敵対勢力によって潰される憂き目に遭っている。残当


[歴史]

[戦前~本隊の帰還]

元々はアメリカを裏で操る一部政治家、財界、軍部から成る軍産複合体であった。
彼らは最終戦争がおこるかなり前から自分たちが生き残るための準備を開始しており、結果として、最終戦争をアメリカ西海岸沖合に設営された石油採掘基地や政府用バンカーでやり過ごした。

高度な技術や科学者、研究員を保持し続けることに成功し、このとき避難したポセイドン・エネルギー石油採掘基地は、エンクレイヴ司令部としてエンクレイヴ本隊の崩壊まで利用されることになる。

その後、新型パワーアーマーや垂直離着陸機ベルチバードの開発に成功し、他勢力に対し圧倒的優位に立ったエンクレイヴは2200年代についにウェイストランドに帰還、覇権を奪回すべく行動を開始することとなる。
それは既に核戦争から一世紀以上も経過した後だった。

つまりこいつらもBoS同様、引きこもりを続けていたのである。どうも戦前の人間には引きこもりの習慣があったのかもしれない。
しかし長い間引きこもっていた為に、帰還したアメリカ本土、ウェイストランドにおけるヒャッハーな有様やスーパーミュータントグールといったモンスターな生物を見て「俺らのアメリカが穢されてる!」と大きなショックを受けることに。

その後も調査を進めていくと、核戦争でまき散らされ今もなお地上に残存している放射線と、それにより変異した状態で大気中に存在するFEVによって、一見すると自分たちと変わらない一般的なウェイストランド人であっても遺伝子レベルでは変異を起こしており、もはや自分たち戦前からの純粋さを保っている「人類」とは種として違う「近人類」と結論付けると、自分たちが大陸に戻るには邪魔な存在とみなし、その殲滅を目論む。

[Fallout2~]

2200年代前半、当時の大統領ディック・リチャードソンはアメリカ大陸全土に蔓延る「近人類」掃討の為、FEV(強制進化ウイルス)を改良した致死性のFEV毒をジェット気流に乗せて地球上に散布するという地球規模の無差別殺人計画を発動する。
カリフォルニア北部にベルチバードの給油基地としてナヴァロ前哨基地を建設すると、「Vaultの住人(※『FO1』主人公)」が苦労して爆破したマリポーサ軍事基地を掘り起こしてFEVのサンプルを入手、毒の生成に必要な化学薬品を現地のマフィアと取引*1して入手する。

離反者を始末しつつ計画の実現まであと少し、という段階になった2241年、FEV毒の対照実験の為に「自分たち同様変異していないVault 13の居住者」と「比較的最近変異し始めた元Vault 13居住者の子孫が暮らすアロヨ村の村人」を攫ったのが運の尽き。
元々アロヨ村を干ばつから救うためにG.E.C.K.を探していた「選ばれし者(※『FO2』主人公)」の怒りを買うこととなる。

同胞たちの救出と復讐に燃える「選ばれし者」は石油タンカーを動かし、ポセイドン・エネルギー石油採掘基地の迎撃システムを無力化して内部へと潜入。
最終的に石油採掘基地は「選ばれし者」の工作活動による核爆発で吹き飛び、エンクレイヴ本隊は壊滅する。
大陸上にあったナヴァロ前哨基地は核爆発から免れたものの。数年後にウェイストランドの文明国NCRによって攻め落とされた。
NCRではエンクレイヴ関係者は見つけ次第即射殺か、協力という名の死ぬまで強制労働を課しており、エンクレイヴの所業の酷さを垣間見ることができる。

[Fallout3~]

そのまま歴史の闇に消えていくものと思われたエンクレイヴであったが、ナヴァロ前哨基地が攻め落とされる直前、オータムというエンクレイヴの科学者とエデン大統領と呼ばれる謎の人物が率いる一派は東海岸に存在する別動隊と合流すべく移動していたことが判明する。

2277年、西海岸から遠く離れた旧ワシントンD.C.周辺、キャピタル・ウェイストランドにて再集結したエンクレイヴ残党はレイブンロックと呼ばれる政府用シェルターを拠点として再び暗躍を開始。
現地のウェイストランド人で進められていた、汚染された水源を浄化することで環境改善と飲料水の確保、汚染水に依存するクリーチャーを排除する計画を乗っ取る。

しかし、オータム大佐が「水質浄化プロジェクトの手柄を自分たちの物とすることで現地のウェイストランド人から支持を得て再興する」という現実的な路線を主張したのに対し、エデン大統領は「水質浄化と共にFEV毒*2を流すことで周辺地域から全ミュータントを一掃する」という相変わらずの強硬路線を決行。
組織として足並みが揃わず造反者、離反者が続出する。

当然キャピタルに住む全住人を敵に回すこととなった上に、偶然にも同地域にて拠点を持ち活動していたエルダー・リオンズ率いる東海岸BoSとの抗争が勃発する。
さらにVault101のアイツを敵に回したことが決定打となり、指導者であったエデンと指揮官のオータム大佐を失い、レイブンロックも失陥する。

その後の顛末を描いた「Broken Steel」にて、残党が再起をかけてアダムス空軍基地に移動要塞クロウラーや残存ベルチバード、人員を集結させるも、復讐に燃える101のアイツとBoSの追撃を受けアダムスも失陥、エンクレイヴという組織は完全崩壊することとなる。


[Fallout3後]

Fallout4』では東海岸BoSの連邦遠征隊がベルチバードを運用しており、エンクレイヴの保有していた技術がBoSに吸収されたことは想像に難くない。

一方で、ナヴァロでの戦いを生き延び、以降のNCRの追跡からも辛うじて逃れられた人員もいる。



エンクレイヴ壊滅の謎

上記のとおり、エンクレイヴは劇中において壊滅しているのだが、一方でエンクレイヴの他の部隊が現存する可能性が劇中でも示唆されている。

例をあげると
  • 「Broken Steel」の劇中において「最高司令部」なる存在からエンクレイヴ部隊に通達が来ていた。
  • アダムス空軍基地にいたエンクレイヴ部隊が残党にしては異常なまでに多くの兵力を有していた。
  • 移動基地クロウラーがどこから来たのかの謎。もともとアダムスにあった可能性もあるが、移動というくらいだから別の場所から可能性もある。
  • そもそもクロウラーが世界に2基存在するという説からも他に運用している部隊がいる可能性がある。
  • 劇中では大統領は存在するが副大統領がいない。『FO2』のリチャードソン大統領時代にはちゃんと副大統領が在籍してたのだが、エデン大統領時代には何故か見られない。*3

……などから規模は不明だが、別にエンクレイヴの部隊がいる可能性が高く、それもかなりの規模であることも考えられる。
いずれにしてもウェイストランドの住民には迷惑この上ない話であるが、Falloutシリーズの次回作に登場する可能性は残されている。



[Fallout4]

……と、思われていたら実写ドラマ版記念で行われた大型アップデートで、公式による残党が登場するクエスト群が追加。
脱走も武器流出も相次ぎ、かつて見下していたBOSとは敵対せぬよう隠密行動を心掛けるなど、全盛期からは見る影もないほど弱体化した勢力だが、技術力は相変わらず高く、報酬として彼らの持つユニーク兵器が多く手に入る。
登場する勢力は末端に過ぎないが、誰が率いてるのかは不明だが本隊や司令部も健在らしい。
しかし過去の失敗から学んで慎重に行動しているはずが、再度主人公に手を出して痛い目に合うあたり、そういう役割とは言え哀れを誘う。



[余談]

合衆国政府の末裔であるエンクレイヴと合衆国陸軍*4の末裔であるBoSは、祖先の関係が近いことから一見すると仲良くできそうな間柄なのだが、現実はそれに反し、血で血を洗う抗争を繰り返している。

これについては、『Fallout76』でBoSの創設者ロジャー・マクソンが語った、
  • 『核戦争で世界を滅亡に導いておきながら自分たちは安全な場所に逃れた者たちに対抗する』
──というのがBoS結成の初志であることを踏まえると、対立は必然だったと言える*5


真のアメリカ国民は追記・修正よろしくお願いします

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • Fallout
  • Fallout3
  • 資金源
  • エンクレイヴ
  • Falloutシリーズ
  • Fallout2
  • 弾薬補充員
  • パワーアーマー
  • Fallout組織項目
最終更新:2025年04月09日 15:17

*1 この取引で当該マフィアは戦前のレーザーピストルを手にすることになったのだが、これについてエンクレイヴは「ミュータント同士で殺し合ってくれるなら好都合」「どうせ最後は皆殺しになる」と考えていた

*2 『FO2』で散布しようとしたものの改良版

*3 補足すると、戦前(つまり現実)のアメリカでは不慮の事態に備え、大統領と副大統領が同じ場所にいないような措置を執っている

*4 正確には脱走兵だが

*5 尤も、組織の結成から2世代経ただけで自分たちのルーツに纏わる歴史が忘れ去られていることを踏まえると、現在のBoSがその初志を覚えている可能性は著しく低い