グリス(ミニ四駆)

登録日:2010/07/01(木) 15:14:23
更新日:2024/02/16 Fri 21:58:57
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グリスとは、潤滑剤の一種である。
ミニ四駆の消耗部品のひとつ。


▽目次

■概要

ミニ四駆ではギアやローラーの軸受け等に塗るもので、地味によく使う。
ミニ四駆を購入すると1〜2台分使えるグリスが同梱されており、小学生の頃は何故塗るのか疑問に思いつつも購入するたびに使っていた事だろう。

滑りやすくする液体というと潤滑油(オイル)を思い浮かべる方もいるだろうが、あれは程度の差はあれど 液体 なので、
何かの下に塗りつけるならともかく、機械の歯車にサラサラの液体を塗っても下に垂れ落ちてしまい効果がないどころか、関係のない箇所にオイルが付いてしまい故障の原因になりうる。
そこで潤滑油に増粘剤を混ぜて、潤滑性を維持しつつスライムの様に重力に逆らって へばり付く 効果を求めたものがグリスである。

ミニ四駆のギアにかかる摩擦抵抗を少なくするために塗るので、定期的なグリスの手入れが必要。
グリスはミニ四駆レーサーにとって、とても貴重な整備用具として重宝されているのだ。



『爆走兄弟レッツ&ゴー!!WGP』のイタリア代表ロッソストラーダの選手であるカルロ様もグリスに対してはとても熱心に整備をしているようで、メンバーの一人であるゾーラがそれを怠っていた時は「グリスが固まってるじゃねぇか!」とブチ切れた。

グリスはミニ四駆にとっては血液にあたる。
こまめにグリスアップすることによってマシンの寿命が延びることもある。
だから、ゾーラのようにマシンの手入れを怠る奴はカルロ様に怒られて当然なのである。




■簡単なグリスの塗り方

①グリスを塗る前に一度ギアを空回りさせ、シャーシからでたカスを綿棒などで拭き取る。
(いわゆる「慣らし運転(ブレイクイン)」。シャーシをスプレー缶の上にテープで固定して空回ししている絵を見たことがある人も多いだろう)

②綿棒に少しだけグリスを取り、ギアの軸受けに塗る。この時多く塗らないように注意。
塗り過ぎると納豆みたいにネチョネチョして抵抗にもなりかねないし、コースに撒き散らして汚す恐れもあり、公式大会でやると違反・失格となりかねない。
特に冬場、さらに言うと屋外などの寒いところでは粘りが強くなるので注意。
塗布する量はごく僅かにし、ギヤは一箇所にチョビっと付ければ、回転するにつれ歯全体になじむ。


■主なグリス

  • グリス
一般的に売られている、タミヤ規格ではないグリス。
ミニ四駆用に最適化されたものではないため多用は禁物だが、全体的に持ちが良く、消耗の激しいプロペラシャフト受けやハトメ、メタル軸受けやフッ素コートスチールベアリングなどの滑り軸受けに用いるには適している。
塗り過ぎると粘度が増してしまい、却って抵抗が強くなる点に注意。
公式大会の公開セッティングの際では他社製のグリスはダメと言われる事もあるのでここにも注意。

  • 標準グリス
ミニ四駆本体を買った時に同梱されているグリス。場合によっては各種グレードアップパーツに付属していることも。
使った際のギアの抵抗は他のグリスよりも大きいが、日持ちが良い。主に削れやすいプロペラシャフトの軸受けのグリスに向いている。
単なる標準装備と侮ることなかれ、「夏場のレースでは温度の関係で適度な緩さに変わる」等の使いこなしテクがあり、
公式大会上位常連の様なトップレーサーであっても「夏は標準グリス」「むしろ標準グリスがあればいい」と評する者は少なくない。
入手難易度が低いのも魅力のひとつ。
ちなみにピンククラウンに塗ると破損率が低くなるという話もあり、潤滑剤と言うよりは各種部品を保護するためのものだろう。

  • セラミックグリス
タミヤが販売していた旧ラインナップのひとつで、ミニ四駆用のセラミック配合グリス。
当時は標準グリス以外にはこれしか選択肢が無かったので覚えている人は多い。
抵抗が少なく、日持ちも悪くないので、実際に使っていた人からの評価は高く、これを使って大会に出場していた人も多かったらしい。

  • チタングリス
セラミックグリスに次いで発売されたミニ四駆用グリス。有機チタンが配合されている。
チューブの形に見直しが図られ、細かい箇所に塗布しやすくなった。
潤滑性を高めると言われてるが、チタン粒子を配合しているためギアが削られやすいとも言われている。
尚、現在は生産中止で残りの在庫以外は販売されていない。

  • Fグリス
2008年頃から開発されたグリス。フッ素樹脂PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の微粒子を配合しており、寒冷に強いらしく、セラミックグリスよりも性能が高い。
ギアの抵抗も少なくて好評なのだがその反面、日持ちが悪いらしく値段も高い。

  • セラグリスHG
Fグリスと同時期に開発されたセラミックグリスの後継品。高性能なボロンナイトライド微粒子を配合しており、抵抗係数はセラミックグリスの半分となっている、と箱書きにはある。
それに加えて、セラミックグリスよりも日持ちが良いらしい。
値段もFグリスと比べて安いぶん、潤滑性でやや劣るとされる。


  • スライドダンパー用グリス
二次ブーム期に前後スライドダンパーの発売に伴って売り出されたスライドダンパー用グリス。
ソフト・ミディアム・ハードの3種類が同梱されたお得なセットで、
好みやマシン・コースコンディション、はたまた気温変化による粘度の変更に柔軟に対応できた。
後述のHGスライドダンパーグリスセットの事を考慮すると、かなり時代を先取りしたパーツであったといえるが、
大量に作ったのか地味すぎて子供達の購買欲を刺激しなかったのか、2016年現在も当時の在庫をたまに見かける。

  • HG スライドダンパーグリスセット
三次ブームになり、公式の5レーンコースにはスライドダンパーの投入が必須となったタイミングで
タミヤが発売した新たなスライドダンパー用グリスセット。
エクストラハードとエクストラソフトの2種がセットとなっており、2種類の粘度から好きなものを選べるだけでなく、
自分でその2種類を混ぜ合わせて好みの粘度を作る事もできるなど、スライドダンパー用に特化しているとは言えかなり柔軟性に富んでいる。
好きな方ばかりを使い続け、片方ばかりが大量に余ってしまうのもよくある話。

  • ミシン油、CRC556
グリスと用途は同じ潤滑剤系だが、ギアなどのプラスチック部品を侵してしまい最悪部品を粉々に破損してしまうため、絶対に使用してはならない。
実を言うと556無香性はプラスチックを犯す事はなく、この事はCRCを製造するメーカーも保証している。恐らく臭いの元になる揮発性成分(恐らく浸透性を向上させるために配合されている)が樹脂を犯す原因だとされており、 劣化させるといってもかなりの長期利用もしくは大量使用でないと変化は出ない、という程度であり、CRCのスプレーグリスの中にもグリースメイト無香性やシリコングリースメイトなど樹脂を犯さないものもあり、なかなか性能がいいという話もあるとか。

  • モデルガン・エアソフトガン用オイル
一般的にはシリコーン、高級なものだとテフロンが配合されている。
プラスチックやゴムを多用した製品に使うものであるため、部品の劣化の心配はない。
元々少量・多頻度で使うもののため、日持ちは悪い。
また、公式大会での公開セッティングで他社製オイルを使おうとしたら、「タミヤ製ではないためダメ」と注意される事もあるので、使う際は注意しよう。
なお、本物の銃火器用オイルはCRC556と同様の理由で使用してはならない。

  • モリブデングリス
モリブデン配合の黒いグリス。
金属製のギヤと相性が良く、高温でも流れにくく低温でも固まりにくいらしい。
ただし、プラスチックの部品とは相性が悪く、最悪「刃こぼれ」しちゃう。
プロペラシャフトやドライブシャフト、ベアリングやセンターギヤシャフトに使おう。
元々はラジコン用。
粘性は元祖のセラミックグリスよりもさらっとした感じで、持ちも悪くない。

  • アンチウエアグリス
こちらもモリブデングリスと同じく元々はラジコン用に使われる耐摩耗性グリス。
銀色に近い色で、高温でも粘性が落ちないので、プロペラシャフトのような高速回転する部品に塗ったとしても飛散する事が少ないのが特徴。
標準グリスを越える粘性があり、プロペラシャフトの軸受け以外に使うには適してはいないが軸受けの摩耗を防ぐ効果は極めて高い。
ただし塗る量が僅かでも多いと、非常に大きな抵抗になってしまうため使い所が難しいため、かなり熟練したレーサーで無ければオススメは出来ない。
上記のスラダン用のセッティングの隠し味として使うレーサーもちらほらいるとか。


その他の潤滑剤

  • 白色ワセリン
医療品、化粧品はたまた理科の実験の試薬として保湿に使われることが多いが、こちらもグリスとして使われてもいる。地面にぶちまければATだってすっ転ぶ
メーカーによっては少々固かったりする場合もあるので塗る時は温めるように。
余ったら唇やお肌に塗ろう。
お買い求めはお近くの薬局で。
ただし、チームメイトのおにゃのこの大切なトコに塗ってはならない。
別の意味でチームの結束が高まるかも知れんが、そんな事する暇あるならミニ四駆を少しでも速くする事に費やした方が良い。
実は前述の標準グリスの中身はこれ。子供が取り扱う性質上、皮膚に付着しても無害であることが重視されたためである。


  • マーガリン
パンに塗って食べるアレ。
昔はおもちゃ用のグリスが無く、一般家庭でも入手し易いマーガリンがグリスの代用品として推奨されていた事もある。古くはモーター付きの戦艦プラモデルでの防水用とか。
植物油脂が原材料なので、低温時に硬化しにくく、高温になればサラサラになる。なので風呂に戦艦浮かべると湯船が油まみれに
だが、日持ちはしないし、味付けとして塩が使われている事があるので、専用のグリスがある今の時代は、ミニ四駆のギアとかに塗らずにパンに塗って食べたほうが良いだろう。
放置すると蟻が寄ってくることがあるので注意すること。


  • バター
こちらは乳製品であり動物油脂。パンに塗るならマーガリンよりこっち。あんなプラスチックを塗るなんてどうかしてるぜ!
ネタだと思ったか?山形県の芋煮フェスティバルは6m以上の大鍋で10000人以上の芋煮を作り バックホーのシャベルで鍋をかき混ぜる が、この重機はこのために新車を購入して、全てのパーツのグリスはバターや食用油のみを使用している。

……だが、ミニ四駆の用途で使うのはやめておけ。

  • ゴマ油
もう滑れば何でもいい。
ミニ四駆では無いが、ハイパーヨーヨーのメンテナンスには使用されたことがある(真似しないように)。

  • ラード
中華料理などに用いられる豚の脂。かつてはグリスとしても使われていた。
ミニ四駆のスピードを追求するあまり、ギアの摩擦熱でグリスが蒸発してしまうという問題が発生した際に、
ある中華料理屋の息子が父の調理姿を見てグリスよりも熱に強いラードを用いることを思いつき、問題を解決した。

……そんな話があったかどうかは知らんが、常識あるレーサーの諸君は、ミニ四駆用途で使うのはやめておこうか。


潤滑剤ではないもの

  • セメダイン
グリスと入れ物も中身もそっくりだが用途はグリスと似て非なる物。こいつは接着剤だ。
塗ったらそのミニ四駆は天寿をまっとうするハメになるので、使っちゃダメ。
ただ、FRPやカーボンプレートの補強や接着、タイヤとホイールがズレてしまうのを防ぐために接着剤を使う事はある。

  • アロンアルファ
やはりグリスそっくりさんだが決して塗ってはいけない。こいつも接着剤だ。見れば分かるはず。
元々は医療用品として開発されたものなので組み立て中に手を切った場合には使ってみてもいいかもしれない。

  • 歯磨き粉
こいつも潤滑油じゃない。微細な粒子が含まれている研磨剤だ。
が、歯を磨く原理を応用して歯磨き粉をギアに塗ってぶん回せばギアが削れて慣らしが早く済む!という意図で使う人もいるとか。
当然オススメしないし、やるとするなら本番用ではなくジャンクのシャーシを使用する事。
ボールベアリングに流れ込んでザリザリになった人もいる。
ちなみにフッ素配合のものを使えばギアにフッ素加工が…と思うかもしれないが出来ないので諦めよう。

  • コンパウンド
こいつも潤滑油じゃない…。が、オレンジクラウンのものの慣らしに使われる事もある。
粗目・細目・仕上げ目があり、段階的にコンパウンドを使って慣らせば早く済むし歯の面も綺麗になるという意図がある。
車軸はベアリングでなく、ハトメかメタル軸受けにしないと上の歯磨き粉と同じくザリザリになる。




なんだこの項目は!?グリスが固まっていて、追記・修正が出来ないじゃねぇか!

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