登録日:2012/11/08 (木) 23:37:31
更新日:2025/02/18 Tue 22:29:34
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角川スニーカー文庫より全5巻発行。
構成的には
第1巻【スタンド・アップ】と第2巻【アウェイクン】がフリット編
第3巻【セカンド・エイジ】がアセム編
第4巻【マーズ・コンタクト】がキオ編
最終巻【ホーム・スイート・ホーム】が三世代編
【作風】
一貫して
フリット・アスノという男の人生を描いているのは本編と変わらないが、場面のニュアンスを変えたり独自の心理描写を差し込むことで、まるで印象が異なる物語に仕上げている。
「小太刀氏の解釈による新説:ガンダムAGE」とでも言うべきか。
泥沼の戦争状態に陥った世界観を軸にハードなストーリーが展開され、無抵抗で逃げ惑う一般市民を逃げ場を塞いで焼き殺すヴェイガンなど過激で殺伐とした描写も多く、
巻数を重ねていくにつれ、その描写が極まっていく傾向にある。
熱烈なガンダムファンである著者の嗜好が反映されてか、各所で主に主題歌の歌詞の引用をはじめとして歴代ガンダムシリーズ作品や、
富野由悠季作品の
オマージュも多く見受けられる。
作者本人もアニメ本編とは別物として見て欲しいと思っているらしい。
なお、ガンダムノベライズの例に漏れず、お色気描写ないし性的な記述も散りばめられている。
- ユリン凌辱
- 年端もいかぬ遊牧民の幼女をレイプしようとするヴェイガン兵士
- アリーサとロマリーのシャワーシーン。その際アセムを気にかけるアリーサがロマリーと自分のおっぱいを比較
- ウルフ「俺はあのフリットから、何度もケツを取ってる!」 アリーサ「……///」
- ナトーラの下着姿
- ジラードのおっぱいイラスト
- ジラードとフラムの百合っぽい描写
- ゼハートとフラムのピロートーク(?)
………………etc
歴代ガンダム小説では、世界観や兵器などの設定・キャラクターの立ち位置やポジションが映像作品と比べて大きく様変わりしていることが多々。
本作もその例に則っているのか、ほぼ全員が心理描写や展開などで大幅な改変を施されている。
と言うか、それまでの作品では立場が違うので心情描写や行動も変化しているのだが、本作では立場や行動が同じにもかかわらず内面は別人同然の変化を遂げた為、改変の度合いという意味では歴代小説でも突出している。
【代表的な改変キャラ】
●
ユノア・アスノ
アセムの妹、アニメでは目立った活躍は無かったが……
最も変更されたキャラクター筆頭。
何がどう変わったのかは項目参照
「愛してるわ」
●
ザナルド・ベイハート
アニメ版からは想像もつかない、まさかの展開である
「あの青い地球を、水の星をやらせはせんぞ!」
●
ゼハート・ガレット
学園生活や日常描写に尺をとり、アセムやロマリーとの友情や葛藤が描かれる
終盤も精神的に追い詰められず、そして…。
『この戦いが終わったら、学校に入ろう』
『はい、ゼハート様……』
●
ジラード・スプリガン
“男装の麗人”が強調され、暴走はせず
とても捻くれているが、自分のようにならないようゼハートとフラムの恋路を陰ながら応援してやる世話焼きに。
「そう。”
チョコレートはベルギーの名物”なのさ」
●
オブライト・ローレイン
嫁との描写ほぼカット。ついでにフラムとの死闘も大幅カット。
レミがいったディーヴァが家ということを大切に思い続け、ディーヴァの家族を守るために戦うのだが
堂々と『マトモでないことがわかる』などと記述されるほどの狂人に…。
「レミ、来たよ。私たちの”家”を脅かす敵が」
●
アンディ・ドレイムス
こんな奴いたっけ?とは言ってはいけない。
「
チェスで言えばキングが市民で、ポーンが兵隊だ。ガンダムはせいぜいナイトかビショップさ。そんなもんの為にキングは危険に晒せねぇよ」
●
フリット・アスノ
パッと見は大きな変化は無い
だが、彼の心の奥底が大きく異なるという事が、アニメ版と小説版の差異を生んだと言えるかもしれない
一方で登場シーンをカットされた人物も多い。
これらは極一部に過ぎず、未読の方は実際に手にとって確認したほうがいいだろう。
ちなみにアセムのシドとの邂逅で外伝キャラも少し登場。
戦闘シーンだが上記のように省略されたものもあるが、
- タイタスがボス戦で活躍
- ガンダムAGE-1ゴールドアロー
- 魔中年に対してアセムとゼハートが共闘
- フリットとアセムの親子喧嘩
- 再びファルシアを目の当たりにしたフリットの激情
- アセムとゼハートの武器を受け継いだキオ
- そしてフリットのフルグランサがある相手と……
と、書き直されたり足されたものも多い。
【評価】
近年のTVガンダムの小説が比較的アレンジが控えめだったこともあって、本作の評価は大きく分かれた。
特に改変されたキャラに対しては「TV版の準拠で良かったのに、そこ変えるのは問題では?」という意見も根強い。
似たような評価のMEMORY OF EDENがTV版あってのものという姿勢を崩さなかったに対し
本作は上記のように
ノベライズ作家が自分の作風を大きく押し出した事も要因の一つだろうか。
しかし、『
スーパーロボット大戦BX』において、ザナルドの言動に本作を思わせる描写があったり、ウェンディがAGE-3に乗り込む場面が再現されたりと影響も与えている部分も。
ヴェイガンギア・シドの恐ろしい強さも関係しているかは不明
あくまで小説版、つまりは商業二次作品だということに留意しよう。
MEMORY OF EDEN同様、周りの評価に流されず冷静に見ればいいところたくさんある作品を冷静にみられる機会だったという部分も大きく、あくまで原作のアニメ版ガンダムAGEあってこその作品であることは間違いないのだから
評価はさておき、好き嫌いレベルの話に留めておいた方が無難。
因みに、設定や登場人物の改変など全く気にならないほどアニメ本編とは決定的な違いがある。
そう、それは……
「強いられているんだ!」がない。
一応、イワークの心情描写で「強いられているのだと思っていた」という言葉も出てくるが。
代わりに似たような台詞をイゼルカントが言う。
誰もが、その愛する人と家庭を築き、次の世へ怨念を渡さずに済むように
その為に、Wikiを、項目を、もっと多様に発展させねばならぬ
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最終更新:2025年02月18日 22:29