Ib(フリーゲーム)

登録日:2012/04/27 Fri 04:37:13
更新日:2023/07/22 Sat 19:56:19
所要時間:約 5 分で読めます




Ib(イヴ)』とはkouri氏がRPGツクール2000で製作したフリーゲームのタイトル、及び同作品の主人公の名前である。



作者のkouri氏曰く、作品のデザインコンセプトは外国の絵本であり、登場人物はそれを少し日本人向けにしたとの事。


◇ストーリー

両親と共に美術館で開催しているゲルテナ展を訪れた少女イヴ。
彼女はゲルテナが残した作品を観ている内に、いつの間にかひとりぼっちになっていた。
無人の美術館を探索するイヴの目の前で、謎の異変が次々と現れていく――。


◇概要

本作は舞台である美術館にある品物や仕掛けを用いて謎を解いていくタイプのオーソドックスな探索型ホラーアドベンチャーゲームである。









しかし、主人公のイヴはわずか九歳の非力な少女であるため、スウィートホームバイオハザードシリーズをはじめとする戦闘を交えたホラーアドベンチャーと言うより、
クロックタワーや同じくフリーゲームのホラーアドベンチャーである青鬼のような戦闘を回避するタイプの作品と言えるだろう。

公開は2012年。
完成度の高い独特の世界観、人数は少ないながらも魅力的な登場人物、
フラグ立てによって分岐するマルチエンディングの仕掛けなど、多彩で独特な要素が多くの人に評価され、ファンアートなどが2020年現在でもしばしば作られている(さすがに一時ほどの勢いはないが)。
ver1.07で最終モデルとのこと。


◇登場人物

  • イヴ
本作の主人公。年齢は9歳。
母親譲りの茶色の長髪と赤い目をした非常に愛らしい容姿の少女。
両親と共にゲルテナ展に来た際、とある絵画を見た事で奇妙な世界へと迷い込む。
この時イヴが手に入れた赤い薔薇は彼女の命そのものであり、この5枚の花びらが全て散ると彼女も死んでしまう。

母親から貰った白いレースのハンカチが宝物であり、作中では着ている洋服などから「いいとこのお嬢様」と推測されている。うさぎが好き。

作中での台詞は一切無いタイプの主人公であるが、とあるイベントでは幼いながらも芯の強さを見せる。
しかしまだ9歳であるため、精神的に相当まいっていたらしく、行動次第では決壊してしまう。
また一部の難しい漢字(設定的には単語?)が読めないという年相応の面もある。ギャリーには心を開き、互いに強い絆で結ばれている。


  • ギャリー
イヴが迷い込んだ奇妙な世界で出会った男性。
イヴと同様に奇妙な世界に迷い込んだらしく、異変に巻き込まれて死にかけていた所をイヴに救われ、彼女と行動を共にする様になる。
イヴ同様奇妙な世界で入手した青い薔薇を所持している。花びらは10枚ある。

三白眼の上に長い前髪で左目が隠れており、頭頂部の髪の毛がワカメもしくはナスのヘタみたいになっており、ボロいデザインのコートを更にボロくなるまで着古している上、コートの下はタンクトップという怪しさ全開の格好だが、
その全てを吹き飛ばすのが彼のオネェ言葉のインパクト。
一人称のアタシに始まり、如何なる時もオネェ口調が崩れない他、全く喋らないイヴとの対比でイベントでは毎回賑やかなアクションを取る。

探索の際は、イヴが読めない難しい漢字を代わりに読んでくれたり、重い物を動かしてくれたり、
彼の所持品であるライターを使用する、などの形で謎解きに貢献してくれる。

体力だけでなく精神的にもタフな方で、「心壊」を起こしたイヴが可愛いうさぎに見えていた人形は、彼には本来の赤い目に青い肌の不気味な人形の姿に見えていた。

趣味は散歩と隠れ喫茶店の発掘。最近マカロンの美味しい店を見つけたらしい。


  • メアリー
イヴとギャリーが世にも奇妙な世界で出会った少女。
金髪碧眼の人懐っこい美少女であり、出会ってすぐにイヴと友達になる。
彼女が所持しているのは黄色の薔薇
ただし彼女の薔薇は造花の偽物。枚数は不明。


  • イヴの両親
父親の容姿はごく普通だが、母親は美人。
二人とも序盤で出番終了と思いきや、終盤のとあるイベントにて再登場する。
また、脱出し現実世界に戻ってからも再登場する。
女性キャラで男性人気が高いためか、出番は母親のほうが多い。


  • ワイズ・ゲルテナ
数々の美術品を作り出した美術家。故人。
彼の作品には全て彼の魂がこもっており、その魂が込められたとある作品が異変を引き起こした。
実在する人物はほとんど描かない主義。
なお作中の説明によると「抽象画を描き始めた時期、世間ではキュビズムが流行していた」という記述があるため、現実世界と一致するなら二十世紀初頭(1910~1920年代)に活動していた可能性がある。



◇美術品

奇妙な世界でイヴ達に襲いかかる異形の存在。

  • 花占いが好きな絵画の女
  • 無個性と名付けられた首の無い女の石像
  • 青い人形
  • 失敗作と名付けられた顔が黒く塗りつぶされた謎の男性(本編終了後の隠しダンジョンに登場)

これらは全てゲルテナが生前に作り上げた美術品である。


◇システム

イヴ達の持つ薔薇の花びらの数は本人のライフポイントを表しており、美術品との接触で花びらは減ってしまう。
このゲームは敵である美術品を倒す事は出来ないので、探索時に遭遇した場合はひたすら回避に徹するのみである。

一応、奇妙な世界の所々にある花瓶の水を使えば減った花びらの数を回復させる事も出来るが、
花瓶の水はごく一部の例外を除き使いきりなので、使う時は注意が必要。




































メアリーは実在する人間ではなく、その正体はゲルテナの最後の作品である「メアリー」という絵画に宿った強い魂が、自我を持ち実体化した存在。
持っていた黄色のバラはイヴたちを騙すために用意した造花。
他の美術品と違い強い自我を持つため、外の世界に憧れている。
彼女が異変を起こした張本人かは定かではないが、奇妙な世界に迷い込んだ人間になり代わる事で、現実世界の人間になりたがっている。


イヴの事を非常に気に入っているため、
エンディングの分岐によっては奇妙な世界での記憶を失って現実世界に帰ってきたイヴの家族に入り込み、何食わぬ顔で彼女の姉妹となっている。

逆にイヴと強い絆で結ばれているギャリーを敵視している節がある。
イヴやメアリーとはぐれたギャリーは、探索中に見つけたゲルテナ作品集の中に「メアリー」を見つけて彼女が人間ではないことに気付いたが、
ギャリーの近くにあった「耳」の絵画を通じてその事を察知したメアリーは、口封じのためにギャリーの精神を壊し、美術館に閉じ込める事で成り代わろうとしていた。

「メアリー」が描かれていた本体の絵画は「おもちゃばこ」の奥深くに保管されており、本体の絵画が燃やされると彼女も消える運命にある。

一説によれば「絵空事の世界」が直接的な犯人で、彼がメアリーの我が儘を聞いたことで、その夢を叶えるためにメアリーの友達になりそうなイヴと、メアリーと入れ替われそうなギャリーを引きずり込み、今作の騒動が起きたという説がある。
終盤で「絵空事の世界」が一度しか脱出のチャンスを与えてくれないのは、メアリーを脱出させることしか想定していなかったため。(メアリーは最初から絵空事の世界が脱出装置であることを知っているため普通に躊躇わずに使うことが出来るため、この一回だけでも十分なのである。)












以上、ネタバレ終了





エンディングは差分を除くと全7種類。
エンディング分岐に関する選択肢や行動自体は比較的分かり易いが、キャラへの好感度もエンディングへの分岐に関わる他、
一部のエンディングでは所持品によって台詞が微妙に変化するという細かい仕掛けも施されている。







追記・修正は再会の約束をしてからお願いします。

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最終更新:2023年07月22日 19:56