ゴジラVSキングギドラ

登録日:2011/06/07 Tue 17:27:08
更新日:2020/02/20 Thu 16:23:13
所要時間:約 7 分で読めます






お前だけには絶対負けない!


「世紀末・最大の戦いが始まった」


ゴジラ
vs

キングギドラ





「ゴジラVSキングギドラ」は1991年12月14日に公開されたゴジラシリーズ第18作目の作品である。
観客動員数270万人

前作 「ゴジラVSビオランテ
次作 「ゴジラVSモスラ


【ストーリー】

1992年突如東京上空にUFOが出現。世間を騒がしていた。

その頃、フリーライターの寺沢は恐竜博に抗議する男の話を聞き取材に向かう。男はかつて南の孤島で大平洋戦争時に『恐竜』を見たと語り出す……
寺沢は恐竜に詳しい真崎教授や、かつて島にいた巨大企業「帝洋グループ」会長、新堂への取材の結果、ある結論を導き出す。それは

大平洋の孤島にいた恐竜が核実験の影響でゴジラになった」

UFOは富士裾野に着陸。現れたのは23世紀から来た未来人であった。

彼らはゴジラを時間操作によって消滅させに来たと言い、
彼らが持ち込んだ「ゴジラ誕生」という本に書かれていたゴジラ誕生の仮説を元に、1944年のラゴス島に行き恐竜をワープさせてゴジラ誕生を阻止すると言う。

未来人のエミーとアンドロイドのM11、「ゴジラ誕生」の作者となる予定の寺沢達はラゴス島で恐竜をワープさせるのに成功するが、
エミーは未来の小動物ドラットをラゴス島に置いていく。

ゴジラは消滅したが、しかしその代わりにキングギドラが突如出現。日本を破壊し始める。

寺沢たちは未来人の恐るべき計画に気付く。計画についていけないエミーはM11と共に現代側に付く。


日本政府はゴジラを復活させようとするが、北の海のそこで「それ」は目覚めていた・・・



【概要】

本作は東宝設立60周年作品の1つである。シリーズで初めてキングギドラがタイトルに入った作品であり、タイマンで戦うのは本作のみ。

前作『ゴジラVSビオランテ』の成績がまずまずであったため、正月映画の怪獣映画路線継続は決定。
さらなる動員数確保を考え当初の予定であった『モスラVSバガン』の制作中止。
代わりに『ゴジラ』シリーズの新作。更に登場怪獣は人気のあったキングギドラで製作されることが決まった。

興行的には成功を収め、以降ゴジラ映画は正月映画の定番として人気怪獣を対戦相手としながら製作されていくことになる。


本作では娯楽性を追求し、未来人の登場やタイムマシンによる時間改変、
ゴジラ誕生の秘密やメカキングギドラの登場等意外性のある仕掛けが多数盛り込まれている。またアメリカのSF映画に対するパロディやオマージュも多い。

しかし、時間改変の描写には矛盾が多くシーン毎に出来に差があるため結果として笑い所になったシーンも多々ある。
だが同時に作品全体には勢いがあり、新宿都庁を舞台とした決戦シーン等名シーンも多い作品である。
また「密林の米軍対恐竜」「海底のゴジラ」「平原の戦い」「新宿都心の決戦」と、多彩な特撮シーンも特徴である。
尚、平成VSでは唯一決戦シーンが昼である。

他にも娯楽大作とはいえ、新堂会長のエピソードは全編通じてシリアス一辺倒。
新宿ビルにおける新堂靖明会長とゴジラが直接見つめあうシーンはあまりにも切なく、そして深い。

監督、特技監督は前回に引き続き大森一樹氏、川北紘一氏。シリアスな前作とは打って変わって勢いや娯楽性に満ちた作品に仕上げた。
音楽は16年振りの復帰となった伊福部昭氏。かつての名曲のアレンジも盛り込みつつ、オーケストラによる音楽が作品を盛り上げた。


【登場怪獣】


ゴジラ
本作は誕生の秘密が語られた。意外だがキングギドラとのタイマン勝負は初めて。
今回のスーツはビオランテ時のスーツに胸の増量と目を明るくするといった改修が行われている。
ちなみに、ゴジラのもととなったゴジラウルスは架空だが、ゴジラサウルスは実在する。
歴史改変でゴジラが未来人の手で抹消されたため、三代目ゴジラの戦いはなかったことになった。

だがその後のスペースゴジラの誕生やスーパーXⅢに三代目ゴジラがいた形跡があることから、歴史改変には矛盾がある。
アップ用ギニョール(上半身だけで人間が入らず機械が詰まったもの)を用いた表情の作り込みが素晴らしく、
終盤で新堂会長と向き合った時には、これまでのゴジラ像が覆るほどの深い悲しみや決意の表情を見せた。


キングギドラ
詳しくは項目参照。メカキングギドラが控えているためか負け方が酷い・・・
スーツアクターは破李拳竜氏。本業は漫画家なので本作では絵コンテ等の特撮スタッフもこなしながらスーツアクターも務めた。

◆メカキングギドラ
詳しくは項目のメカキングギドラの欄を参照。「女性が操縦」する「サイボーグ」という、結構新しいコンセプトの怪獣である。
三大怪獣の時のキングギドラ誕生をオマージュした登場シーンは身震いもの。

しかし、急ごしらえなのかシートベルトが遊園地のアトラクションタイプ。おかげでコックピットの安定性皆無。
まあ、タイムマシーン等をみるとあれが未来スタイルなのかも…


【登場人物】

◆寺沢健一郎(演:豊原功輔)
フリーのライター。
恐竜に助けられたという人物についての取材が元で、ゴジラ誕生の謎に迫る本の執筆を考案。その本が今回の物語のきっかけの1つとなる。
独身なのに立派な一軒家に住んでいるのは、前に書いた超能力のトンデモ本が売れたためとか。
家持ち彼女持ちのリア充。
今回は、スーパーX2は操縦しない。
↓の名ゼリフは豊原氏のアドリブ。元ネタはダーティハリー。
「メイク・マイ・デイ(ポチッ)」

◆エミー・カノー(演:中川杏奈)
未来人で日本人。未来の日本は世界を支配する経済大国となっており、ウィルソンらの計画に協力するが、真の目的を知り現代人に協力する。
シリーズでもトップクラスの戦う女性の1人である。
ちなみにリアルでの祖父は『大怪獣バラン』の杉本博士で、親戚筋には小美人を浚った興行師がいた。
「分かってるわよ!」

◆真嶋博士(演:佐々木勝彦)
恐竜生存を主張する科学者。寺沢の取材の裏付けとなったり、時間改変に同行する等した。
「あの恐竜があんなに巨大になって・・・」

◆三枝未希(演:小高恵美)
平成VSシリーズを代表するレギュラー。本作では主人公に同行することは多いが、前作のように超能力を駆使する場面は少なめ。
「ゴジラがまた戻ってきた・・・」

◆M11(演:ロバート・スコット・フィールド)
未来から来たサイボーグ(作中の台詞からの推測)。自動車のドアを引きちぎる程の怪力と高速移動能力を持つ。
最初はウィルソン側だったが、エミーにディスクを交換されエミー側に付く。後に頭脳をメカギドラに移植されエミーのサポートをする。
「OK.BOSS」

◆新堂靖明(演:土屋嘉男)
新堂グループの会長で、日本の経済を引っ張ってきた男。戦中に恐竜に助けられていた。
穏やかながらも芯の通った人物で、批判者に対しても言葉を呑みこませる威厳と、キングギドラの襲来にも物怖じせず、傷を負っても闘志を燃やすほどの激情を備えた人物。
キングギドラと未来人の侵略に対して「救世主」であるゴジラを甦らそうと考えたが、彼の想いはゴジラのそれとは一致していなかった。
最期は新宿のマンションでゴジラを待ち、互いを思い出しながらも悲痛や苦悶の表情を浮かべるゴジラに対して、静かにうなずきながら熱線を浴びた。

演じた土屋嘉男は黒澤映画、東宝特撮を代表する俳優の1人。なんと、1944年の姿と1992年の姿を両方演じている。
「ヤツはもう一度……われわれのために戦ってくれる。」

「どうせわしの人生は、ラゴス島で終わっていたんだ」
「恐竜に救われ、生き延びた、わしが築いたこの国の繁栄を……同じ恐竜がゴジラになって、壊しに来たかと思うと……
 皮肉なものだ……はっはっははは……」


◆未来人
23世紀からやってきた。タイムワープ以外にもテレポートやサイボーグ等様々な技術を有している。

未来の日本はゴジラによって壊滅したとして、ゴジラ消滅のために訪れる。
しかし、実際は未来の日本は経済の王者となっており経済格差の激しい世界となっていた。
現代に来たのは日本に反発する各国からの過激派で、ゴジラを消滅した後はキングギドラを盾に日本を支配することが真の目的だった。

あくまで日本に対する警告程度と言われ仲間入りしてたエミーが反乱を起こしたため、最後はゴジラに母艦ごと破壊される。

◆ウィルソン(演:チャック・ウィルソン)
現代に来た未来人の代表。現代人を原始人と見下している。
チャック・ウィルソン氏が吹き替え無しで演じているが、笑い所にあげる人もいる。
未来でも同時翻訳機は作れなかったらしい。まあ、日本人が使う英語も向こうの人たちにはこういうふうに聞こえるのかも。
「フハハハハッ!!」

◆グレンチコ(演:リチャード・バーガー)
ウィルソンと共に現代に来た。ウィルソンと共謀し、計画を進める。
ウィルソンよりは日本語が上手い。
「オロカな時代だ、スクイヨウのない原始人どもだ」
↑ある意味間違っていないので始末が悪い。


◆その他キャストについて
本作には上記以外にも佐原健二、黒部進、小林昭二、上田耕一といった特撮作品によく出演されていた人物が多数出演する。
一部のキャラクター(特に防衛庁の高官)は、その後のシリーズでもそのままの配役で続投している。



【DVD】

オーコメは大森監督と製作の富山氏。ドラットは今からでも直したいらしい。
また、ファンから笑い所にされるところはやっぱり2人で笑っていた。

尚、タイムワープのアイデアは総指揮の田中氏、メカキングギドラのアイデアは富山氏のアイデアとのことである。

また、海底のキングギドラを探索した潜水艦のミニチュアは、倉庫に残っていた「日本沈没」のわだつみ号のミニチュアを流用したらしい。



【余談】

ゴジラVSメカゴジラ」の没プロット「ゴジラvsベルサーク」では、なんと帝洋コンツェルンが再登場
新堂会長の息子がリーダーとなって軍需産業に関わり、スーパーXⅢの開発に関わっていたという。

完成品の「VSメカゴジラ」も本作と縁が深く、今回登場したメカキングギドラがメカゴジラ開発の基礎になったのは有名。




追記・修正はウィルソンの物真似をしながらお願いします。

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