割れ(ネット用語)

登録日:2011/09/30 Fri 20:46:58
更新日:2025/10/18 Sat 16:15:18
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/!\ WARNING /!\
他社の著作物を不正にアップロードおよびダウンロードすることは犯罪であり、処罰の対象となります!


()とは、ソフトウェア(ゲームなども含む)・音楽・映像作品・書籍などの著作物等を、不正な手段で入手・所持・使用・配布する行為を指すインターネット用語である。
また割れをやっている人のことを「割れ厨」と呼ぶ。

これらの行為に企業側がどう対応しているかは『割れ対策』の項を参照のこと。

不正なアップロードに関しては当然ながら違法であり、不正にアップロードされた著作物をダウンロードする行為も違法となっている。
更に著作権法の改正により一部が非親告罪化しており、著作者の訴え無しでも摘発することができるようになった。


目次


【概要】

語源は英語の“Software”の略“Ware”の複数形“Wares”のリート表記から。リート表記で「W@r3z」「W@Re2」などとも記述される。
Warez(ウェアーズ)→ワレズ→割れず→割れ
といった流れ。

狭義ではWarezはソフトウェアだけを指すため、他も含む総称としてFilezという言葉もある。
また狭義のWarezをさらにAPPzとGamezに分けることもある。

まともな倫理観をお持ちのアニヲタ諸兄であれば言わなくてもわかるだろうが、完全に著作権の侵害であるため立派な犯罪で、昨今の市場では非常に問題視されている。
それを象徴する動きとして、一昔前は
「テレビを見るときは、部屋を明るくして離れてみてね」
という主旨のテロップが流れていたが、現在は子供向け番組以外でこのような文は殆ど流れず、代わりに
「インターネット上に不正にアップロードすることは法律で固く禁止されています」
といった主旨のテロップが流れるようになっている。

割れ厨の親戚は開発厨・販売厨・購入厨・転売厨・解析厨など。
細かい内容・歴史はWikipedia「Warez」の記事へ。


【割れ厨の主な言い分】

1.「誰にも迷惑をかけてない

非っっっ常によく聞く言い分。「誰にも」とは言うが、まず製作者に迷惑がかかる。本来対価としてお金を払わなければ利用出来ないものをただで貰っていくわけだから、泥棒同然である。
それに割れが蔓延して、ゲーム会社や業界そのものが縮小されるような結果になれば、それは正規ユーザーにとって損になるだろう。
音楽市場を挙げてみると規模が最盛期の半分程にまで縮小され、1年で業界全体で数千億円級の被害&縮小の結果CD単価が上昇といった迷惑を被っているのは確実である。

ちなみに現在は、「無料で聴きたい」だけならYouTube Musicの無料版など「著作権面の法的にはセーフ」なものも存在するため(投稿者名の後ろに音符マークがある場合はこれ)*1、いよいよ違法アップ/ダウンロードの正当性が無くなっている。

2.「割らなければやらなかった(見なかった)

よくわからないが『割らなければどうせ買わないんだから±0』という意味らしい。
既に理論が滅茶苦茶だが、上でも言った通り本来商品とはと交換するのが前提であり、お金を払わないなら使ってはいけないのである。
むしろやらなくていいから割るな。

3.「宣伝になってるんだからいいだろ

面倒になって開き直った言い分がこちら。『有料だったなら買わなかったんだから、やって広めたらむしろ+』という理屈らしい。
もうここまでいかれると閉口してしまうが、そもそも誰も頼んでない。お前は広告代理店の社員か。企業に頼まれてもいないのに勝手にやって宣伝とはいかがなものか。*2
最近は5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)でもよく見掛ける。

4. アニメ過疎地域

上記3つとは事情がかなり違うパターン。「ゲームとは違って視聴するだけなら法に触れない」「見たいアニメが自分の地域では放送されない場合が多々ある」というテレビ特有の事情で、上記との区別のため割れに含まれない場合も。
このパターンで割れをしている場合「割れするなカス。円盤買えよ」という返答が大概出るが、発売は大概3か月は先かつ一枚5000円は下らないし、1クールでもそれが10枚近く出るのが基本なので金銭的に厳しい。
アニメがあまり放送されていない地方民からしてみれば、「アニメがまともにTVで見られる都市圏民はタダ同然なのに、こっちは円盤が出るまで待たないといけない上に金も出す(円盤の購入やレンタル)必要があるのは不公平だ」という不満が出るのは、当然と言える部分もあるにはある。

最近はニコニコチャンネルやAmazonプライム、dアニメストア、huluなどのネット配信に対応する例は増えてきたものの、やはりそのクールに放送される全てのアニメを網羅するような配信サービスは今のところなく、またどこかのサービスが独占配信契約を結べばそこ以外では見れなくなる。
またそれらの多くは登録自体が月額制の有料で、しかも未成年者には保有の難しいデビットカードやクレジットカードでの決済を求められるケースが多い。
一応基本無料でCMもおおむね本放送と同様のタイミングでのみ入るTVerや、家で誰かが受信料を払ってさえいれば無料のNHK+なども出てきているが、普及度・知名度の面あと放映後の枠のみとはいえプリキュア公式配信のCMに不倫ドラマが入ったりするガバさなどでまだ主流とは言いづらい。
ニコニコチャンネルなどは基本的には第1話及び最新話無料ではあるが、無料会員は低画質での視聴を余儀なくされるし、稀に常時有料だったりそもそも配信されない作品も存在する。

テレビ放送日時に同時配信&海外でも字幕付きで世界同時配信&一週間程度の無料配信など完備していることは多くないため、決して充分な対応とは言えず、未だにこの問題が原因で割れがしょっちゅうおきる。
やむを得ない事情があるとはいえ、違法なサービスを利用することで著作物の利益を害していることには変わりなく、決して正当化できる物ではないが。

5. 文化保存面の問題、絶版

4.に似た事情かつ同じく1.2.3.とは事情がかなり違い、現在はネット上で公開停止になったアップロード作品や絶版の同人作品、その他絶版品で横行しているパターン。
ゲーム機向け作品の割れ行為の横行が特に酷かった時期は、型落ちした作品が一切再販されなかったため、主にこの言い分が使われた。
特に厄介なのがバッテリーバックアップ方式のゲームソフトで、原理上将来的には正規購入者ですら割れを挟まないとまともにプレイできなくなるおそれがある。

しかし、
  • バーチャルコンソールやゲームアーカイブスといった、型落ちで商品価値が落ちたゲームを安い値段で提供するサービス
  • Jコミという漫画図書館のサービス
  • アダルトゲームや同人作品もネットのDL販売で流通させる・意図的に昔の作品の復刻版を発売する
といった事例が出現・増加したため、この業界でこの理由だけで割れをしていた多くのユーザーは割れを卒業した。
絶版していない作品に関しても、映像作品・音楽・ゲームなどあらゆるメディアが正規のダウンロード販売およびサブスクリプションサービスが登場するようになり、違法な割れよりも正規のサービスを利用するという意識が根付いてきている。

とはいえ、それらも様々な制約から全てを網羅することはできておらず、未だ割れを続ける者もいる。
例としてNINTENDO64ゲームキューブは著名作品でもほとんどバーチャルコンソールなどへの移植が進んでいない。有名な例として、一度も現行機移植がなされていない『カービィのエアライド*3が挙げられる。

また、同人作品などでは横行しても止める手段に欠けること、そもそもオリジナル版も広義の著作権の観点で問題を抱えるため現実的には指摘しづらいケースが珍しくないことなどから、やったもん勝ち状態になってしまったりして問題になることもある。
こちらも、やむを得ない事情があるとはいえ、違法なサービスを利用することで著作物の利益を害する恐れがあることには変わりなく、決して正当化できる物ではないが。


【モラル面の問題】

ダウンロード禁止法と著作権の非親告罪化ですら守られていない絶版品以外に関しては、最近の割れを行う者の問題として『違法行為だという認識、及び倫理観の欠如』がある。
割れが犯罪行為という自覚がないので、「自分が犯罪行為をしている」という自覚がないのだ。*4
ブログやTwitter、Yahoo!知恵袋などで堂々と書き込んだり、酷い話になると公式側に落とし方を聞いたりする話もある。

これは『割れ厨』の対義語として『購入厨』という支離滅裂な言葉が作られたことからもよくわかる。

掲示板などで割れに関する議論が交わされたとしても、まともな議論にならないことなどザラにあることである。大元となる前提がずれているので当たり前なのだが。

価値観そのものが上記1.2.3.の場合は共産的・反資本主義的、4.5.の場合は需要主義的に変わってしまうので、需要・流通・文化保存の問題に振り回された面のある4.5.の理由だけだった者はともかく、一度割れに慣れてしまった人をやめさせるのはとても難しいと言われている。人間はどうしても楽な方に流れたがるものである。
しかし、出来ることなら割れをやっている人は「自分一人くらい」などとは思わないで、自分の行為が社会に与える影響を今一度考えてみて欲しい。

この問題が特に深刻であった中国では、ゲームソフトを販売してもすぐに違法コピーや割れが出回ってしまうことからコンシューマーゲームがまともに作れなくなるほどまで市場が破壊されてしまった。
結果的に原神崩壊:スターレイルゼンレスゾーンゼロといった基本無料ゲームが発展して、日本でも多くのファンがいる高クオリティのゲームが産まれるきっかけにもなったが……


【入手経路】

※利用は犯罪行為として処罰される恐れがあります。

  • 割れサイト
割れファイルを無料で配布するサイト。こういったサイトは(上述した文化保存などの目的でも無い限り)良心によるものではなく、何かしらの収入を目的としている場合が多い。
収入源はアフィ広告ならまだ健全過ぎる方で、利用者にマルウェアを散布したり個人情報を抜き取ったりなども平然と行われ、著作権侵害どころか様々な犯罪の温床となっている。(ただし、割れサイトに限った話ではない)
近年では「日本の法が届かない位置にあるサーバ上のエミュレータを動かすなら合法」という建前で、ブラウザ上で直接ソフトが動作する形式も見られる。

  • オンラインストレージ
割れサイトと似ているが、こちらはGoogle DriveやDropboxと同様のストレージサービスを利用する。(ただし、Googleのような大手ではなくもっと無名なサービスが使われる)
アップロード者はダウンロード数に応じてオンラインストレージ会社から特典があったりするため、そちらを目的とする場合が多い。
2012年1月、遂にFBIからメスが入った……が、その1年2か月ほど後、文化保存面・オーファンワークスの問題から著作権保護期間短縮の話がアメリカで持ち上がってしまう。*5

GoogleやDropboxなど、大手のサービスはこうした利用に目を光らせ、ファイル内容のチェックを行っているが、違法なファイルと無縁なユーザーからはプライバシーの侵害であるとして批判されている。
先述した「著作権面をクリアしている無償配信」も仕組みだけはそのへんをちゃんと許諾とって、自社プラットフォームを用意して、そこにアップロードどーん!!なので一応同一。
そのあたりを遵守する場合でもどういうシステムなのかの知識としては有用かも。

  • P2P
2000年代に全盛期だった方式。WinMX、 LimeWire、 cabos、 emule、 うたたね、 Bittorrent、 Winny、 Share、 PD等のファイル共有ソフトを利用する。
特にWinnyの流行は類似ソフトと比べても飛び抜けており、最終的には利用者のみならずWinnyの開発者であった金子勇氏までもが割れ行為を幇助したとして逮捕される事態にまで至った。*6
当時は割れのアップロードは違法であったが、ダウンロードに関しては取り締まることが出来なかった。とは言えソフトの仕様上、必然的にアップロードしてしまうものが多いため、当然末路は逮捕である。
「キンタマイカタコ」などと呼ばれる、ソフトの利用者を標的にしたマルウェアも大流行した。

  • あゆ板
昔流行った純国産の割れ目的のファイル配布のWebサービス。コメントするとスレッド主の投稿したURL部分を見られるという機能を持った掲示板。「お礼は三行以上」の語源。
ファイル自体の配布方法だが、表示されるURL先にはテキストファイルあるいは画像に偽装したファイルがあり、無料で取得できるWebスペースに何十個何百個と分割して画像ファイルに偽装したファイルが置かれていて、そのURLがテキストに記載されている、という方法での配布が多かったらしい。
ファイル偽装が流行して、偽装ソフトがどんどん作られどんな種類の偽装か見破るソフトも何種類か作られたという。


【クラック】

公式からダウンロードできる、数日以内は試用できるソフトウェアや無料では機能制限があるソフトウェアなどを、書き換えて購入状態同様に使えるようにすること。
正しい英語はCrackだが、アングラなのでこの行為はKrackと呼ばれる。略してKとも呼ばれる。

CDやDVDをドライブに入れなくても起動できるようにするようなタイプもある。
海外では「今まで友達から借りてインストールしたPCゲームを起動するたびに友達の家に走ってCDを借りに行ってたけど、クラックパッチのおかげでいつでも家に居ながら起動できるようになったよ、ありがとう」のような話が美談として取り上げられたこともあるらしい。
ただWindows 10以降、AlphaROM等のCD/DVD認証を通さないと起動しないゲームが起動不能になるという問題があり、どうしてもクラック版のDVDレスexeファイルが必要になるという問題が相次いだ。
他にもそのゲームのexeファイルがCDにしか入っておらず、CDのexeを叩かないと起動しないゲームだが、PCにCD-ROMドライブがないので起動不能になり、どうしても以下略というのも結構あった。
近年は旧作のDL販売もあるので買い直せばなんとかなる場合もあるが、既に解散しているソフトハウスの場合それすら出来ない場合もあるので、なんともという状況に陥っている。

有名人のクラック使用がバレて炎上した事件も多い。


【SerialZ】

シリアルコードを入力すれば購入状態として利用できるソフトウェアのシリアルが大量に記載されたサイトやテキストファイルのシリアル集。
日本では「尻」と呼ばれる。


【WAREZ】

まったくの余談になるが、SNKプレイモアが発売したゲーム「ネオジオバトルコロシアム」には「WAREZ」という名称の悪の秘密結社が登場する。
もちろん由来は冒頭でも触れているWarez。かつてのSNKも被害にあった違法サイトの名前を頂戴して、悪役として使っているのだ。
ある種のメタネタである。


変なところがあったら、追記・修正よろしくお願いします。
コメでの犯罪告白もやめましょう。

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最終更新:2025年10月18日 16:15

*1 たいていはアーティスト名のみとなっているが、一部のアーティストは元からあった公式chを転用しているため「~Officialch」の後ろについていることがある。

*2 あまり認知されていないが、プレイ中の様子を録画して動画サイト等で公開するプレイ動画や実況動画も本来著作権の侵害にあたる。こちらに関しては「企業側が何も対価を支払わずとも楽しんでいる様子を伝えてもらえるので宣伝になる」というメリットが多少あるため、企業側からお目こぼしを貰えているのが現状。さらに近年では配信のガイドラインを定めている作品・企業も増えている。

*3 Switch2向けに正当続編が決定してはいるが、『エアライド(GC)』自体の移植はアナウンスされていない。

*4 当然ながら、これは自覚があればやっていいという意味ではない。むしろその方が余程倫理観が欠如している。

*5 時期が近い事から、一説ではオンラインストレージの割れでの逮捕者の供述からFBIを経由して著作権庁にまで問題が知れ渡ったという「全部割れ厨の罠だった説」まで言われている。

*6 7年に渡る係争の末に金子勇氏は最終的に無罪を勝ち取ったが、数年後に持病で急逝している。ちなみに2023年3月10日にはこのWinny事件を題材とした映画『Winny』が公開されており、金子氏の役を東出昌大が演じている。