お金

登録日:2018/05/22 Tue 22:29:56
更新日:2025/05/19 Mon 12:43:30
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(かね)」とは、世界で最も人気のあるトレーディングカードゲーム(TCG)である。

なお「お金」は日本語名であり、英語圏では「money」、ドイツ語圏では「Geld」など言語によって大きく名称が違うが、ここは日本のプレイヤーがほとんどだと思われるので日本語名を使用する。


概要

紀元前から存在するとも言われる最も歴史の古いTCG。遊戯王(古代エジプトから存在)にすら匹敵するかもしれない。
その形式・遊び方も時代や場所により大きく変貌しており、決まったルールが存在しないという意味でも異色のTCGであると言えるかもしれない。

主な遊び方

  1. まず、カード(ゲーム内呼称は「貨幣(かへい)」)を集め、デッキを組み立てる。
    • 変わっているのは、同名カードの投入制限もデッキ上限も一切存在しないこと。これによる問題は後述。
  2. 対戦相手と向き合い、互いにデッキの内容を比べ合う。
  3. カードの合計数字の大きい方が勝ち。

これ以外にも「『カブ』にカードを与えて育ててその結果を比べ合う」「カードの束で相手の頬を叩いて殴り倒す」「他品目との物々交換で何を得られたか競い合う」などの勝負の方法が確認されている。

またカード以外にも「硬貨(こうか)/Coin」と呼ばれる小さな金属板が存在する。
古代からカードと同等の扱いをされてきた品であるが、材質の都合上カードより重量があり、数値も(サイズ相応に)カードより小さい事が多いため、現代は上記の様な勝負で主流になる事はあまり無い。
しかしこちらはこちらで「空中に弾いてキャッチし、表裏どちらが上面になったかを当てる」「いかに指先で曲げて折り畳めるかの力勝負」「電磁加速による的当て」等と、独自の勝負方法が確認されている。

敗者に課せられる罰ゲーム

遊戯王並みに歴史が古いこともあり、敗者への罰ゲームは闇のゲーム並にえげつない事で有名。主だったものだけでも……
  • 敗者はデッキを奪われる(まだマシ)
  • 仕事を失う
  • 家や車などの資産を奪われる
  • 恋人や婚約者を奪われる
  • 最悪、命すら失う
数あるTCGの中でも最も多くの人命を奪って来た罪深いゲームであるが、それでもなおこのゲームにのめり込む者は後を絶たない。


ゲームバランスの問題

長年に渡り愛好され続けてきたTCGにはよくあることだが、現在ではゲームバランスは非常に世紀末なことになっており、「初心者に優しくない」と非難されることも多い。
特に「デッキ枚数の上限も同名カードの制限もない」事の被害は深刻であり、現在の対戦環境は「最も数字の大きいカードをありったけ詰め込む」という工夫のし甲斐のないものになってしまっている。
また、「同じ初心者同士でも、親から既にデッキを受け継いでいる人とそうでない人で実力に差が出過ぎる」という問題も指摘されている。
後付けによるルールの複雑化も極まっており、「ルールの穴を突く」行為が現対戦環境では必須とも言われている。
偽造カードをデッキに投入する心ないプレイヤーも非常に多い。仮に判明した場合、そのようなプレイヤーは無条件で敗北とされ以降のゲーム参加の権利を失うが、そのリスクを知ってなお偽造カードの問題は多くのプレイヤーを悩ませている。

それ以外にもバトルする場所によっては特定のカード以外の効力が完全に失われる、というよりエリアごとに使用できるカードがかなり限られるため、事前に使用可能なカードを準備しておく必要がある。
しかも様々な事情でそれまで使用可能だったカードが一瞬にして紙くず同然になることもあり、数字が多いからと単一のカードだけを積むことのリスクは計り知れない。
ただどういう訳か、主に日本で製造・使用される「円」は世界的に信用が高いとされ、「富裕層」と呼ばれるハイランカー達は自身のいるエリアのカード以外に円を所有している場合も少なくない。




追記・修正はプレイヤーの方々にお願いします。

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€ (ヨ(*´∀`)E)
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「お金」とはとっても大事なものである。アフラックのCMでも言っていたから間違いない。
それなりに年を食っている人が多いと思われるアニヲタ民にわざわざ「お金とは何か」を辞書的に説明しても面白くないと思うので、具体的にお金の果たす役割を説明していこうと思う。

架空の通貨については該当項目を参照。




◎お金の歴史

基本的に昔の人は物々交換して生活していた。それで別に困っていなかったわけだ。
例えばAさんは魚を20匹釣った。Bさんはイノシシを一頭狩ったとして、それぞれが互いの獲物を持ち寄ってこう相談したとしよう。

A「魚ばっかりで飽きちゃったよ。イノシシ肉食べたいな」
B「イノシシなんてうんざりだ。魚20匹の方がいいな」
と両者が合意すればそれでめでたく交換成立。自分の食べたいものを両者食べられて幸せ、となるわけである。

だが、ここでBが「このイノシシは苦労して狩ったんだ。魚30匹じゃないと交換できないよ」と言い出したらどうなるだろうか?
海の傍に住んでいるAと山の傍に住んでいるBが互いに苦労して運び合った獲物をまた自分の家に持ち帰る、という馬鹿らしいことをする羽目になるのだ。

そこで頭のいいAは考えた。

「とりあえずこの場はイノシシと魚を交換しよう。その代わりこの貝殻を一緒に渡しておく。
この貝殻は中々見つからない珍しいものだ。次に会った時、これを渡してくれれば『魚10匹分の貸しがある』ということを忘れずに済む」

そして、次にABが獲物を持ち寄った時、Aは貝殻を返してもらう代わりに、魚を10匹多く渡すことで以前の借りを清算できるのである。
これが貨幣文化の始まりであり、「直接的には価値のないものを交換し合うことで物々交換をスムーズに進める」ということを覚えた人類は文化を加速度的に発展させていくことになる。


まぁ実際にこんな簡単に話が進んだとも限らないが、「実用性はないが珍しいもの」に価値を見出す、という文化が生まれ、当初は珍しい貝殻などの自然物(お金関連の漢字にやたらと「貝」が付くのはこれが由来)を交換し合っていたが、交換し合う規模が大きくなるにつれて自然物同士のやり取りでは無理ができてきたため、人工物(貨幣)が使われるようになった、と考えられている。
要するにお金とはあくまで目印(トークン)に過ぎず、その本質は「鋳造された人間関係」のようなものである。
このため人が多ければ多いほど、人と人とのつながりが弱ければ弱いほど……つまり、発展した都会であるほどお金の価値は増し、その逆=田舎になれるほど下がっていく。
「都会になるほどお金で買えるものが多くなり、田舎であるほどお金で買えないものが多くなる」と思っていただくとイメージし易いのではないだろうか。

小さな部族や田舎の中には、ほとんどお金を持たずに物々交換や助け合いだけで生活しているところもあるが、それは「お互いに素性が分かっているのでわざわざ信頼の証を金属のコインに変える必要がないから」とも言える。
田舎での生活は一見お金がかからないように見えるが、実際には「人間関係が鋳造されていない」だけなので、お金以外の部分でコストが掛かってくる分負担は変わらないどころか大きいことが多い。
具体的には、住民と仲良くやるスキル、各種行事に欠かさず参加するマメさ、プライベートを開示できる度胸などが必要になる。


◎お金の機能

1. 保存性

生き物は死ぬし、食材は腐る。
道具類はそれよりは長持ちするが、それでも使い続ければいずれは壊れる。
だが、お金は初めから道具としての使用は前提とされていない上に、破損や磨耗や経年劣化のしにくい材質(金属等)を用いる事が多く、非常に長期の保存に耐える。
それゆえに「大量に貯め込み易い」のである。

2.互換性

例えば上のABのやり取りでこんなことが起きたとしよう。
A「このイノシシは随分小さいな。これじゃあ魚15匹分ぐらいだ」
B「そっちの魚だって貧相だぞ。それなら30匹は貰わないと割に合わない」
「イノシシ一頭と魚20匹」を固定の交換レートとしていると、その時々の状況により交換レートに不満が出てき易いのである。

「どれだけ小さくても魚一匹は一匹だ」という要求が通ってしまえばトラブルも多くなる。
しかし、ここでお金を間に入れるとやり取りはグッと楽になる。
「このサイズの魚20匹なら1万円で売れる」「このぐらいのイノシシなら1万5千円だ」と互いに換金した金額でやり取りすれば、双方の納得できる交換をし易くなるのである。
また、物に対してだけでなく、労働力やサービス、技術力といった不定形のものへの対価としても互換性を持つことができる。

が、ここには一つの落とし穴がある。
お金とは目印のようなものであって、お金それ自体に価値があるわけではない。
ということは、『何をお金とするのか』『あるものを交換する時、それに必要なお金の量をどうするか』を事前に取り決めておかなければ機能しないという欠点があるのだ。

たとえば上にあげたように、珍しい貝殻一つを「魚10匹分の貸し」の目印として預けておく場合。
AさんはBさんに貝殻ひとつ=魚10匹としたが、別の人Cさんに対しては目印に宝石を使うかもしれないし、珍しい動物の頭骨を使うかもしれない。
あるいは、また別の人Dさんとは「貝殻ひとつを魚20匹と交換する」という約束を交わすかもしれない。
こういう時、CさんがBさんのもとに(目印として)宝石を持っていっても魚10匹とは交換できないし、20匹欲しいDさんが同じ貝殻を持っていったとしても、貝殻ひとつを10匹分の貸しだと思っているBさんは当然10匹しか渡してくれない。

また、お金とは人間にとってのみ価値があるものであり、厳密に言えば物との交換は成立していない。
上記の魚やイノシシをお金で買う行為は、一見すると物とお金のやりとりに見えるが、実際そのお金は「イノシシや魚と取った労働」に対して支払われているに等しい。

お金の正体は信頼であると言われるが、まさしくお互いがお金を「信じて」いないと、交換は成り立たないのである。
ただし、昔は身分階級制度が徹底されていた事も有って一般人と豪商や貴族などで使う価格帯などは違ったので、
  • 王侯貴族や豪商が取引に用いたり財産として貯蓄するのは金貨
  • 一般の農民町人や末端の小売商人が使うのは銅貨など
  • それらは例えば「銅貨100枚=金貨1枚」
……みたいな段階貨幣制度として存在した。
明治から導入された日本の「円銭厘制度」や米国の「ドル・ダイム・セント」、英国の「ポンド・ペニー・シリング・ギニー」等が該当する。
だが、こうした段階貨幣制度だと身分制度が崩壊すると却って計算が難しくなったり両替負担などが掛かる事から、現在は単一の貨幣単位を使用する傾向に有る。

こうした理由から現在のお金は、交換できる硬貨・紙幣を制限したり、お金1単位がどのくらいの価値を持つかの指標「レート」を定めたりしているが、どちらも国家情勢や景気に影響されて変化することがある。
そのため、時期によって同じ額面でも交換できる量が同じとは限らないので注意。
この辺りはインフレーションを参照のこと。

3.携帯性

「小さくて薄くて持ち運びし易い」という特性も忘れてはならない。
物々交換と違い商品同士を直接持ち運ばなくとも、貨幣経済ならお金だけを携帯すればよい。


◎お金の種類

秤量貨幣

最も歴史の古いタイプのお金。
貴金属を溶融して線状や薄板状、塊状にしたもので、天秤で目方を図って使われる。
貴金属自体に価値が有るので、ほぼ何処の地域ででも使えるメリットが有る。
熟練の両替商や貴金属細工職人なら僅か1~2%の純度の差も見分ける事が出来たので、彼等の目を誤魔化す事は意外と難しい。
しかし、逆を言うと、貴金属の取り扱いに慣れていない人間には純度の判定が難しい、と言う難点が有り、貨幣流通量と民間での貴金属貨幣需要が増すと後述の硬貨にシフトしたり、兌換券頼みになって行った。

硬貨

秤量貨幣を一定の純度・質量・デザインに成型して発行責任者の印を打刻したもの。コイン。
貴金属を一定量含み、「硬貨自体にそれを保証する価値がある」という最も解り易いタイプのお金。
このタイプの貨幣の信頼性は「どれだけ貴金属を含んでいるか?」ということであり、両替商の主な仕事の一つはコインの金・銀含有量を調べそれらの価値を保証することでもあった。
例え発行者が権力を失っても、鋳潰して貴金属にすればある程度の価値が保証されている点で信頼性は他とは比べ物にならない程高い。

なお表面の刻印に関しては洋の東西で傾向が違う。
西洋では片面に価格を表す数字を入れ、もう片面には時の王など偉い人の顔を彫り込むのが主流であった。これには偽造防止の為に刻印を複雑にする効果の他、権威による価値を保証する意味もあった。
東洋では「貴人は顔を隠す」のが基本だった事もあり、大半は文字だけのシンプルな刻印であった。そのため実用性や製造性を重視しコインの中心に穴を開ける文化が発達するようになった。そして多数を纏めたり携帯する際には紐などを穴に通して持つ事で持ち運び易くした。
その名残が中央に穴の空けてある五円玉五十円玉である。
現在では中国ではコインそのものが流通しておらず、紙幣オンリーであることもあり、五円玉は海外の人に珍しいコインとして喜ばれ易いお土産になっている。

紙幣

元々は「コインは重いし、使い続けると摩耗してしまうなぁ」と思った商人達が「この紙を持って行けば紙に書かれた分の金と交換してくれるよ」という証書(今でいえば約束手形や小切手)を使い始めたのが始まり。
そのため、紙幣は元来全て「兌換(だかん)紙幣」(その価値を保証する何かしらの貴金属があり、その貴金属の価値に紙幣の価値も依存する方式)であったが、世界経済の大幅な拡大・グローバル化に伴う金本位制の終焉により、現在は「不換紙幣」が主流になっている。
20世紀後半からは、偽造に対する抵抗性向上を狙った合成樹脂製の「ポリマー紙幣」も登場している。製造コストは高いが、従来の紙幣よりも丈夫なため、長い目で見れば安上がりと言われている。

金属の貨幣と違って紙そのものには価値がほとんどないため、通貨発行者が権力を失うと一発で単なる紙クズと化すリスクがある。今じゃケツをふく紙にもなりゃしねってのによぉ!*1
戦時中に現地から品物を買い付けたり軍人の給料にしたりするために発行する紙幣(軍票)は、敗戦に伴ってすぐに価値がなくなってしまう。
太平洋戦争における日本軍の発行した軍票でそういった問題が起きているが、別に日本軍特有の問題ではない。

仮想通貨

ビットコインなどに代表される、電子データでしか存在しない貨幣。
仮想通貨という名称は日本固有の名称であり、用途も通貨に留まらない仮想通貨が増えたことから、界隈では「暗号資産」(Crypto Currency)と呼ぶほうが一般的。
通常の貨幣が何らかの紙幣・硬貨として存在するのに対し、仮想通貨はそうした実体を持たない。
発行者は様々で、通貨の開発者であったり、企業であったり、最近では国家が発行した仮想通貨というのもある。

同じく実体のない電子マネーとの大きな違いは通貨の発行方法にあり、例えば円であれば日本銀行が状況に応じて発行できるが、ビットコインなどは自由に発行することはできない。

最初の仮想通貨であるビットコインは、通貨の過去から現在までの通貨の送金・所有データを守るために不特定多数のノードそのデータを証明することで、ほぼ改竄不可のネットワーク、いわゆるブロックチェーンを形成しておりその報酬としてビットコインが発行される仕組みになっている。

円やドルなどの法定通貨は国家が価値を証明しているとすれば、ビットコインは自身のセキュリティと発行システムによって価値を証明していると言える。
このビットコインの仕組みはオープンソースにされており、ビットコインを模倣した多種多様な通貨が開発されこれが仮想通貨の歴史の始まりと言われている。

…ただ、同じ仮想通貨でもその規模や価値などは様々であり、ビットコインを更に発展させたイーサリアムというある意味ビットコイン以上の影響力を持った仮想通貨もある一方、DOGEコインといういわゆるミームをネタにしたコインという存在価値が全くわからないものまで、もはやなんでもあり。

一部の通貨を除けば価値は曖昧で、ボラティリティも高い。また詐欺同然の通貨も多く、ほぼ0円の価値になることも多々ある。
良くも悪くも発展途上であるためリスクも高いが、当時1枚1円の価値もなかったビットコインが今では1000万円を超えたこともある事実であり、これがただのバブルであると考えるか新しいお金の形と考えるかはアニヲタ民次第である。

電子マネー

お金…と言うべきではない。
名前のせいで誤解し易いが実際には「決済手段」に過ぎず、貨幣の代わりではなく貨幣を使うための仕組みを指す。
一部、通貨と置き換えるようにして利用するものもあるが、それも通常の通貨から変換しているだけであり、電子マネー単体で通貨の役割を果たせるものは存在していない。

利用者は現金でなく携帯端末やカードを持ち、対応した店舗でのみ使用できる。
これの発達により、もはや紙幣の時代すら終わりに近づいている、という人々も多い。

利点としては現金を持ち歩かないため盗まれにくく、特に店舗側としては奪われる心配が無いため強盗被害に遭いにくくなるという点が挙げられる。
紙幣と異なり、決済業者間のやり取りによって「いつ、どこで、誰が、何に、いくら使ったのか」という記録が残るため、情報が洩れると厄介なこと*2に使いづらく、また店舗側も売り上げをごまかしにくくなり、脱税の難度を押し上げることとなる。
これらの点から特に治安の悪い国・地域での導入が盛んに行われている。

なお、日本では他の先進国に比べても普及が進んでいない…というのも、自販機で紙幣が使えるほどの治安の良さが逆に普及の足を引っ張るという状況にあるが故。
…などという言説がなされているが、実際は「端末導入のコストがなかなか下がらない」「地震等災害の多い国土では停電中に使えなくなるリスクが無視できない」「海外は偽札率が高い(後述)ため一般的な通貨の信用性が日本ほど高くない」などの要素が大きい。


◎世界の変わったお金

  • 慶長大判
長さ14.6cm、重量164g。「記念貨幣などではない大量製造された金貨」としては間違いなく世界最大クラスの大物。
なお、流石に一般流通はほとんどしておらず、勲章やメダルに近い扱いであったようである。

  • 浅野赤穂藩銀札
幻と言われる程に希少な紙幣。
元禄赤穂事件において、藩主が江戸城、しかも勅使を迎える当日に殺人未遂の現行犯で逮捕された上に、御家取り潰しとなった為に本来なら価値は消滅・・・する筈が、家老の大石内蔵助と大野九郎兵衛が奔走した結果、発行総額の60%の銀を調達し、「額面表示の6割の銀と兌換する」と兌換券を全額回収してしまった。

  • カンガルー金貨
現在ギネスに載っている世界最大の金貨。名前の通りオーストラリア産。
直径80cm、重量は1tというとんでもないコイン。マンホールの蓋かよ。
当たり前だが、完全な記念品である。

  • 分割銀貨
西インド諸島などで使われた変わったお金。
コイン自体がいくつかのパーツに分かれるという風変わりなデザイン。
詳細不明。情報求む。

  • 切手紙幣
第一次世界大戦末期のロシアで、物資の不足からコインが作れなくなり、紙幣の製造も間に合わなかったために切手の製造ラインを流用して作られた世界最小の紙幣。
切手サイズなので縦3cm、横2.6cmという吹けば飛ぶような小ささ。

  • 陶銭
シャム王国などで使われた陶器のお金。
壊れないのか心配になる代物である。
日本でも第二次世界大戦中の金属不足に対処するため製造されたものの流通される前に終戦。破棄され現存するものは少なく「幻の貨幣」となっていたが、2023年にかつて製造していた京都の会社の倉庫から50万枚が見つかる大発見が起こった。

  • 貝貨
貝殻のお金。
タカラガイという種類の丸みを帯びた巻貝が特に良く用いられた。装飾品だったり貨幣だったりと扱いは様々ながら、紀元前から世界各地で価値有るものとして扱われた由緒正しい「宝貝」である。
その影響か、「売」「貿易」など、経済関係の漢字にも「貝」の部位を持つものは多い。そもそも「幣」からして該当しているし。
時代が進むにつれて姿を消していったが、現代でも未だに貨幣として通用している地域がある模様。

  • 串型オボロス貨
古代ギリシャの都市国家のひとつ、スパルタで使われていたと言われるお金。
鉄製で、長さは1m、値段は6本で1ドラクマだったそう。*3

  • ヤップ島の石貨
ミクロネシア・ヤップ島で使われている石の貨幣だが、最大で5tほどにもなる中央に穴の開いた石が通用している。
もっとも、「日本円で〇円」の様に価値が決まっている訳ではなく、骨董品の物々交換の様な取引に使われるため、厳密には貨幣と言えない。
無論、支払い時も運搬はせず所有権が移るだけである。
ちなみに材料となる石はミクロネシアでは採れないもので、隣のパラオで採っている。
なお、現地では米ドルが使える。

  • ジンバブエドル
「インフレし過ぎたお金」として知名度の高いお金。
インフレの説明はインフレーションの記事に譲るが、とにもかくにもこのジンバブエドル、価値がめっちゃくちゃ低いのである。
300兆ジンバブエドル集めても日本円でたったの1円にしかならないと言えば伝わるだろうか。
ジンバブエでは5000兆ジンバブエドル稼いでも、うまい棒1本しか買えないのだ……
当然、こんな無茶苦茶に暴落したお金が利用に耐えるはずもないので、現在は廃止されている。
一部ではこのヤケクソな額面がネタにされてジョークアイテムになっていたり。

因みにイグノーベル賞受賞者には一時期は賞金として10兆ジンバブエドルが贈られていた。やはりジョークグッズ扱いである。
また2009年にはジンバブエ準備銀行総裁が「国民に大きな数字を扱うトレーニングを施した」としてイグノーベル賞数学賞を受賞している。経済学賞とかではないのがミソなのだろう。


  • 1(がい)ペンゴ券
「世界最大のインフレ貨幣と言えば?」→「ジンバブエドル!」と答えたあなた、不正解である。
単純な額面における世界最大の貨幣はこれ、
100,000,000,000,000,000,000ペンゴ(10の20乗)である。0が多すぎてよくわからない。*4
第二次世界大戦後の急速なインフレでハンガリーで発行された代物。混乱期にはこんなんものも出てくるのだ。
さらには印刷されただけで発行こそされていないものの、これよりひとつ桁の多い“10(がい)ペンゴ”券なんてものもあったとか。
ペンゲーとも呼ばれることもある。

  • 乙二百円券
昭和金融恐慌の折、取り付け騒ぎに対抗するための最終手段として発行。
片面しか印刷されていないという、紙幣になっているのか怪しいもの。オマケに表面の印刷も粗かったらしい。
当たり前だが印刷が追い付き次第、日本銀行が回収して正規のものと交換したため、払い出されて市中に残った現存数はかなり少ない。

正にカードゲームのお金。元大統領じゃないよ。
1600年代後半、北米大陸に於けるフランスの占領地域で、銀貨不足を補うためにトランプを利用したお金が作られ、しばらくの間流通していた。
総督政府の監察官が1枚1枚、直々に金額とサインを書き込んで判を押していたという。後には普通の厚紙を台紙にした物も発行された。
一説にはこれがアメリカ大陸に於ける史上初の紙幣ともされる。


◎お金の偽造

「お金が欲しいから自分で1万円札をコピーして作っちゃえ!!!」
そんなこと誰もは一度くらいは考えたことがあるんじゃないか?

もちろんそんなことが許されては経済が滅茶苦茶になる。
硬貨は額面価値が低い&製造コストが掛かるため現在は偽造され難いが、紙幣は製造コストが比較的安く、偽札作りが多い。参考までに、正規の1万円札の原価は22~24円程度とされている。
そのため多くの国では、紙幣に最高級の偽造防止技術が投入されている。
例えば紙幣のデザインに髭面の人物像を採用する事が多いのも、少しでも細かく描きこんで偽造しにくくするため。
日本の偽札防止技術は世界的にも最先端であり、出回っている金銭の偽札率はユーロの216分の1、米ドルの638分の1にまで抑えられている。
また、日本では各時代の最新技術を反映させるために定期的に紙幣のデザインを刷新しており、1984年発行のD号券*5からは2004年、2024年と20年周期で新紙幣が発行されて順次置き換えられるというのがお馴染みとなっている。
少なくともそこらのコピー機に通すなんてちゃちな方法は全く通じないし、紙幣に使う紙すら、政府の許可なく買えないことになっている。

ただし明治の電信に始まり、1990年代のFAXなどでお金を送ろうとしてコピーしてしまったという笑い話ネタはかつてよくあった。
勿論送られた本人はこんなもん使えねーだろって怒ったりするのがオチである。

それでも偽札を作るのは完全なプロの犯行である。
ルパン三世 カリオストロの城』では独立国家が国ぐるみで偽札作りをしていたが、それ位の大組織の力が無いと精巧な偽札は作り難いのだ。
また1~2枚程度では利益もたかが知れており、大規模に印刷できる位でなければ犯罪として割に合わないのもある。
ただ、偽札作りの動機が「自分の技術を試したい」という愉快犯のケースもあり、この場合明らかに偽札の額面価格より製造コストの方がかかっている様な利益度外視の事例もあったりする。
許されない犯罪ではあるが、儲け狙いでやるより経済への悪影響は小さいのが救いと言えば救い。

行使目的で紙幣の偽造をすれば3年以上の懲役*6という厳罰が待っている。
とはいえ、コピー機の発達によって偽札の印刷が行われる例も後を絶たないようだ。ただし本物のお札は視覚障碍者用の凹凸面や「透かし」が存在するので単純な印刷コピーでの偽札はバレ易い。

自動販売機などの機械の判別機をごまかすタイプの偽札もある。
外観にこだわらないため一見するとお札に見えないかもしれない。過去には磁気テープを紙に貼り付けただけの偽札(?)もあった。

また、例え使うつもりのないアクセサリーだとしても、実際に発行されている通貨と似たものを作るだけで「通貨及び証券模造取締法」違反でやはり犯罪となる。
おもちゃである子供銀行券の類でも、似せすぎて犯罪にならないよう結構考えて作っているのだ。
警察に相談して「この程度似てるくらいなら大丈夫だよ」とお墨付きを得てお札に似たチケットを配ったら、警察の判断ミスで犯罪者になってしまったという実例もある。

偽札を掴まされた場合、偽札と知らずに使おうとしたならば罪にはならない。警察に偽札を没収されて事情を聴かれることになるのは当然避けられないが。
だが掴まされた偽札でもそれを認知した上で使おうとすると罪になるので要注意。偽札と分かっている場合は素直に最寄りの警察に申告しよう。


◎お金の汚損・破損

硬貨にしても紙幣にしても、金属や紙から作られたである以上、汚損したり破損したりする事は少なからず起こり得る。
硬貨であれば金属製なので保管状態が悪ければ錆びるし、紙幣なら外出先で自動販売機に千円札を入れようとした時、うっかり水溜まりに落として濡らした上に泥がついた…なんて事故だって十分あり得る話。
破損にしても、お金の入った封筒の封を開けようとハサミで切ったら、中のお札の端の方まで切れてしまった位の破損なら日常的に起こり得る範疇だと言えるだろう。
日本の場合、こうした汚損・破損した硬貨や紙幣は、基本的にそのまま店頭の支払いに使うのは難しいが、その硬貨や紙幣であると特定できる状態であれば、日本銀行の本店もしくは支店に予約の上持ち込むことで、使用できる状態の硬貨・紙幣に交換してもらうことができる。
極端な話をすると、誤ってシュレッダーにかけてバラバラにしてしまった一万円札も、その破片を(可能な限り全て)集めてそれと分かるように頑張って並べて貼り合わせた上で持ち込めば、損傷のない一万円札に引き換えてもらえるのだ。
また、金融機関によっては錆びた硬貨などを窓口での入金や両替で引き取ってもらえるケースもあるので、そのままでは使えそうにない程傷んだお金が手元にあるが、日銀の店舗まで持ち込むのは難しいという場合は、まずは最寄りの銀行の店舗に相談してみるというのも手段としては有効だろう。

ちなみに硬貨の場合、故意に鋳潰したり穴を開けたりして破損させると「貨幣損傷等取締法」という法律で取り締まりを受ける犯罪行為となり、1年以下の懲役または20万円以下の罰金が科せられる。
具体例で言えば、穴開きでは無い硬貨にアクセサリー感覚で紐を通す穴をあけたり、記念メダルの加工機に硬貨を突っ込んで刻印をしたりするのはアウト。穴開き硬貨である五円硬貨に紐を通してストラップやネックレス等にするのは、硬貨自体の形が変わるような加工はされていないので合法となる。特に五円硬貨はその語感から、縁起物の験担ぎとしてアクセサリーにされる事も少なくない。
一応、同法には国外犯規定は定められていないため、海外で行うのであれば違法行為にはならない。推奨されない行為であるのは間違いないが……
ただし、それを日本国内に持ち込もうとすると、今度は関税法で定められた輸入禁止物品の「貨幣の偽造品、変造品及び模造品」に該当するためアウト。

一方で紙幣の場合、故意に破いたり落書きしても取り締まる法律が無い為罪に問われない……というか、それが他人の物*7でなければ罪に問うことができない。
だから、ATMからお金を引き出したらその中にボールペンで落書きされたお札が混ざっていたとか、謎の電話番号や陰謀論めいたメッセージなんかがお札の表面にスタンプされていたなんてトラブルに見舞われる事もある。
この場合、残念ながら不幸にもその紙幣を受け取ることになった者が、先述の通り汚損紙幣として交換してもらうのが最善策となる。しかし、店員に渡す支払いに使うのは憚られても自動販売機やセルフレジ、ATMの紙幣判別機が受け付けるレベルのものであれば、一刻も早く手放したい人によって支払いや入金に使われてしまう事もあり、別の人がその紙幣を受け取る……という負の連鎖が続く可能性が非常に高い。
落書き等で汚損されていると分かって支払いに使うのは褒められた行為ではないが、偽札ではない以上極端な汚損度合でなければ機械が受け付けても仕方ない部分がある上、次に受け取る側からすれば支払いのために機械に入れた人が誰かも分からなければ、そもそもその人も被害者であるし……と後味が悪い状態がリレーされてしまう事になる。
取り締まられないからと言って、紙幣に何か書いたり印字したりするのはモラルとしてアウトな行動と認識しておこう。



追記・修正はお金に振り回されないようにお願いします。

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最終更新:2025年05月19日 12:43

*1 北斗の拳第1話より。アニメでは規制の都合なのか、「鼻をかむ紙」に変更されている。なお、本当に紙幣でケツをふくと肛門がズタズタになる危険性が高いため推奨されない。

*2 具体的には麻薬の購入、反政府デモに参加するための交通費等がこれにあたる。信教の自由が保障されていない地域では、お布施等の宗教的な出費も該当する。

*3 ドラクマは古代ギリシャで使用されていた通貨。使用されていた時期と範囲が広過ぎて現代価値換算は難しいが、1ドラクマでおよそ労働者1日分の給料とされる。

*4 ちなみに漢字の桁で表すと、万・億・兆・京・垓…となる。乱暴に言うと「垓」とは「兆の上の上」なのだ。

*5 千円札に夏目漱石、五千円札に新渡戸稲造、一万円札に福沢諭吉の肖像画が描かれていたお札のこと。ちなみに、製造が停止されて久しい二千円札もこのD号券に分類される。

*6 これは執行猶予が絶対に付くことはないという意味。これを「紙幣の偽造はそれだけ重い罪なのだ」と取るか、「困窮しても紙幣の偽造に手を出せば少なくとも衣食住は確保できる」と取るかは各自に任せる。

*7 他人の持ち物の紙幣の場合、許可なく奪った時点で窃盗罪だし、それを傷める行為は器物損壊罪なので、通報されて被害届が出た時点でそれが紙幣であるかどうか以前の段階で罪に問われる。