オオカマキリ

登録日:2010/09/13 Mon 21:33:09
更新日:2025/06/20 Fri 23:40:16
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オオカマキリは昆虫綱カマキリ目(または蟷螂目:読み方は『とうろうもく』)カマキリ科に分類されるカマキリの一種。
学名はTenodera aridifolia(仮名転写:テノデラ・アリディフォリア)。属名は「引き伸ばされた頸」、種小名は「乾いた葉のような、枯葉色の」という意味。
英名はJapanese giant mantis。
漢字表記は大蟷螂。

ごく普通に見られるカマキリだが『オオ』の名は伊達ではなく、メスの体長は7~9cm以上にもなり、日本最大のみならず、アジア最大級の大きさを誇る。

以前はバッタやイナゴと同じ直翅目に分類されていたり、黒いアイツやシロアリと同じ網翅目とされたりもした。

カマキリはゴキb(ryやシロアリに近い

と言う文を見た事がある方もいるだろう。
しかし現在では、これらとはそれほど近縁ではないとされている。
因みに網翅目に分類された場合、オオカマキリを始めとするカマキリ類は蟷螂亜目に分類される事となる。

ご存知の通りカマキリは昆虫の中でも極めて異質な構造の体をしている。
胸部と腹部が細長く、胸部と腹部の境界部を大きく曲げることが出来る。
また、発達した前脚は鎌のようになっており、歩脚としての機能のみならず捕食の際に武器としても用いられる。
トンボなど一部の肉食昆虫に見られる脚のトゲが発達したものであろう。
上のタグにいっぱい並んでるカマキリモチーフキャラは大体切断に使うが、本来は捕獲に使うものである。
そもそも、カマキリモチーフのキャラの大半は前足の脛節部分を鎌に見立てているが、実際のカマキリはさらにその先に付節があり、その部分が無ければ獲物を本格的に抑え込むことが出来ない。
ただ捕獲で使うだけあってかなりの力があるので、人間でも挟まれると痛いことには変わりない。
尤も、捉えた獲物は前足で絶命する事は無く、顎で咀嚼されている内に絶命する事から、挟まれるよりも顎で噛まれる方が遥かに痛い。
意外にも自分より体長の短いハラビロカマキリよりも頭部が小さい事から顎もハラビロより小さい。

北海道、本州、四国、九州、対馬とかなり広範囲に渡って分布しており、日本以外では朝鮮半島や中国、東南アジア全域から幅広く記録がある。

出現時期は主に夏~秋。会社や学校への道のり、休み時間に外に出た時などにチラッと見掛けたことくらいは誰でもあるだろう。

肉食性の昆虫らしく、性格は極めて獰猛。自分より小さい動くものであればそれを獲物と見なして襲いかかる。
チョウやガ、トンボやハチなど他の昆虫を捕食するが、オオカマキリ程の大きさともなるとアマガエルやヤモリなども捕食対象となり、ごく稀な例ではあるがキクイタダキやベニヒワなども襲って食べることさえある。
本来なら食べる立場の爬虫両棲類や鳥類が、食べられる立場の節足動物に逆襲される姿は、何とも皮肉。やはり自然界では大きさが全てなのだろうか。
ただ大きいとその分だけ餌の量が必要になったり、目立つことにも繋がるのでバランスの重要性も同じく学べる。

普段の動作はゆっくりしているが狩りの時は一転し、スローカメラを使っても捉え切れない程に素早く獲物を狩る。
僅かな隙も見せずに一瞬で獲物の急所を捕らえる、正に昆虫界のプロボクサー。

「狙った獲物は逃がさないよ」

を地で行く、恐るべき殺し屋である。

元々脚が長く体が細いため運動能力自体は高く、幼虫時にはあちこちをちょこまか動きまわって餌となる昆虫を捕食している。
成虫は体が大きく、派手に動けば近づく前に獲物が気付いて逃げるため動かないだけなのである。
ただこの種は多くのカマキリ同様に昼に活発的に活動することと、人間からすると目立つ大きさなどから、生息地においては意外と簡単に見つけることが出来る。

捕まえた獲物は鎌でしっかりと押さえ付けてから、大顎で豪快に齧って食べる。
また、食後は前足を念入りに掃除する。

成虫になった時の強さは昆虫の中では屈指のものだが、ちっこい幼虫の頃はか弱い。
一つの卵鞘で200~300匹程度生まれるだけあって、成虫になるまでの生存率は1%程度と言われている。
餌に困ってか幼虫の頃の共食いも多いらしい。

ちなみに自分よりも大きな相手に会った時や、同種の同性同士に於けるケンカでは背筋を伸ばし、羽や鎌を広げて自分を大きく見せる事で威嚇し追い払う。
力いっぱいに開かれた羽と鎌の迫力はなかなかのもの。
因みに立派な羽を持ってはいるものの、体の構造の問題からかカマキリらしく飛行能力はあまり高くない。
天敵から逃げるときなど非常時の移動手段程度にしか使われず、専ら威嚇としての使用が多岐を占める。

なお、威嚇は最終手段のため、基本的にはその場でじっとして体を小刻みにユラユラさせることで、風にたなびく枝葉に擬態し、やり過ごそうとする。

捕食欲が強い、狩り場を定めるとあまり移動しない、肉食で植物に影響しない、といった特徴のため多くの園芸家からは害虫を食い尽くす益虫として認識されており、中には散歩中に見つけたカマキリの卵を持ち帰って庭に刺しておく人もいるほど。
ただし、目立つ場所に刺すと鳥や寄生バチの標的になりやすいので草葉の陰などに隠れるように刺すと良い。
それと、上記の通り200~300匹が一斉に生まれるので、狭いベランダなどで孵化させると地面がカマキリの幼虫で埋め尽くされるような事態になるので注意。

『豆しば』のCMで比較的知れ渡ったが交尾の最中にメスがオスを捕食してしまう事があり、
「母は強し」や「用済みのオスは邪魔だ。処分する」と言った擬人化メッセージと共に、オオカマキリを特徴付ける現象として広まった。
(因みに共食い自体は他の多くのカマキリにも共通して見られる現象である)
それの影響か、『かまきり夫人』のようにポルノ映画のタイトルを飾った事も。



…アンタ、いつまで挿れてんだい?
さっさと抜かないと…喰っちまうよ!


ぎゃああああああああ…



どこの世界でも、おなごとは強い生き物なのである。(まあヤるだけヤって無事逃げおおせるオスも多いのだが)

全体的にシャープでクールな体型が厨二心をくすぐるのか、子供からの人気は高く、河原や草むらなどで捕まえては大はしゃぎすると言う光景は今でもチラホラ。

また、鎌を揃えて待ち伏せする姿がまるで拝礼のように見えることから、オガミムシとも呼ばれる。
案外、信心深くて情に厚いのかも……?
聖職者というと某神父っぽい。


あれ、こんな時間にd
エイメエ゛エ゛ェ゛ェ゛ン


以下、余談。

オオカマキリに限ったことではないがカマキリは首をほぼ180度回転させることが可能なので(左右どちらでも出来るので実質的に360度首を向けれる)、
油断して首のすぐ後ろあたりを掴むと背中まで回るカマで指を掴まれ、首を後ろに向けて指を食われる。

食 わ れ る。いやマジだって。

ちなみに編集者は小学生時代に実際にやられ、指に傷が残り軽くトラウマ化したので二度とカマキリは触らないと誓った。

どうしても触りたい時は、片方の手でカマの届かない位置で気を引きながら、もう片方の手をカマキリの後にまわし、手の平で下からすくい上げるようにするといい。
カマキリは自分が立っている足元に攻撃する事はまず無い。そのまま手の上でユラユラし始めたら動くこともないのでめっけもんである。
ただ、たまにパニックに陥ったカマキリが腕を伝って顔の方まで登ってくることがある。
別にカマを顔に突き立てられるようなことは十中八九無いのだが、あの巨体が眼前まで脱兎のごとく迫ってくるのは中々に怖い。

何気にオオカマキリは、あのオオスズメバチと互角かそれ以上に渡り合える数少ない昆虫である。
如何に怪力や鎧、猛毒の針を持つオオスズメバチでも、オオカマキリの巨大な鎌に押さえ込まれてしまえば為す術はない。

以下、決闘から決着まで。


「あら、いい獲物。アナタのおなか、パンパンで美味しそうだわ。頂いちゃうけど、いいわよね?」

「ハ、やれるもんならやってみな。アンタの腹は筋張ってて不味そうだけど……かかる火の粉はなんとやら、よねぇ」

「フン、弱い獲物ほどよく吼えるわね……この針の力、とくと味わいなさい!」


(中略)


「そぉら捕まえたァ!」

「しまッ………あぁああッ!!」

「ハハハッ、こりゃざまぁないねぇオオスズメバチちゃん? ご自慢の怪力で足掻いてご覧よ」

「うッ、くぅッ……!」

「おやおや、さっきまでの威勢はどうしたんだい? ふふふッ……さぁて、そんじゃ頂かせて貰うよ」

「い、いやッ、やめてッ、許して……や、いやぁぁああぁッ!!」

「く、悔しい…!(ビクビク)」

と、こうなる。


しかしハブとマングースもそうだが、片方が必ず勝つと言う訳ではない。勿論オオカマキリが毒針に倒れ、オオスズメバチの餌にされてしまう事もある。
また、オオカマキリの細長い胸部は弱点でもあり、一瞬の隙を突かれてスズメバチの強靭な大顎に咬みつかれようものなら、苦も無く首を刎ねとばされてしまう。

これはあまり知られていない事実だがオオカマキリの複眼は昼夜に応じて色を変える事が出来る。
日照量の多い昼は光を反射する白に。
逆に日照量の少ない夜は光を集めやすくする為に黒くなる。
夜の黒くなった複眼は、さながらグラサンをかけているようにも見え、怖い人は本当に怖い。つーか、もはやホラー。
仕組みとしては、複眼を構成する個眼の奥には光の量を調節する働きを持つ色素細胞があり、光量が少ない夜間には吸光率を上げるために色素顆粒の量が増えるため、黒く見えることになるとのこと。

更に北海道新潟などの雪国に住むオオカマキリは、毎年雪に埋もれない高さに卵鞘を産み付けており、その年の積雪量のを予知しているらしい。
…と言われていたが、実際にはそのようなことはなく、卵鞘の産み付け先は日当たりや湿度など別の環境的要素には左右されることはあっても、地面からの高さは自体はまちまちで積雪量に対応するものではない。
抑もカマキリの卵鞘は発泡ウレタンのような構造で、軽くて丈夫な上に断熱性も高く、雪に埋もれたとしても何ら問題なく孵化する。浸水についても水温が5℃程度ならば60日間浸かりっぱなしでも80%近い孵化率があるため、大した問題とはならない。寧ろ雪に埋もれていた方が鳥やネズミなどの外敵から見つかり辛いだけ、吹きさらしの状態よりも生き残り易いとも考えられる。
この研究を行って論文化した人物は生物学者ではなく、工学的アプローチから積雪予想をテーマとしていたため、データ収集時点で仮説に合致しない数値を外れ値として扱い、補正値と称して統計的な処理を加え過ぎたため、恰もオオカマキリが積雪量を予想しているかのような結果が出てしまったというのが真相らしい。



アンタが、人間のwiki籠もりって奴かい?

ふふ、いいツラしてるよアンタ。あたしらの世界に来たら、真っ先に喰われちまいそうな情けない顔だ

アンタ、あたしに用があるらしいじゃないか。どんな用か言ってご覧よ

何? あたしの鎌で抱きしめて欲しい?

物好きな奴だね。あたしらの抱擁を望んで受けようってのかい?

でもまぁ減るもんじゃないし、アンタがして欲しいってんなら幾らでもしてやるさね

但し、アンタが上手く追記修正出来たら、だけどね

アンタが顔だけの男じゃない所を見せておくれよ。いい追記を期待してるから、しっかりやんな



さもないと………食っちまうよ!

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最終更新:2025年06月20日 23:40