乱舞Escalation

登録日:2014/11/07 (金) 11:38:00
更新日:2024/08/10 Sat 15:18:29
所要時間:約 10 分で読めます





「乱舞 Escalation」とは、特撮TV番組『仮面ライダー鎧武』の楽曲のうちの1つで、「アーマードライダー鎧武 極アームズ」のテーマソングとして扱われている。
それまでの平成ライダーシリーズと同様、クレジット上ED曲として扱われる挿入歌である。
作詞は"予言者"こと「藤林聖子」。作曲・編曲は「鳴瀬シュウヘイ」。





※以下、ネタバレを含むので注意





☆詳細


歌っているのは、葛葉紘汰(佐野岳)と駆紋戒斗(小林豊)の2人であり、いわゆるキャラクターソングとしての側面も持つ。これ以外にも本作には出演者が歌う曲があるが、作品単位では『仮面ライダーオーズ / OOO』の「Time judged all」以来となる。

その歌詞は2人の真逆な考え方、生き様がストレートに表れたもの。
互いに明確なライバルキャラとして描かれてきた2人を象徴するにふさわしい一曲である。
ギターを始めとしたサウンドや、鎧武らしい法螺っぽい音を織り交ぜたかっこいいメロディも必聴。

序盤から中心人物として、時に敵対し、時に協力し、
時に一緒にフレッシュなことに挑戦してきた紘汰と戒斗が2人で歌うということもあり、終盤の物語を盛り上げるのに一役買っている。


☆使われ方

さて、問題になってくるのはこの曲が使われたタイミングである。
主に戦闘シーンで使われたわけだが、本編を見ていない人やこの曲が使われ始めたころの視聴者は鎧武とバロンが共闘する場面で使用されるのではと思ったかもしれない。

しかし、実際は違う。それも全く逆なのだ。

まず、基本的にこの曲は極アームズの処刑用BGMとして使われていた。
敵に怒りを露にして極アームズに変身した鎧武が敵を撃破する場面を盛り上げていたわけだが、そう言った場面に限ってバロンは戦闘そのものに参加していなかった。

そう、戒斗も歌っているにもかかわらずバロン自体が画面に映っていないことが多かったのだ。
最終的にバロンが戦う場面でこの曲が流れたのは、結局たったの2回のみである。

そのうちの1回、戒斗を主役とした夏の映画とのコラボ回。
DJサガラが呼び出した異世界の鎧武 極アームズとの戦闘シーンでこの曲が流された。
この時は、戒斗が紘汰との戦力差を思い知る場面であったため半ばワンサイドゲームとなってしまった。
とはいえ、本編の世界観の本人でないとはいえ久々にTVで両者が激突したシーンでもある。


そして、2回目。この曲の真価が発揮された瞬間は、最終回間近にやって来た。






「お前を倒して証明して見せる……!ただの力だけじゃない、本当の強さを!!」

「それでいい!貴様こそ、俺の運命を決めるにふさわしい!!」


「葛葉ァァァァァッ!」

「戒斗ォォォォォッ!」




☆決着の時

終盤、クライマックス真っ只中のエピソード、第45話『運命の二人 最終バトル!』


人知をはるかに超えた力を手に入れて、黄金の果実───舞を巡ってついに真正面から対峙した紘汰と戒斗。


変身と同時にかかり始めてからほぼフルコーラスで流される本曲をバックに、2人のアーマードライダーはインベスの大軍を引き連れ、ロックビークルを乗りこなし、アームズを切り替えて激突する!


そう、この曲が本領を発揮したのは、歌っている2人の総力戦におけるBGMとしての役割であったのだ。
戦っているうち片方の処刑用BGMは平成ライダーシリーズでは多かった(というか、挿入歌の大半はこのパターンである)が、ぶつかり合う両者双方を描いているのは、シリーズ内どころか創作界隈でもかなり珍しい例であろう。


時間の都合で使われていない部分もあるが、ほぼ全パートが使用された。
最終的に2人の想いの根幹はそう遠くなかったのだが、選んだ手段も信じるものも大きく違っていたが故に衝突した2人を語ったような歌詞は、このラストバトルを大いに盛り上げることとなった。


なお決着は次回に持ち越され、故にこの曲が流れている間に勝敗はつかなかった訳だが、一進一退の決闘シーンに使われている場面なのだからこれで正解だったかもしれない。



☆PV


PVも制作され、放送終了間際に発売されたアルバムである『仮面ライダー鎧武 Music Arms』に収録。

仮面ライダーの姿は一切映らず、白く明るい部屋で紘汰が、黒く暗い部屋で戒斗が歌う、という(極だけに)極めてシンプルな映像ながら、合間合間に紘汰役の佐野岳氏のアクション戒斗役の小林豊氏のアクション(?)を織り交ぜつつ、歌詞と併せて徹底的に正反対に2人を映している。

ラスト、実は同じ部屋(仮面ライダーWよろしく2色になっていた)にいた2人。
しかし、たとえ同じ空間にいて(同じ未来を見ていて)同じ世界に立つ(同じ道を歩む)ことのない2人を暗示しているようである。
そんな対照的で混じることのない2人を描いた格好良いPVに仕上がっている。

最後、歌い終わって一旦2人ともフレームアウト、次にカメラの目の前に同時に現れて向き合い、しかしやり取りはなくすれ違い、真逆の方向に歩き去っていく場面がなんとも印象的である。







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最終更新:2024年08月10日 15:18