バグズ手術/M.O.手術(テラフォーマーズ)

登録日:2014/11/22 (土) 23:11:28
更新日:2024/04/07 Sun 00:36:55
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普通の人間で駄目なら、スパイダーマンを連れて行くしかあるまい。


バグズ手術/M.O.手術は、『テラフォーマーズ』に登場する用語の一つ。


バグズ手術とは?

テラフォーマーの免疫寛容臓移植術」および「骨肉細胞における昆虫のDNA配列とのハイブリッド手術」の総称。

西暦2577年から西暦2599年にかけてU-NASAが火星での長期活動及びテラフォーマーとの戦闘用に開発した人間に昆虫の能力を移植する手術である。

この手術は人間の遺伝子に昆虫の遺伝子を組み込むもので、手術を受けた者は自身に専用の薬物を注射することで身体構造が変化(変態)する。
そして変態後は自身に組み込まれた昆虫(手術ベース)の能力を使うことが出来る様になる。

例えば、

バグズ手術を受けた者は共通の能力として、強化アミロースの甲皮の発現、開放血管系の併用が可能となる。
これらの能力によって人間離れした耐久力、低酸素環境下で楽々と活動できる身体能力を発揮できる。

大雀蜂を手術ベースにした者は触角と大雀蜂の腹部のような両腕を備え、大雀蜂の毒針を使えるようになる。

ネムリユスリカを手術ベースとした者は高熱、低温、放射線、毒物に対して強力な耐性を持ち、
乾眠(クリプトビオシス。ミイラ状になって眠りにつく習性。)すら可能になる。

更に変態用の薬物を過剰投与する事でより高度な変態を行い、能力を強化する事も出来る。

つまりバグズ手術とは、
平たく言えば昆虫限定で仮面ライダーやスパイダーマンのような超人を作り出す夢のような技術なのだ!

さあ君も今すぐ最寄のU-NASA支局でバグズ手術を受けよう!!











まあ手術後の生存率は平均たったの36%で、手術ベースによっては生存率は1%を切るんだけどね☆*1

元来、人間に昆虫のような全く異なる生物の遺伝子を組み込んだ場合、普通は免疫の拒絶反応でお陀仏である。

しかし西暦2577年にバグズ1号が壮絶な死闘の末に地球に送った進化したゴキブリ(テラフォーマー)の生首を元に作られたクローンから発見された免疫寛容臓/モザイクオーガンが全てを変えた。
免疫寛容臓には免疫の拒絶反応を抑える効果がある。
これを人間に移植することで初めてバグズ手術は可能となり、人間はテラフォーマーと生身で戦うことが可能となった。

しかしそれでもいくつかの欠点が存在する。

欠点

  • 欠点①
昆虫しか手術ベースに出来ない。
しかしこれについては、バグズ手術の発展系「M.O.手術」で克服されている。
尚、冒頭の台詞を言ってる時点では、節足動物である蜘蛛はバグズのベースに出来ない。

  • 欠点②
個人個人で手術ベースとの相性が存在し、誰もが強力な昆虫を手術ベースに出来るわけではない。

  • 欠点③
昆虫の能力を発現するために薬物によって細胞のバランスを崩し、人間の細胞を壊して新たに昆虫の細胞を発現させるというプロセスを辿る。
つまり人間が一生に出来る細胞分裂の回数を消費する=寿命が縮んでしまう。
(体組織を作り直すという手順を踏むため、多少の怪我ならその場で治癒するというメリットもある。)

  • 欠点④
バグズ手術を受けた人間が変態中に肝臓や腎臓を損傷すると変態を促す薬物を分解出来ず、免疫による拒絶反応でショック死してしまう。
しかも身体が昆虫に変わっていく。

  • 欠点⑤
バグズ手術を受けた人間は、いわば「背中から人間の耳が生えたネズミ」のような状態で、
細胞レベルで昆虫と人間の遺伝子を共存している訳ではない。
(この問題は後に本多晃博士が解決している。)

  • 欠点⑥
生まれながらに免疫寛容臓を持ち、テラフォーマー体実験に躊躇のないテラフォーマーの技術発展は早く、
テラフォーマーにバグズ手術を受けた人間の身体の一部でも奪われた場合、テラフォーマーがバグズ手術の能力を得てしまう

  • 欠点⑦
免疫寛容臓自体がめちゃくちゃ貴重なために容易にバグズ手術を行うことができない。
(恐らくは免疫寛容臓をテラフォーマーのクローンから生産しているためと思われる。)


バグズ手術のその後

バグズ手術は西暦2599年に火星に送られたバグズ2号の乗組員13名に施されたが、
生還したのはたったの2名だった。

バグズ2号の乗組員11名の手術に使われた手術ベースにはアレクサンドル・グスタフ・ニュートン博士自らが厳選した強力な身体を持つ昆虫が使われていた。
(残り2名には本多博士がニュートン博士に無断で予定とは違うベースを使用していた。)

それでもなおテラフォーマーに対しては有効な力とはなり得なかった。

そして時は流れて西暦2620年。

バグズ手術関連の分野では3つの革命が起きていた。


M.O.手術


人為変態…!

モザイク・オーガン・オペレーションの略。
西暦2599年から西暦2620年にかけてU-NASA第5支局(ドイツ)とドイツ軍の研究チームはアドルフ・ラインハルトという少年にデンキウナギを手術ベースとしたバグズ手術を施すことに成功した。

世界で初めて昆虫以外の生物は手術ベースに使えないという壁を打ち破ったのだ。
時期は不明だが中南米で行われていた闇バグズ手術でも昆虫以外のベースが使用されたため、厳密にはこれが世界初ではない可能性もあるが…。

そこから改良型バグズ手術は更に洗練された。
その結果、手術ベースに加えてツノゼミを手術ベースとすることで筋力強化、強化アミロースの甲皮の発現、開放血管系の併用を可能としたままで地球上に存在する全ての生物種を手術ベースとして使用することが可能となった。
(しかし、バグズ手術で指摘されていた欠点はベースの自由度以外は全く改善されていない*2。)

ツノゼミを重ねがけする理由は遺伝子的多様性に富むので手術ベースと免疫寛容臓の間を取り持つのに最適だったからである。

この手術は従来のバグズ手術と区別され、M.O.手術(モザイクオーガンオペレーション)と呼称されている。

ちなみにM.O.手術になってからは変態に使用する薬の種類で手術ベースを見分けることが可能となった。
(例 錠剤=植物型 注射器=昆虫型 煙管=甲殻型 パッチ=哺乳類型 粉末=魚類型 ガム=節足動物型 座薬=軟体動物型 アンプル=鳥類型。)

M.O.手術は2620年に火星に向けて出発したアネックス1号の乗組員100名に施された。
M.O.能力者となった乗組員達は20年前に人類を拒絶した惑星へ再び降り立った。

ベース生物に関わらず手術で組み込めるのは一生に一種類で、複数回の手術を行った例は全て1年と保たずに死亡していることが、第三部にて判明する。
A.E.ウイルスの抗原を得てからは格段に手術の成功率が上昇し、アメリカでは全員がM.O.能力者に改造されている特殊部隊などが登場した。


不完全変態手術/紅式手術

M.O.手術は完成当初から多くの分野に革命をもたらし、また多くの人々がその技術を欲し、
様々な分野でM.O.手術を導入する研究が加速した。

そして比類なき強欲の国、中国は不完全変態手術を開発。
不完全変態手術は、この手術を受けた少女の名前を取って(ホン)式手術と命名された。

この手術は変態用の薬物を使用せずとも、ツノゼミの特性や手術ベースの能力を限定的に使用できるのだが、同時にある重大な欠陥を抱えている。

不完全変態手術は手術ベースによっては変態せずとも毒素を周囲にばら撒き続け、日常でも人間離れした嗅覚に悩まされるといった文字通り、人間を辞めなければならないという重大かつ非人道的な欠陥が存在する。
そのため、劇中のアネックス1号第四班の班員達は紅式手術を施された結果、地球に帰った後の人間としての生活を捨てなければならない状態に陥っている。


彼女(ザ・ファースト)/彼(ザ・セカンド)

西暦2599年から西暦2620年にかけてU-NASAは生まれつき免疫寛容臓を持ち、バグズ手術の能力を持つ人間を発見した。
現在までに2名が確認されており、ミッシェル・K・デイヴス/彼女(ザ・ファースト)膝丸燈/彼(ザ・セカンド)がこれに該当する。

彼らは優れた身体能力やバグズ手術の能力を持つだけでなくM.O.手術への適正が非常に高い(手術後の生存率が100%)ために各国の研究機関は彼らの研究に躍起になっているが目覚しい成果は挙がっていない。
なお、ザ・ファーストは本当の天文学的偶然で生まれたミラクルとされており、彼女だけの存在であれば「単なる奇跡」で片付けられる例外でしかなかった。
そこにザ・セカンドが登場し、技術的アプローチで実現可能性が出てきたことで各国が色めき立ったという。
そのため、狙われる優先度から言うと人為的な手が加えられたであろうセカンドの方がファーストより遙かに価値が高い。

バグズ2号艦長ドナテロ・K・デイヴスの娘で父親からパラポネラ(弾丸アリ)の能力を受け継いでいる。
変態用の薬物を使用せずとも常人を遥かに凌ぐ怪力、聴覚、耐久力を発揮することができる。
本来なら免疫寛容臓は遺伝せず、デザイナーベビーなどの遺伝子操作を用いた実験もことごとく失敗していたために『奇跡の子』『愛が生んだ奇跡』と研究者達から呼ばれている他、燈と共に各国(主に中国)からその身柄を狙われている。

孤児院出身で国籍及び両親は不明だが、常人を遥かに凌ぐ身体能力に加えて先天的にハナカマキリとクモイトカイコガの能力を持っている。
感情が高ぶると変態用の薬物無しでハナカマキリの能力が発現し、暴走してしまう(後に暴走は克服)。
普段はクモイトカイコガの特性が限定的に発現している状態になっている(彼の専用武器『膝丸』が変態していない状態で機能していたが、ハナカマキリの能力が発現すると機能停止しているため)。
彼の正体は遺伝子操作技術によって人工的かつ先天的ににバグズ手術の能力を与えられたデザイナーベビーであり、その誕生にはアレクサンドル・グスタフ・ニュートン(故人)と本多晃博士が関与している。
そのため本多博士と共に各国(主に中国、ロシア)からその身柄を狙われている。


M.O.手術の影響

これらの技術革新は各国のM.O.手術研究を加速させ、国、民間企業、マフィアなどの影の勢力が将来的に発生するであろう利権や他分野へ対応するためになりふり構わぬ暗闘を繰り広げる結果を招いてしまった。
中でも中国は非常に強引な手段に出ており、戦争を起こしかねないような様々な裏工作を実行している。

そして更に時代は進み、アネックス1号乗組員帰還後にまたもや革命が起きた。


C.B.手術


天異変態…!

キマイラ・ブラッド・オペレーションの略。
改良型の変身薬を投与した後にM.O.能力者同士(一対一でなくても可)が身体に取り付けた専用の装置を接触させる事で発動。
これにより3分間だけ接触した相手のM.O.能力が発現する。

原理としてはテルムス・アクウァーティクスという細菌の酵素によってM.O.能力者のDNAを複製・増殖させることで他者の能力を発現させるというもの。

他人の血液(唾液でも可)を自身の血管に入れたり、経口摂取することでも発動出来るが、その場合は数十秒ほどしか持続しない。
しかし、時間制限付きとは言えど手術ベース2つ分の能力を行使できるメリットは凄まじく、組み合わせる能力によってはテラフォーマー十数匹を瞬時に殲滅する事も可能。
戦闘だけでなく、再生能力の高い手術ベースの相手とC.B.手術を発動させて怪我を治療するなどの応用も可能。


その他

  • バグズ手術の外部流出/闇バグズ手術
中南米において密かにバグズ手術を施された者達が確認されており、U-NASAドイツ支局の科学者ジェシカ・ベルウッドの義弟ロニー・ベルウッドが関与していた。

  • M・O・Hスーツ
B・M・A(バイオ&メカニクスアーゲンター)というドイツの民間研究機関が15年掛けて開発した次世代戦闘服。
人工的に作られた細胞から作られている。
免疫寛容臓さえ有れば誰でも装着可能だが、使用されている人工細胞が着用者の細胞を侵食し、着用者は大量の抗がん剤に似た薬を服用しなければならない。

ドイツ軍によって同時期に進行していたM.O.手術とのコンペディションが行われていたがその後、ジェシカが上記の欠陥を軍上層部に報告したのと開発者も死亡したために計画は頓挫した。

…と思われていたが、後にM.O.能力者専用の武装として再評価され、米軍において節足動物型の能力者達に専用武装として配備されている。


バグズ手術/M.O.手術分野の関連企業

  • B・M・A(バイオ&メカニクスアーゲンター)
ドイツにある生体工学・機械工学を専門とする民間研究機関。
M・O・Hスーツによる強化というドイツ軍とU-NASA第5支局(ドイツ)の研究チームとは異なるM.O.技術の研究をしていた。

  • (はじめ)警護
蛭間一郎が創設した民間警備会社でM.O.手術分野を施された社員二名が在籍している。
救助艦フロンティア・スピリットの乗組員二名はこの企業の社員である。


バグズ手術/M.O.手術分野の研究者

  • アレクサンドル・グスタフ・ニュートン(国籍不明)
バグズ手術及び膝丸燈の誕生に関与。

  • 本多晃(日本)
バグズ手術及び膝丸燈の誕生に関与、細胞レベルで手術ベースと人間の遺伝子を共存させることに成功。
C.B.手術を開発。

  • ジェシカ・ベルウッド(ドイツ)
M.O.手術の実用化、手術の成功率を向上させる研究を行っている。

  • ロニー・ベルウッド(国籍不明)
M.O.手術の実用化。

  • ヤマバ(日本)
本多博士の元助手。

  • カール・シュバンツ
B・M・Aの主任研究員でM・O・H(モザイク・オーガン・ハイブリッド)スーツの開発者。


関連項目


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最終更新:2024年04月07日 00:36

*1 但しこの欠点はテラフォーマーが地球人類に宣戦布告した時には解決してるような描写がある

*2 『外伝 鬼塚慶次』では闇手術を受けた知人に対して慶次が「ツノゼミだけなら成功率が高いのかもしれない」と語っているが、公式設定なのか慶次の誤解なのかは定かではない