アドルフ・ラインハルト

登録日:2014/11/12 (水) 01:58:00
更新日:2024/04/17 Wed 18:18:13
所要時間:約 5 分で読めます




そうしたら……

きっとそうしたら―――

もう嘘をつかないで生きよう




アドルフ・ラインハルトとは『テラフォーマーズ』に登場するキャラクターである。


■プロフィール
国籍:ドイツ 年齢:27歳
性別:男 身長:180cm 体重:88kg
好きな食べもの:嫁の作ったカレー(元はロールキャベツ)
嫌いなもの:フタの閉まるバネが強すぎるゴミ箱
瞳の色:薄いグリーン 血液型:O型
誕生日:12月25日(山羊座)
特技:料理全般


■人物
かなり登場キャラクターの多いテラフォーマーズという作品の中でも、屈指の人気キャラであり、萌えキャラ
ドイツ支局の幹部乗組員(オフィサー)でドイツ・南米第5班の班長。
第二部からの登場で初出は単行本2巻3話である。
金髪で襟の長いコートを着用しており、常に口元を隠しているのが特徴。
一見すると無愛想な男で、マルコス、アレックス、シーラとの初対面の時に、小町艦長がアドルフのことを紹介した時には、

あぁ別にいいです紹介しなくて こっちも覚える気ないんで

と軽くあしらったり、自分の部下であるエヴァのことをこれ呼ばわりしたりと、普段は淡白で冷酷な態度をとっている。
だがそれは危険な任務なので、部下や周りの人間に情を移すと辛くなってしまうという気持ちから来ている言動であり、根は心優しい男。

まあ要はツンデレ

愛妻家らしく、建物の影で妻に電話で、

Ich liebe dich(愛してるよ)

と発言する一面も。
更には、それを盗み聞きしていた小町艦長に真似され、赤面しながら「最悪だ……」と恥ずかしがっていた。

そんなアドルフさんの性格を周りは汲み取っているようで、ドイツ・南米第5班の部下達からは厚い信頼を得ている。
アットホームな雰囲気で描かれている扉絵もあり、仲良く過ごしていたようである。

アドルフさん、幸せだったんだろうな。



■特性
―――雷神に痺れろ。

そんなアドルフさんの特性。それは

M.O.手術 “魚類型” 電気(デンキ)(ウナギ)

一属一種の“電撃生物”である

発電魚が発電する仕組みは、筋肉の一部分が『発電板』という細胞に変化しており、他の生物同様に神経から生ずる微弱な電流を、
完璧に計算されたかの如く整列した『発電器官』によって極限まで増幅することで成り立っているそうだ。

だがこのアドルフさんの手術ベースとなっているデンキウナギの放電は、他の発電魚とは一線を画しているらしく、
その威力は20kg級の個体で860V以上と言われているのだとか。
デンキウナギはそれを800W程度放てるらしく、その電流は人間の致死量に達するそうだ。

これは威嚇や定位を主な用途とする他の発電魚とは違い、
獲物や敵(ワニ)、人体を“殺傷する”ために進化したものである

だがそれは飽くまで20kg級の個体での話。
それを身長180cm、体重88kgのアドルフの全身の筋肉が発電器官を備えていたならば―――

その威力は凄まじいものとなる。

それに加えアドルフさんには、ランキング15位以上のものだけが持つことを許される専用武器対テラフォーマー受電式スタン手裏剣 レイン・ハード*1がある。
避雷針のような機能を持った手裏剣で、アドルフさんはこのレイン・ハードをレールガンの原理で超高速で射出し、対象に打ち込む。
そしてアドルフさんが放電をすると、レイン・ハードがそれを受電し容易に複数体の対象を痺れさせることが可能となっているのである。

ちなみにデンキウナギは放電の際に自分自身も感電しているが、分厚い脂肪が絶縁体の役目を果たし、致命傷を免れているそうだ。
勿論それはアドルフさんも例外ではないが、彼は全身に安全装置を埋め込んでいるので、大丈夫なそうな。
だがそれも最初から埋め込まれていたわけではないらしく、彼の大きな特徴となっている顔や全身の火傷痕は、まだ彼が小さい頃に負ったものだと思われる。

他にも変態せずとも、周囲の状況を察知できるレベルでの電波は出せるようで、脱出艇を運転しながらテラフォーマーと遭遇しないルートを選ぶなど、能力の汎用性は数あるアネックスのクルーの中でもかなり高い。



■悲しき人生
―――27年の中ではっきりと憶えている日が1日だけある
16の誕生日だ
美しい記憶だった

この記事の冒頭でアドルフさんは作中屈指の人気キャラと説明したが、それは彼の悲しき人生と、テラフォーマー達との壮絶な戦闘で見せてくれた熱き闘争心に魅了された読者が大勢いたからであろう。
それらのシーンが収録されている単行本4~5巻は涙無しでは読むことができない。

ことの始まりは、火星に到着して初日の夜。

中国・アジア第4班の焼死体と思われるものを発見したアドルフ率いる第5班。
ミッシェルとの通信で、至急他の班よりも先に本艦へと向かってくれ、との指示を受けたアドルフは脱出艇を走らせ、アネックス本艦へと向かう。

だが道中でテラフォーマーの大群の襲撃され、辺り一帯を包囲されてしまう。
それが悲劇の始まりだった。

向こうのどう見ても300匹近くいるのはオレが相手しようとイザベラに言い、単騎でテラフォーマーの大群の中へと乗り込んで行くアドルフ。
レイン・ハードとデンキウナギの特性を駆使し、軽々とテラフォーマー達を捕獲していくアドルフだったが、その中で彼は今までの悲しき人生を思い出すのであった。



最初の感電は確か8つの時。
親父とお袋は『バグズ手術』に失敗して死んだ。
その次にオレが標的にされた。
当時、実験段階だった『M.O.手術』のモルモットとして。



幼い頃からM.O.手術の実験体として生きていたアドルフ。
将来就く仕事も実験に協力することも全てが決められていた人生。
そんな人生に嫌気が差していた彼は、監視の目をくぐってどう死のうか、そればかり考えていた。
だがある日、そんな彼の心を大きく変える出会いが訪れる。

後にアドルフの妻となる女性との出会いである。

アドルフ曰く、彼女は俺を人間にしてくれた。
その発言からわかるように、きっとアドルフの人生を変えてくれた、大きな存在だったのだろう。

そして一帯のテラフォーマー達を捕獲したアドルフの前に新型のテラフォーマーが立ち塞がる。
それは動物性蛋白質を摂取し、並のテラフォーマーの数倍はあるだろう筋肉を備えた新型テラフォーマーだった。



消えない
悲しみが
悪夢が消えない
殺せ―――
殺せ
殺してくれ



新型テラフォーマーと死闘を繰り広げるアドルフだが、そんな中でも思い出すのは彼女のことだった。

他の男と浮気をしている、愛する妻のことを。



『惚れた弱み』などという生易しいものではない
あいつはオレを人間にしてくれた
―――なあ…オレさ……オレはさ…
オレはお前みたいになりたかった

人間になりたかったから


アドルフの息子はモザイクオーガンを持っていなかった。
だがそれ以上彼は聞けなかった。*2
それは彼が失うことを恐れたから。
虐待された子が尚も家を失うことを恐れるように。
彼もまたそれを恐れたから。

瀕死の状態にまで追い込まれながら、なんとか新型テラフォーマーを撃破したアドルフ。
彼は血を吐き、目には涙を流しながら、テラフォーマー達へと立ち向かう。

殺してやる

だが悲劇は更に訪れる。
そんなアドルフの前に現れたのは―――

先程なんとか撃破した新型のテラフォーマー3体と明らかにリーダー格だと思われるスキンヘッドのテラフォーマーだった。

畳み掛ける悲劇。

アドルフにもう戦う力は残っていなかった。



あぁ利用されるだけの人生だったなぁ……
もうダメだ…
死――――――――――


全てを諦め目を瞑ろうとしたアドルフ。

だがその間際、彼の瞳に映ったのは―――――

脱出艇の中に避難させていた筈の非戦闘員の部下たちが、テラフォーマーへと果敢に立ち向かう姿だった。




エヴァっ!!! 班長を連れて逃げろ!!!

ここはオレらが死んでも!!!

いつもアドルフ班長に助けてもらった!!!

オレたち…ッ地球でも火星でも…役立たずのゴミクズだけどよぉ…!!

だけどここでアドルフさんのこと見捨てて逃げたらオレら本当の屑になっちまうよ…!!



必死でアドルフとエヴァの逃がそうと抵抗する5班の非戦闘員たち。
だがテラフォーマーは無情にも、彼らを蹂躙していく。


違うんだよ…
お前らが逃げろよ…
オレは…オレはもう―――――



みんなの足止めも虚しく、力尽きてしまうアドルフ。
そして彼は最後に走馬灯を見るのであった。

まだ若き日のアドルフと妻。
デンキウナギの発電の仕組みを知っているアドルフに対し、妻は生き物が好きなの(?)と問いかける。

アドルフは、そんなこと考えたことなかったな、と思いながらある言葉を口にした。




そうだな…別に望んでそうなった訳じゃないし……
ただの実験だろうし、何の役にも立たないけど―――
けどそうやってオレの人生と関わったヤツは何であれ―――


好きだよオレは



その瞬間、バコンと音を立てて震えるアドルフの体。


A・E・D(電気ショック除細動器)

その使用目的は不整脈(心室細動)を起こした心臓を『停止』させることにある。
一度完全に停止した心臓は、
魂が 生きる意志が まだ其処に在れば 再び熱く 規しく

鼓動を刻み始める

それは持って生まれた筈の感情だった。
アドルフの心臓を叩いたのは、遠い昔にメスで切り取られた“その感情”だった。

“悔しい”



その瞬間に目を開き、雄叫びと共に周囲に落雷を発生させるアドルフ。



……悔しい……
悔しいよなぁ…お前ら……
待ってろ…ッ 今助ける…!!

再び立ち上がり、スキンヘッドテラフォーマーを睨みつける。


(そこ)を……退()け!!

アドルフ・ラインハルト

M.O.手術 "魚類型"
―デンキウナギ―

マーズランキング 2位


闇を裂く雷神、復活



そうして再び立ち上がった彼は、部下たち全員の名前を呼び、今から助けてやると薬を大量に摂取する。
普段クールな彼がここまで闘志を剥き出しにするとは、初登場の頃からは想像も付かない。

薬を大量に摂取し覚醒状態へ突入したアドルフ。
裏拳一発でテラフォーマーを吹き飛ばし、足を地面に叩きつければ前方のテラフォーマーたちを粉々にするほどの放電をする。

これがアドルフ・ラインハルト。

これが『2位』

そのままリーダー格のテラフォーマーにレイン・ハードを打ち、これを旗を振るって弾いたリーダー格だがそこは雷雨の中。
リーダー格のテラフォーマーに6億Vという威力の落雷で攻撃し、これを撃破した。


……濡れると危ない……って言っただろう…


こんなの男でも濡れちゃいます。


こうして悲劇は終わった。






























かと思われた。

適切な処置と神懸かった運により、息を吹き返すスキンヘッドテラフォーマー。
何か指示をした途端、周囲のテラフォーマーたちが銃を取り出し、一斉に銃口をアドルフの方へと向けた。

一斉に弾が放たれる。
力尽きかけていたアドルフだが、それでも尚仲間を護る為に立ち上がり、周囲に強烈な電磁波を発生させ、銃弾全てを無効化する。

それでもまだテラフォーマーの猛攻は終らない。

今度は投石に変更し、最後はこれにより体中を打ち抜かれアドルフ死亡

最後まで仲間を護ったアドルフさん。
死後は体に埋め込まれていた爆弾が爆発し、5班の面々やテラフォーマー全てを巻き込んでいった……。



しかし、落雷と爆発に見舞われたスキンヘッドは付近で死亡しているのが発見され、時を同じくしてテラフォーマーには組織立った動きが見られなくなった。
テラフォーマーが一人の才覚に頼らない体制を構築するまでの数日間、それは死して尚アドルフさんが稼いだ時間であり救った人命だった。



そして、彼の遺伝子と魂は、一人の女に受け継がれる。
マーズランキング100位/プラナリアの遺伝子を持つエヴァ・フロストへと……。




■萌えキャラとしての一面
上記のように、かっこいい姿を見せてくれたアドルフさんだが、時折読者を萌えさせてくれる一面も持っている。

小町艦長がオフィサー同士の親交を深めようと、アジアの公序良俗に反しそうなギトギトのラーメンをオフィサーチームで食べに行った際には、
小町艦長、ミッシェル、アシモフ、がスープも残さず完食、
ジョセフもスープは残したがなんとか食べきったところで、アドルフさんは……

全くラーメンが減っておらず、白目を向いてプルプル震えていた。

更にはオフィサーの中で腕相撲ランキングを決めることになった時には、緊急の用という嘘で招集された挙句、ジョセフに即負けし、

じゃあ先帰ります

と出ていき、小町艦長やミッシェルに引き止められる。
その後はオフィサーチームが大盛り上がりで腕相撲対決に勤しむ中、アドルフさんは一人、水槽の魚たちに餌をあげていた。

スピンオフ漫画『今日のテラフォーマーズはお休みです。』では色々と変なこの漫画に対するツッコミ役を一手に引き受け、
班員から好かれているもののあるとんでもない誤解が広まったとき「ストレスで奇行に走っても無理はない」と思われていることを知り森に帰ろうとし始めた。




そんなアドルフさん、死亡説がほぼ確定しているが、いつか我々読者の前にもう一度その姿を見せて欲しいものである。




追記・修正すると危ないって言っただろう

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最終更新:2024年04月17日 18:18

*1 「Rain Hard」はドイツ語読みすれば「ラインハルト」となる

*2 原作では浮気現場の描写とアドルフ死後の彼の遺族に対する科学者の態度、回想シーンで何らかの検査結果を見てアドルフの妻に怒り狂う科学者などで示唆されるのみだったが、アニメ版では明言された。 アドルフ自身に検査結果が告げられる という残酷な形で。