境界面上のミッシングリンク

登録日:2016/04/02 Sat 08:04:50
更新日:2024/03/23 Sat 17:43:21
所要時間:約 5 分で読めます








境界面上のミッシングリンク
Divide by Zero





2015年12月2日に(再)放送されたアニメ版Steins;gateのもう一つの23話。
再放送なのに再放送せず(一部とはいえ)新作を放送するという前代未聞かつ暴挙なことに出たことで話題となった。

ミンゴス「STEINS;GATEを作ってる人達って、良く言えば子供心忘れてない…チャレンジ精神あふれる感じ。 悪く言えば、バカなんだなって
マモー「周りも、皆ちょっと…バカなんじゃないかな

再放送で今まで追ってきたオカリンが、実は本編のオカリンではなく別の岡部倫太郎だということが判明する衝撃的な展開を迎えることとなった。


以下、Steins;gateの根幹に触れた内容です! 未プレイ・未視聴の人はネタバレ注意!













まゆりは…しっかりとここにいる……

街も…俺も…何も……変わっていない……










あらすじ

まゆりを救うために牧瀬紅莉栖を犠牲にしてα世界線からβ世界線へと戻った岡部。
そこは紅莉栖との出会い、ラボメンとして過ごした日々が、なかったことになっている世界線

すべては終わったに思えたが、ダルの携帯電話に来た鈴羽の電話がかかってくる。

このβ世界線では第三次世界大戦が起きること、それを防ぐためには牧瀬紅莉栖の救出が必要だといわれた岡部は、
一度は断りながらも鈴羽に協力することを決め、タイムマシンで2010年7月28日のラジ館へ跳んだ。

だがその過去にて中鉢博士から紅莉栖を助けようと岡部は飛び出したが、
もみ合いの末に中鉢のナイフで紅莉栖を刺し殺してしまう。


「怖いよ……私、死にたくない」

「死にたく…ない……」


岡部は元の時間に帰ってくるが、茫然自失のまま、立ち直ることが出来ないでいた。


絶望に押しつぶされた岡部を気遣うまゆり。
岡部は、紅莉栖を救うことを諦め、世界の命運を背負うその重責から解放される。


だが、罪悪感を抱えたまま過ごす岡部に、"β世界線"は新たな収束を見せていく……




登場キャラクター

基本的には前半部分の彼らの展開は本来の23話である「境界面上のシュタインズゲート」と同じである。


岡部倫太郎
SGオカリンだと思った? 残念、執念オカリンでした!
シュタインズ・ゲートの存在を見つけ出した未来の自分からの指示を受け過去へと目指すが、
方法が間違っていたために自らの手で最愛の人を殺めてしまう。

そこから立ち直ることはα世界線の出来事で精神的に限界に達していた岡部には不可能だった*1
そしてまゆりの気遣いを受けて彼は牧瀬紅莉栖を諦めることになる。

楽園のドアにたどり着くことはなく、運命石の扉の規制が終わることはなかった。

白衣を脱ぎ捨て、未来ガジェット研究所にも行くこともなく、すべてを忘れることにした岡部…しかし……


「運命はこういう形に収束するのか……? なぁ、鳳凰院凶真よ……ッ 結局俺はやるしかないらしい」

「健闘を祈っててくれ……! エル・プサイ・コングルゥ……ッ!」


椎名まゆり
本来の23話ではオカリンにビンタし、諦めないようにと鼓舞するが、
この世界線でのまゆりは逆に岡部の諦めを受け入れ、彼を庇う。
まゆりの対応がこれだけ違う理由は……

「未来のことを人ひとりで変えようなんて、きっと無理なんだよ」


橋田至
深く絶望した岡部に声もかけることができずに立ち尽くしていた。


牧瀬紅莉栖
本来の23話と同様に岡部の手によってラジオ会館内で亡くなる。
その後のエンディング後にはアマデウスの紅莉栖が登場している。

「初めまして、牧瀬紅莉栖です。どうぞよろしく」


阿万音鈴羽
牧瀬紅莉栖の救出に失敗し、二度目のチャレンジをあきらめる岡部に気合を入れるためのビンタをしようとするがまゆりに止められる。
未来へ戻ってきてからの演技は田村ゆかり氏による新録で同じセリフでも大分印象が異なっているが、
これは本来の23話の鈴羽は失敗まで含めて計画の内であるのに対して、こちらの鈴羽は牧瀬紅莉栖を助ける以外の計画を知らなかったためと思われる。
そのためこちらの鈴羽は本来の23話よりも焦りが見えるものとなっている。

「こうなったらビンタしてでも気合を入れて…ッ」


●中鉢博士
後半部のテレビ放送がカットされていること以外は本来の23話と特に変わらず。


●案内放送の人
同じく変わらず。


○アナウンサー
この世界線で彼に役目はなかった。



主な変更点

  • サブタイトル部分の変更
  • 未来へ戻ってきてからの岡部と鈴羽の声の演技
  • 絶望する岡部のもとに「テレビを見ろ」のDメールが来ない
  • そのため後の行動が変化し、本来の23話でのまゆりに変わり鈴羽が気合を入れるためのビンタをしようとする
  • 岡部が紅莉栖を諦めるため、「スカイクラッドの観測者」は流されずエンディングは普段と同じ「刻司ル十二ノ盟約」*2
  • ラストはシュタゲゼロの服を着たリア充生活を満喫する岡部がアマデウス紅莉栖と出会い、鳳凰院凶真へ決意の言葉を送る



余談

この分岐を考えたのは志倉千代丸氏。
再放送がすでに始まっているにもかかわらず科学ADVシリーズスタッフのLINEに再放送改変のアイデアをぶっこんだことが始まり。
「ゼロの宣伝もあるけど、普通の再放送と見せかけて世界線を変えてしまうというのはシュタゲらしい演出かと」

しかし、丸一日既読スルーで放置された。

ただスタッフ一同戸惑いながらもそのアイデアを面白いと感じており、結果この話は完成することになる。
この打診を受けたアニメ製作会社のWHITE FOXは、タイトなスケジュールの中ノリノリで制作してくれたとか。
まさにシュタゲゼロでいうRINEトリガーならぬLINEトリガーによって世界線は分岐したのだった。


ちなみに、そのLINEでは比屋定真帆が牧瀬紅莉栖の訃報の連絡がきた受話器を取るシーンを改変ポイントに入れていたが、
実際の23話(β)にはそのシーンは入っていない。

シュタゲゼロが発売延期されたのは放送時期の都合上、この話が放送されるのが本来の発売日の後のため。
もちろん、延期した分の時間で画像を増やすなどのクオリティアップはなされている。


サブタイトルのミッシングリンクとは連続性が期待されている事象に対して、非連続性が観察される場合のその間のこと。
つまり本編とDメールの間の数分間にあった執念オカリン達の物語のことである。

またDivide by Zeroとはゼロで割る「ゼロ除算」のこと。
その結果は「不定」と「不能」に分かれるが、物語的にはどんな数を入れても式は成立しない「不能」のほうを指しているのだろうか?


アイデア自体はともかく、サプライズのために予告は全くなく(厳密にいえば公式サイトが若干伏線か?)
発売延期もアドベンチャーゲームであればクオリティアップもかなりされるため、まさかこんなことになると思っていた人はまずいなかった。
そのためやはり賛否両論ではあり、

再放送から見始めた人「続き見せろよ!」
この展開を予測できなかった人「予告なかったから録画できなかったぞ!」
23話(SG)、24話(SG)を(DVDなどを買うつもりがなかったので)録画したかった人「分岐とかふざけんな!」
その他「TVで23話と24話見たかったお」

などの意見も。
逆に肯定派ではゲームでいう「境界面上のシュタインズゲート」、アニメでいう「終わりと始まりのプロローグ」を知らずに
Steins;gate 0をプレイできる面々をうらやましがる声も(執念オカリンを経験したうえで上記二つに移行できるため)。


なお、志倉氏が考えたベストの改変はこの23話の後にアニメ版STEINS;GATE 0の第一話を放送することだったが、
アニメ版がまだほとんど何も固まっていない状態だったので*3さすがに無理と判断したとのこと。

本来の23話と最終話である24話はこの後ニコニコ生放送で配信(この23話(β)も)。
またこの23話(β)は2016年2月5日発売のBlu-ray BOXに収録されている。


















牧瀬紅莉栖を諦め、β世界線で

生きていくことを選択した岡部倫太郎は……




厨二病を脱して


普通の学生生活を送っていた!



笑いあり

涙あり


友情!

努力!


勝利!



想定科学アドベンチャー『Steins;gate 0』好評発売中!



すべてを観測せよ
























お前の、三週間の世界線漂流を無駄にしてはならない……なかったことにしてはいけない

いくつもの世界線を旅してきたからこそ、紅莉栖を助けたいと思うお前はそこにいる

タイムマシン開発にすべてを捧げた俺が、ここにいる


お前が立っているその場所は、たちが、紅莉栖を助けたいと願ったからこそ…到達できた場所なんだ




最初のお前を騙せ、世界を騙せ


それが、シュタインズ・ゲートに到達するための条件だ


健闘を祈る



エル…プサイ…コングルゥ……ッ



2025. 08/21 → 2010.07/28

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最終更新:2024年03月23日 17:43

*1 本来の23話(SG)と比べてみるとわかるが、改変されてない同じセリフの部分でも未来へ戻ってきてからの岡部の演技が大幅に異なっている。

*2 冒頭部に秋葉原を歩く人々と比屋定真帆のシルエットが追加され、キャスト欄が二つに分けられており、上述のDメールがないためアナウンサー役の小林かつのりが記載されていない。またラストの紅莉栖がアマデウス紅莉栖になる演出となっている

*3 曰く、アニメ版の「STEINS;GATE 0」はゲーム版とは少々内容が違う予定らしい