テイルズ オブ ザ テンペスト

登録日:2011/11/27(日) 03:06:55
更新日:2025/06/17 Tue 21:44:46
所要時間:約 6 分で読めます




テイルズ オブ ザテンペストとは、2006年にバンダイナムコゲームスから発売されたニンテンドーDS用ソフト。
恒例のジャンルは「魂を呼び起こすRPG」

主題歌はmisonoが担当した「VS」。諸々の事情でソフトの販売が延期になったので、テレビCMでは同じmisonoの「ラブリーvキャッツアイ」が使用された。

当初、この作品はテイルズオブシリーズの本編作品9作目として扱われていたのだが、何故か本作発売の2007年以降シリーズにマザーシップタイトル(本編)とエスコートタイトル(外伝、なりダンやファンダムなど)の概念が誕生。
テンペストはエスコートタイトルに属することになる。
……というのが通説となっているが、バンダイナムコは上記の分類以前に本作のことを「本編」あるいは「外伝」と表現したことは一度もなく(外部メディアは本編として扱っていた)、一貫して「シリーズ初のDS作品」「シリーズ最新作」と表現していた。
そのため、実際にバンダイナムコが本作を本編と外伝、どちらに属するものとして扱っていたのかは分からない状況となっている。

2020年になってマザーシップ・エスコートの区分が撤廃され、「オリジナル」と「クロスオーバー」が新たに制定されて本編・外伝の区別が消滅した。これにより、本作は13年越しで外伝扱いから脱することとなった。

■戦闘システム

『3on3-LMBS-(3on3バトルリニアモーションバトルシステム)』を採用。
3Dになった『テイルズ オブ リバース』の戦闘、というのが最も近い。
ただし今作は戦闘参加メンバーは3人となっている。
3D戦闘になったゆえかリバースとは異なり、前後左右どこからでも直接攻撃が可能。


■ストーリー


今から100年前、大陸アレウーラでは、獣人化し高い文明を持つ「リカンツ」と、獣人化能力を持たない種族「ヒト」が平和的に共存していた。

ある時、一部の勢力が自ら封印していた技術を使い、数十万のリカンツ達を虐殺した。
目的は虐殺ではなかったが、その時を契機に国は二つに割れ、後に『獣人戦争』と呼ばれる騒乱が起きる。
急速に数を減らしたリカンツは、大陸の支配権をヒトへ譲ることとなった。


時は流れ、現代。
アレウーラ大陸の辺境の村・フェルンに住む主人公のカイウスはある日、村にたどり着いた一人の手負いの騎士を介抱する。
騎士は「ジャンナの大公の元へ届けて欲しい」とカイウスの母の形見にそっくりな赤い宝石「ペイシェント」を託すと息絶える。

これがアレウーラ中を巻き込む新たな騒乱の幕開けとなることをカイウスには気付く由も無かった…



■主な登場人物

カイウス・クオールズ
(CV: 高城元気)
本作の主人公。15歳の少年。
一見すると普通のヒトのようだが、実はヒトとレイモーンの民のハーフ。
その事実が彼に様々な試練を与えることになる。
過酷な人生を送るが精神的にはかなり成熟している。普通にいい奴。
武器は片手剣の剣士。歴代キャラの技はこちらが担当。


○ルビア・ナトウィック
(CV: 門脇舞以
本作のヒロイン。カイウスの幼馴染。
当初は僧兵になるべく故郷の村を旅立とうとするも…。
カイウスに対して恋心を抱いているが、なかなか素直になれずケンカばかりしている。
武器は杖で、魔術により遠距離攻撃を得意とする。


○ティルキス・バローネ
(CV:山崎たくみ)
カイウスたちが住む大陸とは別の地の王子。
フォレストと共にある目的を以てやって来る。
ルビアに「お兄さま」と呼ばれ慕われていたが、本人はアーリアに恋心を寄せる。
武器は大剣(両手剣)。カイウスとは対照的にオリジナル技が多い。


○フォレスト・ルドワウヤン
(CV:乃村健次)
ティルキスの部下である屈強な戦士。
今作、というよりも歴代作品と比べて見ても年長の45歳。
カイウスとは違い純粋なレイモーンの民で、種族のことで悩むカイウスを気にかける。
武器は斧。


○アーリア・エクバーグ
(CV:荒木香恵)
協会に所属している僧兵。
一見クールな美人だが性格は若干天然っぽく駄洒落好きというお茶目な一面も。
真意を掴みにくい言動を取ったりもする。
武器は杖。ルビアと対照になるような術の使い手。




その他のキャラクター

〇ルキウス・ブリッジス
(CV: 斎賀みつき)
仮面で顔を覆った少年。教皇ヴィンセントの息子にして異端審問官の1人。
カイウスの双子の弟で、仮面の下はカイウスと瓜二つ。
テイルズ オブ ザ レイズではプレイアブルキャラに昇格。


〇ロミー
(CV:瀬那歩美)
異端審問官の少女。
残忍な性格で、ラムラスを陥れるためルビアの両親を殺害したり、ルビアがカイウスに不信感を抱くよう唆したりする。
彼女がこのような性格になったのは理由があり、被害者である。

〇ヴィンセント・ブリッジス
(CV:小林清志)
ジャンナ教会のトップである教皇。
かつては「ヒトとレイモーンの共存を」と謳っていたが、ある時から異端者狩りを強化している。
イベント用と思われる没ボイスが存在する。(国王も同じ台詞)
戦闘曲である「信は荘厳なり」は良曲。


〇アルバート・ミュラー
(CV:麻生智久)
首都ジャンナを警備している黒騎士団の団長。20歳にして騎士団長にまで上り詰めた剣技の天才。
ペイシェントと騎士についての情報を得ようとカイウスを狙う。


〇ラムラス・クオールズ
カイウスの養父。15年前の異端者狩りの際にカイウスの母から生まれたばかりのカイウスを託され、以来カイウスの父として彼を育て上げた。


〇トールス・テネレッツァ
レイモーンの民で、フォレストの友人。元々は争いを好まず、ヒトとの共存を願っていた。8人のレイモーンの民が迫害をやめるよう国王に直訴するが、逃亡した2人を除く全員が処刑された「ジャンナ事件」でヒトに絶望し、武力での制圧も辞さないようになる。




不評点

ここまで簡単に作品を説明したが、今作は悲しいことにテイルズシリーズの中でも非常に評価が低い作品として有名となってしまった。

取り敢えず良く挙げられる批判点を見てみると

◆ストーリー
サクサク進めば10時間くらいで終わってしまう程の短さであり、必然的に低レベルでもクリア可能。
実際、筆者はラスボス時点でレベル40もありませんでした。
ゆっくり、じっくりプレイしてレベル上げを頻繁に行ない、時々道に迷ったりしながら進めればあるいは…。

◆ムービー
テイルズシリーズの見所の一つは綺麗でヌルヌル動くアニメーションムービーなのだが、この作品はそもそもアニメーション部分はOPのみ。
その上OPもアニメーションはサビ付近の一部分に抑えられ、大半はポリゴンなのである。
しかもそのポリゴンもお世辞にもクオリティが高いとは言えず、ムービー部分との比較もありなぜ全てムービーにしなかったのかとの声が良く挙がる。

◆ボイス
テイルズ作品を構成する要素として重要な豪華声優陣によるボイスも、今作は非常に聞ける部分が限られてしまっている。
キャラのボイスを聞けるのは料理と戦闘くらい。
正直、宝の持ち腐れ感が半端ない。

◆スキット
もはやテイルズの代名詞といっても過言ではないスキットも、ボイスがないのに加えてキャラのグラフィックもなく文字が出るだけというシンプルなものに仕上がっている。
そのくせさらっと大事なことをいうので困る…。

◆戦闘
これまでのテイルズシリーズでは可能だった「戦闘中の操作キャラ、術技、装備の変更」が一切できない。
さらにCPUも設定した4つの術技しか使えないし術技の指示も不可能。
CPUのAIも良くない(敵含む)。
ショートカットもない上に前述の通り前後左右から攻撃可能というシステム上、戦闘そのものはなかなか難しい。

◆ワールドマップ
今作に飛空挺などは存在せず徒歩が唯一の行動手段になる。
しかしマップそのものは広大で地図も見辛いのでかなり進みづらい。
砂漠で迷いすぎて匙を投げるなんてのもザラ。
エンカウント率も高くなり、テンポの悪さにも繋がっている。


ざっとあげてもこのくらい。
さすがにファンにも擁護しがたい部分もちらほら…どうしてこうなった。

「システムはともかくアニメーションとかボイスとかは容量的に仕方ないんじゃね?」と思う人も居るかもしれないが、
なんとこの作品DSソフト全体の容量の半分しか使っていない。


【こぼれ話】

テンペストは略すと『TOT』となり泣いてる顔文字にみえるので巷ではネタにされている。

2014年に海外のサイトで公開されたスタッフインタビューによれば、リメイクの予定はないとのこと。

設定や戦闘システムが微妙にTORに似ており、「リバースの100年の世界を舞台」として作られていたという噂もあるが、真相は定かではない。

ゲーム本編はまぁ評判がよろしくないが、小説は比較的評価が高い。ただ、ゲーム本編の過去話の描写が多く、カイウスたちの出番は少なめ。

外伝作品では長らくカイウスとルビアのみの参戦だったが、全員参戦を掲げた『テイルズ オブ ザ レイズ』でついにパーティキャラ全員の参戦が実現したほか、原作ではPTキャラではなかったルキウスが参戦している。

「追記・修正よろしくお願いします」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年06月17日 21:44