登録日:2017/03/18 Sat 04:50:00
更新日:2025/01/12 Sun 23:56:08
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しかし黒魔道士や白魔道士が古典的な一般名詞に過ぎないのに対して、実は
「赤魔道士」は
ファイナルファンタジーにおいて初めて生まれた存在である。
よってその意味ではかの「
召喚士」同様
、FFというシリーズそのものを象徴するジョブの一つと言えるかもしれない(しかしその割に、シリーズで固有名詞のある赤魔道士が全然いないのだが……)。
見た目は古典『ダルタニャン物語』に出てくる三銃士のような、白い羽根飾りをつけたノーブルハットをかぶり赤い軽装鎧と細身剣を身に着けているなど、一見すると魔法使いっぽくない。
基本的にFFシリーズにおける赤魔道士とは、概ね
「黒魔法で攻撃も、白魔法で回復も、さらに戦士の様に剣を使って戦うこともできる魔法剣士」という存在である。
ドラクエでいえば「
賢者」というよりはむしろ「
勇者」とか「
魔法戦士」に近いポジション。
しかしこの手の万能系ジョブの常として
ちょうどいい具合にバランスをとるのが難しく、各タイトルにおいて赤魔道士は
「万能な勇者ジョブ」と
「器用貧乏な劣化ジョブ」の間を微妙に行ったり来たりしている。
また別方向からのアプローチとして、
FFVなどにおける「
連続魔」や、異様に優秀な装備群を誇るDS版
FFIIIなどのように、
「器用貧乏で黒・白・戦士の劣化だけど、別の方面で長所がある」という調整をされることも多い。
◆「どんなジョブなの?」
基本的にはシリーズの赤魔道士の例にもれず、
「攻撃も回復もできるが、やや器用貧乏な多機能ジョブ」という立ち位置。
MMORPG的に言えば、
アタッカー、バッファー、デバッファー、ヒーラー、CCの複合職。
もちろんFF5以来の伝統となった
「連続魔」も習得している。これは覚えている全ての魔法の詠唱時間/再詠唱時間が強制的に0になり、MPの続く限り連発できるという強力なアビリティだが、1時間に1回しか使用できない。
得意な武器はシリーズ伝統の
片手剣・
短剣・
片手棍・
盾。
また、得意と言うわけではないが装備できる
両手棍も多い。
しかし武器的な適正の高さは
「黒魔や白魔などの後衛よりは上、戦士や暗黒騎士などの前衛よりは下」という程度で、やはり器用貧乏さはいなめない。
魔法は黒魔法・白魔法の双方を(他ナンバリングの赤魔道士と比べると)かなり高レベルで使えるが、やはり専門の黒魔道士や白魔道士に比べれば威力・ラインナップ共に見劣りする。
だがFF11における赤魔道士は、「弱体魔法と強化魔法のスペシャリスト」という独自の顔も持っている。
- 『グラビデ』 ・・・ 弱体魔法。敵1体の移動速度を下げる。
- 『フラズル』 ・・・ 弱体魔法。敵1体の魔法回避率を下げる。
- 『ヘイスト』・・・ 強化魔法。対象のオートアタックの速度を上昇させる。
- 『エンファイア』 ・・・強化魔法。自身の近接物理攻撃に火属性ダメージを追加計上する。
- 『ストライ』 ・・・ 強化魔法。自身に「マルチアタック(オートアタックが確率で連続攻撃になる)」状態を付与する。
など専用のバフ・デバフ魔法も数多く存在し、赤魔道士の数少ない独自性を創出している。
そしてまた万能と器用貧乏の間でバランス取りに苦労しているのも他ナンバリングの赤魔道士と変わりない。
過去に行われてきたジョブ性能の調整や周辺環境の変化によって、底辺クラスのポンコツジョブから引く手あまたの神ジョブまで、その地位は激しく変動してきた。
◆「どんなところが優れてるの?」
ソロプレイでは、当然ながらその万能さが最大の長所になる。
戦闘において重要な要素である攻撃・回復・強化・弱体・CCの全てを単体で持ち合わせているため、生存力・状況対応力が他のジョブとは段違いに高い。
さらにサポートジョブ(別のジョブの能力を、メインジョブのレベルの半分だけ得られるシステム)と併せることで、そのソロ性能はまさしく全ジョブ中最強と呼べるレベルにまで跳ね上がる。
他のジョブが思わず「うっそそれソロでやれんの!?」と驚愕するレベル。
このため
Q.「今から新規で初めて、ささっとストーリーの終わりぐらいまでやっときたいんですけど、ジョブは何がいいですかね?」
A.「赤やっとけばとりあえず困らないんじゃない?」
って感じでオススメされることも多い。
一方、PTプレイにおいてはバッファー・デバッファー・ヒーラーを兼任するサポーターとして扱われることが多い。
交戦中の敵を弱体魔法で弱らせ、乱戦になるのを阻止すべくCCを行ったり、味方にヘイスト・リフレシュを配って支援し、傷ついたり状態異常になった味方がいたらケアルやナ系魔法で回復したり…と多くの役割を一手に担う。
勿論個々の能力そのものは各分野のスペシャリストにはかなわないが、本職のサポートとしては十分すぎる能力を持ち、さらに弱体魔法に関しては全ジョブ随一の使い手であるという、赤魔道士独自の強みもある。
◆「んじゃ欠点は?」
「万能(お手軽とは言ってない)」を地で行くジョブ。
万能と呼ぶに足る性能を発揮するには、高いプレイヤースキル、多様な装備とそれを使いこなすビルディング知識、充分なキャラ育成が必要不可欠で、器用貧乏を脱するためのハードルはとてつもなく高い。
文字通りの意味で「赤魔道士を極めたい!」と願うなら、現在だと他ジョブの最低5倍程度の育成コストは覚悟せねばならない。
次に、「パーティー戦闘においては一息つくヒマも無いほど忙しい」という点。
「やれることが多い=やるべきことが多い」でもあり、1回のレベリングパーティー(だいたい2~3時間かかる)に参加すると、もう他の事がやれなくなるくらい精神的にヘトヘトになること請け合い。
最後に、「赤魔道士の強みが後年になるほど薄れてきているせいで、エンドコンテンツで誘われにくい」点。
かつては「強力なMPヒーラーの一角」「弱体魔法のスペシャリスト」という独自の強みがあったのだが、これがほとんど失われてしまっているのだ。
順を追って解説すると…
MPヒーラー:
レベルキャップが80に引き上げられた時点でコンバートが、続く85解放でリフレシュがサポ赤でも使えるようになり、さらにその頃からリフレシュ装備もどんどん増加していった。
赤には倍のMP回復量を持つ「リフレシュII」が、さらに後年には3倍の回復量の「リフレシュIII」が実装されたものの、吟遊詩人や風水士のMP回復手段も同等あるいはそれ以上に増加しているため、MP回復目的で赤を誘う理由はほとんどなくなってしまった。
弱体魔法:
同格や格下相手なら十分な効果を発揮する弱体魔法も、超格上の敵を相手にするエンドコンテンツではかなりのハードル・問題点が待ち構えている。
- 「完全耐性」に設定されている状態異常は、いかなる手段を用いようとも絶対にその状態異常にさせられない。
- 魔回避(受けた魔法の回避率に関わるステータス、高いほど無効化しやすくなったり、入っても効果を減衰させられる)が高いせいで、相当な魔命(自分の魔法の命中率に関わるステータス、魔回避の逆で、高いほど自身の魔法がレジストされにくくなる)ブーストをしないと全くと言っていいほど入らない。
- 弱体魔法の中には対象の魔回避を下げる「フラズル」という魔法があるのだが、闇属性に設定されているせいで強い闇耐性を持つ敵には非常に入りにくい。しかし、最近のエンドコンテンツでは強い闇耐性を持つ敵ばかりが追加されていき、後述するレジストハックも適用外、消費MPもかなり高いと悪い点ばかりが目立つ。
そもそも魔法を入れやすくするための魔法が入らないって本末伝統では?そしてフォーラムで指摘しても開発側は耳を傾けようとしない
- 一方で「弱体魔法の効果は、自身と敵の対応ステータスの差で決まる(例…敵を麻痺させる「パライズ」は、自分のMNDと敵のMNDの差が大きいほど麻痺確率が高くなる)」ので、ステータスにも気を配らないといけない。しかし、魔命とステータスブーストを両立させようとすると莫大な手間(もしくはお金)がかかる。
- II系以上の弱体魔法の消費MPが高すぎる。これは「レジストハック(弱体魔法をレジストすると、代わりにその弱体魔法に対する抵抗力が一時的に(次に入るまで)低下することがある。敵のみの仕様)」を狙う際にかなりの障害となる。
- 敵には「累積耐性」という特殊な耐性が設定されており、一度状態異常を入れるとそれ以降同種の状態異常への耐性が付いていき、成功率が低下したり効果時間が短くなっていく。累積耐性をリセットする手段は無い。
- 敵の中には「状態異常を全て治療する特殊技」を使う敵もいるが、治療した場合でも容赦なく累積耐性は蓄積されていく。中でも「カトゥラエ族」はこの技を持ちつつ、さらに強い闇耐性を持つためフラズルが非常に入りにくい、エンドコンテンツの敵に設定されることが多い…とプレイヤーからは目の敵にされている。
その一方で台頭してきたのが風水士が操る「風水魔法」である。
風水魔法は「消費MPが高い」「自身周囲に弱体フィールドを展開する『インデ・コルア』でかける場合は敵に近づかないと効果を発揮できない」「『羅盤』というオブジェクトを中心に展開する『ジオ・コルア』でかける場合は羅盤の維持が大変&羅盤の移動ができない」という問題点こそあるが、
- 基本的に必中かつレジスト無し。完全耐性でない限りは確実に入り、累積耐性の上昇もない。
- 効果も赤の6~7程は約束されており、支援としては十分な効果。
- 「フォーカス(味方の魔命アップ)」「ランゴール(敵の魔回避ダウン)」「マレーズ(敵の魔防ダウン)」といった風水士オンリーの効果も存在し、それらは昨今の戦術と相性がいい。
と赤魔道士よりも優れている点が多い。しかし、風水士も万能・完璧というわけではない。詳細は風水士の頁に譲るとして、参加するコンテンツによって性能がブレやすいという弱点もある。
また、FF11も大多数のMMORPGと同様、パーティの人数が増えるほどに特化系ジョブによる分担作業の方が効率が良いという側面もあり、前述の通り赤魔道士は何かに特化したジョブ[というわけではなく、一部のデバフ魔法を除けば他ジョブで代替できない機能というものがない。その一部のデバフ魔法も「これの有無で戦局が大きく傾く」程の効果があるわけでもない。
以上の問題点により、「赤魔道士を入れる位なら、吟遊詩人か風水士を入れた方が戦闘が楽になる」というのが2017年末時点でのFF11の現状である。
一方、こうした分業がメインの環境にあって、極めて限定的な戦術や、人数以上の作業を要する状況に関しては依然として「あれもこれも」という赤魔道士の能力は抜きん出ている。例えば──
- マジックバースト(ある法則で必殺技から必殺技をつなぐと発生する「連携」という特殊効果に、対応する属性の魔法を当てると効果が激増するシステム)が強力になった現状、極まってきた赤魔道士であればカンスト99999ダメージも狙える。
- 長時間の耐久戦でも短時間の電撃戦でも生命線となるMPというリソースを潤沢に供給できる。
- 剣と魔法の両方のシステムを
制限なく
活用できるため、前衛にも後衛(の代用)にもなれるという現状では唯一の性能を持っている。同じく「剣と魔法」を特異とする青魔道士は、より前衛型・攻撃的な設計となっているため同じことはできない。上述の吟遊詩人や風水士では赤魔道士の物理ダメージを、魔法ダメージを上回ることは不可能。
このように、単独で完結した性能ゆえのスキのなさ、「パーティの足りない穴を埋める」という点を重視した場合、赤魔道士を上回るジョブは存在しない。
◆「世界観的には?」
黒魔道士や白魔道士と同様に魔道士の一派とされているが、赤魔道士は黒魔法の使い手、白魔法の使い手、支援魔法の使い手、剣士、魔法剣士など多くの顔を併せ持っている。
このため国や地域によって「赤魔道士はどんな存在なのか」という基本的な認識が大きく異なる。
ナイトの本場である
『サンドリア王国』では、赤魔道士はあまりメジャーな存在ではない。
かの国で剣士と言えば当然ナイトのことであり、魔道士といえば宗教的・政治的にも重要な位置を占めている白魔道士のことである。
とは言え赤魔道士も知られていないわけでは決してなく、二大国家騎士隊の一つである
神殿騎士団でも赤魔道士の隊員は確認されている。
大雑把に言えばサンドリアにおける赤魔道士は
「魔法剣の使い手」という方向性が一般的で、その細剣(レイピア)を巧みに使いこなす魔法剣の技術は非常に優れたものとされている。
しかしながら、剣は剣、魔法は魔法としっかり区別している人からは「剣に魔法を乗せるなんて」と苦言を呈する人もいるとか。
一方新興の『バストゥーク共和国』では、サンドリア王国と違って大々的に赤魔道士を軍編成に組み込んでいる。
というより工業技術において世界最先端をゆく反面、魔法技術で後れを取っているバストゥークでは、軍内に黒魔道士や白魔道士はほとんど確認されていない。
よって魔道士といえば「とりあえず魔法でなんでもこなせる」赤魔道士のことと認識されている節がある。
第1共和軍団騎兵隊、あるいは工部省隷下の鋼鉄銃士隊などは赤魔道士の精鋭を多数擁していることで有名である。
そして魔法技術の本場である『ウィンダス連邦』でもまた赤魔道士に対する認識が異なる。
ウィンダスにおける赤魔道士は「状態変化魔法のスペシャリスト」であり、黒魔道士や白魔道士と並ぶ生粋の魔道士とされている。
ウィンダスの構成人種であるタルタル族が剣のような金属器をあまり好まないこともあり、剣士としての側面はほとんど(あるいはまったく)重視されていない。
しかし「物質に魔法を付与する」という技術自体は深く研究されており、ウィンダスの高名な赤魔道士は優秀な魔法技術者としての側面も持っていることが多い。
なお、近年外国へ門戸を開いた神聖アドゥリン都市同盟では魔導剣士と呼ばれる赤魔道士に似たジョブが存在する。
こちらは詠唱によって魔法を自身に通すのではなく、ルーンと呼ばれる力を自身に通して強化するという「似て非なる」能力を持っている。
◆「赤魔道士48の必殺技」
【連続魔】(アビリティ)
全ての魔法の詠唱時間/再詠唱時間が0になるバフ効果「連続魔」を自分に付与するアビリティ。
歴代赤魔道士の伝統アビで、「ケアルを連射して急速に立て直す」「サポートジョブを黒にしてスタンを連射、敵を行動不能にする」「精霊魔法を連射して追い込む」など様々な使い方がある。
【コンバート】(アビリティ)
「自身の現在HPとMPを等価交換する」アビリティ。主な使い方はMP回復。
一気にMPを回復できるが、MPが低い状態で使うとHPが激減するので、使用する場所・タイミングに注意を要する。
【ファストキャスト】(ジョブ特性)
「自身の詠唱する魔法の『キャストタイム(詠唱完了までにかかる時間)』と『リキャストタイム(再び詠唱可能になるまでの待ち時間)』を短縮する」ジョブ特性。最大で80%短縮(通常の5分の1)できるようになる。
強力な魔法程キャスト&リキャストタイムが長く設定されているので、「1秒でも早く魔法を唱えたい!」という状況に臨む場合、他のジョブでもこれ目的でサポ赤を選択することがある。
実装時は「いつ発動するかもどれぐらい短縮されるのかもランダム」いう、微妙極まりない性能であったのだが、後に確実に発動するようになり、一気に評価が上がった。
【ディア】(弱体魔法)
FF1では「
アンデッド系にしか効かないが、代わりに威力が非常に高い攻撃魔法」だったディアだが、FF11では「着弾時に微量の光属性ダメージを与え、さらに一定時間の間対象の防御力ダウン&微量のスリップダメージを与える」弱体魔法として復活した。
I~IIIまで存在し、上位の物ほど防御力ダウン効果&スリップダメージが大きい。
【バイオ】(暗黒魔法)
ディアと対になる魔法で、「着弾時に微量の闇属性ダメージを与え、さらに一定時間の間対象の攻撃力ダウン&微量のスリップダメージを与える」効果。
かつてはそのDoTが赤魔道士のマラソン戦術の主力だったが、火力がインフレした昨今では攻撃力ダウンを目当てに使われることが多い。
【リフレシュ】(強化魔法)
「対象に3秒ごとにMPを回復させる『リフレシュ』効果を与える」強化魔法。赤魔道士のみが習得可能。
I~IIIまで存在し、上位の物ほどMP回復量が大きい(Iごとに3秒毎の回復量に+3される)。
I実装時はその性能の高さゆえに、「リフレシュのスクロールはどこで手に入るんだ!」と赤魔道士諸氏がてんやわんやの大騒ぎ。「峠のTaisaiがリフレシュ落とした!」というデマまで広がった。
なお、後にこのデマは(少々形が違ってはいるが)本当のことになる。
【エクスカリバー】(武器)
FF11における最終武器の一種である「レリックウェポン」に属する片手剣。ナイトと赤魔道士が装備可能。リメイク版FF3で赤がエクス装備可能なのはこれが原典。
基礎性能の優秀さに加え高い攻撃力ブーストも併せ持つ強力な片手剣で、「一定確率で残HPの25%の
無属性追加ダメージを与える」という特殊な効果も持っている。
また装備中は専用WS
「ナイツオブラウンド」が使用可能になり、連携(WS同士のコンボ効果)の幅が大きく広がる。
【ワーロックアーマー/デュエルアーマー/エストクルアーマー】(防具)
それぞれ赤魔道士の専用防具一式。
各種魔法スキルを大きくブースト可能かつ、「スキルブーストの部位が各防具群で異なっている」ため、それぞれを上手く組み合わせることで最高のパフォーマンスを発揮できる。そのため赤魔道士必須のの装備となっている。
中でもデュエルアーマーの頭防具「デュエルシャポー」は、実装当時は激レア装備であり、取得権を巡って「ロット負けしてリアルで失神」などの伝説的な逸話を産んだ。
【シャンデュシニュ】(ウェポンスキル)
こちらもやはり最終武器の一つ
「アルマス」装備時、あるいは特別なクエストを達成することによって使用できるWS。
サガシリーズの「ファイナルレター」を意識したと思われるWSで、「―」「/」「―」の順番で敵を切り付け、
「Z」の字を浮かび上がらせるというカッコイイ技。
物理火力が激烈に高く、アルマス使用時のダメージは大抵の前衛アタッカーのWSを凌駕するほどで、二刀流物理特化赤魔道士による連射はえげつないの一言に尽きる。
あまり聞きなれないこの名前は、フランス語で「
白鳥の歌」という意味。
【魔法剣】(強化魔法)
オートアタック時に魔法属性の追加ダメージを与える強化魔法。エンファイアなどの各種属性がある。
近年の火力インフレに完全に置いて行かれていたが、2015年にダメージ計算式の変更、2019年に最終武器の一つ「クロセアモース」(魔法剣ダメージ+500%)の追加、更にアビリティの「コンポージャー」に魔法剣ダメージ+200%の効果が追加され、計1+2+5=8倍という上方修正が掛かり、Ⅰ系で4桁ダメージすら拝めるようになった。
3回攻撃が可能になる強化魔法の「ストライⅡ」と合わせた時、凄まじい削り能力を発揮する。
◆「プレイヤー的な意味での赤魔道士の歴史」
※ここからはややディープな用語が登場します。
1 『赤最強伝説(笑)』
サービス開始からしばらくは、「攻撃が(そこそこ)出来て、ケアルもできるジョブ」ということでソロプレイでは安定した人気を誇っていた。
しかししばらくしてPTプレイが基本になってくると、火力では前衛アタッカーに及ばず、回復力でも黒/白魔道士に及ばず…という器用貧乏さが露骨に出てきてしまう。
赤独自の強みもなかったため、「白/黒魔道士がいない場合の代用メンバー」程度の扱いしかされなかった、底辺に近いジョブだった。
2 『赤最強伝説!!』
そんなわけで「弱くはないけど、特に必要とはされないジョブ」という、ある意味最も悲惨な扱いを受けていた赤魔道士だったが、サービス開始より1年を経た頃に、待望の大幅強化を受けた。
……いや、受けすぎた。
- リフレシュの実装
- 対象の強化効果を消去する魔法「ディスペル」の実装
- 自身の被ダメージを固定値軽減する魔法「ファランクス」の実装
- 弱体魔法の効果がスキル依存に
- コンバートの実装
- ファストキャストの性能見直し
- グラビデに回避ダウンの効果付与
- 片手剣スキルの上方修正
- ヒーリング時のMP回復量を高めるジョブ特性「クリアマインド」の実装
怒涛のテコ入れの結果、赤魔道士は底辺ジョブから一転、「なんとしてでもパーティーに確保したい様ジョブ」にまでのし上がった。
特にMP管理が非常にタイトだった当時のバランスで、自己のMPを回復する魔法「リフレシュ」、自分の現HPと現MPを入れ替える「コンバート」によって、MP持久力が跳ね上がったことは非常に大きかった。
3 『赤最強伝説ッッッ!!!!!』
そしてそんな赤魔道士に更なる追い風が吹く。追加ディスク『ジラートの幻影』で新ジョブ「
忍者」が実装されると、そのアイデンティティとも言える
「空蝉の術」との異常な親和性が判明したのである。
前述の通り赤魔道士はファストキャストというジョブ特性を持つため、魔法の一種である空蝉の術の扱いに関してはむしろ
本職の忍者より上手かった。
これによってそれまで担当していた
アタッカー・ヒーラー・バッファー・デバッファー・CCに加え、空蝉の術を使った
タンク役まで可能になってしまい、まさしく
器用万能の勇者ジョブと化してしまったのである。
HNM(超強いボスモンスター)戦などでは本来のタンクであるナイト、新星タンクの忍者を差し置いて
「赤盾」が採用されることも珍しくなく、思いっきりお株を奪われた白魔道士やナイトは涙に暮れることになった。
「DoTとグラビデを使って、HNMを8時間かけてソロで倒す」などといったにわかには信じがたい武勇伝すら生まれるほどで、文字通りの「
もう全部あいつでいいんじゃないかな」状態であった。
4 『赤最強伝説・・・・・・』
そんなわけで
「人中の呂布、ジョブ中の赤魔」と言わんばかりの栄華を誇った赤魔道士だったが、
没落の日は訪れた。
所謂
「アビセア3部作」の実装、そして
レベルキャップの75→99までの上昇である。
新エリア「アビセア」においては、
アートマと呼ばれる強力なバフ効果をお手軽に得ることができるのだが、これの効果が一部のジョブの性能を猛烈に引き上げたのだった。
これによって赤魔道士は
忍者の火力と回避力が激増、さらに弱体魔法のヘイトが調整されたことで
タンクとして役にたたなくなり、
敵のHPとアタッカーの火力が大きく上昇したため
アタッカーとしても失格になり、
味方のHPと共に必要回復量も上がったため
ヒーラーとしても2流以下になり、
魔道士ジョブの持久力がほとんど無限大と化したため
MP持久力(笑)状態になり、
前衛のバフだけを考えれば吟遊詩人の方がいいよね、となって
バッファーとしても使えなくなり、
弱体魔法への完全耐性を獲得した敵が増えたので
デバッファーがそもそもいらなくなり、
集団相手のCCならば黒魔道士や
青魔道士の方が優秀だったので
CCとしても不要に
…なってしまった。
そう、それまでの
「何でもできるジョブ」から一転、
「何一つ満足にできないジョブ」へと見事なまでに転落してしまったのである。
5 『赤最強伝説 (´・ω・`)』
そしてアビセア時代が終わった後も、赤魔道士の不遇はとどまることを知らなかった。
ソロ性能だけは依然としてかなりの高水準をキープしていたのだが、PTプレイとなると本当に立ち位置がない状態であった。
しかもゲーム全体としてアライアンス単位での戦闘コンテンツばかりどんどん増えていく傾向にあったため、元々器用貧乏な赤魔道士の出番はますます少なくなっていく。
そしてこの傾向は最後の追加ディスク『アドゥリンの魔境』で頂点に達する。
アドゥリンの魔境以降のコンテンツはほとんどアライアンス単位を前提にしたものであり、また当時のバランス上「火力特化前衛アタッカーとそのバッファー、それらを回復するヒーラーを揃え、飽和化力で圧殺する」という戦法が効果的だったため、中途半端な存在である赤魔道士はなすすべもなくはじき出されてしまったのである。
6 『赤最強伝説?』
とまあ落ちるところまで落ちた赤魔道士だったが、アドゥリン後半から現在にかけての緩やかな強化調整は赤魔道士の性能を地味に、しかし着実に引き上げていった。
特に主力武器である片手剣の大幅強化、及び前衛用装備の充実によりもたらされた近接火力の増大は凄まじく、鍛え上げられた赤魔道士は専門の前衛アタッカーに並ぶ火力を発揮できるようになった。
新たな成長要素である「ジョブポイント」の実装により、その存在を脅かしていたフェイス(ソロプレイをサポートするお助けNPCを召喚する魔法)の赤魔道士とも差をつけることに成功している。
超強敵相手には分が悪い弱体魔法も、性能が引き上げられてソロ&フェイスで挑む程度の敵なら十分機能するようになった。
総じて言えば、「弱体魔法で敵を弱め、強化魔法で味方を支援し、時には剣で、時には魔法で攻撃し、味方や自分がダメージを負えば回復魔法で癒す」
という、本来理想とされていたはずの赤魔道士像にようやくたどり着いたと言えるだろう。ただし装備・育成面でのハードルは殺人的なレベルになった。
◆「有名人」
「ライニマード」Rainemard(NPC)
エルヴァーン♂。サンドリア王国の神殿騎士団団長クリルラの父で、現代では既に故人ながら赤魔道士のアーティファクト(ジョブ専用防具)所得クエストに登場する。自身も赤魔道士アーティファクトを着ているので実に目立つ。
若い頃は自身も神殿騎士団に所属していたが、国教会の内部腐敗に幻滅して還俗し、私塾の教師&私立探偵&赤魔道士という3足のワラジをはくようになった器用なお方。
現代から20年前を描いた追加ディスク「アルタナの神兵」では、戦闘コンテンツ「カンパニエ」で共に戦うことができ、恐るべき魔法剣の冴えを見せてくれる。
フェイスとしても登場するが、サンドリアの赤魔らしく強化魔法を自分にかけて殴ることしか頭にないので使い勝手は微妙。
「アジドマルジド」Ajido-Marujido(NPC)
タルタル♂。ウィンダス連邦の最高軍事機関「口の院」の若き院長。かのシャントット博士の直弟子であり、父親は前「手の院」院長、妹は現「手の院」院長という生粋のエリート。
自他ともに認める天才で、自身を20年前の大戦争で祖国を救った英雄「カラハバルハ」に並ぶ傑物と公言して憚らない自信家。
実力もそれに見合うものをがあり、シャントット博士からも「天塩にかけて育てた」と言われるほどの魔道士でもある(本人は彼女の地獄のシゴキを「何度も死にかけたよ」とボヤいているが…)。
紛れもない国家要人なのだが、超行動的・かつ現場主義者なのでフットワークは軽い。プレイヤーとはウィンダスミッションやアルタナクエストをはじめ、様々な形で関わることになる。
実質的なウィンダスミッションの主役であり、プレイヤーと一緒に戦ってくれることもあって全NPCの中でも非常に人気が高い。見た目と性格からお姉さま方からの人気も高い。
この項で紹介されているのは、黒魔道士専用アビリティ「魔力の泉」と赤魔道士専用アビリティ「連続魔」を使用することができるため。つまり「詠唱が長くて燃費が悪い超強力な魔法」を「無詠唱・ノーコスト」で連発するというぶっとんだことをやってのける。
フェイスとしても実装されており、黒魔道士と赤魔道士の中間のような動きをしてくれるが、ベースが黒魔道士なのでガス欠が早いという弱点も。
「オールル」Ohruru(NPC)
タルタル♀。口の院の赤魔道士団団長。マッドな口調の女の子(正確には成人女性なのだが、タルタル族は見た目がみんな幼児である)として初期に人気を博した。
戦闘シーンがないため赤魔道士としての実力は不明だが、遠い異国の技術である「ルーン」についても詳細な知識を持っているなど、状態変化魔法に関する知識は幅広い。
「コルモル」Koru-moru(NPC)
タルタル♂。ウィンダスの教育機関「耳の院」の院長を務めたこともある超エリート官僚だが、「女好き」「物忘れが激しい」「いいかげん」「興味の対象がコロコロ変わる」「借金を返さない」など、正確は非常に子供っぽい。
その親しみやすい性格とトラブルメーカーとしての資質、そして対照的に要所要所でちらりと見える教育者としての理想的態度から、プレイヤー人気もとても高い。
しかし真に人気が高いのは、あるいはフェイスとしてのコルモル先生かもしれない。遠距離から強化魔法と弱体魔法を使うという後衛的赤魔道士で、非常に使い勝手のいい鉄板フェイスの1人とされている。
「キング・オブ・ハーツ」King of Hearts(NPC)
アトルガンミッションでウィンダス連邦全権大使の護衛として登場するカーディアン(ウィンダス連邦軍が配備している自律型魔導カカシ兵)。名前の由来は
この人。
ミッションでは色々な意味で大活躍するが、まさか彼(?)赤魔道士だったとは誰も思わなかっただろう。
フェイスとして実装されたことで赤魔道士であることが判明したが、恐ろしく攻撃的な赤魔道士で、MPをガンガン使って前のめりに攻撃するためクセは非常に強い。
「アシェラ」Arciela(NPC)
ヒューム♀。アドゥリンミッションのヒロインであり、「神聖アドゥリン都市同盟」のお姫様でもある。18歳。
なぜかアドゥリンミッションではプレイヤーの選択肢がやたら欲望に忠実であり、お尻を注視されたり胸を注視されたりと様々なセクハラを受ける。ちなみにこのセクハラは後になってきっちり返ってくる
彼女もまたフェイスとして実装(しかも2種類)されており、片方は白寄りの支援系赤、片方は黒寄りの支援系赤で、いずれも使い勝手は良好。
「ででお」Dedeo(PC)
「赤だけかな最悪は」
※「真の戦士は、いかにきれいに追記:修正するかを知らねばならない。 君なら、この意味がわかってもらえると思う。 」
- 峠のTaisaiがリフレシュ落とした -- 名無しさん (2017-03-18 16:10:45)
- 野牛の角とか懐かしいな。 -- 名無しさん (2017-03-18 19:22:16)
- 殴り装備だけで、通常攻撃装備(マルチアタック重視型、命中重視型、攻命バランス型、物理ダメカット重視型、エン系重視型…)とあり、それぞれ敵に合わせて最適化を始めるとその組み合わせは無数になる。これに加えて、本業はあくまで魔道士なので、弱体装備や強化魔法装備、精霊魔法装備、回復魔法装備を命中やら威力、効果深度、FC をこねこね調整し始めると、頭がおかしくなる量の装備がカバンを占拠する。あ、勿論主力で使うWS 時も着替えますよ(白目) -- 名無しさん (2017-03-22 12:48:45)
- PTでLV上げしてる際にPOPして絡まれた敵を印+スリプルで寝かして、前衛装備に変えて殴ってTPためて連携に参加&MB、MPが枯れてヒーリング中の白に代わって回復。器用貧乏だけどいろんなことができて楽しかった。ソロでやると弱体の効果がよくわかったし、AFのデザインも良かったし。 -- あ (2017-06-28 16:35:38)
- フェイスの赤魔三人について。コルモルは唯一コンバートを使うが瀕死になっても強化を優先するのでコンバ死しやすく、マスターへの強化魔法もマスターのジョブに依存する(例えばコルセアだとヘイストでなく遠隔攻撃が早くなるスナップをかけてくる)。キングはマスターに無条件にヘイスト、リフレッシュを、敵にディア3を使うが、溶解核熱光連携のいずれかを出すと問答無用でファイガ(燃費激悪)MBを狙う困ったちゃん。アシェラはマスターにヘイストリフレをくれて全体回復アビも持っているがマスターにファランクス、敵にディアをかけてくれない上にケアルを持っていない。このように、赤魔フェイスは必ず何かしらの穴があるので状況、自ジョブによって使い分けないといけない -- 名無しさん (2023-03-05 02:29:53)
- また、キングとアシェラは範囲攻撃(アシェラは範囲アムネジアでダメージはなし)を持っているので、多数の敵と交戦開始した時に開幕で範囲攻撃をかまし、盾役がタゲを固定する前に多数の敵にフルボッコにされ落ちることもままある。アシェラIIに関しては回復をしない黒魔系赤魔なので、赤魔として呼ぶことはまずない、と思う -- 名無しさん (2023-03-05 02:33:30)
- 2023年のマスポ稼ぎでの赤魔は、サポ白・学でのヒーラーとしての出番が多め。しかし、記事にもあるように育成のハードルはメチャクチャに高いが、しっかり前衛装備を揃え鍛え上げれば、HPが300000をゆうに超えるLocus〜の敵達を1人で一分かからず倒すことが出来る。でもそこまで練り上げるには5ジョブ分相当のコストと時間がかかるのも事実。なら1/5のコストで前衛育てるよねってなるのが赤魔強化で抱えるジレンマよね… -- 名無しさん (2023-03-05 02:44:36)
- 自分がやってた頃の赤魔(2008年) -- 名無しさん (2024-07-26 18:42:52)
- ※PTの話。物理性能:弱すぎる上に殴ると敵の必殺技の使用頻度が増えるので厳禁。攻撃魔法:中ボスぐらいなら弱点を突けば実用範囲だがあくまでおまけ程度、大ボスにはほぼ効かないので物理と同じく厳禁。回復補助で白との比較:大体白の上位互換。わかりやすい欠点は石化が治せない、死亡時の経験値ロストの軽減率が低い(ただし戦闘中の事故中にロスト軽減率の高い燃費の悪い行動はしない)、状態異常回復魔法を使おうとするとサポ白固定になるので、サポ黒の超高命中率の弱体魔法が使えない。他にも多少あるがそれ以上の利点を持っている。複数PT組むようなコンテンツだと白の利点も出てくるけど1PTで遊ぶなら白ではなく赤一択だね -- 名無しさん (2024-07-26 18:53:50)
- 第二の奥義?のサベッジのことも追加したいよねえ -- 名無しさん (2024-11-16 23:51:43)
最終更新:2025年01月12日 23:56