忍者(FINAL FANTASY XI)

登録日: 2016/10/04(火) 21:59:08
更新日:2020/07/14 Tue 21:00:11
所要時間:約 26 分で読めます







忍者とは、東方の言葉で、忍ぶ者、という意味だ。刀をただ振り回し、耐え忍ぶ心を持たぬものに、忍者刀は抜けぬ。




MMORPG、ファイナルファンタジー11に登場するジョブ(職業)。最初の拡張ディスク『ジラートの幻影』で実装されたため、一般に同期の竜騎士召喚士とあわせて「ジラートジョブ」と呼ばれている。
ナイトほどではないが、やはり同じ意味でゲーム外でも非常に有名なジョブだろう。???「汚いなさすが忍者きたない」

忍者といえばシリーズでは初代FFから登場している伝統のジョブであり、IIIVT系など、ジョブシステムを採用したタイトルでは必ずと言っていいほど登場してきた。
(Iではほとんどウィザードリィの忍者の直輸入だったけど……)

ジョブチェンジがない作品でも4のエッジ、6シャドウ7ユフィなど、プレイヤーの印象に残る「忍者」も多く、FFを代表するジョブの一つといっても過言ではないだろう。


◆「どんなジョブなの?」


メイン武器となるのは、脇差サイズの日本刀である「片手刀」(逆手持ち)。今作では侍が使う「両手刀」とは別種の装備となっている。
FFの忍者として当然のことながら、特性「二刀流」を持ち、両手に一本づつ武器を装備することが可能(ただし片手武器のみであり、両手刀や両手剣など、最初から両手を使う武器は二刀流できない)。

他にシリーズの伝統に従って片手剣短剣、果ては両手刀、片手棍、格闘武器なども一応装備できる。
そして「投げる」に相当する投てき武器の扱いは全ジョブ中最も上手く、意外なことに銃や弓もある程度使用可能。ピストルカラテナンデ?

「忍術」は忍者専用の魔法としてカテゴライズされていて、その使用に際してはMPを使わない代わりに、専用の消耗品「忍具」を必要とする。
ラインナップはかなり充実しており、後述する空蝉の術をはじめとした「強化系忍術」、暗闇やスロウ効果を与える「弱体系忍術」、各種魔法属性のダメージを与える「遁術」など、実用性の高い術が揃っている。

……とこの辺りまではおおむねシリーズの「忍者」に忠実な設計がなされているが、11の忍者には他タイトルと一線を画する大きな特徴がある。

それはMMORPG用語でいう「ロール(パーティ内での役割)」が、攻撃を担当する「アタッカー」ではなく、ナイト同様の「タンク」、即ち「敵の攻撃を自分にひきつけて、他のパーティメンバーを守る役」であること。
11を除いた各タイトルでは、基本的に忍者は「『二刀流』『投げる』『忍術』などの優秀なアビリティを備えた、攻撃特化ジョブ」という方向性で統一されており、こうしたタイプの忍者は異色中の異色と言わざるを得ない。

実はFF11の忍者も、ジョブ実装後の初期段階では、明らかに歴代のイメージに沿った純アタッカー(攻撃手)として設計されていたのだが、
幾度かの調整を経て、忍術「空蝉の術」の強力な防御効果がクローズアップされるようになり、これを活かしたタンクとしてそのアイデンティティを確立していった、という歴史を持っているのだ。

空蝉の術とは端的に言うと「攻撃されると分身が代わりに攻撃を受けて消滅し、本体への被弾を防止する」という術(他タイトルでいうと、IVやVの「ブリンク」に似ている)で、11の戦闘においては極めて強力な防御手段となる。
そう、本来「攻撃しすぎて敵の攻撃が来ても、忍者なら安全!」という目的で作られていたこの術が、その余りの強力さゆえに「むしろ最初から敵の攻撃をひきつけといてくれ」という流れに向かっていったのである。

こうした「タンクとしての忍者」運用法は明らかに設計の時点で考慮されていたものではなく、開発側も「この使い方は想定外」「できるんなら最初から作り直したい」と否定的な意思を示したのだが、
当時の絶対的なタンク不足(忍者実装の時点での純粋なタンクは、なんと全14ジョブ中ナイトのみ)、アタッカー過多もあって、やがて渋々ながらも追認されることになった。

こうして忍者は当初のアタッカーとしての基礎設計を残しつつも、タンクとして振る舞うための各種機能が拡張されていき、「耐える盾」であるナイトとはまた別の「避ける盾」としての地位を築き上げていったのだった。

ちなみにFF11における和風ジョブは色々と(演出的な意味で)優遇されているが、忍者のそれは特に気合が入っている。
専用武器である片手刀は、通常攻撃モーションに使いまわしが多いタルタル族ですら一刀流・二刀流共に専用モーションが用意されており、「忍術」の詠唱時にも専用の忍術モーションがある。
「片手刀」「手裏剣」「忍具」など忍者の為だけに存在する専用の装備・アイテムカテゴリーも多く、手の込みようは全ジョブ中でも最上クラスと言える。



◆「どんなところが優れてるの?」


タンクとして優れている点は、何にもましてその攻撃力
前述の通り忍者は本来アタッカーとして設計されており、ナイトは勿論、新参の魔導剣士に比べてもその単純火力はケタ違いに高い。

これにはジョブ本来の攻撃性能もさることながら、敵の攻撃をその体(=防具)で止める前二者と違い、空蝉によって攻撃を避けてしまうため、防御力をガン無視して攻撃用装備を着こめるという点も大きい。

攻撃力から言えば専門のアタッカージョブに並ぶ火力水準であり、能力的にはむしろ「タンクもできるアタッカー」と言った方が正確かもしれない。
当然その双方を兼任し、1人で盾と矛の両方をこなすことも可能なので、単体での戦闘力が他タンクに比べて圧倒的に高い

またこの忍者の高い攻撃力は、単にダメージ面での貢献という形だけではなく、タンクとしても与ダメージによるヘイト(敵対心)を稼いで敵の攻撃を集めやすいという長所にもなる。

そして忍者の防御機能の根幹をなす「空蝉の術」は、100%の確率で単発攻撃を回避できるという特徴を持つため、相性のいい敵に対しては極めて防御効果が高い。具体的には
・ナイトや魔導剣士でさえ耐えられないほどに一発が重すぎる敵
・「即死」や「死の宣告」などの、致命的な追加効果を伴う攻撃をしてくる敵
といったタイプの敵は忍者以外のタンクでは対処が難しく、逆に忍者にとっては絶好のお客様となる

また最近では「身替の術」という忍者専用の防御手段も注目されているが、これは最大HPを超える大ダメージを喰らった場合に(それがたとえ99999ダメージであろうが)一度だけ無効化するという忍術。
全ジョブ中他に類のない特殊な効果であり、これを目当てに忍者がタンクとして選ばれることもあるほどの性能を持っている。

また副次的な長所として、ナイトや魔導剣士に比べると、決定的な必須装備というのがいまだ存在しないため装備面でのハードルが低いという点がある。
まあこれは正確には忍者が低いというより、「イージス」(時価約3~5千万ギル)必須のナイト、「エピオラトリー」(時価約1~2億ギル)推奨の魔導剣士が高すぎるというべきだが。

そして更に特殊な長所として、「FF11における最高の料理人」という側面も持っている。
なぜかというと、各種料理(食べることで一時的に性能をブーストできるアイテム)を作るためのステータス「調理スキル」を+3する効果をもつ特殊装備「包丁」のカテゴリーが片手刀であり、忍者しか装備できないため。
よって11で料理界の頂点に立ちたい!というのであれば、まずニンジャ……ではなくて忍者の修行から始める必要がある。ニンジャの……スシ屋!



◆「んじゃ欠点は?」


忍者の防御機能は、そのほぼすべてを空蝉に依存している。本体の防御力といえばやや高めの回避力があるぐらいで、ナイトや魔導剣士のような耐久面でのアドバンテージは全然ない。
ということはつまり、空蝉が防御手段として機能しない敵に対しては、その時点でタンクとしての資格を完全喪失するということである。

FF11には空蝉を無視して本体に直接ダメージを与えたり、貫通+空蝉を全消滅させたりなど、空蝉を無視・無効化してくる技や魔法も多い。
よってこれらを多用してくる相手、また致命的な威力のそれを持つ相手に対しては、忍者の防御機能は低下するか、あるいは完全に消滅する

そして無視できないもう一つの弱点が、タンクとしての得ヘイト性能が圧倒的に低い、つまり敵の攻撃を引き付ける性能が高くないこと。
基礎部分からタンクとして設計されているナイトや魔導剣士と比べると、後天的にタンクに転職した忍者には、ヘイトを多く稼ぐ手段が質・量ともにどうしても少ないのである。

よってヘイトの大部分は与ダメージによるヘイト稼ぎで賄わざるを得ないため、「火力が出るタンク」というよりも「火力を出さないとターゲットを維持できないタンク」と言った方が正確に近い。
これは強烈なヘイト上昇アビリティ「挑発」を持つ戦士などををサポートジョブ(メインジョブのレベルの半分まで、別のジョブの能力を併せ持てるシステム)とすることである程度補えるが、
やろうと思えば武器すら抜かずにターゲットを維持できる他タンクに比べると不利は否めない。

このためタンクとしての忍者は、ナイトや魔導剣士に比べて著しく「敵を選ぶ」傾向が強い。
要するにハマる敵に対しては他のタンクの完全上位互換となるのだが相性の悪い敵に対してはそもそもスタートラインにすら立てないという両極端なことになってしまいがち。

また現在ではある程度改善されているが、戦闘に際しては前述した「忍具」を常に消耗するため、運用コストが他ジョブに比べ高いという欠点もある。
レベルがカンストし、ミッションも一通り終わったようなプレイヤーにとってはそれほどきつい消費ではないが、「最初に99にするジョブは忍者がいい!」などと思ってしまった人は泣きながら金策しつつ戦うことを要求される。
また常に持ち運ばざるを得ない大量の忍具は、ただでさえ少ないカバンの枠を常に圧迫するという点でも欠点と言えるだろう。



◆世界観的には?


明らかな異文化の香りからも一目瞭然だが、冒険者(プレイヤーキャラ)たちの故国である「中の国」で生まれたジョブではない。

そのオリジンは、中の国を構成する二大大陸の東に存在する「エラジア大陸」のそのまた東、通称『東(ひんがし)の国』と呼ばれる遥かな遠国に由来する。
長らく諸侯同士が覇権を競っていた歴史を持つかの国において、古くよりその裏で暗躍してきたという諜報・暗殺・工作集団が、かの地の言葉で「忍者(Ninja)」と呼ばれたジョブの源流なのである。

中の国にその技術が伝わったのは、現代より300年ほど前のこと。
当時の東の国は国境を接する西の大国「アトルガン皇国」との戦争の最中にあり、皇国を背後から脅かしてくれる同盟国を求めて、中の国へと通交の使者を送り出していた。

苦難の果てに中の国にたどり着いた使者達だったが、目的の地であった「小さな賢者達がすまう魔法の国」―即ち「ウィンダス連邦」は、「ぼくたち異教徒とはおつきあいしてないんで…」と国書の受け取りをあっさり拒否。
困った使者達だったが、ならばその敵なら?という発想の元、ウィンダスの敵対国であった獣人「ヤグード」の教団国家へと親書を持ち込んだのである。

現人神を信奉するヤグード教団は、本来的にはウィンダスよりもはるかに異教徒に厳しい組織である。
しかし当時の現人神(政治的な最高指導者でもある)であったムー・サジャは政略的な視点からあえてこれを棚上げし、東の国との強固な同盟関係を築き上げることに成功した。
これによってヤグード教団には東の国の文物が流れ込むことになり、その一部として秘伝の戦技である忍者の技も伝わることになったのである。

ヤグード族は東の国から「天狗」と感嘆されたことからもわかるように、その種族的特徴(鳥類に近い獣人で、身軽で俊敏、かつ器用で知能が高い)が忍者の技にこの上なくマッチしており、瞬く間にその技を我が物とした。
激しい訓練を経たヤグードの高位忍者は、基礎的な戦技は勿論、高度な東方の秘術すら自在にあやつる恐るべき精鋭として知られており、ウィンダス連邦も何度か首都への隠密侵入、及び破壊工作や暗殺を許してしまっている。
またムー・サジャは東の国との国交樹立時に、ヤグードの精兵100名を選び「子々孫々に至るまで、かの国の大君に忠勤せよ」と命じて送り出したため、その子孫であるヤグードたちは東の国でも名うての忍者として活躍している。

そしてヤグード教団に遅れること100年、ウィンダスも東の国と国交を結び、さらに後にはここに「タブナジア侯国」「バストゥーク共和国」も加わることで、忍者の技術はこれらの人間諸国にも伝わっていくことになった。

ただしタルタル族が主要人口であるウィンダスの場合、東の国からの影響は圧倒的に食文化とファッション方面に集中しており、忍者の技が伝わったのかは怪しいところ。
またタブナジア侯国は既に滅びているため、現代の人間諸国で忍者を軍編成に組み込んでいるのはバストゥーク共和国のみのようだ。
国家単位以外では、「ジュノ大公国」に本拠を持つ貿易商社「天晶堂」で多く見かけることが多い。これは交易国家であるタブナジア侯国との関係が深かったためだろう。

概ね同じ経緯を経て伝わった「侍」に比べると、忍者の技はもともとの性質からして「影の秘伝」的な扱いを受けており、一般化していないがゆえに東方の原型を色濃く残している傾向があるのも特徴。
例えば東方において、忍者は自らの武器をあからさまな名前で呼ばず、仲間内だけで通用する暗号のような符丁で伝え合うことがある。
この習慣もそのまま中の国で守られており、彼らが使う忍者刀は「不如帰」「金糸雀」「烏揚羽」といった鳥や虫の名前、「桜吹雪」「不知火」といった自然現象の名前など、一見して武器とわからないような名前で呼ばれることが多い。



◆「忍者48の必殺技」


空蝉の術(忍術)
敵の単体攻撃を分身の枚数分だけ回避する「分身」を自分に付与する強化(バフ)系忍術。壱、弐、参の3段階があり、分身の枚数がそれぞれ異なる(壱は3枚、弐が4枚*1、参が5枚)。
前述の通り忍者のアイデンティティとも呼べる術で、敵からの攻撃を受けると代わりに分身が消滅し、本体へのダメージを完全阻止する。
さらにアビリティ「陽忍」の効果時間中は、詠唱完了時にヘイト+の効果が発生するので、これを目当てに使うこともある。
使用忍具は「紙兵」。


氷遁の術(忍術)
氷属性の魔法ダメージを与え、一定時間火属性への耐性を下げる弱体(デバフ)効果を与える攻撃系忍術。壱、弐、参の3段階がある。6属性遁術の1つ。
装備を整えればかなりの火力を持ち、また忍者は魔法ダメージを強化するコンボ「マジックバースト(MB)」を自前で狙いやすいため、本格的に運用すれば相当な効果が望める。
使用忍具は「氷柱」。


捕縄の術(忍術)
敵一体を攻撃速度がダウンする「スロウ」状態にする弱体系忍術。壱、弐がある。
敵の攻撃速度が低下すると様々な点で空蝉の術が運用しやすくなるため、忍者的にはかなり重要な忍術。
使用忍具は「鈎縄」。


陽忍(アビリティ)
タンクとしての振る舞うための複合強化アビリティ。LV40で習得。
物理攻撃の命中にマイナス補正がつくが、代わりにヘイトにプラス補正、また敵の正面にいる場合限定で回避率+クリティカル率にプラス補正、さらに忍具を一定確率で消耗しなくなる効果が得られる。
特に重要なのはヘイト補正で、ヘイトを稼ぎたい時=タンクとしてふるまう時には絶対に使っておきたいアビリティである。


打剣(特性)
手裏剣装備時、通常攻撃中に一定確率で手裏剣による追加攻撃を行うジョブ特性。LV25で習得し、以後段階的に発動率が上がっていく。
最高まで鍛え上げると発動率は実に60%にも達し、事実上の手数が3割も上昇する。
忍者の火力を強力にサポートする火力強化特性だが、命中に関わるのが物理命中ではなく遠隔命中なため、有効に機能させるためには若干ビルディングに工夫がいる。


戸隠手裏剣(武器)
投てきスロットに装備する忍者専用装備「手裏剣」の一種。
現段階における最強の手裏剣の一つで、強烈な物理火力は勿論、「VIT+3、AGI+3、命中+5攻+5、飛命+10」という豪華な追加プロパティも持っている。


(武器)
莫大なコストと時間を投じて作る究極武器の1種、「ミシックウェポン」に属する片手刀。
見た目は刀というか、完全に。「逆手持ちの片手鎌」というありそうでなかったデザインだが、忍者の二刀流構えとマッチして実にカッコイイ。
しかし見た目に反して性能はやたらとしょっぱく、特に専用WS「カムハブリ」の低性能が足を引っ張り、趣味武器の一種とみなされていた。
度重なる強化によって、現在では「敵対心+40」というタンクとして非常に有用なプロパティを持つようになり、いくらか立場が向上している。


丙子椒林剣(武器)
ミシックウェポンと同格の最終武器「イオニックウェポン」に属する片手刀。
逆手持ちでなければ短剣と見間違えそうな見た目だが、名前の元ネタは聖徳太子の佩剣と伝わる由緒正しい刀。
イオニックウェポンは武器ごとの差が少ない画一的な性能を持っているが、それと忍者の性能とのマッチぶりが凄まじく、火力面では最強の武器と言っても差し支えない。


(ウェポンスキル)
丙子椒林剣装備時、あるいは特殊な育成ポイント「メリットポイント」を投じることで使用できるようになる片手刀WS。
相手の周りを高速で飛び回りながら切り付け、最後に上からの一撃で〆るというド派手な技。ひらたくいえば「しのびのひおうぎ」
後述の「秘」と違って比較的ダメージが安定しやすいのが強み。特に丙子椒林剣装備時は、条件を整えることで特殊なコンボ「究極連携」が発生し、火力が激増する。


(ウェポンスキル)
こちらも最終武器の一種「エンピリアンウェポン」に属する「神無」装備時、もしくは特殊なクエストを達成することによって使用できるようになる片手刀WS。
巨大な金色の龍のエフェクトと共に、大きくジャンプしながら切り上げるというモーション。
最大威力は非常に高いが、「TP修正:クリティカルヒット」という特性のためにダメージが安定しないのが欠点。
アビセア時代は忍者の絶対王位を支える強烈なWSとして猛威を振るった。



◆「プレイヤー的な意味での忍者の歴史」

 ※ここからはややディープな用語が登場します。

1 ◆ ニュービー時代 ◆

11における新人ジョブの例にもれず、実装当初の忍者はポンコツそのものであった。

当時の開発は物理と魔法を両立させたアタッカーにこだわる傾向があり、忍者も「二刀流による物理火力と、遁術による魔法ダメージの二本柱で攻めるアタッカー」的な設計をなされていた。
しかし当時の仕様上、物理と魔法の両立というのは夢物語に近く、実際は「物理火力は貧弱、魔法ダメージは問題外」といった有様だった。

加えて他ジョブでは一切装備できない専用の武器系統を使用する忍者は武器の流通量でも不利を抱えており、「金がかかりまくるのに火力は貧弱、それをカバーする長所もないサンシタアタッカー」という悲惨な評価を受けていた。


2 ◆ ロセンテンカンホー・ジツ~ ◆

と、忍者だけに日陰の道をひた走っていた忍者に突如光がさしたのは、実装より3か月が過ぎたころ。
バージョンアップで空蝉の術:弐(空蝉の術Lv2)を含む「忍術:弐系統」の詠唱時間が劇的に短縮されたため、「常時空蝉状態を維持し、敵の攻撃を回避し続ける」ということが不可能ではなくなったのである。

これは本来「忍者って火力足りてないの?じゃあ、遁術の詠唱時間を短縮して魔法火力を上げようか」という斜め下の発想による調整の余波に過ぎなかったが、
プレイヤー達はこの調整を(別方向に)100%活用し、初期の忍盾戦術を短期間で築き上げたのだった。

そう、「忍盾」の始まりである。


3 ◆ 汚いなさすが忍者きたない ◆

当時のFF11はMP維持が極端に厳しいバランスだったので、ケアル不要で後衛のMPを節約できる忍盾戦術は大歓迎された。
また空蝉の術はサポジョブを忍者にすることで他ジョブでも使用できるため、自然に「盾以外のアタッカーもサポ忍で被弾時のダメージを減らし、後衛の負担を減らす」という戦術へと波及していき、
ヴァナ・ディールは忍者とサポ忍で埋め尽くされることになる。

特にこれが顕著になったのは、レベルキャップ75到達の後に出てきた「メリポ稼ぎパーティ」においてのこと。
メリポとは当時のレベル上限であった75以上で経験値を所得することで得られる特殊育成ポイントだが、レベル上げよりも遥かに多量の経験値が必要とされたため、その戦闘はまるで工場のライン作業めいた超効率重視の方向へと向かっていった。

タンクとアタッカーを兼任でき、かつ被弾で後衛のMPに負担をかけることもない忍者は、こうした効率最優先のメリポパーティに対して抜群の適性を誇り、
サポートジョブを忍者にした戦士とあわせて「仙人(戦忍)メリポ」と称されるほどの鉄板ジョブとされ、タンク界のメインストリームを驀進していくことになる。

ちなみにかのブロントさんが忍者を激しく敵視していたのはこの頃だが、当時は前述の通り完全なる忍者優位の時代であり、ナイトとしては相当ヘイトが高かったものと思われる。汚いなさすが忍者きたない。


4 ◆ アビセア時代のヴァナをカラテによって支配した半神的存在 ◆

ヴァナ・ディールを席巻したニンジャ旋風は、新たなる戦場「アビセア」でさらに爆発する
詳細はナイトの項目なども参考して頂きたいが、アビセアの特殊環境は忍者に対してあまりにも完璧すぎる強化効果をもたらしたのである。

回避能力の激増で空蝉の維持が楽になり、ネックであった被弾時の不安を爆発的に強化されたHPで補い、クリティカル補正の主力WSが超絶強化されて得ヘイト能力も跳ね上り、
もはや最強の盾どころか、盾のついでに最強の剣まで兼ねるでござるといわんばかりのチートジョブと化したのである。

おまけにヒーラーのMPに不安が無くなったことで無尽蔵のケアルシャワーが可能となったり、アビセアの独自要素である弱点報酬システム*2への適性も全ジョブ中屈指だったりと、周辺環境すらもことごとく味方にしてしまった。

結果、アビセアにおける忍者の必須度は、それまでの11でもかつて見られなかったほどの一強状態となり、忍者達は我が世の春を謳歌することになった。

……のだが、しかし一部においては現状を危惧する忍者達もいた。

「もしかして、アビセアの外では忍者は全然変わってないのでは…?」

と…。

現にアビセア補正で無双しつづける忍者に対抗すべく、ナイトや他のアタッカーは着実に強化を受け続けており、その底力を高めつつあった

そして彼らの不安はアビセア終了後のコンテンツ、「ヴォイドウォッチ」にて半ば確信へと変わる。
こちらも弱点報酬システムに似た要素が採用されていたため、その要員として出番こそ減ることはなかったが、それは最早アビセア時代のそれのような絶対的なタンクとしての役目ではなかった

忍者の時代は密かに、しかし確実に黄昏へと向かっていたのである。


5 ◆ ショッギョ・ムッジョ……ノ……ヒビキアリ… ◆

そして最後の追加ディスク『アドゥリンの魔境』実装と同時に、忍者の凋落は確かな事実として受け止められることになった

まずアドゥリンエリアの新モンスターは、空蝉貫通・全消し技のデフォルト搭載はもちろん、通常攻撃ですら複数の空蝉を持っていくという有様で、忍者のタンクとしての防御力を激減させてしまった

ではアタッカーとしてならばどうかというと、こちらはもっと悲惨だった
おなじ斬属性主体のアタッカー特化ジョブである暗黒騎士・侍・戦士などは、アビセア時代から地味に続いていた度重なるVUで大幅強化され、アビセア補正に頼り切っていた忍者など足元にも及ばない超火力を実現していたのである。

タンクとしての機能を失い、アタッカーとしても落ちこぼれた忍者だったが、ソロに活路を見出すという訳にもいかなかった
前述の通り空蝉の防御効果が激減したことに加え、ソロ能力が元から高かった獣使いや踊り子、青魔導士からくり士などは様々なソロ向け技能を持っていたため、忍者のアドバンテージなどさしてなかったのである。

こうして、かつて「PTで寿司をおごってもらうとしたら、大トロが頼めるぐらい」のカチグミジョブとされた忍者は、ガリ?贅沢な!店の裏で残飯でもあさってろ!」と尻を蹴り上げられる程のマケグミへと堕ちたのだった。


6 ◆ ハイクを詠め。カイシャクしてやる ◆


かつての英雄の悲惨すぎる末路に、他ジョブはアビセア無双の反動でざまぁの大合唱哀惜の涙を流したが、そんな忍者を更なる仕打ちが襲った。

ゲーム全体の敵対心システムに抜本的な調整が入り、与ダメージによるヘイト量が大幅減少。ヘイト獲得系の魔法やアビリティなしでは、とてもターゲットを維持できなくなってしまったのである

その結果、忍者はそれまでの「タゲを取ったら死んでしまう盾ジョブ(笑)」改め、「タゲが取れない盾ジョブ()」となった。
しかもこの調整の結果、忍者はアドゥリン以前のエリアにおいてすら、タンクとしての優位性を失ってしまうことになった

全てを喪失した忍者はもはや、ヴァナディール唯一のタンクとなったカチグミのナイトを横目で見ながら、「サヨナラ!」と叫んでしめやかに微塵がくれでもする他なかった……


7 ◆ 勝ったと思うなよ… ◆

このまま永遠に続くと思われた忍者のアビ・インフェルノだが、今頃になってようやくその終わりが見えてきた

まずは忍者自体の大幅な火力増強が、その存在価値を大きく高めた。
片手武器と両手武器のダメージ格差の修正を皮切りに、オートアタック中自動で手裏剣を投げてくれる「打剣」の追加、新たなる育成ポイント「ジョブポイント」「ギフト」による攻撃性能の大幅強化などによって、
忍者の物理火力は再び他のアタッカーに並べる水準に達した

さらに防御面でも、念願の「空蝉の術:参」が追加されて防御力が拡大し、懸案であった得ヘイト系の機能も付与されたことで、空蝉の術が有効な状況に限ればなんとかタンクをこなせるまでに改善された

また多様化したファストキャスト(魔法の詠唱時間・再詠唱時間を短くする特性)装備群によって「身替の術」の展開力が上がり、「普段は空蝉で回避、空蝉無効の大ダメージは身替りで無効化」という二段構えの防御も現実的になってきている。

これらのアッパー調整加えて、環境面での追い風も吹いてきた。
アドゥリン以降のコンテンツでは、往時のように徹底的なアンチ空蝉を施された敵ばかりではなく、むしろ狙ったかのように空蝉にうってつけの敵も増えてきたのである。
このため「アンバスケード」などの近接アタッカーが主力となりがちなコンテンツでは、防御力と火力を両立した強力なアタッカー兼タンクとして活躍できる機会も少なくない。

また前衛アタッカーの火力が激増した昨今では、与ダメージヘイトの圧倒的大差によりアタッカーがターゲットを奪ってしまう懸念が復活してきたが、これもアタッカーと同等の火力を誇る忍者にとっては追い風になった。
要するに、相変わらず「空蝉が通じるかどうか」に左右される根本的な不安定さは変わらないものの、通じる場合においては他のタンクを圧倒する適性を示すようになってきたのである。

また現行のFF11においてはソロ、あるいは少人数でも、お助けNPC「フェイス」を使用することで疑似的なPTを組むことが出来るのだが、フェイスの使い勝手は
「物理アタッカータイプがやや物足りず、タンク・魔法アタッカータイプがそこそこ、ヒーラー・バッファー・デバッファーあたりは非常に優秀」というバランスになっている。

よってタンク性能と物理火力を併せ持つ忍者は、フェイス戦術との相性がよいという点も長所になっている。


◆「有名人」


「……理不尽でござる」

「ゲッショー」Gessho (NPC)

ヤグード。アトルガン皇国でプレイヤーが所属することになる傭兵派遣会社「サラヒム・センチネル社」の傭兵で、プレイヤーの同僚。
↑でも述べたヤグード族の忍者だが、異端の罪で教団を追放され、傭兵として近東のアトルガン皇国に流れてきたという。
他種族に対しては尊大に振る舞うことが多いヤグードにしては珍しく、古風で真面目、かつ謙虚で温厚な良識人。忍者としても抜群に優秀で、その卓越した技量は到底一介の傭兵のものとも思えない程。
拡張ディスク『アトルガンの秘宝』のメインキャラの一人で、ストーリーを通じて活躍するキーキャラクターであり、そしておそらくはプレイヤーの間で一番著名・かつ人気な忍者。
古風なござる口調、生真面目すぎてやや天然気味、だいたい貧乏くじをひく苦労人ポジション、キキルンから羽をむしられたりするいじられキャラ属性など、ヤグードなのに多重の萌え要素を網羅している。カワイイヤッター!
フェイスとしても実装されており、唯一の忍盾タイプフェイスとして活躍してくれる。


「テンゼン様の剣さえあればすべてが変わりましょう。一刻も早く、合流なさってください。」

「カゲロウ」Kagero (NPC)

ヒューム♀。拡張ディスク『プロマシアの呪縛』に登場する東の国の侍「テンゼン」配下のくノ一。本国(東の国)との連絡係的な任務を務めていた。
ぶっちゃけた話ちょい役だったのだが、数年を経て実装された『ヴァナ・ディールの星唄』において一気にフォーカスされ、超重要な設定もあかされた。ちなみにこの時ようやく名前もつけられた


「とっておきを見せてやる。」

「カゲトラ」Kagetora (NPC)

ヒューム♂。ジュノに根拠を置くの商業組織「天晶堂」の不愛想で地味な忍者。忍者関連のクエストで活躍するNPCだが、多分誰も彼のことなど覚えていまい…
20年前の過去世界が舞台の「アルタナの神兵」においては広域戦闘コンテンツ「カンパニエ」の友軍NPCとして登場するが、特別強いわけでもなく、やはり地味。
実はバストゥークの出身ではなく、なんと東の国から流れてきた「波隠」衆の一員というサラブレッドで、しかも一族の中で次期頭領候補とさえ言われる超エリートなのだが、地味。地味。


「ぬしの忍びが腕は拙者に勝る。ぬしの方が鬼哭の所有者にふさわしきこと、頭では分かっておるつもりだ…………。」

「クパルハルパル」Kupalu-Harupalu (NPC)

タルタル♂。20年前の大戦で活躍したアルタナ連合軍教導部隊「ハイドラ戦隊」に所属していた忍者。
レリックウェポン片手刀「鬼哭」の作製イベントにのみ登場するので、おそらくは実際に見たことがないプレイヤーの方が多いだろう。性格は古風かつ真面目で、全然タルタルらしくない。
おそらく相当な実力の忍者であったはずだが、詳しい設定はわからない。タルタル族はウィンダス以外には数が少ない設定だが、口調からして東の国の匂いも感じられる。


「勝ったと思うなよ……」

「汚い忍者」Kitanai Ninjya (PC)

汚いなさすが忍者きたない
ブロントさんがFF11を超えて有名になるにつれ、ゲーム外でFF11のキャラクターとして形成されていった名も知れぬ忍者。多くの人の手で様々なキャラ付けがなされてきたため、そのキャラは非常に混沌としているが、主にニコニコ動画などにより
「ヒューム♂・フェイスタイプF4茶」「メイン武器は鬼哭、サブウェポンは秋水」「防具はアーティファクト一式」「顔に目線」「ひきょう」というイメージがほぼ固定されている。
ちなみにこの装備は(というか鬼哭と秋水が)ブロントさんの装備とは格が違う超高級装備であり、ブロントネタの全盛期にほんとにこんな装備もっていたとしたら立派な廃人である


「忍者が一人、忍者が二人…ファイナル分身!」

「ファイナルタツヤ」Finaltatsuya (PC)

そのファイナル素敵なファイナル空蝉マクロメッセージでファイナル有名になったファイナルプレイヤー。
汚い方と違って実在のプレイヤーなので詳細は控えるが、忍者以外にもセンスあふれる多彩なマクロメッセージを残したファイナル偉大な人物である。





これ立てたの絶対忍者だろ・・汚いなさすが忍者きたない
俺はこれで忍者きらいになったなあもりにもひきょう過ぎるでしょう?
俺は中立の立場で見てきたけどやはりナイト中心で行った方が良い事が判明した
忍はウソついてまでwikiの項目を確保したいらしいがナイトに相手されてない事くらいいい加減気づけよ
ナイトは忍者よりも高みにいるからお前らの追記・修正にも笑顔だったがいい加減にしろよ






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【スタンドードジョブ】
戦士モンク白魔道士黒魔道士赤魔道士シーフ
【エキストラジョブ】
ナイト暗黒騎士・獣使い・吟遊詩人・狩人
【ジラートジョブ】
忍者竜騎士召喚士
【アトルガンジョブ】
青魔道士コルセアからくり士
【アルタナジョブ】
踊り子・学者
【アドゥリンジョブ】
風水士・魔導剣士

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最終更新:2020年07月14日 21:00

*1 別のジョブにサポートジョブとして忍者をつけている場合は3枚

*2 アビセアでは、敵に対して特定のWS、魔法などをあてる(弱点をつく)ことでドロップが有利になる仕様がある