竜騎士(FINAL FANTASY XI)

登録日:2018/01/07 Sun 15:24:47
更新日:2025/01/12 Sun 14:54:33
所要時間:約 31 分で読めます







「俺の最後の願いだ。もう一度あの時のように竜を信じてみてくれないか。まだこの世には聖なる意志があるはずだ、と。」





MMORPG『FINAL FANTASY ⅩⅠ』に登場するジョブの1つ。
最初の拡張ディスク『ジラートの幻影』と共に実装されたジョブであり、所得には同ディスクが必須なことから、忍者召喚士と並び「ジラートジョブ」と呼ばれている。

FFシリーズの竜騎士(Dragoon)は、大きく分けて
A.「竜と戦う騎士」
B.「竜と共に戦う騎士」
C.「竜の様に戦う騎士」
の3タイプに分類される(複合の事もある)が、FF11の竜騎士は思いっきりB。シリーズ中でも群を抜いたレベルでB。ここまでBなのも珍しいってぐらいにB。
というか設定面ではともかく、実際のバトルで竜と共に戦う「竜騎士」は今のところナンバリング中でもFF11だけであり(FF2でもアイテムで「ひりゅう」が存在するが…)、何気に激レアであったりする。

そしてFF2から登場している古参ジョブでありながら、「特定ボス専用の一発屋」だったり、「おれは しょうきに もどった」だったり、「となりにすんでいたネズ美」だったりと微妙にネタ扱いされることが多い竜騎士だが、
FF11でもその例にもれず……というかシリーズ中最強クラスにネタ扱いされていた時期があり、「ガリ」「リューサン」などのFF11生まれの竜騎士ネタは、はやFF界全体にまでその影響を広げてしまっている。


◆「どんなジョブなの?」


一言でまとめると「近接アタッカーであるマスター(本体)が、ペットとして飛竜を呼び出し、共に戦う」ジョブ。
しかし他のペットジョブである獣使い・召喚士からくり士などとは異なり、ゲームバランス上では戦士・暗黒騎士・侍と並ぶ「両手武器アタッカー」として分類されることが多い。

本体、即ちマスター側は、突属性の両手武器である「両手槍」を使う近接物理型のアタッカー(攻撃手)。
一般にペットジョブにおいてはマスター側の戦闘機能は限定的で、ほとんど殴るぐらいの機能しか持っていないことが多いが、竜騎士はそれらとは一線を画する強力なマスター性能を持っている。

まずはFF竜騎士の必須科目たる「ジャンプ」だが、これは通常のジャンプだけではなく、「ハイジャンプ」「スーパージャンプ」「スピリットジャンプ」「ソウルジャンプ」など、バリエーション豊かなジャンプを持つ。
さらには専用の投げ槍を使って敵の防御力を低下させるアビリティ「アンゴン」、ドラゴン族のモンスターの性能を大幅低下させる「ドラゴンブレイカー」など、支援系の機能まで持ち合わせている。

一方で飛竜の方だが、これはマスター側のアビリティ「コールワイバーン」によって呼び出されるペット型のNPCとなっている。

呼び出された飛竜は、マスター側が近接攻撃を開始するとそれに応じて攻撃を開始し、マスター側が戦闘を終えるor攻撃をキャンセルすることで、同じく攻撃を終了する。
またマスター側の特定の行動に応じて、の各属性を持つ6種類の攻撃ブレス、マスターやパーティメンバーのHPを回復する「ヒールブレス」などを使用して援護することもできる。

だが他ジョブのペットと異なり、本体から離して飛竜だけに戦闘を命令させるようなことはできず、この点ではどちらかと言うと「マスターの外部オプションとして飛竜がついてきている」と言った感じに近い。
この点において、竜騎士はどちらかと言うと「ペットが本体」な他ペットジョブとは根本的に異なると言える。

ちなみに「飛竜」と言うと、なんだかマスターが上に乗って戦えそうな雄々しい姿を想像する人も多いだろうが、残念ながらその想像図は全くの的外れである。
この飛竜はタルタル族の成人よりさらに小さい小型犬サイズの竜であり、「飛竜」というか「子竜」といった方がいいほどの大きさなのだ。
プレイヤーもこれを正式名称である「飛竜」の名で呼ぶことは皆無に近く、基本的には「子龍」「子竜」「みかん」「Mikan」などの愛称を使わないと通じないことが多い。みかんかわいいよみかん



◆「どんなところが優れてるの?」

ライバルの両手武器アタッカーは全て斬属性メインなので、必然的に突属性のアタッカーとしては最強クラスの火力を持つ
突属性は全物理属性(斬・突・打・格闘)の中で最も「弱点」としている敵が多い属性であり、ライバル達を圧する大火力を発揮できる機会も多い。

加えて、蓄積したヘイト(敵対心。敵からの狙われやすさを示す数値)を50%減少させることができる「ハイジャンプ」、100%減少させる「スーパージャンプ」を持つため、ヘイト/火力効率においては間違いなく最強を誇る

また専用アビリティである「アンゴン」は、敵防御力-20%という高めの弱体(デバフ)効果を持ち、かつ「絶対に命中する」するという特性を持っており、極めて有用。
プレイヤー側が敵に「防御力ダウン」の効果を与える手段はこの他にもいくつかあるが、その殆どは敵の耐性によって無効化される可能性があるため、耐性が強力な超格上モンスター戦などでは大活躍する。

そしてある意味最大の目玉と言えるのが、飛竜が持つ「ヒールブレス」の存在。
これは使用に関して「使用対象のHPが一定以下にならないと使わない」「射程が短い」「本格的に使う場合はサポートジョブ(※)を魔道士タイプにする必要がある」などと制限が多いが、
そのMP効率・時間効率は凄まじく、近接アタッカーであるにもかかわらず、やろうと思えば普通にヒーラーが務まるレベルの回復力を持っている


総じて攻撃方向にばかり特化しがちな両手武器アタッカーの中では群を抜いて多機能であり、またその回復力の高さ故にソロ戦闘にも強い。



◆「んじゃ欠点は?」

突属性は弱点とする敵も多いが、実は耐性を持っている敵も全物理属性中最多だったりする。
この為斬属性を主体とする他の両手武器アタッカーに比べ得手不得手がはっきりと出やすく、火力源としてやや不安定

また色々と多機能・多芸な代償か、火力そのものも両手武器アタッカーの中では控えめな方
加えてヒールブレスを当てにする場合は、サポートジョブを後衛にする必要がある=火力を底上げするサポ戦やサポ侍の恩恵を受けることができないことも、これに拍車をかける。

両手武器アタッカーに求められるのは、何よりまず「安定した高火力」であり、これらの欠点はアタッカーとしてかなり痛い。

またそれ以上に痛いのが、能力の要となる飛竜の脆弱さ。飛竜はHP・防御力といった基礎性能ではマスターを上回るものの、回復手段が極めて限られているので、熾烈な攻撃を前にすると非常に落ちやすいのだ。
だが竜騎士の性能は飛竜あってのものであり、飛竜が落ちてしまうと「火力が下がる」「ブレスが使えなくなる」「ソウルジャンプ・スピリットジャンプの補正がなくなる」など、数々のハンデを背負ってしまうことになる。
このため強力な範囲攻撃を多用してくる相手、あるいは飛竜を機能停止させてしまう石化やアムネジアなどの範囲状態異常を使ってくる相手は非常に苦手としている。

よって竜騎士がライバルである他両手武器アタッカー達に優位に立つには、
「突属性が弱点」「痛い範囲攻撃を持っていない」「嫌な範囲状態異常攻撃を持っていない」「できればヘイト抜きが上手く作用する」
などの要素をなるべく、というかできれば全部満たしてくれる敵である必要があり、要するにアタッカーとしての安定性・汎用性に欠けているのである。



◆「世界観的には?」

竜騎士とは、中の国のクォン大陸にある国家の一つ、エルヴァーン族で構成された「サンドリア王国」に古来より伝わる特別な騎士である。
その起源は王国の成立以前、エルヴァーンが部族単位で大陸の各地に居住していた頃にまでさかのぼる。
ウィンダス連邦の植民地支配を退け、サンドリア建国を成し遂げた「鉄血王」ランフォルも放浪時代に竜騎士の技を身に着け、生涯に渡って竜騎士を名乗っていたという。

サンドリアの竜騎士とは、一言で言えば「飛竜を使役し、共に戦う騎士」であり、飛竜と連携して戦うための跳躍技を主体とし、落下速度を最大限に活かすための大型の槍を得物としている。
その戦技の最大の特色である跳躍戦法を妨げないよう、騎鳥兵(ナイト)のような超重甲冑は一般に着用しない。

竜騎士が使役する飛竜は、生物学的に言えば、エルシモ島、ゼプウェル島などの辺境に生息するドラゴン類ワイバーン族の亜種とされている。
しかし前腕が翼になっている(プテラノドンと同じ)ワイバーンに対し、こちらの飛竜は翼と独立した前腕を持っており、形質からするとむしろ伝説の竜であるウィルム族に近くも見える。

また飛竜に関しては「主が善き心の持ち主ならばそれを加護する聖龍となり、悪しき行いを繰り返すようならば主を呪う悪龍と化す」という言い伝えがあるが、これは単なるおとぎ話ではない。
竜騎士に付き従う飛竜は、その体に「悪しき印」と呼ばれる印が浮かんでしまうことがあり、これを放置しておくとその飛竜は次第に主の精神を支配してゆき、ついにはそれと一体化して強大な悪竜と化してしまうのである。

その職務上、どうしても血と殺戮に触れざるを得ない竜騎士が飛竜を正しく聖龍へと導くのは非常に難しい。
また飛竜の中には生まれた時から既に悪しき印を持っているものも多く、そうした個体は成長すると必ず人に仇なす悪竜となってしまう。
こうした悪龍、あるいはそれに変じた竜騎士を調伏するための戦士は「ドラゴンスレイヤー」と呼ばれており、竜騎士と同じぐらい古くから存在している。

この為竜騎士たるものは、戦いの中にあっても飛竜を正しく導く強き心、長大な長槍を巧みに使いこなす技量、飛竜と共に大空へと跳べる鍛え上げられた肉体、これらすべてを兼ね備えていなければならない。
必然的にその修業は極めて厳しいもので、またドラゴンスレイヤーによる飛竜の個体数減少(心無いドラゴンスレイヤーは、聖なる印が浮かんでいる飛竜ですら「将来の危険性がある」として手にかけることもある)もあって、
サンドリア王国においてもその数は年々減少の一途をたどってきたのだった。

そして200年ほど前、「ラスト・ドラグーン」と称された偉大な竜騎士エルパラシオン卿が行方不明となり、ついにサンドリア建国以前から受け継がれてきた竜騎士の系譜も絶えてしまった。

だがサンドリア王国において竜騎士が消滅寸前であるのに対し、遠い西の国「神聖アドゥリン都市同盟」ではいまだに竜騎士の技が連綿と受け継がれている。
彼らは現地の言葉で「蛟騎士」と呼ばれており、サンドリアの飛竜よりも大型のワイバーンを友として戦うのが特徴。しかしその違いを除けば両者はほとんど同質のものであり、おそらく同じ起原を持っているものと思われる。
特にアドゥリン王家を支える十一名家(今は王政が廃止されたため、旧王家を加えて十二名家と呼ばれる)の一つ「テュランドー家」は代々この技を受け継いできており、その中には中の国の両大陸に渡って活躍した者もいるという。



◆「竜騎士48の必殺技」


ジャンプ(アビリティ)
ジャンプして敵一体に物理ダメージを与えるアビリティ。LV10で習得。
FFにおける竜騎士の代名詞とも言える技だが、このジャンプには「降りてくるまで敵の攻撃を回避できる」という伝統の効果がなく、ただのエフェクト付きの物理攻撃になっている。
発生するダメージは通常攻撃より大きく、またゲージ(TP)の蓄積量も大きい。オートアタック(通常攻撃)の間隔を無視して好きな時に発動できるのも強み。
敵のHPがミリ残りしてあと一押しと言うときに使ったり、ストアTP(ゲージ蓄積量アップ)装備をガン積みして一人連携の手段にしたりと、幅広い運用が可能。
LV77以上では、再使用時間を共有している上位アビリティ「スピリットジャンプ」が使用可能になるため、使うことはほぼなくなる。


スーパージャンプ(アビリティ)
高くジャンプして一時的に敵のターゲットから外れるアビリティ。LV50で習得。
使用すると一定時間(秒)遥か上空に舞い上がり、一時的な無敵状態となって、同時に敵のヘイトをリセットする(ヘイトを最小値に戻す)。
従来作の「ジャンプ」に近いのはむしろこちら側だが、降りてきたときにダメージが発生しないという点で大きく異なっている。
ナイアガラリューサン……うっ…頭が……


竜剣(アビリティ)
飛竜の力を自らに宿し、様々な強化効果を得るアビリティ。LV1から習得済みだが、メインジョブが竜騎士の時しか使用できず再使用時間も1時間もある、所謂「スペシャルアビリティ」に分類される。
名前こそVXで登場したHP吸収技と同一だが、同じなのは実質的に名前だけで、こちらは完全な強化系アビリティ。
強化効果は「最大HPアップ/HP回復」「物理攻撃力・物理防御力アップ」「ヘイスト(攻撃速度アップ)+25%」「各種ジャンプに追加効果発生」など多岐に渡るが、効果時間は基本60秒と短め。


スターダイバー(ウェポンスキル)
両手槍WS。LV96以上で特定のイベントをクリアし、かつ育成ポイント「メリットポイント」を消費することで覚えられる「武神流秘奥義」の一つ。
3連続で突きを繰り出し、トドメに天高く舞い上がって槍と共に振ってくるというド派手なモーションがカッコイイ(ミスラverは通称「ポールダンス」)。
威力が高く、かつ装備でダメージを伸ばしやすい優秀なWSで、LV96以上の竜騎士の主力技となる。また命中時には目標に対し「被クリティカル率アップ」の追加効果を発生させることがある。


竜の髭(武器)
膨大なカネと時間をかけて作るFF11の最強武器の一つ、「ミシックウェポン」に属する竜騎士専用両手槍。
鞭だったり槍だったりと安定しないシリーズの伝統武器の一つで、FF11の装備品には珍しく、ファンタジーっぽさあふれる派手な穂先を持っている。
強力な基本性能に加え、装備中は専用WS「雲蒸竜変」が威力補正付きで使用可能になるほか、竜騎士の特技「ジャンプ」の攻撃力を強化するという特性を持っている。
総合的な攻撃性能は極めて高く、またジャンプ性能強化のおかげで味方の支援の多寡にかかわらず柔軟に火力を出すことが可能となっているため、文句なく竜騎士の最強武器の一つに挙げられる。


ロンゴミアント(武器)
ミシックウェポンと同格の最終武器「エンピリアンウェポン」の一つである竜騎士専用の両手槍。
竜の髭をも上回る強烈な基本性能を持ち、また装備中は専用WS「カムラン」が使用可能になり、さらにカムラン発射後は使用時のゲージ量に応じて「アフターマス」という強化効果も付与される。
カムラン自体はそこまで強力なWSではない(ただし単発・大威力なので、使い方によっては火力が激増する)が、何しろ武器の基本性能が突き抜けているため、DPS理論値ではだいたいこの武器が最上位となる。


ドラケンアーマー(防具)
LV60でフル装備が可能になるジョブ専用防具「アーティファクト(AF)」の竜騎士版。
AFのデザインは「そのジョブのイメージ像」を形にしたものであり、そのジョブの看板とも呼ぶべき存在。(ブロントさんが着ているナイトAF「ガラントアーマー」や、汚い忍者の「乱破装束」などがこれにあたる)
そしてこの竜騎士AFであるドラケンアーマーは……当然と言うかやはりと言うか、色・フォルム共にモロにこのお方をモチーフにしたものとなっている。
ゲームの仕様上女性キャラ用も当然存在するのだが、なぜかそちらでは脚部位の「ドラケンブレー」がやたらと食い込んだ黒パンツ+チャップスというセクシー装備になる。やはりカインはムッツリだった……?
性能面では非常に優秀で、ジャンプや飛竜のブレスなどを大きく強化することができる。着替え装備としては入手時からカンストまで、長くとして使い続けることが可能。
初期AFの中ではかなり実用性が高い方だが、前述の「軽装備を好む」という設定からか防御力が「アーマー」とは思えない程に低いという弱点がある(通称「紫のプラモ」)。


エースヘルム(防具)

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            ノ ! ! -=ニ=- ノ!  ト-、    
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◆「プレイヤー的な意味での竜騎士の歴史」

※ここからはややディープな用語が登場します。


1 『お前ら大車輪の威力見て腰抜かすなよ』

拡張ディスク『ジラートの幻影』と共に竜騎士が実装されたのはサービス開始から約1年後だったが、当時のFF11はいまだ根本的なバランス調整の真っただ中であった。
そんな中に放り出されたジラートジョブだったが、実装当初はそのどれもが「調整不足」の一言に尽きた。

当然竜騎士もその例外ではなく、
・コールワイバーンがまさかのスペシャルアビリティ(再使用時間2時間)。伊国屋文左衛門級に貴重なみかんに
・飛竜+本体で他ジョブと並ぶように設計されていたため、飛竜が落ちるとその後2時間にわたって他アタッカーの劣化になってしまう
・飛竜+本体で与TP(敵へ与えてしまう技ゲージ量)が2倍になっており、敵のTP技頻度、及び威力が上がってヒーラーの負担が増加
・飛竜が敵モンスターと同様のNPCとして扱われていたため、他プレイヤーが敵にカーソルを合わせる際の邪魔になる
・突アタッカーとしては既にシーフが一定の地位を築いており、また狩人が大きく躍進したことでどうしてもその劣化に
・ゲームをログアウトすると飛竜が帰ってしまう、飛竜が他パーティが占有している敵の範囲攻撃をなぜか喰らってしまうなど、深刻なレベルの不具合が多数ある
・LV50以降、他ジョブのようなアビリティの追加が一切ない
などといった様々な問題を露呈し、瞬く間に「ポンコツジョブ」の名をほしいままにするようになった。

しかも同期の忍・侍・召は次々と強化を受けて底辺を脱していったのに対し、なぜか竜騎士だけはロクな調整もされぬままに長いこと放っておかれる。

このあからさまなまでの冷遇っぷり、過去シリーズでの竜騎士の微妙なネタっぷりが合わさり、2chの「ネ実」などの外部掲示板では、竜騎士に対してなかば神格化とでもいうべきネタ化が進行した。


ただ公正に言うなら、当時の竜騎士がそこまで圧倒的なポンコツであったというわけではない。
特にソロプレイでの強さは特筆ものであり、多段WS「ペンタスラスト」が格下相手に強烈な威力を発揮したこともあって、獣使いと並び「ソロでそれなりに経験値を稼げる稀少なジョブ」とみなされてもいた。

ただし、こうした「ソロの強さ」と「パーティプレイでの弱さ」の対比が、より竜騎士のネタ化を進行させた側面があることは否めない。


2 『キャーリューサーン』

とまあそんな感じでネタ街道を突っ走っていた竜騎士だったが、次の拡張ディスク『プロマシアの呪縛』も終わりかけた頃(竜騎士実装から約2年後)、ようやくそのテコ入れが開始される。

まず扱いにくさの根本的原因であった「子竜の再呼び出しに2時間かかる問題」に手が付けられることになり、コールワイバーンが20分間隔の通常アビリティ枠に移行し、代わりに強化アビリティ「竜剣」がSPアビリティとされた。

そして長年竜騎士を悩ませ続けていたこの問題が是正されたのを皮切りに、
・両手槍を含む、両手武器全体の性能調整
・飛竜に特性「モクシャ(敵への与TPを減少させる)」が実装され、「与TPマシーン」の名を返上
・メリットポイント特性「エンパシー」の実装により、飛竜の実質性能がアップ
・元々もっていた「物理命中率アップ」のジョブ特性が強化
・神アビリティ「アンゴン」の実装
・他人のペットをカーソル対象から除外するコマンド「/ignorepet」の実装
などの段階的な強化が攻防両面に渡って施されていった。
特に必中で敵の防御力を-20%するアンゴンの存在は竜騎士の存在感を大きくあげ、それまで縁が無かった1パーティ(6人)を越える大人数コンテンツなどでも出番が出てくるようになる。

これらの調整によって竜騎士はネタジョブの汚名を完全に返上し、独自の長所を持つ実用ジョブの一角として確かな地位を築いた(外部掲示板では相変わらずネタ扱いが続いていたが)。

特にレベル上限到達後の経験値稼ぎパーティ、通称「メリポパーティ」では、効率に優れるがジョブ制限が非常に厳しい「仙人メリポ」の対抗馬の一つとして、竜騎士を主役に据えた「ヒルブレメリポ」が確立。

これは端的に言えば「近接アタッカーの間でターゲットを回していき、減ったHPは超MP効率を誇る飛竜のヒールブレスによって回復する」という戦術で、
経験値効率こそ最適化された仙人メリポに劣るものの、参加する近接アタッカーに求められる要素が少なく、様々なジョブが参加できるという強みがあった。


3 『ヴァナを駆ける一陣の蒼い疾風・・「ブルーゲイル」こう呼んでくれたまえ』

そして4枚目の追加ディスク『アトルガンの秘宝』では、そうした性能調整とはまた別の部分で竜騎士への追い風が吹くことになった。
新実装されたアトルガンエリアでは、いやらしい鳥こと「コリブリ」「プーク」など、飛行タイプの敵=突属性弱点の敵を獲物とする機会が多く、突属性アタッカーが大いにもてはやされたのである。
突アタッカーの最右翼である竜騎士は当然もろにこの影響を受け、一気にレベル上げの人気ジョブへと躍り出ることになった。

またアトルガンエリアはLV50~を対象にした高レベル用エリアだったが、次に実装された追加ディスク『アルタナの神兵』エリアでは、LV30~40用のコリブリも登場。より低レベルからコリブリを獲物とすることが可能になった。
加えて出てくる敵をカスタマイズできる戦闘コンテンツ「モブリンメイズモンガー(MMM)」の実装、高Lvプレイヤーでも低Lvプレイヤーと共に経験値稼ぎができる「レベルシンク」システムの登場などにより、
FF11は「レベルを問わず、経験値稼ぎの獲物は鳥一択」という、鳥鳥ファンタジーとでも呼ぶべき時代へと突入したのである。

この風潮は、鳥系に対して常に1.5倍の火力を発揮できる竜騎士の地位を決定的に高め、最早かつてのネタジョブの面影を感じさせない真のエースへと躍進させた。


4 『ハッ!?ユメカ・・・』

が、地道に地位を高めていった竜騎士に一転して冷や水を浴びせたのが、新アドオン『アビセア三部作』の実装だった。

アビセア三部作は9つの新エリアを利用した戦闘コンテンツの集合体であったが、その特異なシステム上、それまでとは全く異質なヒエラルキーが確立。

そのヒエラルキーの中では、アビセアの各主要コンテンツ、つまり
独自の経験値システムを利用して、格下の相手を狩りまくることで経験値を稼ぐ「アビセア乱獲」
新型のジョブ専用装備「エンピリアン装束」を作成するための「型紙・五行素材取り」
エリア内限定の強化効果を得るためのフラグを入手する「アートマ・ジェイド取り」
これらのいずれにおいても、竜騎士は特に必要とされるジョブではなかったのである。

しいて言うならばアビセアNM(ボス敵)から装備を所得する「装備取り」においては報酬弱点(特定の魔法やWSを当てることで報酬が激増するシステム)要員として出番がなくもなかったが、
これは竜騎士を使わずに済ませる手段が確立されており、必要とされる機会はあまり多くなかった。

また報酬弱点を除外した単純な戦闘ではどうかと言うとこちらはもっとひどく、「忍戦モシ白以外は戦力として必要ない」とまで言われる有様であり、やはり竜騎士の席はなかった。

無論こうした滅茶苦茶なジョブバランスの煽りを喰らったのは竜騎士だけではなかったし、むしろ竜騎士は主力WS「雲蒸竜変」のおかげで相対的には強ジョブとみなされるほどだったのだが、
「特定のジョブ以外は全くいらない」というアビセアの極端なシステムの前には、どうにも存在感が薄くならざるをえなかったのだ。


5 『あまり私を怒らせない方がいい』

波乱に満ちたアビセア3部作が終了した後も、竜騎士の立場は依然として厳しいままだった。

アビセア3部作の時代*1とは、同時にそれまで75だったLVキャップ(上限)が99まで引き上げられた時代でもあったのだが、従来のレベルキャップ解放よりも圧倒的な駆け足で解放されたためか、
当時のジョブバランスは明らかに崩壊気味であった。

特にアタッカー系のジョブではこの傾向が非常に強く、トップ層と底辺では実質火力に数倍もの差がついていたほどだった
幸い竜騎士はその中では「上の下」といったところでそこまで酷くは無かったが、最上位層である戦士・暗黒騎士モンクのトリニティには流石に太刀打ちできなかった。

そしてそんな破たんしたバランスの中最後の追加ディスクである『アドゥリンの魔境』が実装されたが、当時の竜騎士の立場は「微妙」の一言に尽きた。

端的に言うと「吟遊詩人とコルセアと風水士の支援を受けたモンクと暗黒騎士が殴りまくり、危険な技は学者がスタンで阻止し、白魔道士が回復する」というのが当時の戦闘スタイルであり、そこに一見竜騎士の席はないかのように見えるが、
そんな前衛リンチスタイルを強力に補佐する「アンゴン」の存在、そして突アタッカーの中では最大火力を誇るという点から、局所的な出番は多めだった。

「暗モ学白風コ吟以外はゴミ」とまで断言された当時の世紀末バランスの中では非常に健闘できていた方ではあったが、しかし健闘止まりでしかなかったのも事実であり、竜騎士たちは何とも悩ましい思いを抱えていた。


6 『諸君、落ち着きたまえ^^』

アドゥリンも半ばを過ぎると、こうした近接アタッカーリンチ戦術(所謂「前衛バーン」)を明らかに狙い撃ちした修正が相次ぎ、バランスはまた大きく変動を遂げた……のだが、残念ながらそれで竜騎士が再浮上したりはしなかった

なぜならば敵火力の増大や、手厚い支援が望めない少人数向けコンテンツの実装などにより、「超格上戦には前衛アタッカーそのものが向いていない」という古い原則が復活したからである。

こうした環境で伸びてきた物理アタッカーは、遠隔攻撃を主体とする狩人、あるいは遠くからペットだけをぶつけられる獣使いや召喚士であり、竜騎士を含めた近接アタッカーは軒並み地位を落としてしまった

さらに長年の屈辱を耐え忍んできた黒魔道士が最前線に帰ってくると、たちまちその火力で環境を席巻。他のアタッカーの出番を大半奪ってしまう圧倒的な一強ぶりを示すに至ったのである。


7 『すごく落ち着いた^^』

だがその後約2年の時を経て、そうした黒魔道士の大暴れも徐々に落ち着いてきた。同時に前衛アタッカーなどの日の目を見ていなかったジョブを活躍させるための環境づくりも進み、現在では
「黒魔道士を主体とした精霊PT」「近接アタッカーを主体とした前衛PT」「狩人やコルセアを主体とした遠隔PT」「物理+魔法を両立した両刀PT」「ペットジョブを主体としたペットPT」
など、様々なスタイルのパーティが併存できるようになり、同時に多くのジョブに活躍の場が出来ている。

……しかしそんな中、現在の竜騎士は比較的「厳しい」立場にいると言わざるを得ない。
これは主力となる両手槍WSが威力面で伸び悩んでおり、突アタッカーとしてシーフや踊り子に肉薄されて(場合によっては負けて)しまっていることが最大の原因である。

また現在のFF11は、「オーグメント系装備」と呼ばれるガチャ装備(無論リアルマネーではなくて、強化アイテムを使ってランダムで追加性能を付与する装備)が重要な役割を果たしているのだが、
これが果てしないギルと手間を必要とする底なし沼状態になっており、妥協無しで性能を追求すると天井知らずでコストが嵩んでいく。

この為「竜騎士に手間かけるぐらいなら、同じ突アタッカーでソロで便利なシーフにつぎ込んだ方がいいや」という身もふたもない取捨選択が発生してしまっており、実際の性能差以上に格差が開いてしまっているのだ

だがこれは逆に言うと、「愛(とギルと手間)をかければ性能を大きく飛躍させられる」という事でもある。
前述のオーグメント装備や育成ポイントなどにより、同じジョブ・同じレベルでも性能が凄まじく上下する現在の環境では、理論値上限を達成できるごく一部の廃神クラスを除けば、ジョブの性能はまさしく愛次第
竜騎士と飛竜にかける熱い情熱さえあれば、戦士や暗黒騎士を越えるアタッカーとして活躍するのも不可能ではない



◆「有名人」


「さあ、立ち去るがいい。そして忘れるがいい。お前が照らすべきは、失われゆく過去ではないのだから。 」

「シラヌス」Cyranuce M Cutauleon (NPC)

エルヴァーン♂。現代に残った稀少な竜騎士の一人で、「サンドリア王立騎士団」団長ラーアルの旧友でもある。
エルパラシオン以降、サンドリアに絶えていた竜騎士の系譜を受け継ぐものとして期待されていたが、親友ラーアルは彼が竜騎士になったことに嫉妬し、罠にかけて牢獄に入れてしまったといわれている。
そしてしばらく前、同じ牢にいた獣使いの囚人が呼び出した魔物で脱獄した際、それに巻き込まれて死んだとされているが……?
当初は竜騎士入手クエストにのみ登場するNPCであり、いわば知る人ぞ知る(意味深)キャラだったのだが、20年前の世界を旅することになる『アルタナの神兵』ストーリーで再登場。
ラーアルやエグゼニミルと共に「少年騎士団」の一人として度々ストーリー中で活躍し、ショタ属性を獲得キャラも掘り下げられたことで広範囲から人気を集めた。



「さぁ、私は再び永き眠りにつかせてもらおうか。最後に、この手でその竜を抱きしめさせてくれ。」

「エルパラシオン」Erpalacion B Chanoix (NPC)

エルヴァーン♂。約100年ほど昔の王立騎士団団長で、「ラスト・ドラグーン」と謳われた竜騎士。
低い身分の生まれながら、その天賦の才により若くして竜騎士として大成。当時の国王ランペールの信頼を得て、史上最年少(25歳)で王立騎士団団長に任じられた天才的な騎士だった。
当時のサンドリア王国は、西サンドリアと東サンドリアの二つに分裂した「二王時代」の最中であり、エルパラシオンはランペール王の下でこの戦乱の終結、王国の再統合に多大な役割を果たした。
しかし戦乱の終結後、エルパラシオンは王より不可解な遠征を命じられ、その岐路に謎の失踪を遂げる。この意味深な経緯に関しては、「エルパラシオンの声望を恐れた国王が、用済みと見て粛清したのでは?」というまことしやかな噂が絶えない。
竜騎士関連のクエストに登場するキャラクターで、不遇だった時代の竜騎士にとってはあこがれの存在。AF「ドラケンアーマー」は元々彼が愛用していた装備でもある。



「磨かねば光らぬ金剛石のごとく、砕かれても光る金剛石のごとく…… それが「正義」だ!」

「スカリーZ」Shikaree Z (NPC)

ミスラ♀。ミスラ族の故国である「ガ・ナボ大公国」の執行官「罪狩りのミスラ」の一人。
本国に縁を持つ「罪」を犯したミスラに対する断罪を職務とし、他国に籍を置いているミスラであろうが一切考慮せずに任務対象とするため、万難を排してそれを可能にする一騎当千の実力者。
同じ罪狩りの妹が二人(暗黒騎士のスカリーYと、獣使いのスカリーX)がおり、共に行動することも多いが、子供っぽさが抜けきれない妹二人と異なり、慎重で真面目な性格の持ち主。ただし罪狩りのミスラの例にもれず、やや自信過剰なきらいがある。
『プロマシアの呪縛』のストーリーで活躍するメインキャラクターの一人であり、後にフェイスとしても実装されている。ヒルブレっぽさを再現したかったのか、竜騎士/白魔道士と言う攻撃と回復を兼ね備えたタイプ。



「サイカイ\(^o^)/ホボカクテイ」

「フラヴィリア」Flaviria (NPC)

エルヴァーン♀。「神聖アドゥリン都市同盟」の国営企業の一つ「マッマーズ・ワークス」の長(マイスター)にして、テュランドー家の当主。
先述したとおり、テュランドー家はアドゥリン独自の竜騎士である「蛟騎士」の技を受け継ぐ家系であり、その当主であるフラヴィリアも当然優れた蛟騎士である。
しかしマッマーズ・ワークスとはアドゥリンの「娯楽」を総括する、いわば「芸能プロダクション」であり、それにふさわしいパフォーマー気質と、海千山千の抜け目ないプロデューサー気質の持ち主でもある。
アドゥリンの偉い人なのでストーリー上では度々登場するが、本編では脇役に徹することが多く、むしろ本筋から離れたクエストで出番が多い。
特殊なフェイスとしても実装されており、アンゴンを使ってくれる唯一のフェイスとなっているが、そのせいか本人の火力がやや控えめ。



「……我ニ教エン…… 汝、ナニヲ求メテ、コナタマデ来タルヤ?」

「アブソリュート・ヴァーチュ」Absolute Virtue(NPC)

アーン族(モンスターの種類)。『プロマシアの呪縛』の末期に実装されたトリガー式のHNM(High Notorious Monsterの略。ストーリー上には出てこない、超強いボス敵)で、所謂「七元徳NM」の頂点に立つ存在。
FF11史上というかFF史上、いやむしろRPG全史上においても稀なほどの超絶極悪モンスターであり、実装から数年の間、全世界で一度も討伐報告が見られなかったという正真正銘の化け物。
その強さは全竜騎士のあこがれの存在……といいたいところだが、ナイトのSPアビ「インビンジブル」や、モンクの「百烈拳」黒の「魔力の泉」をなどを自在に、しかも何度でも使ってくるその姿は最早竜騎士のそれではなかった。
後に開発が「ホントに倒せるのかこれ?」という廃人プレイヤーたちの非難を受け、「実際に倒せますよ動画」を公開したのだが、その動画は「討伐に18時間かかったのでダイジェストでお送りします(あと動画作るから開発も遅れます)」という、
どこか間違ってる、というか全面的に間違っている代物であった。何考えてこんなもん実装したんだ……
さらにただでさえ超難易度なのにもかかわらず、戦闘時間についての非難を受けてか、前座含めて2時間以内に討伐必須という時間制限が追加。同時に出現条件とか色々緩和されたとはいえ、君らでさえ18時間かかったんじゃないの!?
その後「12人暗黒騎士の暗黒ラスリゾブラポン」「18人学者の一斉以逸待労」などの仕様の穴を突いたバグくさい討伐方法も編み出されたが、いずれも修正。最終的にはどうあがいても倒せない究極のHNMとなってしまった。
実質レベルが120以上(当時のレベル上限は75)になっている現在では、流石にそれほど強いモンスターではなくなっているが、その全盛期における伝説的な強さは今でも語り草となっている。






「私は姿を消し、飛竜が元の聖なる印を取り戻すよう、山に入り人知れず静かに追記:修正したいと思うのです……」






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最終更新:2025年01月12日 14:54

*1 正確にはその後のヴォイドウォーカー時代も含めて